コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

津軽→下北

昨日、5月4日の旅記。


目覚めれば7時半。これでめでたく青森の経県値が「観光」から「宿泊」に一点あがり、日本地図の赤さがひとつ増しました(参照:5/2の日記)。書きかけの旅記の続きを書いて、ホテルの朝食バイキングをいただいて、10時少し前に出発。この日は同行の友人とは別行動で、彼は8時には宿を出ていたらしいですが……ワシは、10時に駅前を出るバスに乗る計画。


が、いざバス停に着いてみると、乗ろうとしていた10時発「弘前市りんご公園」行きのバスが無い。サイトには1時間毎で載っていたのに何故か2時間毎……。ということで、いきなり計画を変更して、まずは前夜も行った弘前城跡(弘前公園)。街巡りの周遊バスもえらい混雑です。


前夜と同じルートで公園散策をしますが、当たり前ですがまた違った赴き。どかっ晴れの下、葉桜も、満開の枝垂れ桜もくっきりとした色づきを見せます。夜は無料で入れた本丸周辺に券を買って入りますが、資料館にもなっている本丸はえらい人が並んでいて断念。その分を散策にあてます。で、ここからの岩木山の眺めがまた絶景。前夜は夜闇深くて気づきませんでした。


そのまま「北の廓」へ、さらに屋台の群れの中をりんごアイスかじりながら抜けて、弘前のねぷたを展示している「津軽潘ねぷた村」でも見学しよう……と思ったら、ちょうどさっき諦めたりんご公園行きのバスが来るふうだったので、そちらに乗って公園へ。


こちらはりんごのテーマパークということで、園内にりんごの樹が群生しつつ、遊戯場とかもあります。りんごは花を付ける直前らしく、まだまだつぼみのものばかりでしたが、数本、白い花を美しく咲かせていました。また、ここからも見える岩木山がまた絶景。りんごの樹々の先に雄大な姿を見せます。どうやら市民の憩いの公園、という感じでそれなりの人出でしたが、この景色を見ながら遊べるのは贅沢だなぁ、とか感じてみたり。


一通り散歩して、りんごの家なるビジターセンターでレストランを覗いてみれば、リンゴカレー、はともかく、リンゴとんかつにリンゴラーメンといったチャレンジングなメニューに惹かれて、時間的にもちょうど良かったので昼食を摂ることに。ラーメンが気になりつつ、前夜もラーメンを食っていたので結局頼んだのはリンゴカツカレー。ちなみにリンゴラーメンは実験メニューらしく、席に感想を書くアンケートが置かれていました。


さてリンゴカツカレー。ルーのリンゴが入っているのはまぁ美味しそうなお話しですが、カツにもリンゴ……? と疑問を抱きながら「アップルラガー」という、これまたリンゴ入りの地ビール的なものを引っ掛けます。これは、ビールとリンゴのカクテル的な甘い味わいのお酒。何故かこの辺ではなく八戸産でしたが。そんな中出てきたカレーに乗ったカツには……あ、リンゴがざくっと入ってる。


結局、チーズカツ的な要領で、肉とリンゴを重ねて衣につけて揚げていました。そりゃそーか。で、味は……あ、意外にいける。カレーの魔力もあるかもしれませんが、歯ごたえも含めて結構美味しくいただけました。デザートにリンゴのブリュレをいただいて、リンゴづくしのランチ終了。


帰りのバスは当分こないので、歩きながら市街地へ向かいます。20分ほど歩くと、道の左右に合わせて20近い寺の並ぶ「禅林街」に付きます。でも、メイン寺院は工事中で、道もフツーの道路だったんであまり情緒を感じず。でも、きっと寺スキーなら楽しめる、かな?


時間も時間だったんで、禅林街を抜けた所にちょうど来ていたバスに乗り込んで駅へ。津軽半島のここ弘前から、青森を経て下北半島へ向かいます。青森までの鈍行は意外なくらいに(というとアレですが)混んでまして立ちっぱ。青森で友人と合流して、ここからは特急「スーパー白鳥22号」で野辺地へ。かつて白鳥の名を冠する特急といえば、昼間特急最長距離を誇っていたものですが(大阪−青森)今はまた変わりましたねぇ。


野辺地で30分ほど待って、快速「しもきた」で大湊線に入ります。乗換時間に、駅前のコンビニで売っていた「恐山ビール」を購入。味はイマイチでしたが、フォントが恐ろしい文字系で笑えます。


陸奥湾を車窓に見ながら、宿に行くバスが発車する下北駅……を通り過ぎて終点大湊駅へ。えぇ、大湊線を完乗したかったんです。戻りの列車に乗ってたら終バスに間に合いませんが、ここからタクシーで、バスも止まるむつバスターミナルに向かえばギリギリ間に合うはず! ……果たして間に合いまして、無事宿の方へ向かう路線バスに乗れました。


今夜の宿は下風呂温泉、という聞き慣れない温泉街。とはいえ歴史は古く、室町時代からの温泉所だったとか。本州で三番目に北にある温泉でもあります。泊まった宿は北明館(ちなみに隣は井上靖が「海峡」を執筆したことで有名な長谷旅館)。有名なところでは無いですが、あちこちの個人サイトを見るに、お喋り好きの名物女将がいるようで、宿の暖簾をくぐれば実際にいました! 今年80歳とのことですが、まったくそうは見えない元気っぷり。一日一組しかお客を取らないそうです。


取りあえず飯までの間街を……といっても小さい街ですが、散策します。大間まで延伸予定だった鉄道の未成線部分を利用した足湯や、烏賊釣り漁船の揺れる港、その近くの公園、と街を一周しても30分くらいですが、その途中、先に戻っていた友人から電話があり「部屋が変わる」とのこと。Why?


宿に戻って聞いてみたら、

・ワシらの予約を5月5日取らない間違えていた。
・ワシらを5月4日のお客と勘違いしていた。
・鉢合わせしてウマー。

というナイストリプルプレイ! 結局一日一組しか客を取らないのが幸いして、空いてる部屋で調整したようです。ついでに飛び込みのお客さんも取って、なんと一日三組のおおわらわ。


で、飯が遅れるっぽかったので、ワシは今一度外に出て公衆浴場の「大湯」へ。ここの洗い場が、床は板張りというか木材張りで、周囲に向かって斜めに傾けることで排水溝に流すという面白い作り。や、その斜めっぷりがものすごく斜めなんです。浴槽はその斜め床の頂点に埋まっていて「あつめ」「ぬるめ」とありますが、ワシにはぬるめでも十分に温かかったです。地元の中学生達の他愛ない風呂端トークが面白かった。リポビタンDを飲んだことがあるか無いかで自慢話になってるの。


後で入った宿のお湯もそうでしたが、ここの源泉は硫黄臭が強めですね。というか、バスから街に降りた時から硫黄が匂っていましたが。


さて宿に戻ればちょうどの夕食。恐縮しながらも悪びれない女将ですが、まぁこれはこれで個性と思えば面白いです。そしてこの宿の……というか、下風呂の民宿のもうひとつの個性が飯。とにかく食いきれないくらいの魚介類が出てくるんです!


カレイか何かの焼きに、大きいアワビがふたつ、イカは刺身と焼き物で出てきて、名物マグロも着いてきます。さらに蟹の半身とサザエっぽい貝が三つ……8500円の民宿で出てくる量じゃありません。で、味の方は、洗練されているというには程遠いですが、どれも新鮮だな、というのは伝わってきます。ただ、量が多いが故に飽きが来てしまうのも確か。贅沢な悩みなのは重々承知ですが、ちょっと残念なところです。


酒も持ち込み自由なんで、ビールと日本酒を近所の酒屋で買ってきて飲み飲み。日本酒は、「まさかり」というこの辺りの限定酒だとか。名前の由来は下北半島の形でしょうね。


何かとハプニング続きの一日でしたが、なんだかんだと満足もして、23時過ぎには就寝。


●写真
・一枚目:りんご公園からの岩木山。下にあるのは林檎の樹。
・二枚目:リンゴカツカレーとリンゴラガー。リンゴづくし。
・三枚目:北明館の夕食。これにグレープフルーツが付いてきた。……ちょっぴり残しました、サーセン。