コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

バリの緑は濃い模様〜バリ旅道中膝栗毛1

二年半前、「次の飲み会はバリで!」と約束をした仲間たちの、まさかの実現に始まったインドネシアはバリの旅。結局、その時にいた10人ほどのメンバーのウチ、実際に行けることになったのは3人ほど。それに現地の1名を足した合計4名。男女2対2の恋模様……が始まるワケないのは周知の事実。色気よりも食い気が本性、いざ、トゥルース・ラパール!


Picasa
http://picasaweb.google.co.jp/tomosaku.n/tEjhKG#


【9/3】
勤務先的に夏休み初日。この日16時に成田を発つJALのフライトが、ワシの乗る便。もちろん前日までにパッキングなどしておりませんから、まずは朝起きてせこせこと荷物を詰め詰め。自分の荷物はいつものでかいリュックサックひとつにまとめるのですが、今回はお土産に分担されたキャットフードで手提げカバンがもう一個。まぁすべて、機内持ち込みにしてしまうのですが。


なんとか午前中にパッキングも終わったんで、床屋&通う神社に安全祈願のお参りに行って、一旦帰宅&荷物をピックアップして、空港へ。最近、京成電鉄はスカイライナーが船橋駅に停まるようになったんで、(市内の僻地に住むとはいえ)船橋市民的にはなんとなく、成田が近くなった感覚。


今回、マイレージでの航空券なんで、空港には比較的ゆっくり来たつもりですが、それでも、買い物して遅めの昼飯を食ってついでに昼ビールを飲んで、いつの間にやら搭乗時間。思えば、海外に行くのは約3年ぶり、観光目的で行くのは約6年ぶり?なんとなく、成田空港での時間の使い方を忘れ気味です。


バリ島・デンパサールの「ングラ・ライ空港」までは、約7時間半のフライト。映画は、「天使と悪魔」だけ見ましたが、後はバリの観光本や文化本を読んでの基礎知識入れ。特に、今回は初のアジア圏(除く香港)ってことで、いろいろと知っておきたいことが満載です。睡眠は、時差が1時間しかないので、特に調整の必要も感じずに取らず。


さて、現地時間の22時半ころ無事にデンパサールに着きまして、ここで、事前に「チェックインバリ」というサイトで申し込んでいた「空港入国VIPサービス」ってので、係の人が待っていたんですが、イミグレに並ばずに入国手続きができるはずが、確かに一部は優先的だったんですが、結局イミグレは普通に並ぶことになり、かなり残念。まぁ、くそ重たい荷物を持って貰ったんで、ポーター代わりってことで……納得はできん。


空港を出て、迎えに来ているはずの、一日先に来ている同級生とバリ在住の後輩を捜します……が、人が多い上、暗さに目が慣れずに見つかりません。ぐるっと見回して、あ、同級生っぽいヤツがいる……とそっちに歩き始めたら、後ろの方から「ビキニさまー!」と声がかかって、聞き覚えのある声に振り返ったらその二人がいました。ワシが、同級生と思って近寄ろうとしていたのは、現地の空港係員だった模様。ていうか、「ビキニさま」と呼びかけられて振り返るワシって、何?


再会を一通り喜ぶ前に気付かなかったことと、ビキニさまと呼ばれて気付いたことを散々詰られながら、迎えの車へ。ドライバーは在住後輩の手配で、友人でもあるらしいプトゥくん。日本語がぺらぺらで頼もしいです。他にも数ヶ国語を喋れるようですげーなー、と感心しきり。


機内食をばっちり食いながらも小腹の空いたワシのために、マクドナルドに寄ってもらうことに。こっちでは「マックドゥ」と略すらしい。なんか、ご飯ものがあったのでそれとチキンのセットを頼んでみました。バリはヒンドゥー教なので、基本的に牛を食さないとか。


夜のバリをひた走ること一時間。思ったよりも空が明るい気がするのは、赤道に近いからでしょうか?(関係ない) 暗い窓の外は、なんとなく沖縄を彷彿とさせますが、それは南の島だからという共通点だけでも無い気がします。なんとなく。そして、ウブドの街の郊外にある「トランブランコテージ」というのが今夜の宿。


といっても、もう24時くらいですので、基本的にはコテージタイプの部屋に入って寝るだけ。在住後輩は家に戻り、ワシと同級生が残ります。コテージは綺麗ですが、中にアリやらが歩いているのはまぁご愛敬。しかし周囲に何もないので、耳が痛いほどの静寂の中ながら、蛙や鈴虫的な鳴き声が止みません。そんな中、マックドゥを食すワシ。米はいわゆるタイ米で、バーガーのように固められてますがおにぎりってワケでも無いですね。飛行機で移動しただけのワシはそんなに疲れもありませんでしたが、翌日以降に備えて低めのテンションで就寝。


トランブランコテージ
http://homepage3.nifty.com/terangbulancottages/





【9/4】
朝は鳥のさえずりに鶏の嬌声。時計を見れば8時半。日本との時差があるのに、ほぼいつもと同じ時間に起きている自分の体内時計に首を傾げます。ぬぼーっとしていると、朝の散歩に出ていた同級生が戻ってきたので、朝食を取りにフロント兼食堂へ。ここも吹き抜けていて、前夜には気付かなかったコテージ周辺のライスフィールド(田んぼ)が美しく見渡せます。



トランブランコテージの中庭


見渡せるライスフィールド


このトランブランコテージは、オーナーの奥さんが日本人ということで(後ほど、出発までの間にご挨拶もさせていただきました)、スタッフのバリ人も基本的にはカタコトながら日本語が話せて、メニューも日本語が書かれています。ワシはミーゴレン、同級生はナシゴレンを頼めば、中々の味に結構な舌鼓。一緒に付いてくるトロピカルなフルーツがまた美味。


そんな中、バイクに乗って在住後輩が参上。さて今日はどうしようか会議をしている中、ワシはフラリと散歩に出かけます。この辺、バリの風土に早くも感化されつつ、そういえばこういう気楽な仲間なんだよなー、とも実感。ライスフィールドは、一畝毎に守り神が飾られお供えがされていて、この国の人たちの信仰の深さを感じます。



田んぼにある飾り。


30分ほどで戻ってきて、歩いてきた薬売りの苦いドリンクなんかを飲みながら、まぁまずは今日から三日間の宿に移動して飯でも食おうと、コテージの人に送ってもらいます。これからの三日間は「テガル・サリ」という、中規模のホテル。ウブドの街の南方ですが、繁華街からもほど近い場所です。


部屋がまだ清掃中ということで(昼前だから当然か)、荷物だけを置いてホテルの送迎でウブドの市場まで送ってもらいます。ここらでようやく、あー、海外に来たなー、という感慨と、あー、これがバリか、という驚きに包まれます。


まずは何と言っても、バイクの数が多い!車も多いですが、バイクの数がすごい。みんな、メットも無かったり下手したら免許も無かったりだそうで、これぞ本当に「生活の足」なんだろうな、と実感。そして、バリ人はみんな痩せ型で身体が引き締まってる。出発前、現地人に間違われたらどうしようと思ってましたが、その心配はなさそうです。


そして何より、人々にエネルギーを感じます。それは、良くも悪くもではあるんですが、陽気で、笑顔で、気さくで、気楽で、おおらか。その印象は、最初から持っていましたが、旅が続くにつれて深くなっていきます。


アジア様式というか、バリ様式なのか、建物を興味深く見ながら街中を歩きます。カフェ・ロータスというところに寄って、カフェには入らず蓮の池と寺院の入口を眺めたり、すっかりしそびれてた両替をやったりして、そのうちメインストリートからは外れて、田んぼの中を通る小道へ。街から少し離れただけなのに、喧噪はなくなり目の前には青々とした苗が広がります。


細い道をたっぷり30分近くを歩きますが、その間、バイクと行き違ったり、目的の店から戻ってきたらしい人たちとすれ違います。あるいは鎌を持った女性が立っていて驚いたりもしましたが、在住後輩曰く椰子を取って飲ませてくれる人らしく、頼むと側の椰子の木を登って実を取ってきて、鎌で開けて観光客に渡すのだとか。元手ゼロ、身ひとつの、ある意味面白い商売。


ようやく見えてきた田んぼの中にポツンと立っているお店、というか吹き抜け屋根付きの建物が、サリ・オーガニックという農園直営のカフェ「ワルン・ボダッ・マリアー」。その名の通り、オーガニックな食材で作った料理を出してくれ、特に欧米人に人気のようです。お店は、欧米人と、たまに日本人。座敷にクッションが置いてある席に付けば、柵(窓じゃないです)の向こうは一面のライスフィールド。



田んぼを眺める席


そんな素晴らしい景色を見ながら、バリの地ビール「STORM BEER」で乾杯。青い大地を駈けてきた風を浴びながらの昼ビールは最高!豆腐の天ぷらサラダ、というのを前菜にしまして、まさに豆腐だったんですが、それにかかっていたピーナッツソースが絶品過ぎて驚きました。メインに、ワシはチキンのカレーソース。これも、なかなか。


ほろ酔いで田んぼの中の細い道を戻り、再び街中へ。玩具屋なんかを冷やかしながら向かった先はウブドの市場。地元の人の生活の場でもあり、ツーリストにとって土産物屋でもあり、そしてボッてボラれての価格交渉を楽しむ場でもあります。取りあえずは、家人から頼まれていた唐細工の店を紹介してもらい、紹介故か良心的な価格でお買い上げ。



猥雑な市場


市場には長居はせずに、繁華街、ハノマン通りにあります、在住後輩のやっているお店&自宅にお邪魔することに。先に在住後輩が行っているとのことで、途中、同級生と若干道に迷ったりもしましたが、まぁ無事にお店に着きまして、「ayayu」という入浴剤のお店なんですが、まぁこれがちゃんとしていて、お店はこざっぱりとしていて、商品も綺麗だし、感心してしまいました。


そのまま家、というか住んでいるロスメンにもお邪魔して、飼っている猫とひとしきり遊んだりした後、ホテルに帰還。掃除も終わって案内された部屋が……プライベートプール付きのヴィラ、しかも最近できたばかりらしく超綺麗で、地元民手配すげー、と再びの感動です。



プライベートプール!


取りあえずのお約束、意味もなくプールに入って楽しんだ後、夕暮れも暮れきった頃に、「アルマ」というミュージアムなどがあるところで開かれる、「満月のケチャ」を見に行きます。そう、この日は満月。満月と新月は、バリの人にとっては神聖な日であり、このようにお祭りが開かれます。


入場料は1000円ほどと、この国にしては比較的お高いですが、宵闇の中始まったケチャは、ものすごい熱気をはらんでいました……踊り的な意味でも、実際にも。


手に手にたいまつを持った、上半身裸のむくつけき男達が、座してリズムを取りながら、ケチャケチャ言いつつ天を仰ぎます。周辺は少年達がグルグル回り、幼い守り神ふう。そのうちリズムの盛り上がりと共に人々がくっつき離れ、さらには舞台上に火が広がって、さらにさらには火の玉を素足で蹴り合って、パッと見災害じゃねーのこれ、というレベルです。



火の玉が飛び交う。


でもそんなうち、東を向いたステージの後ろから満月が昇ってきて、これはきっとそう計算されているんでしょうけど一種の幻想的な雰囲気に包まれます。舞台上では、どうやら悪属性のものが倒されたらしく、リズムも徐々に静かになって、最後、僧侶が出てきて踊っていた人々を清めて終幕。



舞台の後ろに満月


躍動感溢れるケチャを堪能しました……が、主役的なおじさんが、たぶんモジャモジャの髭と髪だったせいだと思うんですけど、途中からラーメンズ片桐仁さんに見えてきて、客席に降りて客を巻き込んだときも、ラーメンズが客弄りをしているように見えてきて(実際は彼ら客弄りやりませんけど)、なんともひとりだけ妙な感想を持ってしまったことは内緒。


さて、ここで最後のひとり、この日の夕方デンパサールについた後輩が合流。4人で、ホテルの送迎車を使って向かった先は、ウブドの北側にある食堂「ワルン マンガ マドゥー」。地元でも人気の安い食堂らしいですが、後日調べたらぐるなびにページがあって吹いた。


全員合流の乾杯を、ビンタンというインドネシアのビールで乾杯し、それぞれに料理を注文。ワシは、チキンステーキとライスと、またチキンかよ、ってとこですが、牛がないので必然的にチキンになるワナ。スタンダードなメニューっぽいですが、甘い醤油をかけて食べるとかなりの美味。付け合わせのポテトも、シナっとしているワリには美味しくいただけました。


食事の後は、満月のこの日、バリの人々は寺院でお祈りをする日らしく、在住後輩に教えてもらいながらワシらもやってみることに。先ほどのワルン(食堂)からほど近い、「ダラム・プリ寺院」というところに向かいます。


寺院の入口には、やはりお祈りに来た人たちでしょうか、賑やかになっているんですが、一歩寺院に入るとそこは静謐の空間。月明かりの中を祈祷場へと進み、花と、線香と、聖水と、米を使ったお祈りを、教わりながら一式。神主(心得見習)でもあります故か、空間の持つ神聖な雰囲気を存分に吸い込みながらの体験でした。



満月を浴びる寺院


その後、寺院の近くの屋台で「マルタバ」というお好み焼きみたいなものを所望し(これがまた美味かった!)、ホテルに戻って部屋飲みタイム。先ほどの神聖さはどこへやら、煩悩解放をした我々は、酒をあけ、ツマミを食い、改めて再会を祝して懐かしい話に暮れていく次第でございます。


途中、さすがに深夜の涼しい風の中、無理してプールに浮かんで見たんですが、一通りいじられた後ふと空を見上げたら、満月が煌々と夜空を照らし、むしろ蒼空と表したいほどの明るさ。照り返す雲も白く輝き、昼の空の濃度を上げて明度を下げたかのような美しい空。この国は、緑も濃い、街の色彩も濃い、そして、夜空までもが濃い。


天頂を独占した月の灯りに、実質初日からの濃い一日を感謝してみました。


Tegal Sari(テガル・サリ)
http://www.tegalsari-ubud.com/enhanced/index.php
Warung Bodag Maliah(ワルン・ボダッ・マリアー)
http://bali.navi.com/spot/goods_article.php?category_id=03&goods_seq=51
ayayu
http://blog.tabista.jp/ichiba/2007/07/post_154.html
Arma Museum
http://www.armamuseum.com/
Warung Mangga Madu(ワルン マンガ マドゥー)
http://r.gnavi.co.jp/indonesia/jp/id00119/