コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

エメラルドグリーンを捜して(北米大陸ぼっち横断2)

ワシがカナダ・バンクーバーに過去3回も来たことがあるには一応理由があって、大学を出たてのころ、当時お付き合いをしていた方がバンクーバーに長期留学をしていて、要は遠恋っぽいことになっていたので会いに来ていたのです。ここで暮らしこの街を好いた彼女にいろいろなところを案内され、いろいろな魅力を教えられ、いつかはワシ自身がこの街を好きになっていました。

 

ただ、結局その後は来る機会も無く10年以上。今回、マイル消費から思いついた旅でしたが、それなら今度は独りであの街に行ってみようかな、行ったことあるところやないところを巡ってみよう、と思ってこの街から旅を始め、大学時代の友人が今まさに頑張っているブロードウェイ、ニューヨークをゴールにしようと、今回の旅程(到着地と出発地だけだけど)を決めました。

あとまぁ、VIA鉄道に乗りたかったので、その玄関口であるというのもあるのですが(良い話半減)。



2日目。安宿で目を覚まして旅記の更新などをしチェックアウト。今日は20時半にバンクーバーを発つVIA鉄道に乗る予定ですがやはりそれまでは未定。街の北側、ノースショアを巡りたい気持ちはありましたが、朝からしとしとと冷たい雨が降り、山の方を見れば曇が厚く掛かっています。

取りあえず街を歩きながら朝食どころを捜します。まぁどこも似たり寄ったりでしたので、ふらふらと辿り着いたバンクーバー中央図書館前の、沖縄によくあるチェーン「A&W」にてオールカナディアン・ブレックファーストを所望。レジの若い女性が日本人で驚きましたが、値段相応ではあるものの量の多いのにも驚き、満腹になって店を出ます。

図書館好きのワシ、折角ですから目の前のバンクーバー中央図書館に入ってみます。パッと見コロシアムのような外観がまず魅力的。それでありながら内部はかなりモダン且つ質実剛健な作りになっていて、建物自体も7階建てと、知の集積場としての誇りを感じます。本棚の作り方とかは分かりませんが、ワシの目を惹いたのは各国の書籍が置かれている棚。この街の国際色を感じさせます。もちろん日本書籍の棚もありまして、古い雑誌や、小説、実用書、児童書が多め、マンガもそこそこ、現地駐在員とかが置いていったのでしょうか、多少の偏りを感じます。

 

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あと、図書館と同じ建物内(だけど図書館施設そのものの外)に、カフェや軽食スタンドが建ち並んでいるのも特徴的。借りてきた本を読みながら、中で調べ物をする休憩がてら(図書館内椅子机の数も充実しています)、一日ここで過ごす人もいるのでしょう。でも一番目に付いたのは「SUSHI LIBRARY」。それは、寿司の知識が集積されている場所なのか、図書館にある寿司屋なのか!(後者です)

 

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11時過ぎ、まだ雨は降っていますが、そろそろ雲の切れ目に青空が見えてきます。これならそろそろ止むかな、とあたりをつけて、ちょうど図書館前から無料シャトルバスが出ているキャピラノ・サスペンション・ブリッジ・パーク(キャピラノ吊り橋)に行くことに。

来たことあったかなかったか曖昧なまま来たのですが、到着したところたぶん、来たことないな、と思い入園。てかまぁ、シャトルバスに乗った時点で基本そのまま入園です。大人は40ドル弱と中々のお値段です。折からの雨はちょうど止んで、園内散策中は晴れ間も見えてきました。運が良い!

ここは、地上70mという吊り橋を中心に、森の中の木の上方に張り巡らされた遊歩道を歩いて、少し変わった視点から森林浴を楽しむことが出来ます。さらに、クリフウォークと言われる、崖から少し張り出したところにも狭い遊歩道が設置され、空中散歩を楽しむ感覚も味わえます。……なんか、観光地紹介業者みたい。。。

 

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うん、森林浴としては満足ですし、木々の間を橋が掛けられて渡る遊歩道も楽しい。崖から張り出した道も、それなりの迫力と一風変わった感はあって面白い。だけど、なにか物足りないんだよなぁ。



ワシは、冒頭に書いたように当時の恋人さんにアチコチ連れて行ってもらい、その中で忘れられない景色を幾つも見ました。その一つが、ノースショアエリアの渓谷で見たとあるエメラルドグリーン。当時はフィルムカメラだったので写真を撮っている枚数も絞られていて、わずか一枚残っているだけのその輝きを、もう一度見たいな、と思っていたのでした。

渓谷、をキーワードにここに来てみましたが、違った模様。まぁ勝手に期待しておいて違ったからガッカリ感では、キャピラノ吊り橋に悪い気もしますが、ここでふと、リーン・キャニオン、という地名を思い出します。ガイドブックには載っていないのでGoogleMAPで調べたら、お、これもノースショア。たぶん、ここだ!



後から考えたら、そのまま路線バスで東に向かえば着いたっぽいのですが、何分路線バスの地図も持っていないので、一度シャトルバスでダウンタウンに戻り、観光案内所で行き方を聞きます。シーバスに乗って湾を渡り、ロンズデールキーなる商業施設から出ているバスに乗る模様。最初に乗ったバスはちょっと間違えていて、目的地の途中までしか行かないものでしたが、乗り継ぎ歩き、なんとかリーン・キャニオン・パークに到着。

ここだ!という確信は、入口の看板から持っていました。ただ、このパークのどこに行けばいいのやら。とはいえ、案内を見たらここだろうなというのは想像ついたので、ここもそこそこ高い吊り橋を渡って、渓谷沿いを散策します。時間はすっかり昼下がり、朝飯の量が聞いてまだお腹は空きませんが、今日二度目の渓谷歩きです。雨上がりのぬかるみの中を歩いて行くと……

 

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見つけた!

30 FOOT POOLと呼ばれるポイント。上流から流れ込んでくる水が渓谷に流れ出すつなぎ目にある、少しだけ水深のある水流の凪みたいな箇所です。どういう光の加減かは分かりませんが、ここだけが、選ばれた鉱床のようにエメラルドの輝きを持った美しい一景を作っているのです。

 

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すっかり、10分以上は見惚れていたでしょうか。深い水底から碧色がそのまま涌いているような美しさで、思い出を少しも減じることなく、15年ぶりの輝きを見せてくれました。

さらに森の中を散策します。またも陰っていた雲が少し晴れて、木々の間から葉っぱを通じて優しくソフトフォーカスされた光が足下を照らします。その光の加減は、これまた美しいコントラストを木々に与えて、森の妖精でも出てきそうな幻想感。ジブリアニメの森の表現で、木々の中の光と影のコントラストが強調されると幻想的な風景になりますが、まさにあれ。

 

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水流豊かなツインフォールズの上に架かる橋を渡り、ビジターセンターに帰還。1時間半ほどのトレッキングでした。や、比較するのもアレですが、キャピラノ吊り橋はしっかり整備されているしエンタメ性もあるし安全に森林散策ができます。が、40ドル弱掛かって1時間弱で巡れてしまい、人も多い。リーン・キャニオンは、来るにも園内にも多少の不便はありますが、無料ですし人でも少なくありのままの自然を堪能できる気がする。偏見補正は入っていますが、そんな気がします。

 

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……いやまあ、その時の女性とはいまでも人付き合いがあるので、そんだけ気になってたなら来る前に聞いておけって話しですがね。まぁエメラルドグリーンを捜そうと決めたのもこっち着いてからだし、自分で捜す楽しみってのもあるので、これはこれで良いのです。閑話休題



すっかりリーン・キャニオンを堪能して、バスでロンズデールキーに戻ります。少しマーケット内を歩いてみたら、おっとここにも「グリーン・リーフ・ブリューイング」なるビール醸造所があるじゃないですか!仕方ないなぁ、と入店して、ここにもありました4種類飲み比べ。昼飯食いそびれているのにビールは腹に入れます。

シーバスでダウンタウンに戻り、スカイトレインでパシフィック・セントラル・ステーションへ向かいます。これから乗るVIA鉄道カナディアン号の出発駅です。その列車は大陸横断型で、全行程に乗ると4泊5日を掛けてトロントまで行くのですが、ワシが乗るのはカナディアンロッキーの玄関口ジャスパーまで。約20時間の鉄道旅です。

早めに来てチェックインすると良いよ、的にどこぞのガイドサイトに書かれていたので2時間前に来てみたのですが、係員から「貴様の安い席にそんなものは必要無いし席も空いてるとこ自由にすわんな!あ、出発30分前に来れば良いから(意訳)」と言われたので、かといってこれからダウンタウンに戻って飯を食うのも面倒と、一旦、駅周辺を散策がてら、晩飯と車内食を調達することに。食堂車は付いているのですが、基本的にベッドルームの人優先で、ワシの座る最も安い、リクライニング座席だと食いはぐれることもあるとか。

駅近のサイエンスワールドなる施設の前に、ピタゴラ装置、というか、ルーブ・ゴールドバーグ・マシーンが置かれていてひとしきり見た後、2010年のオリンピック村だったエリアに突入。新しく綺麗なマンションが並びます。パン屋を見つけたので車内食と買いましたが、レストランはどこもしっかりしていて、金銭はともかく時間も掛かりそう……。

 

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てことで、駅にリターン。バンクーバーの街では寿司屋が大流行のようで、駅にもさっき見かけたのでそこで良いや、と思ったのですが、ちょうど入れ違いに閉店時間。駅で開いてる飲食店は……まさかの「A&W」!?ってことで、2食続けての「A&W」。や、今度はハンバーガーにしたし、ルートビアはこっちでも湿布くさくて美味しかったから良いんだけど。

乗車時間になり乗り込みますが……ここで、トラブル発生!あまり詳述は出来ないのですが、乗車をキャンセルしてバンクーバーに残ろうか、とも思うほど。結果、結局乗り込むことにはして、移動しながら出来ることは手を尽くして、取りあえず人事は尽くしたので天命を待つばかりの状態。ここを書いている今はまだ解決していないので、実はかなりドキドキしています(更新している今は、解決はせず、対応に追われてますが。苦笑)。

 

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そのトラブルのおかげで、名残を感じる間もないまま出発してしまったバンクーバー。でもやっぱりステキな、好きな街だなってことが再確認できたので、またいずれ訪れたいものです。

バンクーバーの半日(北米大陸ぼっち横断1)

カナダはバンクーバーに来ております。前回来たのがたぶん12~3年くらい前で、過去三回来ているので、実に四回目。海外では随一の多さです。まぁその辺は、昔の色恋が絡んでくるのですが、それはまた、別のお話。今回の旅のキッカケは、陸マイラーで結構溜まったJALのマイルが期限切れになりそうだったので、そんじゃあとビジネスクラスで北米往復を取ってみたのです。Cクラスなんて、自腹じゃ乗らない(乗れない)けどな!

そんで、エアーだけはGW中の仕事終わりあわせで数ヶ月前に押さえたので、4日バンクーバーに入り、11日にニューヨークから出国、だけは分かっていたのですが、途中の行程を、ふんわり考えつつも何も決めずに出発当日。朝、慌てて……もいませんが、取りあえず4日のホテルと、カナディアンロッキーに行こうと思ったのでその移動のための鉄道パス&さすがに山中で宿が無いと凍死するのでそのホテル、までは取りました。まだ決まっていないところもあるけど、文字通り、見切り発車だ!



成田空港につきましてチェックイン。ビジネスだから、ラウンジも使えちゃいます。ビールはもちろん、ワインや日本酒も何種かあり、さらにご飯も無料。よく友人が写真をうpしているのを見ていた、JAL特製ビーフカレーをいただきますが……おお、これは美味い!欧風カレーとしてかなりの味の良さです。しかし、ワシの荷物はハイキングにでも行きそうなバックパックひとつ、預け荷物もありません。なんともラウンジには不似合いな異分子です。

 

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搭乗も一番最初。以前乗ったことあるビジネスシートより少し新しいものらしく、席は広々とした席幅&ピッチ幅、フラットリクライニングになるので睡眠も比較的安らかです。そして何より楽しみだったのが食事!一食目は和食を選びましたが、今月は、九州の美味いものを懐石風に並べた御膳に、鰤の焼き物&炊き立てご飯。この、空で炊き立て、というのが気になっていたのですが、若干やわめな感はあれど、充分に美味しい白米でした。飲み過ぎてなければお代わりしたかった。

 

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そしてそう、お酒。ワインも日本酒も複数種類あって、気分にあわせて選べます。最初はシャンパンとかワインを嗜んでいましたが、料理が終わる頃には日本酒の獺祭を合わせてみます。いやはや、貧乏性のようだし実際そうですが、酒好きとして、美味しいお酒が無尽蔵に飲めるというのは嬉しいものです。

食事を摂りつつ、映画「ベイマックス」を見ましたが、ナニゲにワシは「兄の喪失」という物語を余り見ていなかったんだな、ということに思い至ります。そして感じるところはあったのですが、それはまた別のお話。や、ハリウッドらしいシナリオメソッドがふんだんに盛り込まれており、良い映画だと思います。

三時間ほど入眠して、たぶんこれで時差ボケは解消されるな、と確信しての朝食は洋食をチョイス。こちらもちゃんとした器に美味しい味でしたが、ちょっと豪華なエコノミー食感もありました。や、美味いんですけどね。

 

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乗客1人あたりCAさんの数も多く、何かと気を遣ってくれるのも嬉しく、9時間ほどのフライトはとても快適に終了。JALさんさすがやでぇ……という思いもありますが、でもやっぱり普段のワシはエコノミーで充分だな、とも確認。どこでもいつでも短くても休めるスキルを活かして、どうせお金を使うなら現地の食事とかで楽しみたいな、という感覚が強いです。

 

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バンクーバー国際空港は、ガラスの多用された解放感が心地良い空港です。10年以上ぶりの懐かしさ。でもその頃よりも、市内へ向かう交通網は整備されたらしく、スカイレールと呼ばれる鉄道がダウンタウンとの間を結びます。到着したは良いけどどこに行くかは考えていなかったので、ガイドブックをパラパラ見ていて、ダウンタウンまでの途上にあって気になった、クイーン・エリザベス・パークに行ってみることに。過去3回で行ったことの無い場所です。

スカイレールをキングエドワード駅で降りて5分強で到着。よくある公園と言ってしまえば身も蓋もないですが、少し丘を登っていく高台からは、ダウンタウンとノース・ショアが一望でき、中々に爽快な眺め。園内には花が咲き乱れ、庭師の方が手入れをしています。これといって惹きのあるものは無いかもですが(バラ園とかあるようですが)、街の中心からちょっと離れた、ちょっとした散歩に良い公園です。

 

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駅に戻ってスカイレールで二駅、オリンピックビレッジ駅で降りてバスに乗り換えます。市内の詳細なマップやバス路線図は持っていないのですが、ガイドブックの情報と過去にきた土地勘から、なんとなく次の行き先まであたりをつけたらビンゴ。来たバスに乗ったら目的地方面に走って行きました。W-4th Ave,を通ってVine St,で降車。坂を下りた先に広がるのが、バンクーバー民の憩いの場、らしいキツラノビーチです。

こちらは、過去3回の来訪時に毎回来ているので、今回も皆勤。バンクーバーに住んでいた人が好きで、毎回案内してくれたのです。ちょっとしたノスタルジーも入りつつですが、流木が並んだ砂浜で、木に寄りかかったり腰掛けたりする人々に混じって一休みすると、本当に心地良い場所だな、と感じます。何もかもが柔らかい場所、とでも言うか。柔らかい風が柔らかい波を呼び柔らかい日差しの中で休める場所です。

 

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キツラノビーチからバニア公園方面に散歩をしていたらフェリー乗り場を見つけまして、しかもちょうど時間よく次のが来るようでしたので乗ってみることに。持っていた、トランスリンク社のデイパスで乗れなかったので別料金でしたが、小さなフェリーで喫水線間近に座りながら港湾を走って行くのはまた心地よく、そういえばこれも、以前乗ったなぁ、と思い出にも浸ります。



そうして向かったのがグランビル・アイランド(以下、G・I)。廃工場街だったものを再生した一大街区で、東京近郊で言えば横浜の赤レンガ倉庫にような感じでしょうか。セレクトショップや小さなミュージアムにシアターが並び、パブリックマーケットもあり、お洒落で賑やか。ワシがバンクーバーで一番好きな場所かもしれません。マーケットを覗いて、小腹が空いたのでG・Iの名前がついたピザを食って、ふらふら。

 

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していたら、そんなG・Iでもさらに一番好きなお店、PAPER-YAがまだあって感激!ここは、15年前初めてバンクーバーに来た時に見つけて、その時からのお気に入りなのです。池袋で言えば、紙のたかむらみたいな、日本のものを含めた様々な紙、紙加工品、文房具が揃っています。ワシは日本でもこういうのは眺める専門ですが(買っても使わない……)、飽きずにいつまでも眺めていられます。

 

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そしてG・Iのもう一つの楽しみは、グランビル・アイランド・ブリューイングなるビール醸造所と、そこで飲める各種出来たてドラフトビール。5オンスのテイストグラスなら4種類が7C$で飲めるので、ついカッとなって2回転、8種類を制覇してしまいました。いやはや、どれも特徴的で美味いですが、やはりワシはペールエールがお気に入りかなぁ。

 

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ほろ酔いで店を出ますと、さっきまでの晴れが身を潜めて冷たい雨が降り始めています。そこでMAKEというお店でちょっと雨宿り、のつもりが、ここの雑貨&衣服がとてもセンスがよくて、これまた見てるだけでも飽きません。そんな中で一目惚れしたTシャツがあったので、サイズを聞いてみましたがちょうど良いのが無く、でも日本でLが入るんだからこっちのMでもなんとか、とMを買ったところやはりキツキツ。ぐぬぬ、無念。

雨が小降りになってきたので、バスに乗ってダウンタウンへ。取りあえず、出国前に慌てて取ったホテル・アンバサダー・バンクーバーに投宿します。立派な名前ですが、ディズニーのアレを想像しちゃいけません。室内にはシングルベッドと冷蔵庫がポツンと置かれ、シャワーブースとトイレは共用。典型的な安宿ですが、それでも日本円で6300円。円安め……。まぁ、ワシはホテルは寝るだけなので、これで充分です。



12時前に着いたのに、この時点でまだ17時過ぎ。濃い、わずか5時間分でこんなに書いてしまったか……その濃さに当てられたワケでもありませんが、少し休んでいるウチにちょっと仮眠を取って目が覚めて、やっとWi-Fiが使えたので、いろいろSNSポストして、まだ明るかったので再び散策&晩飯のために、街に出ます。

20時近いですが、サマータイムでもあるためまだまだ明るい町並み。それでもそろそろ日が傾いているようで……あれ、これ、今なら沈む夕日が見られるんじゃね?

という思い付きで、またも適当に当たりを付けてバス乗車。狙い通り、到着したのはイングリッシュ・ベイ。ここからは、イングリッシュ湾の先に沈む夕日を見ることができるのです。そして時間的にもちょうど沈んでいくところで、やはり流木が置かれたビーチには夕焼けが広がっていきました。いやはや、さすがに過去3回も来ていると、海外とはいえ思い付きで行動してもなんとかなるものです。

 

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もうそろそろ晩飯を摂らないとな、とビーチから振り向いたら目に入ったのが「ボートハウス・レストラン」。バンクーバーに来たらシーフードでしょ!と思っていたので、渡りに船とそのまま入店します。ウッディーで暖色系の照明に包まれた落ち着いた店内。窓際からはイングリッシュ湾が一望できて、沈んだばかりの太陽が引き連れて蒼く暗くなっていく空と、瞬きはじめる星に囲まれてのディナーです。

 

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マンゴーモヒートを片手に頼んだのは、まずは生牡蠣。海外で、旅の初日に生牡蠣とは、ワシの冒険心もピークに至った気がしますが、これも、前にバンクーバーで食べた生牡蠣がすごい美味しかった記憶故です。こちらのお店のは、少々小ぶりではありましたが、味は中々。レモンやビネガーが合います。食べた中にROYAL MIYAGIって種類があったのですが、産地はカナダの模様。なぜ?

 

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メインで頼んだのは、ワイルド・メープル・サーモン。てっきり、カナダの象徴的にメープルって入れているのかと思いきや、杉板に乗せられ焼かれたピンク色のサーモンからは、本当にメープルの味!なんだろ、照り焼きのような、ハチミツで焼いたような……ちょっと驚きの味わいですが、美味い!そして驚いたのが付け合わせの野菜&ポテトも美味しさ。海外の付け合わせって手抜きイメージがありますが、これは美味い。

 

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そんなこんなで、お一人さま故もあって若干割高にはなりましたが、旅の食事には金をけちらない方針なので満足。あと、ワシの席を担当した金髪のお姉さんがとても綺麗だったのも満足!



時刻は22時過ぎ。バスでホテル近辺まで帰ってきますが、当然ワシがマンゴーモヒートなんかで酒が足りるはずもなく、このまま少し歩けばイェールタウンがあって、そこにもビール醸造所があるらしいな……ってことで、夜の散歩。バンクーバーは治安のよい街ですが、やはりこの時間になると中々にうら寂しいものがあります。

 

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それでもイェールタウン地区――この界隈も来るのは多分初めて――に到着。レンガで出来た建物の街区が、夜の街灯に照らされて雰囲気のある町並みです。入ったのはイェールタウン・ブリューイングのパブエリア。メインランド・ラガーと、イェールタウン・エールを、1パイントずついただきます。イェールタウンでエール……。

 

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暖炉も置かれた、一見落ち着いた店内ですが、この日は奥のビリヤード台を囲んで現地の若者が20人くらい賑やかにしていて、隣の席ではナンパも始まり、まるで六本木のスポーツバーみたいになっていました。日によって雰囲気も違うんだろうなー。これまた、治安の良さが分かっているからこの時間にこういった店でも飲めますが、ちょっと海外の危うさはありますね。

ほろ酔いして、帰ホテル。共用シャワーブースでシャワーを浴びて一段落です。や、12時間の出来事としては詰まり過ぎだな、しかし!




てことで、今は二日目、5月5日朝。少し早い時間に目を覚ましたので、ふとリアルタイム旅記を書き始めてみれば、予想外の長さにワシがビックリです。この先続けられるかは分かりませんが、可能ならまた旅中に書くかも。

苦しむ心、クリアな脳、紡ぐ言葉

やっぱり人は苦しんだ方が良い。少なくとも、文芸(文学)を志す人間は苦しんだ方が良い。

その理由が仕事であろうと私事であろうとどちらでも良いんですが、心が苦しむほどに自己の意識は内省し、その結果、自分のふんわりとした心を定義づけようとして、言葉を紡ぎ出します。これは、「得体の知れない恐怖感」を「幽霊」と名付けて、逆説的に安心を得ることに似ているかと。

昔、ワシがどんなにせわしい時でも、毎日ある程度のテキストを書いてネットにアップしていたのは、その裏返しだった気がします。この間、ちょっと折があってmixi日記の件数を追ってみたのですが、3月25日時点の、登録から10年半で2542件。1100日ちょっと連続更新していたころは仕事も管理職になったりでいろいろ多岐に渡っていた時でもありますし、やはり集中しているのは、せわしかった時な感があります。逆に、ここ数年はそういうのを書けていないってのは、実は大枠では人生で楽をしている時期なのかもしれません。

だから、ちぃと感情を表出しすることがあり、ちょこっと心が苦しんでいるここ最近、陳腐かもしれないし定番のフレーズかもしれないけど、少なくとも自分からの率直な言葉が、なんかすごいたくさん溢れ出ているのです。そして、こんな時は物語を作りたくなる≒小説を書きたくなります。この、自分から溢れる感覚を言葉として留めたくなるんでしょうねぇ。余談ですが、そう考えるとやっぱり「小説家になりたい」ってのは変で、書きたいものがある結果、小説家になるんだよな、と思うところです。

さて。心は捻挫したかのように苦しいのに、脳はクリアになって、言葉を生み出してくる。この快感を知ってしまうと、文章書きは文章を書くことから逃れられない気がします。それはそこに商業が絡むかどうか、は問題では無く。

思い出せば、また根っこは違えど、大学の卒論を書き上げた時もそうだった気がします。提出日の3日前まで白紙だった卒論、このままの卒業不可も覚悟しましたが、すんごい苦しみの中ふいに「降りてきて」、1日目66枚、2日目22枚を書いて、友人にも手伝ってもらってギリギリに提出した体験。あれは、たぶん自分の人生で最も天才的に文章が書けた日だった気がします(評価も良かった)。あの感覚よ、もう一度。

でありながら最近はそんな時に、ひとさまから教わった田村隆一氏の『帰途』の冒頭、「言葉なんかおぼえるんじゃなかった」という一節を思い出します。そこで表されている言葉の限界は、言葉を知っている者ほど、自覚させられる未熟さを思い知らされるのではないかと。

なんか、こんなことを書いていること自体が、以前友人たちと飲んでいる時に命名した「太宰治症候群」っていうヤツの一環かもしれません。内省をこうして吐露していることまで含めての、偽悪趣味。でもま、これこそ文章書きの性なのだから、仕方ない。

……とまぁ、昨夜の「ひとさまの恋バナに茶々を入れていたら、諸々自分の中でクリアになってくる感覚。」ってのをまとめて、テキスト化してみたのがこれ。これの延長に、さらにその前日に書いた「なんか今、恋と文学の関係性について、ひとつ悟った気がする。」ってのが繋がっていくんですけども、これはまだテキストにまとめるには早計なので、気になる酔狂な方は、飲んだ時にでも。

かもめの本屋〜本棚に惚れた夜〜

行ったのはもう二ヶ月以上前のことだけど、書きかけていたのを書ききる所存。

「校正の会社が神楽坂で始める本屋」という話題を初めて見たのは昨年の9月。ちょうどその近辺、書店員や編集者、校正者が主人公が小説をたまたま読み漁っていたこともあって、心に引っかかります。

書店の名は「かもめブックス」。鷗来堂という会社がプロデュースをしています。本屋の他に、カフェやギャラリーも併設。

下北沢のB&Bなんかも、イベントのある時がほとんどですがたまーに行く身ですし、そもそもエンタメ業界に身を沈めていますし、何より本が好きですし、「本屋で新しいことを仕掛ける」には敏感なつもりなのです。

とはいえ、開店の報を聞いてからもしばらくは立ち寄らず、打ち合わせで神楽坂に行っても時間がなくて素通りしていました。そんな足を、書店名に倣うならそんなふらふらした翼をお店に向けたのは、元同僚が書いていたこんな記事。

www.huffingtonpost.jp
これが目に入ったのも何かの縁だろう、と思って、その日はちょうど夜の予定もなかったので、仕事を早めに切り上げて会社帰りにちょっと遠回りして神楽坂に立ち寄り。すっかり暗い夜の中、浮島のように光るお店に入ります。

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……やばい、超ドキドキする。棚を見てるだけでときめく本屋なんて久しぶり。

正直、驚きました。たぶんその日ワシは、書棚に恋をした。それくらい、ときめいたのです。

ある棚はただ本が並び、ある棚はその棚にある本がなぜそこにあるかが一言で表されたキャプションが添えられています。そのどちらであっても、棚の中の空間ひとつひとつに世界が出来上がっているのです。本の並べ方、面陳してて目に入るタイトル、それらもキャッチー。

この棚には、意思がある。

元々、本屋にしろ図書館にしろ大好きですし、大量の書物に覆われた本の森、本の迷宮に迷い込むのも好きですが、かもめブックスの書棚を覗き込むことは、そこにフッと方位磁針が降りてきて道筋が照らされたような快感。例えば、謎解きゲームをプレイしていて答えを模索している時、答えに向けた閃きを思いついた時の快感に似ています。

気になった棚、そこに入っている本が全部欲しくなる。端から端まで読んでみたくなる。この棚を作った人の意図を知りたくなる。

そんなことを考えながら、それこそ、恋を自覚した夜のように、ふわふわとした気持ちで帰ってきました。きっと棚の意思は一定期ごとに変わるんでしょうから、恋をした相手に会いたくなるように、定期的に行ってみたいと思います。

うどんタイン

やー、今年も、不肖の身に過分な友チョコ義理チョコを賜り恐縮至極。しかしながら、本命的なものが無いというのはどういうことだと小一時間(略)(←38歳のおっさんの台詞とは思えん)。いやまぁ、営業日の13日にのみ頂戴している時点で、本命も何もありませんがっ!

さてそんな中、おまえこれどう考えてもネタにしろと言っているだろう、というものは毎年ほんのり頂戴しておりまして、案の定今年もありました。

 

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あら可愛い包み紙……の右下に?

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udon

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うどんーーー!


てことで頂戴しました「バレンタイン限定水沢うどんLOVEきつね」。ハート型の、お揚げとピンクの練り物(うどん粉由来)が入った、なんともハートフルな一品です(ドヤ顔)。

……とか言っていますが、実はこれ、見つけたのはワシでして、「バレンタインの贈り物で面白そうなのあったら教えてください!」と言われていた友人に、3週間くらい前に教えたらその場で購入手続きをしていたもの。14日に会う人に(ネタ的に)あげる、と聞いていたのですが、なんとワシにも感謝の印にお裾分けしてくれました。ありがたいことです。

ちなみにもう一個見つけてお教えしていたのが、築地市場で売られていた「ハートウニ」。お値段は分かりませんが、これもかなり強烈。

さて、ということでバレンタインデーの朝食にいただくべく調理開始。といっても茹でるだけですが。

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美味しそう。

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ハートブレイク。

や、味はちゃんとした水沢うどん、やわめながらコシもあり、お揚げもジューシーできっちり美味しい一品でした。ご馳走様でした!

20年越しの感謝

先月下旬のことですが。

大学一年生の時に、ゼミで担当教諭だった中村文昭先生が、今年度を以て専任教授を退職されるということで母校で開催された「感謝する会」に参加してきました。仕事もあったので終わる20分前くらいに駆けつけたのですが、会場の文芸学科ラウンジは大変な人数と熱気。

その先生は「詩」がメインの創作&研究をされていたので、ワシの指向とはまったく異なるというか、ワシは本当に詩が分からない人間なので、そこだけ見るとミスマッチも良いところなのですが、母校の1年次のゼミは学籍蛮行で自動的に振り分けられる(2年次からは自主的に選べる)のです。そして、自動振り分けだからこそ、1年次は詩のみではなく、ノンジャンルで指導してくださいました。

創作なり批評なり、授業的にももちろんお世話になったのですが、なにより大学一年というある意味で難しい時期を、授業のみならず大学生活初心者という点でもいろいろ教わったな、ということで、大変感謝しているいる方なのでした。

その会合で同期周りは見つけられなかったので残念ではあったのですが、他にもお世話になった先生や仲の良い先輩にはご挨拶でき、何より先生に、「お忘れかと思いますけど……」と挨拶しに行ったら、「覚えてるよ!活躍しているそうじゃないか!」と仰っていただけたのが、なんか、すごく嬉しくて。

数多い教え子のひとり、しかもきちんと授業を取ったのは1年だけでしたが、なんか当時を越える感謝の気持ちがわき上がってきました。大学を出てから15年、先生の授業を取っていたのは20年近く前になりますが、もうなんか、昨日のことのようです。

先生、ありがとうございました!いつまでもお元気で!

ビフテキ恵方巻き

ネットニュースで見かけた池袋東武「スギモト」の、松坂牛の恵方巻き。
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1501/14/news149.html

こ、これは肉の妖精的に食わねばならぬのではっ!と思いつつ、12,960円という値段に躊躇しておったのですが、SNSでそんなことを書いたら某WEB記者さんが一口乗ってくれるというので、早速先月半ば、震えながら予約。そして昨朝、震えながら購入いたしました。

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まずはその重さと太さに圧倒される我々。見ただけで丸かぶりが不可能なことを思い知らされます。何しろ、長さ18cmで直径は12cm!おっきいにも程があるだろ……。

ずっしりした包みを抱えながら開封のできるところに移動して、WEB記者さんと一緒に開封式。折角ならとコンビニの390円(お値段だけで言えば33分の1)の恵方巻きと並べてみましたが、

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なにこの圧倒的存在感!

直径の半分以上を占めるセンターの霜降松阪牛サーロインステーキ400gが、とにかくツヤツヤで美しい。念のため、丸かぶりを試みましたが、

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まぁ、無理。

てことで切り分けます。入れた包丁にはたっぷりの脂がこびりつき、つい舐めたくなりますが、ちょっと異常な人っぽくなるのでそれは諦めて、いざ、実食!

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…………んんまい!サーロインステーキの周りは黒毛和牛ローストビーフ200gで、軽くタレを落として味付けをします。米も酢飯ではないので、感覚的には高級なビフテキ丼を食べてる感。噛むごとに溢れる甘い肉汁、冷めているのに吸い付いてくるような超レアサーロインステーキの食感、アクセントを加えるローストビーフとベビーリーフ……なんだこの一体感。うめぇ。

6切れ半ほどに切り分けまして、一切れでも2,000円相当。まぁお値段を踏まえれば、美味くなければ嘘みたいなもんですが、とはいえ単なるイロモノではなく、きちっと食感なり味わいが考えられて楽しめるのは嬉しい。

まぁぶっちゃけ、分解してそれぞれで食べる方が美味しいのかも知れません。でもま、これはこれである種の縁起物。もう既に、風習としての恵方巻きから遠く離れておりますが、良い鉄板焼が食べられるレベルでのひとネタ、すっかり堪能させていただきました。

ちなみにご一緒してくださった記者さんは、しっかり記事にされていました。
http://getnews.jp/archives/800838