コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

銀河の歴史が、また1ページ

小説を書きたい、文章書きになりたい。


そう明確に思ったのは、中高生のころに「銀河英雄伝説」や「創竜伝」を読んだ時でした。全くのフィクションなのに、ひとつの歴史を創りあげているそのすごさに感銘を受け、ワシも紙上に歴史や人生を創りあげたい、と思ったのです。


その結果、大学は日芸文芸に行き、それが生き様に多大な影響を与えているのですから、ワシの人生を決めた一冊(何巻もあるけど)と言って良いと思います。

 

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昨夜はそんな銀英伝のイベント「銀河英雄伝説 〜Forever Yang〜」を見に、サントリーホールへ。このイベント、大阪にある「海鷲」というバーのスタッフが、ある意味個人レベルで主催しているですが、サントリーホールを借りて、作者の秘書も来て、名だたる声優陣が揃うという、すごいもの。


そこで、オーケストラ演奏で銀英伝のアニメで使われてた楽曲が様々に演奏され、その合間合間に出演声優さんの小芝居(含む茶番)が挟まり、特にアニメが好きな人には溜まらないんじゃないかな、と思う内容。ワシは小説原理主義者だけど、もちろんアニメも面白く見ているので、じんわりと堪能しました。


主催者と知己の方が誘ってくれたので、取ってくれたSS席はまさかの最前列。目の前でキートン山田さんとか井上和彦さんとかが、キャゼルヌやアッテンボローを演じている贅沢さと言ったらない!とはいえ、やはり声優さんたち、アニメ終了から20年近くが経って、声が変わられたな、と感じる場面もしばしば。


そういえば。オーケストラコンサートに行ったのも久々だけど、最前列で見たのは初めてで、じっくりと指揮者を見てたら、やっぱりオケの指揮者って大事なんだな、と思いました。最近、のだめカンタービレを全巻読んだこともありますが、指揮者無しでも演奏はできるかもだけど、指揮者が演奏を支配するんだな、と感じます。閑話休題


イベントの大ラス、フレデリカの台詞から会場中での自由惑星同盟国歌の合唱、すなわち8巻最後の「八月の新政府」の再現は、思っていた以上に震えました!色んな年代の人たちが集まってましたが、銀英伝好きで作ったこの一体感はすごかった……。

 

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そしてイベントが終わってふと物思い。ワシにとって、旧アニメ版はこのイベントで一区切りついたな、ということ。2017年から始まる予定という新アニメ版は、旧作を引きずらずに、全然違う演出でもキャラデザでも良いしCGでも3Dでも良いので、銀英伝の新しい世界を見てみたいな、と。


なにせ、それでも揺るがない原作小説があるんですから!

12年ぶりの911メモリアル

2003年9月。ワシは初めてのニューヨーク(NYC)に行きました。当地(と言っても近くのデラウェア州)に留学していた友人を訪ね、その友人に連れていってもらったのですが、もう一つ明確な理由がありました。

2001年の911同時多発テロから2年。その現地を見てみたい。

再度のテロ予告もまことしやかに流れていたころ。友人や家族からは渡航そのものに反対もされましたが、当時、既にIT会社勤めをしてましたがまだジャーナリストへの憧れも持っていた26歳、世界を変えた事件の現場を、その空気を感じたい、そんな思いを持って、会社の休みを合わせてNYCに向かったのでした。

その時感じたことは、当時やっていた「自称ニュース系テキストサイト」(のページの9月19日付け)に書いておりますが、セレモニーを見て、現地を歩きながら「アメリカに対する同情、次に怒り、そして憐憫の情」を感じていた模様。青臭いテキストでお恥ずかしながら、まぁ考え的には今もそんなに変わらないかも。

そんでまぁ、この5月に「#北米大陸ぼっち横断」なる企画旅を行い、カナダ・バンクーバーからNYCまでを横断しました。NYCに来るのも12年ぶり。横断中は独り旅でしたが、NYCでは、12年前は留学で来ていましたが今はブロードウェイで音響仕事をしている友人と今回も落ち合い、一緒に遊ぶことに。

BWで芝居を見て、タイムズスクエアを巡り、セントラルパークを歩き、ゴスペルを聴き、ブルックリンブリッジを渡り、そして今回もやってきた「911メモリアル」(グラウンド・ゼロとも呼ばれますが、個人的にその呼称が好きでないので、こちらの呼び方で)。

NYCの高層建物群の中から、パッと開けたようなその場所に一歩踏み入れた時、横に広がる教会の柵を見て、12年前の記憶がくっきりと甦ってきました。

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上の写真の左手の柵、ここは12年前の追悼式典で、次の写真のように、消防士や警察官などを称えるポスターが貼られていたのです。

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連鎖的に次々と甦るその時の光景。 

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追悼式前日、近くのビルの通路から現場を見ることが出来たのですが、まだ瓦礫を搬出する作業をしていたようです。

 

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追悼式典当日(2003年9月11日)の現地。

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悼む人々。通路は報道陣と遺族の専用通路でした。

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犠牲者の名前が書かれたプレートと、献花、そして痛切なメッセージ。

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各国の報道陣の中継車が列をなします。ちょうど見かけたNHKさん。

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夜。WTCツインタワーのあった箇所から発せられた蒼い二本の光が、NYCの空に吸い込まれていっていました。

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深夜まで絶えない祈り。


それから12年、911当日ではありませんが、こんなに変わっていました。

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ツインタワーのあったところは、ビルと同じ大きさの追悼モニュメントが置かれ、犠牲者の名前が刻まれています。

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911メモリアルのミュージアムには、当時の遺構などがそのまま残ります。

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そして、落成間近だった新WTCビル。


12年という月日、事件から数えれば14年が経ちますが、瓦礫の下だった光景をかくも近代的に塗り替えました。新しいWTCビルは、ワシの行ったGWのちょっと後、5月15日から稼働を開始し、31日からは展望台にも入れるようになったようです。


干支が一回りするだけの時間を経て、ある種の節目の時期にここを訪れたことは、ワシの中の歴史への記憶の上塗りとなりました。またいずれここを訪れることがあるかもしれませんが、その時ワシは、アメリカは、世界はどうなっているんでしょうね。この地に経つと、個人レベルのことが世界のことに繋がっていくような、そんな不思議を感じる場所です。


余談ですが。2001年から書いているように、ワシは世界からテロを無くす最も有効な手段は、世界中の人々が毎日三食満足に食えるような富の再分配を行うことだと考えています(参考テキスト。さらに青臭くて顔からファイヤーボルトですな)。これの実現は不可能ではないと思っているんですけど、自分にそれだけの力も意思もないのがはがゆい。

にわかニューヨーカー(北米大陸ぼっち横断7)

目を覚ましてみれば見慣れない部屋。そういえば、友人の家に世話になっているのでした。昨夜到着し、明朝出発するニューヨーク、丸一日いる今日5月10日(旅の7日目)は、実は朝時点でもノープランで、まぁ友人と一緒に、テキトーにブラブラ、案内もしてもらいつつ楽しもうとふんわり考えながら支度します。あ、晩飯を食う予定のウルフギャング・ステーキハウスだけはネット予約しておきましょうか。

ぼやぼやしてたら10時近く。取りあえず散歩しながらブランチでも行こうかー、と、友人宅を出てハドソン川の方まで歩きつつ、地下鉄乗りつつ、W83th通りの「Cafe lalo」に入ります。インターナショナル・ブレックファストと称して、20近い国をイメージした朝食が食べられる店のようです。ワシは「French"Kiss"」を所望。そういえば「Japan」はなかったな。フレンチキッシュはめっちゃ美味しかったですが、サラダが欧米あるあるなざっくりした味。

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こざっぱりしたこちらのカフェ、席に配されたナプキンなんかも可愛らしいですが、なんでも映画「ユー・ガット・メール」で、トム・ハンクスメグ・ライアンが邂逅するシーンのロケ地だとか。ワシも20年近く前に見た記憶のある映画ですが、店の前に飾られた映画のシーンの写真をみれば、あー、なるほど!と思い出しました。

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そのまま歩いてセントラルパークへ。途中、ちょうどやっていた日曜市なんかで、意外に面白いアート作品なんかも冷やかしながら園内に入れば、初夏の鮮やかな緑と花々が美しさを競い、そこかしこに小動物も見え隠れします。ここに来るのも12年ぶり2度目ですが、ホント、ふっと目をあげてビルを目にしなければ、大都市の中にあることを忘れます。

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昨夜も来たタイムズ・スクエアに移動してふらふら散歩。エンパイアステートビルは以前も昇ったしなぁ、とスルーし、鉄の習性でグランド・セントラル駅を見学し、本好きの習性でニューヨーク公立図書館を見学。図書館は重厚で、まさに知の集積場、と言われて納得の雰囲気です。そして、ランチを兼ねて「BBキング・ブルース・クラブ&グリル」へ入店。

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<ニューヨーク公立図書館外観>

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<図書館内>

こちら、偉大なるブルースシンガーの名を冠したライブハウスで、普段は様々なアーティストが歌うらしいのですが、日曜の昼は、ゴスペルブランチと言って、ビュッフェを楽しみながらゴスペルも楽しめるイベントをやっているのだとか。前回NYCに来た時は、ブルー・ノートでジャズを楽しんだので、今回は趣向を変えてみました。意外に美味しい(でも味の変化は乏しい)ビュッフェを食べていると、ライブスタート!

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恐らく歌っている人は上手いアマチュアレベル、PAレベルも高くはないですが、場の雰囲気は最高に楽しいものでした。オーディエンスも巻き込んでのパフォーマンス、ゴスペルはもちろんAORまで含めたスタンダードナンバーが歌われ、そんな中でもトリで歌ったファレル・ウィリアムス「Happy」はやはり盛り上がる!シンプルな曲故の、エバーグリーンな感じでしょうか。老若男女に多人種、みんなで「Happyyyy!」の大合唱したのには、ちょっぴり目から汁。

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<店内の模様>

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<パフォーマンスの模様。ステージ上にはお客さんも多数登る>



音楽も堪能し、ロウアーマンハッタンに向かいます。と、友人がブルックリン橋渡ってみる?と言うので、そういえば言ったこと無いし歩いて渡れるなら行ってみたい!と向かいます。公園を散策して橋を渡り始めますが、結構きちんと整備されていて、観光客のみならず、多くのニューヨーカーも散歩したり自転車で渡ったりしていました。遮るもののない橋上、イーストリバー越しに見るNYCの町並みも美しいですが、強い日差しに汗だくになります。

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橋を渡り終えて、コンビニで水を求めながら、ふらふら歩いた先はワールドトレードセンター跡地、そう、9/11メモリアルとも、グラウンド・ゼロとも呼ばれている、あの場所です。


ワシが12年前にNYCに来たのは、ちょうど9月11日にあわせて来ていました。あの事件の衝撃がまだ冷めやらず、2年後のメモリアルデイでもテロ予告などがある中、わざわざそこに合わせたのは、自分なりに大きな衝撃でありながらもやもやして消化しきれなかった同時多発テロ、それを受けたアメリカのリアルを少しでも知りたかった、という衝動でした。


その頃は、まだ瓦礫の撤去作業も終わらず、追悼式典と、その前後で跡地に祈りを捧げる遺族たちの姿を見て、様々な衝撃を受けています。その時に感じたことは、当時やっていた自称ニュース系サイト(ブログ以前!)に書いているので、ご興味の方はこちらの9月19日付のテキストでもご覧いただければ幸い。


さて、12年ぶりにあのエリアに足を踏み入れてみれば、おお、全然変わっている!当然瓦礫はなくなり、新しい建築物が幾つも建ち並びます。でも……ああ、このフェンスは変わっていない。12年前は、警察や消防を称える献花が飾られていた小さな教会らしき建物のフェンスを見て、自分の立っている位置を確認しました。

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<この左手のフェンスに見覚えあり>

そして、かつては瓦礫の山だったところに足を踏み入れれば、そこには、旧WTCビルの大きさに合わせて作られた追悼モニュメント。犠牲者の名前が書かれた石版に囲まれて水が流れています。もちろん、ツインタワーにあわせて二棟。その向こうには、その姿はさっきから何度もNYCのあちこちから目にしていましたが、偉容を誇る新しいWTCビル。なんでも、一般開放はこの月末(2015年5月末)からとのことで、展望台を含む棟内に入れなかったのが残念。

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<追悼モニュメント>

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<新しいWTCビル>

遺構も活かして作られた「9/11トリビュートセンター」を見学。あの日の記録や、ねじ曲げられた建物の部品、飛行機の音声記録など、あらゆるものを集めて展示しています。センターの一部には、元々WTCだったが崩れた箇所がそのまま残されていて、様々に衝撃を受けながら、1時間くらいで見て回るつもりが閉館まで2時間近くたっぷり見学してしまいました。

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<トリビュートセンター内にある、ノースタワーの残骸。当時のままの場所、状態で建物内に取り込まれている>

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<消防車の残骸>

この、9/11メモリアル周辺で感じたことは、当日はホント、言葉に出来ることもないほどで、いろんな衝動を受けてしまっていたので、いずれ改めて、2003年前との比較も、もちろん2001年に思ったことも踏まえて、改めてまとめたテキストにしたい所存。



時間は夕暮れ時。さらに歩いてハドソン川沿いのバッテリー・パークへ。夕暮れに沈む川向こうのジャージーシティとか、ミッドタウン方面とかを眺めながらふらふらします。NYCは、歩いてて楽しい都市だな、と思います。公園の多さや随所に設けられた施設、ビューポイントが、ほどよい距離感で隣接し、住んでるなら休日なら歩き続けているだけでも楽しめるであろう街。

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ハドソン川沿いにジャージーシティ。雲の厚みがむしろ綺麗>

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<バッテリ・パークの向こうに見え隠れするエンパイヤステートビル>

とはいえ、すっかり日が暮れて、そろそろお腹も運動の対価を求めてくるころ。てことで向かったのは、朝方ネット予約をしていた「ウルフギャング・ステーキハウス」の、パーク・アベニュー沿いにあるお店。昨年日本に進出してきたステーキハウスで、ワシも何度か行っていますが、どうやらここが1号店らしく、言わば、肉の聖地巡礼


ほの暗い店の雰囲気ながら、けっして堅苦しくはなく、そこそこ小綺麗ならTシャツで入っても大丈夫な感じ。旅の初日に続いて最終日も生牡蠣を前菜にして、メインの名物ポーターハウスは1人あたり49ドルで、やはり日本よりは安価(日本は1人7500円)。味付けや焼き加減はやはり日米の違い(というか店の違いの個性?)をちょっと感じますが、こちらのポーターハウスは、プライムリブの部分が美味しすぎて感動レベル。

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<生牡蠣!>

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<肉!>

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<ワイン!>

当日はSNSにポストしませんでしたが、近くの卓にいた日本人グループが、恐らくお笑いタレントさんとアイドルグループさんで、もしかしたらNYCでの、何かの撮影の合間にいらしていたのかもしれません。閑話休題

ナパバレーのワインも一本空けて、すっかり満足して今度は肉食の対価に、もうちょっと散歩。34th通りのデパート「メイシーズ」はとっくに閉店していましたが、ここは映画「34丁目の奇跡」の舞台でもあり、あの作品のファンとしてはやはりちょっとした聖地巡礼(って、12年前も来てますが)。

最後は適当な場所から地下鉄に乗って、もう一泊を世話になる友人宅へリターン。やー、ぐるぐる歩いたし、よく回った!ニューヨーカーの暮らしを知りませんが、あちこち歩いてふらふら宛があったりなかったりで回っていると、自分もにわかにそのひとりになった気がして、楽しい一日でした。



旅の帰国日、5月11日。飛行機が9時台出発なので、そこそこ早い時間に友人宅を退去。実は彼は、ちょうど一週間後に一時帰国をする予定で、この辺の日程のかぶりはたまたまなのですが、近い未来の再会を約束して、アメリカらしく握手でお別れ。地下鉄に乗って、JFK国際空港を目指します。

意外に空港はガラガラで、その分開いている窓口も少ないので手続き系はそこそこ時間がかかりますが、まぁとはいえ帰りも一応、マイルで取ったビジネスクラスバックパッカーなのでここまであまり見てこなかった土産物屋をやっと見て、最低限だけ買って、あとはラウンジで朝シャン(朝からシャンパン)です。JALは、JFKではエールフランスのラウンジを共同で使っているらしく、食べ物は質素でしたがワインの充実っぷりがさすが。

乗ったJALの機材は787で、ビジネスのシートはJAL SKY SUITEなる最新のもので、これが超快適!ほぼ個室で、フルフラットというか完全に横になれるベッドが作れて、モニターも大きく映画も見応えがあり、ホスピタリティも良く、飯も美味い。飛行機のシートの概念が変わりますね……まぁ、普段はビジネス乗らないけど。

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<広々シート>

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<帰りは洋食。ご飯が炊き立てで供されるのが嬉しいし、美味しい。他にも好きな時間にいくら丼が食べられたり、食と酒が充実すぎ>

JFK空港に着いたころは、結構な旅の疲れを感じて、これが加齢か……とちょっとガッカリしていましたが、帰りのシートですっかり疲れも抜けたふうで、12日の昼に成田に着くころにはいっそ元気になっていました。



ということで、当初はマイルが余りすぎて、取りあえずビジネスクラス往復が取れたから、ってところから始まり、途中は本当に直前や行ってから考える行き当たりばったり。それでもほぼ一週間を掛けて、カナダ・バンクーバーから、鉄道とバスと飛行機を乗り継ぎニューヨークへ、いろんなツッコミを受けながらも一応自分的には「北米大陸横断」をやったと言い切りたい旅を行ってきました。

途中、楽しい出会いや嬉しい再会もありましたが、ほとんどの行程は独り旅(ぼっち旅)。独り旅ゆえの身軽さ、大変さもありつつ、相変わらずのトラブルにも巻き込まれて、今回も、忘れられない旅になりました。

さて、今度はどこに行こうかな。(と書いている今日これから、一日で日本縦断の旅のために北海道に向かうのですが。笑)

ナイアガラの国境越え(徒歩)(北米大陸ぼっち横断6)

カーテンを閉め切っているとはいえ、半モーテルの1階の部屋。すぐ外にはナイアガラの滝へ下る道。遮光カーテンの隙間から差し込む微かな光に、車両や人々の賑やかな声が聞こえてゆっくりと目を覚ますと……やばい、寝過ぎた!


5月9日。旅の6日目は慌ただしさからスタートです。





寝過ぎた、と言っても実は9時ちょっと前。この旅中、次の日の予定を立てるためとかでショートスリープ&朝4時起きがデフォになっていたので出遅れた感はありますが、そもそもその早起きの疲れが溜まっていたのかもしれません。13時過ぎにナイアガラフォールズを出るシャトルバスに乗ることは決まっているので、さて4時間ほどでなにから優先的に行こうかな……。


バックパックはホテルに預けて、軽い荷物でてくてくと歩いたのは、もちろん前夜に引き続いて滝方面。でも今日は、滝の側に行く途中にあるスカイロンタワーに立ち寄りです。昨夜も思いましたが、ナイアガラの滝は大きすぎて全容が中々見えない。遊覧ヘリにでも乗ろうかなぁ、とぼんやり考えていましたが、寝過ごしたおかげで乗り場までの移動とかを考えるとちょっとなぁ……(高いし)、ってことで、ここは素直にタワーに登ることに。がこんがこん言いながらエレベーターは展望台に到着し、さて如何ほどの景色かな……。

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<アメリカ滝>

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<カナダ滝>

わお、雄大!


や、実は前夜滝を見た時に、暗かったせいもあってか「やー、確かにでかいけど、でかい白糸の滝って感じじゃないの?」なんて思ってたんですがごめんなさい(白糸の滝も好きですが!)。上空から見るとその雄大さというか壮大さというか巨大さというか、とかく修飾語に「大」を入れたくなる気分です。

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<アメリカ滝、カナダ滝を両方入れようとすると28mm広角でも間に合わない>

滝自体もさることながら、その水が流れてくるナイアガラ川の上流は、たっぷりの水量をゆっくりと運んできます。目線を反対側に移せば、そこに広がるカナダの大地も雄大。160mのタワーからは遙か彼方の地平線までを見渡せます。

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タワーを降りて、滝に近づきます。今日も近づくほどにすごい音圧。特にカナダ滝の方は、霧雨のような水煙が歩道まで漂ってきて、歩いているだけで全身がじんわり濡れてひんやりします。ビューポイントのテーブル・ロックからは滝の上部、流れ落ちるそのポイントが見えますが、その迫力もさることながら、強化ガラスのような深い水色が印象的です。

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<カナダ滝に近づいていきます>

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<この深い水色に5分くらい見惚れていました>

ここまで来たら裏側からも見たいよね、ってことで、滝を下&裏から見えるジャーニー・ビハインド・ザ・フォールズへ。もらったポンチョを着て、エレベーターで降りて掘られた岩盤の中の道を辿っていくと、滝を真横にしたバルコニーで……これまたど迫力だな。

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<下から>

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<裏から>

見えるもののすごさのワリに、語彙の貧弱さが嫌になりますが、他に何を言えば良いのか分からない、数十メートルの先にある圧倒的な自然の力を感じます。





地上に戻ってまだ11時前。これなら間に合うかな、と、徒歩でアメリカに越境することにします。そう、ここはカナダ・アメリカの国境。ナイアガラ川に掛かるレインボー橋を渡れば、そこはアメリカです。やはり、あまり歩いての国境越えという経験がないものですから、ナイアガラの滝を別角度から見る楽しみも込みで行ってみましょう。


ちなみに、以前徒歩で国境を越えたのは、出張で行ったシンガポール。空き日が出来たので、同僚達とマレーシアに歩いて越境してみました。ネット情報では「歩ける」と書いてあり、実際シンガポール側のイミグレーションオフィスには徒歩用の通路もあったのですが、実際に行ってみると歩道が整備されているワケでもなく、車道の端をとぼとぼ歩く程度。マレーシア側のイミグレスタッフには「物好きもいたもんだ」って感じで笑われてしまった思い出です。閑話休題


カナダ側から渡るには50セント必要なレインボー橋、そのほぼ中間のINTERNATIONAL BOUNDARY LINEと書かれたところで記念撮影。そしてアメリカ側に渡ると当然あるのがイミグレーションオフィス。意外にも手荷物検査はされませんでしたが、お決まりのやり取りをしてさくっとアメリカ入国。やー、何がってワケじゃないですが、国境のない国に住んでるとこういう経験も楽しいものです。

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<国境を股に掛ける男>

アメリカ滝の近くの展望台に行ってみると、何かチケットが必要な模様?よく分からないまま並んで、わお、20ドルもするのか、と払って入ってみましたが、これ、確かに滝の見やすい展望台に入れて、且つ船で滝壺まで行けるツアーのチケットだった模様。近くには無料展望台もあったのですが、ちょっと時間に焦ってよく分からないままに動いてしまいました。


で、時間に焦り始めているくせに、せっかく買ったのだから、予定はしていなかったけどその「霧の乙女号」に乗って滝壺に行ってみることに。と、乗り場に降りていきますが……あれ、3分前まであったチケットが見つからないよ?と、たっぷり10分近くも荷物をひっくり返して、見つからないし時間も無いし、諦めて戻るか……と言う時に見つかるのが法則。ポンチョを受け取って、いざ乗船。


これは……痛快!乗って良かった!離岸した船はゆっくりアメリカ滝の近くを通り過ぎ、ここもそれなりの迫力ですが、やはりすごいのはカナダ滝の下。まだ100mは先にあろうに、叩きつけられて舞い上がる水しぶきが全身を濡らします。滝壺まで来たら、手を滑らせそうなケータイを取り出すのはもう無理で、なんとかデジカメで何枚か撮影をしつつ、すぐに滝を眺め水を浴びる体験にシフト。カッパの下までずぶ濡れですが、もー、気持ちいい!

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<アメリカ滝を真横から>

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<カナダ滝を真っ正面から。もうこの段階でカメラ操作は困難>

船はアメリカ側に着岸。迎えのシャトルまでの時間がかなり逼迫しているので、そのまますたすたとレインボー橋へ。アメリカ側から渡る時はお金は必要無いようです。カナダ側ではまたイミグレーションオフィス。少し並んでいるのでまた焦りつつ、抜ければ小走りでナイアガラフォールズの繁華街を駆け抜けます。滝の水と汗でぐしゃぐしゃになりながらホテルに到着。荷物を受け取って数分後に、迎えのシャトルバスが来ました。危なかった!





ナイアガラフォールズからニューヨークまでのルートはいろいろ悩みまして、シンプル且つ日本人にはまだ馴染みのある、トロント空港に戻って飛行機でとかも考えたのですが、どうやらナイアガラのアメリカ側にバッファロー国際空港ってのがあって、そこ行きのシャトルが手配できそう、ってことで、来た道を戻るよりは先に行った方が楽しかろう、ってことで、自分的にはちょっとしたアドベンチャー気分です。


そして、てっきりナイアガラフォールズ、さっき歩いて渡ったレインボー橋からアメリカに行くのかな、と思ったら、シャトルはカナダ側をずんずん南下。あれ、もしかして乗り間違えた……?と不安になりドライバーに聞いてみますが、どうやらバッファローの街にもナイアガラ川を渡る橋があり、そこで国境越えをするようです。

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大きな橋を渡り、シャトルは一時停止。パスポートをドライバーに預け、やってきたイミグレスタッフに見せています。ワシの他はカナダ人の老夫婦がひと組。てっきりすぐに通過できるのかな、と思いきや、シャトルは駐車場に連れて行かれ我々も降ろされ、広いイミグレオフィスに通されます。名前の呼び出しを待ってカウンターへ。よくある問答を続けますが、ここでちょっとイレギュラー。


アメリカでの滞在先を聞かれ、今回ニューヨークでは友人の家に泊まる予定だったので、その住所を捜し出すのに一悶着。やー、たまたま前日に、住所もらっておいて良かった。もうひとつは、パスポートの出入国記録を見て「あれ、あなたさっきもアメリカ入ってない?」とのことで、ナイアガラでの観光でちょっとだけ入ってカナダに帰ったんだよー、ということをアピール。事なきを得ましたが、英語に話せないワシにはちょっとしたハプニング。


イミグレオフィスを出て、シャトルはバッファローの街中へ。老夫婦はどこぞのホテルで下車して、バッファロー国際空港まで行ったのはワシ独り。空港は、日本の地方の空港に比べれば遙かに大きいのですが、北米で言えばすごく小さい部類でしょう。とはいえ、改修されたてなのかかなり新しく、セキュリティゲートの先にはお店も充実しています。


寝過ごしてから観光しっぱなしだったので、今日の一食目はやっとこの空港でターキーのパニーニ。軽食ながら美味しかったのですが、ポテトの代わりにポテトチップスを付けてくれるセンスはどうなのかと。だったら無しで良いから!ともあれ人心地ついて、旅の終点も見えてきて、一安心です。しかし、前日朝のバンフは氷点下だったのに、バッファローは31度ってどういうこと?(暑い……)


さて、マイルで取れたデルタ航空に乗って、いざ、ニューヨーク!





ニューヨークに来るのは、12年ぶり2回目。飛行機を降りたJFK国際空港は相変わらず巨大で、どんなに歩いても出口に辿り着きません。と言っている間に乗り継ぐエアトレインの駅について……あれ、何か足りなくない?


そう、入国審査をしていないのでした。さっきバッファローでやってからの国内線移動なので当たり前ですが、なんか感覚ってのはおかしなもので、ついついイミグレがあるものだとばっかり。ともあれ、これで一応、距離のほとんどを飛行機で詰めてますが、北米大陸横断しました!と言っておきたい!

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<デザインの気に入った、エアトレインのロゴ(シートに書かれた線路と飛行機の)>

エアトレインと地下鉄の接続駅で友人と合流。年に一度、彼が日本に一時帰国するたびに会ってはいるのですが、それでも久しぶりの再会を喜びます。とはいえのんびりしている時間もなく、地下鉄に乗って目指すはブロードウェイ。


そう、この友人は大学芸術学部の同期(彼は放送学科、ワシは文芸学科)なのですが、サウンドエンジニアの勉強をしており、この度、ブロードウェイ・ミュージカル「gigi」のアシスタント・サウンド・デザイナーを担当し、プレイビルにも名前が載っているのです。すごい!


学部柄もあり、作家や芸能界、エンタメ業界で活躍する同期や友人も多いですが、ブロードウェイで活躍する人が出てくるとは在学中は思わなかった。ワシが何をしたわけでもありませんが、なんとなく誇りを持った気分です。




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上映されている「Neil Simon Theatre」に到着。表に出ているスタッフとも気軽に話している友人を見て「すげーすげー」を連発するミーハーなワシ。と、彼が劇場の前に連れてってくれ、何が起こるかと思ったら……楽屋から、キャストが飛び出してきて、路上でダンス!


これ、土曜日ソワレだけのイベントで、向かいのシアターの役者とエール交換をしているのだそう。確かに、道路の向こうにもひと賑わいがありました。いやー、こういう文化ってすてきだなぁ。

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<一番手前が、主演のヴァネッサ・ハジェンズ

シアターは、1,000人以上が入る立派なもので、この日はほぼ満員。賑やかな中、幕があがります。本作「gigi」初代ブロードウェイミュージカル版はオードリー・ヘップバーンが主演で、映画版は日本でも「恋の手ほどき」というタイトルで公開され、アカデミー賞9部門も受賞、とどちらも1950年代のことですが、中々に華々しい経歴の作品。


今回はその2015年版ですが、ジャンルとしてはロマンス・コメディ。19世紀パリの上流階級を舞台にしており、シナリオの構造は舞台的というかシンプルで、とはいえ現代ではあまり共感されるようなものでは無い気もしますが、そこは音楽とダンスの素晴らしさで魅せています。英語の分からないワシでも、事前に友人から話の筋を聞いていたおかげもあって、すごく楽しく観賞しました。何より、ジジ役のヴァネッサ・ハジェンズがキュート!25歳らしいですが、10代とおぼしき役にも無理がありません。


終演後、友人の厚意でバックステージツアーに参加させてもらうことに。ブロードウェイの舞台のバックステージなんてそりゃ見たいに決まってますがな!セット、装置、オケピ、奈落と巡らせていただき、狭い空間を効率的に使い且つ最大限の効果を出すべくプロの仕事がぶつかりあっている……言葉にすると当たり前かもしれませんが、それを現場として見せられると圧巻です。


彼の仕事である、シアターで聞こえるサウンドへのこだわりを話してもらいましたが、感銘を受けることばかり。仕事の内容は違えど、お客様にどれだけ満足してもらえるか、そしてその為にはこだわりを前面に出さない「自然さ」が如何に大事かを、改めて認識します。いやはや、良い体験をしました。





バックステージから出てくれば、時刻はもう23時過ぎ。晩飯どころを捜してNYの街を彷徨います。この時間になると、酒場はまだまだこれからですが、食べられる店が少なくなっているようで、ふらふら歩いてヘルズ・キッチンとも言われているらしい9番街で開いてた、ハンバーガー屋の「Chelsea Grill」に入店。


薄暗い雰囲気の店で、独りでこの時間だと物怖じしそうですが、住んでる友人もいれば気も大きくなるもの。バドワイザーやローカルビールに、ブルーチーズ入りハンバーガーを、ブルーチーズ苦手なのに注文。これが美味かった!ベーコンやパテの肉肉しさに、ブルーチーズがむしろさっぱり感をもたらします。不思議なハーモニー!

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食後、さらに夜のタイムズスクエアまで散歩して、さすがに26時近くなったので地下鉄で彼の家に。そう、今回2泊ほど、彼がルームシェアをしている住まいに泊めてもらうのです。NYは今、えらいホテルの値段が上がっているらしく、友人がいれば泊めてもらうのは結構常態化しているとか。ワシも、宿は寝るだけの場所なので、とてもとても助かります。

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<深夜のタイムズスクエア>


そんなこんなで友人の部屋に入って、まだ酒を飲んで語らっていたらいつの間にやら寝落ち。たっぷりこってりの一日がいつの間にか幕を下ろしていました。

移動日;横断とは(北米大陸ぼっち横断5)

横断の定義って何ですかね?

ある一定の二つ以上の地点を、基準軸に対して横方向に移動すること。なんとなく言葉の定義として言うならそういうことになるでしょうか。なので、今回の旅を「北米大陸ぼっち横断」としているのは、北米大陸の西海岸沿いにあるバンクーバーから入り、東海岸沿いにあるニューヨークから出る、という行程のゆえ。

でもま、それなら、バンクーバーからニューヨークまでを飛行機でひとっ飛びしても、横断、と言えちゃうんですよね。やっぱり横断というならずっと陸路で行かなきゃ!ってツッコミも、実は旅の途中から含めて何人かにいただいておりまして、それはそれで感覚的には分かるなぁ、と首肯しつつ、でも、限られた時間で行きたい場所も選ぶとどうしても飛行機移動は盛り込まざるを得なくて……。

という、ひとしきりの言い訳をこいてからの、5月8日、旅の5日目の記録です。



今回の旅、このバンフに泊まるところまでは概ね日本で手配していました。と言っても、各宿も、カナディアンロッキー横断ツアーも、VIA鉄道の切符も、買ったのは日本出国当日でしたが。そして、もう一つ決めていたのが、9日夜にニューヨークの友達と待ち合わせてミュージカルを見ること。

すなわち、8日朝のバンフから、9日夜のニューヨークまでの旅程を決めないまま、8日を迎えてしまいました。

当初、この二日間の旅程を、SNSでアンケート出してもっとも得票の多いところに行く、という、友達参加型の旅にしようかな、と思っていたんですが、ケータイ紛失騒ぎで心の余裕を無くし、とはいえ手続きを終えてしまえば何も出来ることはないのですがやはりささやかにテンションは下がり、順当に、自分で決めることにしました。

ちなみにその考えていた選択肢はこちら。

1.やはり好きなカナダの首都には行っとかないと、ではなく、ワシに座右の銘を与えた後輩と同じ苗字の都市に聖地巡礼『オタワ』
2.カナダに来たなら行かない意味が分からない『ナイアガラフォールズ』
3.美味友さんもこないだまで留学してた!別に北米横断はアメリカ経由でも良い『シカゴ』
4.こないだ後輩が行っていて面白そうだったし、ナニゲにこっちの首都もまだ未訪だ『ワシントンD.C.

……なんとなく「水どう」っぽい選択肢になりましたが、選んだのは「2」。ある意味順当な観光ルートのナイアガラフォールズに行くことにして、前夜、ブリューイングから帰ってきてショートスリープをしてからの深夜に、ポチポチとPCで手配開始。

バンフからカルガリーへのバス、カルガリーからトロントへのエア、トロントの宿、ナイアガラからニューヨークまでのエアまでを手配。ナイアガラでのカナダ−アメリカ国境越えの交通がよく分かっていませんが、まぁなんとかなるでしょうあ。余らせていたスカイチームのマイルで、ナイアガラからNYCまでのエアが取れたのと、トロントでの宿泊にトロント大学の学生寮を見つけて4000円強で泊まれそうなのが嬉しい!

と思ってもうちょい調べていたら、どうもトロントの空港から市街に行くよりは、そのままナイアガラフォールズ周辺に行って泊まった方が効率よさそうだったので、先の安宿を諦めて(返金不可予約だった……)宿取り直し。ついでに乗り合いタクシーの予約までし終わったら、すっかり朝日が昇っておりました。



朝食付きだったのでホテルのバイキングで腹を満たし、バスの出発時刻までを散歩に当てます。バンフは、前回の日記にも書きましたが2〜3ブロックも歩けば渡りきってしまうほどの小さい街。氷点下の凜とした空気の中、朝日を浴びるその町並みは、やはりお伽話感がありますし、街の外周を流れるボウ川も美しく絵になった上、どこを向いても急峻な山の偉容が望めるのはすごいです。

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<同じ場所でも夜とは趣を異ならせる街角>

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<バンフ駅のホーム>

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<街のほとりを流れるボウ川>

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<たぶん、カトリック教会>

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<たぶん、プロテスタント教会

鉄の習性で駅の方も巡ってホテルに戻ってきたら、ちょうどピックアップ時間。バスディーポ(バスターミナル)までの送迎車の運転手が日本人の方で、フツーにいろんな話をしてしまいましたが、降りる時に(必要か不要か微妙なところですが)チップを渡し忘れてしまいました!日本人の方と日本語で話していると、ついつい意識から抜けてしまいますね、チップ……。

ブリュースターのバスは、10時ちょうどにバンフを出発。カルガリー空港までは2時間ちょっとのバス旅です。最初の30分ほどはカナディアンロッキーの山並みの端っこを走りますが、急に山が途切れたと思ったら、そこからはカナダ中部の平原地帯……ひろっ!地平線の果てまでどんだけあるのこれ!

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国道1号線。ひたすら真っ直ぐ!>

広い光景というと、やはり北海道やヨーロッパなんかも思い出しますが、なんというか、レベルが違う。バスが走っている国道1号線はひたすら真っ直ぐで、横を見ればまるでWindowsの壁紙みたいなどこまでも広がる穀倉地帯と雲と青空のコントラスト。カナディアンロッキーもそうでしたが、あまりの大きさに遠近感が狂いまくりです。

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Windowsの壁紙で見覚えがある景色>

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カルガリーの街中に入ると、ハイウェイ沿いも結構な密集地帯に>

そんな雄大な景色の中をひた走るバスは、それでも市街地住宅地も走り抜け、定刻よりやや早くカルガリー国際空港に到着。フライトまでの1時間ちょっと、フードコートの中の「Manchu Wok」って店でランチ。2アイテム、ってのを頼んだつもりが、主食+2アイテムだったようで、焼きそばとオレンジチキンと野菜になりましたが、焼きそばとオレンジチキンが美味しすぎて、やはりジャンクフードすごい。余談ですが、フードコートでは「EDO」という名のBENTO屋が一番人気でした。

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<「Manchu Wok」のランチプレート>

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カルガリー国際空港内には微妙なオブジェがそこかしこ>

さてここからは、さっき手配したばかりのエアカナダで一気にトロントまで飛びます。そう、冒頭の問答が出てくるのはここ。この4日半は陸路でざっくり1000kmくらい移動してきましたが、この先2500kmを4時間で飛んでしまうのです。これは横断なのか……。

ま、いいや、深く考えないようにしよーっと。



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<離陸直後のカルガリー

てことで、13時10分発のエアカナダ128便に乗って、4時間弱のフライトでトロント到着は18時56分。時間が合わない……って、これはまた時差。アルバータ州オンタリオ州は2時間の時差があるので、ワシの5月8日は22時間で終了です。フライト中、カナダの雄大な平原と湿地帯を上空から眺めようと思ったのですが、雲が多く眺望が望めなかったため、深夜早朝の諸事手配の疲れもあって、概ねを惰眠で過ごすことに。

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トロントの住宅街。みっちり>

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トロントの、貨物駅?これまたみっちり>

着陸前に目が覚めたので、トロントの街を上空から眺めることが出来ましたが、さすがカナダ最大の都市、これまた相当な都会の町並みですなー。それでありながら、どこまでも広がる大きさも持っている、とても北米大陸らしい眺望です。

ほぼ定刻に、トロント・ピアソン国際空港到着。結構広い空港を若干迷いながら出口に進み、ナイアガラ・エアバスという乗り合いシャトルの乗車場所を捜します。やはり少し迷いましたがなんとか到着、こちらも窓口のおばさまがたまたま日系人で、手続き&予約変更はスムーズにしてもらいました。ただ、乗車時刻は予定より30分くらい遅れる模様。この辺は、順繰りに乗せているのでしょうか。

20時過ぎ、ワシの乗るシャトルが来たので乗車。ナイアガラフォールズエリアまでは1時間半くらいと聞いていたので、なんとかギリギリ間に合うかな……。

というのも、少し前にたまたま見かけたのですが、ナイアガラフォールズでこの日から花火が始まる、という情報を耳にして、それが22時からということで、どうせなら見たい!と、ちょっと時間に焦っていました。いやまぁ、「これがホントのナイアガラ花火wwwwブヒャwwww」ってSNSにポストしたいって気持ちもありましたけど!でも見たいじゃん!

シャトルはそこそこ順調に進み次々にお客さんを降ろしていきます。これ、乗り合いタクシーみたいなもので、空港などターミナルになるところから、宿泊しているホテルの前までとか、ドアtoドアで乗れるのが魅力。その分多少コストもかさみますが、時間を買うと思えばまぁそれなりのトレードオフ。そして、どうやらワシが最後になる模様で、二つ前の人たちが降りていきます。ここからワシの泊まるホテルまでは10分くらい。その前にもう1人を送るようですが……。

そのもう1人の行き先が個人宅で、しかもその当人も住所しか分からず、ドライバーもその住所を聞いてどこだか分からない。シャトルのオフィスに立ち寄っても分からない。その結果、住宅街の同じようなところをぐるぐると40分くらい回るのに付き合わされ、時間はとっくに22時過ぎ……。

だったら、ワシを先に送れよ!!!!

と英語で言えれば良かったのですが、なんか、怒りと悔しさと哀しさで、いつも以上に英語が出てこなくて、もうプンスカと下車。プンスカしたまま「Niagara Fireworks」でtwitter検索をしてみますが……あれ、何も出てこない?よくよく調べたら、ワシの得た情報では5月の第2金曜日からと思っていたのですが、今年はさらに翌週から開始だった模様です。おっふ、怒り損!でもまぁ、多少溜飲は下がりましたが、無駄な時間を過ごしたのは確かなので、アメリカの友人の言葉を背に、クレームは入れておきましょう。



泊まったホテルは「ベスト・ウェスタン・フォールビュー」。日本で言うところの東横インのような有名チェーンですが、半分モーテルのような感じで、名前に反してフォールはビューできませんが、繁華街の一角にあって滝沿いまでは徒歩で10分弱と、ウォーキング・トラベラーには優しい立地。ナイアガラに車以外で来る方なら、このエリアへの宿泊はオススメです。

すっかり夜も更けていますが、まだまだ町並みは明るく、どうやら滝はライトアップされている模様。滝のライトアップ?と思いながらも、折角ですから見てみようとてくてく歩き始めます。坂を下っていくと街の喧騒を次第にかき消してくるものすごい水圧の音。下っていくほどに音圧はあがり、やがてそのドドドドドという音と水しぶきに包まれます。そう、ナイアガラの滝です!

そして、微妙なライトアップがされています。

や、これは照明をあてただけ、と言うのかな……巨大な投光器からどぎついライトが協力に発せられ、それがアメリカ滝、カナダ滝、それぞれの瀑布をビビッドな色合いに染め上げます。まぁひと言で言えば、センス悪っ!とはいえそんなものでも見慣れてくるもので、写真のシャッタースピードを落としたら結構面白いものが撮れたりもして、ひとしきり夜の巨大瀑布を楽しんでからホテルに帰投。

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<滝から発光しているように見えるアメリカ滝>

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<ドレッシーな感すらあるカナダ滝。水の糸がシルクみたい>

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<投光器。の後ろにスカイロンタワー。>

そういえば晩飯を食べそびれていましたが、24時もまわりがっつり食べ飲みをする気も失せてたので、ホテル併設のコンビニでカップ麺を買って部屋で済ませます。次の日は、昼頃までナイアガラフォールズ。ヘリに乗ってみようか、そんなに時間無いかなぁ……なんてことを考えているウチに、朝の疲れが出たのか寝落ちしてしまいました。


しかし、書き出してみると、移動日のつもりのはずがそれなりに色々な出来事に巻き込まれたり巻き込んだりしていたのね。

どうあがいても、絶景(北米大陸ぼっち横断4)

やー、旅から帰ってきてからも、前の旅記からもひと月が過ぎていますが、しれっと続きを書いてみます。ちなみにタイトルは、ゲーム『SIREN』の広告コピー「どうあがいても、絶望」のパクリ。閑話休題。5月7日、旅の4日目の記録です。



ワシは、幼少のころから幾つか憧れの旅先というのがありますが、そのひとつはカナディアンロッキー。よく写真で見るあの絶景、あのエメラルドグリーンの色合いは、子供心に深く印象付きました。バンクーバーに過去3度も来ておきながら、毎度スケジュールや季節の問題で足を伸ばせなかったこの場所を、今日は1日掛けて、名所を巡りながらバンフまで縦走します。

……の前に警察署。無くしたケータイの紛失証明書をもらいます。もう一つのスマホの翻訳機能なんかを使いながら、意外にスムーズに手続きは終わり(って書類記入するだけだし)、名刺のような証明書を受け取り、退出。海外初警察が、カナディアンロッキーに抱かれた街になるとは……。

 

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山に抱かれる警察署、の看板。この右手に建物。

カナディアンロッキー縦走は、免許もないし、英語は分からんし、ここは冒険よりも安心、ってことで日本語ガイドのいる現地発着ツアーを申し込んでみました。ジャスパー駅まで迎えに来てくださったのはこちらで働く日本人のガイドさん、ワンボックスの広々とした車内には本日ご一緒する母娘さんが既に乗っておられて、いざ、バンフに向けて出発です。

ジャスパー駅を出て10分も走ればアイスフィールド・パークウェイに入り、すぐに人工物はほとんど無く、道路と、たまに出てくる看板の他は、白い雪を冠した青々しい山並みと、木々の緑。もうこの時点でどこを向いても絶景です。似たような風景でありつつも、光の加減や山の形、緑の広がり方でちょっとずつ表情を変える大自然が続き、車窓に飽きることがありません。

 

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そんな中で最初に停まったスポットは「アサバスカ滝」。アサバスカ川にある瀑布です。荒々しく削られた岩肌を急落する水は豊富で、かなりの流れの速さ。それでも、まだ雪解け途中で勢いは弱い方だとか。いきなりの迫力に、さらに先の期待が高まります。

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「熊、鹿、羊とか、いろんな動物が出てきますよ。運もありますけど」とガイドさんに言われて車窓を眺めていたら、いきなり遭遇したのがレアキャラと言われていた黒熊!冬眠明けなのか、道沿いで草を食んでいます。さらにテンションを高めながらアイスフィールド・パークウェイの中間中継地点でもあるアイスフィールドセンターに到着。ここから、二つのオプショナルツアーに出発です。

 

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センターからコロンビア大氷原方面。

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似た角度で、少しコントラストを変えて。

まずは、コロンビア大氷原の氷河まで雪上車で見学に行くツアー。センターからバスに乗り、中継地点で雪上車に乗り換え、氷河の上まで行きます。雪上車は直径150cmのタイヤが圧巻、多人数を乗せて、20度ちょっとの角度がある、乗っている方からは壁にしか見えない坂道なんかも、グリップしながら走ります。もうこの移動がアトラクション。

 

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タイヤに対抗心。

雪上車で行けるのは、氷原から流れ出す氷河の端っこ。それでも、ここに何万年もの自然が凝縮されていまでも動いているんだな、という感慨に襲われます。山の向こうに広がるコロンビア大氷原は名古屋市と同じくらいの大きさだとか。自己責任で、そっちの方までスキーで行く人もいるというのですから驚きです。我々は、とてつもなく陽光を照り返す雪と淡いスカイブルーの氷河に囲まれながら、ひとしきり自然を満喫。

 

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すごい日光の照り返しでおでこがレフ板。

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淡い水色が神秘的。

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雪と岩肌の間の水色が氷河。

センターに戻り、続けてのオプショナルはグレーシャースカイウォーク。道路沿いの崖に設置された下が透明の遊歩道で、崖下からの高さは最大280mだとか。よくこんなの作ったよな、と思いながら、その高さと景色の良さを堪能します。やー、ここまで高いと逆に怖さを感じない……ああ、やめてやめて、走ると揺れるから!

 

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岩肌から突き出すウォークウェイ。

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景色は雄大。

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高さが伝わら……ないよね。

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ワシとの比較でも伝わらない。。。

ここには、自然解説の展示もあるのですが、なんでもこのコロンビア大氷原からは大きく三つの川が流れ出していて、それらは太平洋、大西洋、北極海に流れ込む、世界でも唯一の「三つの分水嶺」なのだとか。それもまた、すごい話だ……。センターに帰るバスの中からは、ビッグホーンシープの群れが見えて、ドライバーが停まってくれたり中々粋。

 

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センターに戻り、中のカフェでランチ。自分で食べたい食品を取ったりオーダーして、飲み物などを取って会計するスタイルで、ワシは「モンゴリアンプレート」なるものを所望。羊肉ということもなく、プルコギっぽい味。ビールは氷原の名前が書かれていて、仕込み水に使われているのかな、とお察し。

 

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アイスフィールドセンターを出発。ここまではジャスパー国立公園でしたが、ここからはバンフ国立公園と、所属が変わる模様。そして心なしか、景色も変わってきました。ガイドさんが「この先は面白い山が色々出てきますからね、好きな山を見つけてください」と言うので、「じゃあ推し山捜しですね」と返したら、ちょっと車中で流行って嬉しかったです。

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バトルシップ・マウンテン。戦艦に見えるかしら。


最初に停まったビューポイントで見えた「バトルシップ・マウンテン」。稜線が戦艦のようなので付いた名前らしいですが、ワシの推し山はいきなりのコイツに決まりました。岩肌から雪解け水が染み出すという「すすり泣く崖」を車窓に見つつ、ビューポイントの名前は忘れましたが視界270度くらいが雄大な山々という、カナディアンロッキーの実力見たり!という場所にも寄って、もうこの時点で、良い意味で絶景のインフレ。

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またも黒熊。

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すすり泣く崖。今日はあんまり泣いてない。

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何気ない車窓でこれ。

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約270度絶景、左。

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約270度絶景、中央。

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約270度絶景、右。


さらに進みまして、時期的にまだ入場できなかったベイトー湖は残念でしたが、雪解けの始まったボウ湖、ヘクター湖には立ち寄り。完全なエメラルド色の湖が見られなかったのは残念ですが、湖上に雪原の広がるこの凜とした雰囲気もすてきです。これはまた、夏秋に来るしかないフラグ!

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ボウ湖の鏡面のような水面。

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ボウ湖に反射する、手ですくえそうな太陽。

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川部分が雪解けするヘクター湖。

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急速に春に向かって氷が縮んでいく。


クロウフット氷河なども見ながら、車はレイク・ルイーズへ。湖畔のホテルに宿泊されるという同行の母娘さんとはここでお別れ。とはいえ、道中旅の話で盛り上がり、特に娘さんがかなりけったいな場所へ旅をしていたこともあり、後日、お互いの勤務地に近い銀座界隈で、旅好き友達を集めて再会して旅話に花を咲かせたりもしましたが、それはまた別のお話。

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ルイーズ湖。ここもまだ、雪解け中。

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ルイーズ湖の水面に浮かんでいるかのような石。光彩雲の影響かしら。

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♪静かな湖畔の森の影から↓

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↓羽の蒼く光る鳥が鳴く♪


ルイーズ湖をちょっと見学し、ガイドさんとワシだけになった車はバンフへ。途中、その山景が城のようだというキャッスル山に立ち寄りながら、小一時間でバンフの中心街へ。と言っても、2ブロックもあればほとんど巡れてしまう町並みなので、ホテルに行く前に街中を案内して貰いながら、晩飯どころを相談します。

 

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キャッスルマウンテン。



美味しそうなお店を幾つか教えてもらったのですが……ある店の前を通りながら「ここは、バッファローの肉が食べられるんですよ」と言われて全部ぶっ飛びました。そんな面白肉、食わなければ肉の妖精の名が廃る!てことで、ホテルで一休みし、日本語対応の土産屋で少し買い物をして(と言ってもバックパッカーなので荷物は増やさない程度)、いざ、実食。

店名は「バイソン」。そのまんまです。バッファロー肉料理の種類は多くありませんでしたが、ショートリブステーキを所望。ほほーうこれは……濃い!味濃い!

 

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馴染みのある料理で一番近いのは、牛スジの赤ワイン煮でしょうか。牛の赤身と牛スジとコンビーフを合わせたような食感。そして、濃いソースのおかげかそんなに臭みは感じないのですが、濃いソースのおかげで体内の何かが飽和していくような感覚に襲われ、ちょっとドキドキ(胸焼け)しちゃいました。とはいえ、骨の周りの部分とかはかなり絶品だったし、ネタ的にもこれを食べられたのは嬉しい!あまり見かけないブリティッシュコロンビア州のワインがあったのも嬉しかったし美味しかったです。

街案内をしていただいた時、今回ブリューイング巡りが楽しいです、って言っちゃったものだから、ガイドさんがバンフにもありますよ、と教えてくれた「バンフAve.ブリューイング」でさらに一献。ここでも6種飲み比べセットをいただきます。全体的に味濃いめ苦めな印象でしたが、今日イチはバンフ・アースクエイク・ダブル・IPA。アルコール度数も高くガツンと殴られるようなインパクトで美味い!

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0時近くまで飲んでしまい、この日も疲労と若干の酩酊の中、宿泊の「バンフ・ターミガン・イン」へフラフラ歩いて帰ります。このホテル、山小屋のような雰囲気を残しつつ結構大きなホテルで、ワシの部屋も独りなのに広々。窓からもカナディアンロッキーの山並みが見えて、高すぎない割に快適なホテルでした。

 

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夕方、と言ってももう20時過ぎのバンフの中心街。

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ホテルの部屋。

 

 

ちなみに、この日のツアーの模様が、ほぼ即日、ツアー会社さんのブログに載ってました。この会社、Explorer Canada HolidaysさんとガイドのSさんは、とてもフレキシブルに対応いただき、大満足のツアーになりました。

カナダちょっと横断鉄道(北米大陸ぼっち横断3)

結局旅中は、行程を優先して2回目で終わっていたリアルタイム旅記。まぁそれはそうだわな。2日目夜から3日目、5月5日から6日に掛けての旅記です。



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ワシがトラブルに遭おうとも、もちろん列車は関係なしに線路を進んでいきます。前回も書きましたが、バンクーバーからトロントを結ぶ北米大陸横断鉄道のひとつ、VIA鉄道「カナディアン号」。やー、やっぱり「大陸横断鉄道」ってロマンを感じますよねぇ。そして、まぁぶっちゃけこれに乗って終点まで行けば、この旅のサブタイトル「北米大陸ぼっち横断」は達成できそうな気がしますが、まぁ幾ら鉄道旅好きのワシとはいえ、鉄道だけで旅をしていてはいろいろ巡れないもの。今回も、ジャスパーまでの19時間のみの乗車です。ちょっと横断。

てことで、日本出発直前に手配した、最も安いエコノミークラス(コンフォートクラス)に乗車。ベッド付きではなく、リクライニング座席のみの車両で、席も自由に座って良い模様です。そして、前後の席間は広く、車両幅が広いので席幅もあり、リクライニングもかなりの角度になるので、3列席の夜行バスよりよっぽど過ごしやすいです。まだトップシーズンでは無いからか、乗車率も3割程度で快適。

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やー、以前ローマからシチリア島まで、2等車の夜行列車に乗ったことあるんですが、これが向かい合わせリクライニング無し6人席コンパートメントで自由席(日本の鉄道で言うボックスシート)、というかなりの剛の者向け車両。まぁ日本円で5,000円くらいだったので然もありなんです。ちなみに今回のVIA鉄道は、日本円で約15,000円。まぁ20時間の移動付き宿付き鉄道旅と考えれば高くはない。

バンクーバーのパシフィック・セントラル・ステーションを出たのが20時半。まだ外は明るいですが遅からず外は暗くなっていきます。ワシはトラブル……とある落とし物をしてしまったのでそれを探しつつですが見つからず、ちょっとした絶望感の中で座席にて煩悶として過ごします。気晴らしに、天井までもガラス張りになっているハイデッカーの「スカイラインカー」に行こうと思いますが、どうやら夜は閉鎖されていて入れない模様。若干不貞寝模様にて入眠。

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寝やすい、と言っても鉄道の旅。ちょいちょい目を覚ましつつですが、いつの間にか列車は早朝のカムループスに到着。明るくなり、車窓を楽しめるようになってくるのですが既に中々の景色。迫り来る山の緑、白い岩肌、雨のおかげか水量多く流れの速い川、天候こそ曇りがちなので少し灰色のコントラストが強いですが、楽しいものです。

 

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前夜買ったパンをかじりつつ、スカイラインカーに付いている軽食&ドリンク販売所で軽く食べ足そうと思いきや、スタッフのお兄さん曰く、朝食食べるんだったら食堂車でも出してるよ、とのこと。ほう、それはそれは……体験するしか無い。や、元々このカナディアン号、ベット席のお客さんは食事も全部付いていて食堂車で食べる、というのは聞いていたのですが、どうやらエコノミーのお客さんも、食堂車の席に余裕があれば入って頼めるようです。

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この列車は20両以上の編成ですが、食堂車だけで3両あるようです。それでも席は相席。同じ席の女史2人から話しかけられてしどろもどろでしたが、どうやら彼女たちはカナダ人のツーリストで東側出身。ワシと話す時以外はフランス語でした。ブレックファーストは全品12C$で、シェフの気まぐれオムレツ、的なものを所望。味のほどはまぁ普通でしたが、やはりこの動く食堂、という雰囲気が良いですね。

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満腹して後は、開けた視界が心地良いスカイラインカーで、概ねの時間を過ごします。鉄道は徐々にカナディアンロッキーと呼ばれる地域の中へ。周りの山の標高もあがり、これまで木々の緑や土肌の出ていたところが、雪を被った白さと崖の青さが際立ってきます。天気も、まだ曇りがちですが時たま晴れ間も見えるようになり、鮮やかな色合いの変化を見せます。

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列車は時たま、貨物列車とすれ違います。基本的に線路は単線ですが、随所随所に待避線があってそこで行き先交換。そして、話しには聞いていましたが、この貨物列車が長い!一度すれ違い始めたら5分くらい続きます。戯れに、一度車両数を数えてみたのですが、なんと166両。1両15mとしても約2.5km!

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左を走っているのが貨物列車




カナディアンロッキー、と言われるエリアに入ってきたのは昼ごろ。冠雪した急峻な山々が目立ってきます。裾野には森が広く拡がりさっきまでの車窓とは明らかに変わって、さらにスカイラインカーから後ろを振り返ってみれば列車もやたらめったら長いものですから、すべてのスケール感が狂い始めます。窓ガラスの向こうなので分かりませんが、空気も心なしか冷たく張り詰めてきたような。たまに列車は速度を落として、ピラミッド滝などの車窓を見せてくれます。

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カナディアンロッキー

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ピラミッド滝

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ルパン三世とか007とかアクション始めそうなながーい列車の屋根

そして15時過ぎ……いや、ブリティッシュコロンビア州からアルバータ州に入って1時間の時差ができましたので、現地時間の16時、列車は数分遅れてジャスパー駅に到着。ここで、エコノミーカーのお客さんもだいたい降りるようです。やはり、カナディアンロッキー観光拠点のこの街までの利用が多いのでしょう。ワシは、失せ物を探して1時間半の停車時間を探しまくりましたが見つからず。失意のウチに列車を降ります。や、車窓と鉄道旅は楽しかったのですが、ね。

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ジャスパー駅

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ジャスパーの駅前

宿に行く前に、紛失届を出そうと警察に行ってみるも、16時で窓口が閉まっていたので翌日朝に行くしかなく、またも失意。まぁ、凹んで解決するものでもないので、気を取り直してこの日の宿、「トンキン・イン」に向かいます。駅からは15分ほどの距離で、予約時点で比較的安いところを選んだら、なんとモーテルでした。いやまぁ、設備などに不備があるわけでも居心地が悪いワケでも無いので良いのですが。


このホテルを選んだもう一つの理由が、同じ敷地内のレストランでアルバータ牛のプライムリブが食えるから、というものだったのですが、このレストランがまさかの休業中。やむなく、駅前の小さいダウンタウンまで歩いて、もう肉脳になっていたので、「サムシング・エルス・ステーキハウス」という名前に惹かれてふらふらと入店します。


ファミリー向けのお店なのか、中々に賑やかな店内。お一人さまで通されて、ビールとアルバータ牛のステーキ(リブアイ)をミディアムレアで頼みます。赤身が美味しいというアルバータ牛(ジャスパーのある州名ブランド牛)、少し焼きすぎ感はありますが、確かに赤身が美味い!脂身も甘くて良い!満足!

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野菜は若干手抜き感ありましたが、まぁそれはこっちではよくあること。スチームライスは肉汁が染み込んでいって、案外肉にあって美味かったです。そしてビールは、カナダローカルの中から、名前に覚えがないので選んだアレクサンダー・ケイス。ほんのりフルーティーで、でもホップの味もする、ちょっとおもろい品でした。

肉充をして、さてもう一杯、とガイドブックを見てみれば、ここにも「ジャスパー・ブリューイング」という地ビールバーがあるようです。店の前までいったら、山の中を指して「Bears」店の中を指して「Beers」と書かれた看板があり、もうなんか駄洒落に一気に惚れ込んで入店。日本人など誰もいない店内でひとり、6種類の飲み比べセットをいただきます。

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氷河の溶水を使ったというビールたちは、ライムが入ってたりバニラが入ってたりと、結構フレーバーにクセのある味が特徴かな、という感。そして驚いたのはスコッチエール。ビールもウイスキーも好きだけど、これ知らない!使っているのは、キャラメルフレーバーとローストしたライ麦で、なるほどウイスキーの味がする、これは美味い!

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そんなに量があったようにも思いませんが、そこそこ酩酊して宿まで……20分も氷点下近い街中を歩いて帰ったら、すっかり酔いも冷めました。翌朝の警察署訪問にヘビーマインドになりながら、いろいろPCを叩いているウチに寝落ち。でも翌日は3時くらいに目が覚めて、まだ決めてないその先の行程を調べたりしているウチに、夜が明けてました。