コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

城と庭、別嬪さんに、うっかりさん

今回の旅の目的は明確で、岡山県と鳥取県に泊まる、ということ。ワシの生涯“経県値”で、「訪問」になっている県のうちその二つを「宿泊」に格上げするのです。


●出発前のワシの生涯経県値
http://keiken.uub.jp/km.cgi?MAP=44444444444544444444444434444434344444444444444&NAM=%83g%83%82%83T%83N&CAT=%90%B6%8AU%8Co%8C%A7%92l


てことで、二泊分の時間が取れそうだったので、黄色かった(訪問だった)隣り合う二県を連続して制覇してしまうか!と飛行機のチケットを取ったのが出発前日。宿は当日手配。行く県だけが決まっている、これも奇妙な旅に行ってまいりました。





【9/21】
この日は夕方まで用事があったので夜の岡山便を押さえておりました。で、何故か帰りは伊丹からの便を押さえていたのですが、よくよく考えたら、帰りが伊丹なら行きは鳥取とか山陰方面まで行った方が効率的だったんですね。山陰に降り立ち、その日は鳥取県に泊まり、中国地方を岡山に南下して、新幹線で大阪入り。それに気付いたのは、岡山に入ってからでしたが……。


それはさておき、JALのクラスJが前日でも奇跡的に取れたので、そちらで岡山入り。シャトルバスで市内に入ったころにはもう21時半。この日は宿に行くだけで良かったんですが、ついでだったのでこの辺の国盗りで取り損ねていた場所を取りに、わざわざJR瀬戸大橋線に乗って妹尾という駅まで往復。もうこの辺は諦めてください(何)。


岡山に戻って、取っていた宿は「岡山シティホテル桑田町」。なんの変哲もないビジネスホテルですが(中は小綺麗で中々居心地は良かったです)、ここに泊まれば目的の50%は達成されるという罠。で、夜ご飯でも食べようとホテルの近所をぶらついたんですが、ここは、というお店がどこもいっぱいか、閉店間際で嫌われまくり。余り遠出をする気にもならなかったんで、結局ホテル隣のパン屋でパン買って、カップメンとビールで晩飯。ものすごい敗北感。


で、ノーアイデアだったこの先の予定を立て始めます。その中で、冒頭にあったような、先に山陰に行けば良かったとか、今回国盗りはオマケ程度に考えていたんですがいざ計画を立て始めると出来るだけ取りたい欲が出てきたりとか、出来るだけ乗ったことのない線に乗りたいなとか……結局、朝の5時半くらいまでこねくり回して就寝。翌朝7時半起き目標ですが、こういう時はたいてい起きられなくていきなり計画が狂うのが、トモサククオリティ。





【9/22】
ところがどっこい、7時半起床。自分で自分に感動しました。しかい、何故かバリ旅日記書いてたら時間がなくなってしまい、朝飯も食わずにタクシーで岡山城へ。


ところで前夜から気付いていたんですが、今回、カメラは持ってきていたのに中のメモリを忘れるという大うっかり。なので、カメラ内蔵のメモリと、ケータイカメラで撮影をすることにします。買ってもよかったんですが、コンビニでSDカードが見つからなくて……。


岡山城は、ワリと近年再築されら城で、黒塗りの外観が美しいです。とはいえ、やはり新しいが故に趣は半減。それでも、中の展示は意外に面白く、関ヶ原前後の戦国時代に翻弄された小早川家の物語なんかは、結構興味深く見られました。


岡山城
http://www.city.okayama.jp/kankou/midokoro/shisetsu/okayamajo/index.html


天守閣から、月見橋越しに後楽園


月見橋を渡って、隣にある庭園「後楽園」へ。これでワシは、金沢「兼六園」、水戸「偕楽園」とあわせ、日本三大庭園といわれる箇所を制覇しました!


が、ここ後楽園は、三大庭園の中では一番地味目な感じ。それなりに趣向と贅を凝らしていて、散歩するにも気持ちは良いんですが、イマイチ目玉になるものが無い。いわば華がない。唯一、「流店」といわれる、建物の中に水路を通して石を配した、もてなしようの建物が面白かったです。



流点。建物の真ん中に水路。


公園内の茶屋で、ママカリ寿司と吉備団子を所望。軽めの朝飯と言った感じです。ほうじ茶が付いているのですが、サービスなのかおかわり用に鉄急須を出してくれて、なかなか心地よい食事になりました。さらに散策していたら、公園内で結婚式を行っているカップルを発見。ここで結婚式、って目立つわ豪奢っぽいわ、すごいなぁ。。。



庭園の模様

ママカリ寿司など。

岡山後楽園
http://www.okayama-korakuen.jp/


再びタクシーで駅へ。どうにもギリギリ時間での行動ばかり。次の目的地は……何故か島根県・安来市。や、宿泊は鳥取ですが、真矢に教えてもらって思い出した、前々から行きたかった足立美術館がちょうど良いところにあったので。で、移動は、乗ったことのない「吉備線」に岡山から乗って、総社で「伯備線」の「特急やくも」に乗り換え。伯備線は以前サンライズ出雲に乗って走破したことがありますが、川沿いを走る中々に車窓も楽しいローカル線で、車内で買った駅弁を食べてうつらうつらしながら移動。


一気に安来駅につきまして、ここからは美術館の無料送迎バスで20分ほど揺られて、いざ、足立美術館へ。って、行ってみたら隣に「安来節演芸館」(http://www.y-engeikan.com/)なるものがあってそちらも惹かれたのですが、結局時間が無くて行くことは適わず。


足立美術館
http://www.adachi-museum.or.jp/


さて、目的の足立美術館。ここは何がすごいって、アメリカの庭園専門誌で発表されている日本庭園ランキングで、7年連続で1位を取っているんです。庭園マニア(あ、ワシわりとそうなんです)としては前々から気になっていたんですが、今回ついに!来訪できることに。


お天気はあいにくの曇り模様から雨がぱらついていますが、美術館内から眺める庭園は……ほぅ、さすがに美s……って、あれ?ここ、庭園に出られないの?


まさかのショッキングな事実。庭に出られない。美術館内から、ガラス越し、たまに張り出しから眺めるしかできない。。。そんな!歩けない庭なんて、庭じゃない!!! と、憤りを感じてみたりもしましたが、まぁ確かに人が無造作に入っていくと、景観の維持がとてつもなく大変なのは分かるので、仕方ないのかなぁ、とも思ってみたり。


で、悔しいことに、歩けないのに、確かに庭はものすごく美しいのです。庭そのものは、ものすごく人工的に作られ、手入れされているのですが、それ故に一分の隙もない美を有し、さらに背後の山々や滝を借景して、計算されつくしたかのような美しさなのです。


小雨と薄もやにけぶるこの日の庭園も、水墨画ふうで美しかったですが、これはまた、晴れた日に再訪して、庭のそこかしこに点在する木々が鮮やかに照り返されて輝いているであろうさまを見たい。そこまで思わされる箇所でした。





庭園あれこれ。


そして、足立美術館は庭だけ見ていれば良い。そう思っていた時期が、ワシにもありました。


ぶっちゃけ庭以外の知識はないまま来たんですが、思えばここは「美術館」。創始者足立全康氏の、類い希なるコレクションの数々が堪能できます。展示品をみつつ、最初は無軌道で成金趣味的なのかな、と感じていましたが、そのうち「これらがひとところで見られるって、ものすごい贅沢なんじゃ?」と思い直します。それほど、素晴らしい作品が大量にあるのです!


工芸品もさることながら、やはり圧巻は日本画。企画展として幾つか開かれていましたが、画家の言葉とともに作品が飾られた「画談−日本画家のことばと作品−」は、普段絵しか見ない画家の、言語化された気持ちが読めました。また、日本画の特徴、墨を基調とした水墨画と岩絵具などの顔料を用いた彩色画の、近しいテーマで書かれたものを並べて比較する「くらべてみよう!墨と色」は、表現手法というものの豊かさを感じます。


そんな中で特に目を惹いたのが竹内栖鳳(せいほう)。ワシはたいてい、絵を見てから作者名、題名を見るんですが、「あ、この絵良い色だな」と思うとたいていこの人。とにかく、顔料で出すのが難しいと言われる青と緑がすごく綺麗なんです。作名で特に気に入ったのは、「魚肥山果熟」「瀑布」「長江盛夏」。他の人だと、山本春挙の「奥山の春図」がよかった。


そしてこの美術館の真価とも言える「横山大観名品選」。や、実は絵画に疎いワシは、名前はもちろん知りつつも、始めてまとまった大観の作品群を見ましたが……や、これはすごい。本当にすごい。なんだろう、絵の世界に包み込まれる、というよりは飲み込まれる感覚。作品によるんですが、その場で立ちつくしてしまうこともしばしば。幾つも素晴らしい絵画がありましたが、特に気に入ったのは「漁火」「朝嶺、暮嶽」。後者は、なんども見直してしまった。


で、余りにガン見し過ぎてて、気付けばワリと閉館時間。でもこの美術館には、北大路魯山人の器も展示されているんです!……って、魯山人もまとまってみたのは初めてで、どれほどのものかと思ったんですが、実際見ると、これも大観に負けず劣らず、魅惑される作品群でした。特に、食器はそんなに心震わされなかったんですが(やはり食事が乗って完成なのかな?)、花器は幾つもすごいのがありました。でも、時間がないからどれも流し見。もったいないことをしました。時間配分間違えたなー。


そんなこんなで、すっかり美術品を堪能して、当初目的の庭園を忘れかけるほどでしたが、それなりに高い入館料にもまったく損をした感無く、再びシャトルバスで安来駅に戻ったのでした。


ところで、足立美術館ではやはり独り旅らしい、20代半ばくらいの女史がいて、なかなかワシ好みに別嬪さんで、まぁ気になってのはたまたま大観のあたりから見るペースが同じくらいで近しい作品に興味を持っているらしいのと、安来駅まで行程が一緒だったからですが。特に声をかけたりはしませんでしたが、安来駅外観を写真に収めていたし、もしやアレは鉄子だったのだろうか……という、この旅一人目の別嬪さん。閑話休題。


安来駅からは鈍行で、隣駅米子へ。そこから快速で鳥取まで移動します。ここで何故か、自分が新潟県は糸魚川駅にいて、直江津駅に移動するかのような錯覚に襲われます。なんとなく、駅や鉄道の感じが似ているのかなぁ……数百キロ離れているの場所への感慨に、自分の旅好きを思い知ります。


で、鳥取県。泊まったのは、駅から徒歩五分ほどの「ホテルアルファワン鳥取」。こちらもビジネスホテル。シルバーウィーク中だから当たり前かもですが、温泉とかは独りではもう行けない状態。結局今回は本当に「宿泊」だけしに来た形ですが、まぁ観光は去年来たときにしたしね。


またぞろ飯を食おうと夜の街に繰り出しますが、ホテルが繁華街に近い故か、昨夜の岡山よりもお店が多く感じます。そんな中、しかし目星を付けていたお店はやはり満席でふられ、ぷらーっと彷徨いながらみつけて入ったのが、「はちまき」という名のお寿司屋さん。


はちまき
http://r.tabelog.com/tottori/A3101/A310101/31000881/


なんでも当地で50年くらいやっているらしく、まぁそれくらい続いているなら外れはないだろう、と言う魂胆で入りましたが、うん、外れはありませんでした。最初に刺身を盛り合わせてもらいましたが、ヒラマサは歯ごたえと味があり ヒラメは淡泊な美味しさ アジのたたきは逆に脂が乗り、そして白イカは甘み際だつ一品でした。そして、醤油も甘い!この辺も甘醤油なのかなぁ……好きだから良いけど。


摘みにさらに焼き穴子(生姜タレ)でいただき、「山滴る」という日本酒をいただきながら、〆の鮨。まずはガリが甘酢ですげー美味かったのが印象的ですが、鮨の方は、珍しいネタはありませんでしたが、堅実な味でした。若干、シャリの酢の効きがイマイチでしたが、醤油の甘さでそれを補っている感じでしょうか。お会計は5000円強。値段相応の満足度です。


こういうお店の楽しさは、大将との会話にもあるかと思いますが、他にお客がいなかったので、ひとしきり、ワシが昨年も鳥取に来たことや明日ここに行くと良いというオススメの鳥取話、高速1000円に伴う恩恵や弊害といった旅話などなど、ワリとお出かけ好きの方らしくいろんな話ができました。


ホテルに戻ってからは、やはりこの日も翌日のプランニング。翌日夕方から地元で用事があるので、15時過ぎに伊丹空港に着いていなければという中途半端な時間の中、国盗りも考慮して……とやっていると、翌朝は6時半起き、7時半前の列車で出発、と導き出されましたる深夜3時。





【9/23】
しかし!時間通りに目が覚めるマジックで、よくあるワシには当日予定変更の憂き目にはあいませんでした。ホテルのバイキング朝食をいただいて支度をして、案外ギリギリに鳥取駅を出発。今日はまず、未乗線の因美線で、津山へ。


車窓はすぐに田園風景となって、既に収穫の終わった田んぼ、これから収穫されるであろう稲、どちらも黄金色の風景の中に、ところどころ真っ赤な彼岸花が咲いて、色彩のアクセントを加えています。まさに昨日見た、鮮やかな日本画のような風景。


智頭で接続列車に乗り換えてから、列車の速度ががくんと落ちます。恐らく峠を越えるためなのでしょう。案の定、峠であろう長いトンネルを抜けると下り坂、速度があがり、ああ、超えたんだなぁ、と感じます。とはいえその先も、標識は15キロや25キロ制限を表示し、雨の時はもっとゆっくりね!とも表示。カーブの急さが原因でしょうか、ともあれこの地に鉄道を通したことはよほどの困難だったんだろうな、と想像。


津山に着きまして、前夜調べていた「扇形機関車庫」「津山城」「衆楽園」をどういこうかと考えていたら、駅前の観光案内所にて「扇形機関車庫」の無料見学ツアーの受付をしておりまして、時間はかかるけどいろんな話を聞けるな、と申し込み。ちなみに、ツアーでなくても津山駅で申し込めば見学はできるそうです。


で、ここのお姉様がまた別嬪さん……と言っても、前日の洗練された別嬪さんとは違って、おぼこい感じの別嬪さん。ただし、「県内からいらっしゃったんですか?」との問いに「いえ、東京の方からです」と答えてしまったワシは、千葉県民の誇りを売ってしまいました。ごめんなさい。閑話休題その2。


さて、そもそも「扇形機関車庫」ってのは何かと言えば、機関車とかの車庫を扇形に展開している、というそのまんまの意味で、ただ見所は、扇の中心に「転車台」と呼ばれるグルグル回る車台があって、どこの車庫から出てきてもそれで回転させて本線に流し込める……要は、タワー型とかの駐車場の回転するアレみたいなもんです。


20人余で、駅員に案内されて機関車庫へ。途中、手動の信号機や過去の津山近辺を走っていた列車関連の展示室もあります。そして機関車庫。実際に転車台をまわす実演もしてくれて、初めて見たワシ的にはすげーすげーと感心しきり。思わぬ充実っぷりです。説明を聞きながら撮影をしながら……と堪能しましたが、時間が余りなかったので途中で退席。駅に戻ります。



車庫

転車台

津山扇形機関車庫(みまさか鉄道近代化遺産)
http://www.e-tsuyama.com/event/2007/11_kikansha/index.html


駅からはタクシーに乗って「衆楽園」へ。旧津山藩によって作られた、またも庭園です。全体的に小ぶりながら、意外に趣向が凝らされていたりして、池やそこに浮かべた舟、蓮の花など、なんとなく前日にいった岡山・後楽園を思わせる作りでした。


そこからは、駅に向かって歩きながら……半分走りながら、津山城へ。衆楽園側に裏門があると調べていたので、そこから入って表門に抜けようかと思っていたら……裏門、閉鎖中。城を回って表門まで着いたときには、もう見学の時間は無し。ということで、ワシの津山城の思い出は、石垣だけでした。


さらに駅に向かって早歩きながら、あれ、と気になったことが。ワシ、飛行機の「予約」はしたけど「購入」はしたっけ?というのも、JALサイトでは、前日24時までに「購入」しないと自動キャンセル扱いになって、それで今年5月に大阪来た帰りも失敗したのですが……あーーー!やっぱり購入してない!


というわけで、一気にピンチ。夕方の予定にあわせて飛行機を取っていたので、行程の見直しに迫られます。取りあえず津山駅から岡山行きの津山線快速に乗り、車中ではケータイの乗り換え案内とにらめっこ。この期に及んでも、国盗りで盗れるところはあるかしら、と考えてしまうのが悲しい性。で、なんとか岡山に着く頃には解決。よかったよかった。いや、大うっかりにも程があるけど。


や、とはいえぶっちゃけ、岡山から東京まで新幹線で直行しちゃえば、十分間に合うんですよ。でも、国盗りで未征服国の取得を盛り込んでしまった故に……岡山から新幹線で新神戸、そこから、神戸市営地下鉄新長田、JRの在来線に乗り換えて、新快速に乗り継いで新大阪、そこから再び新幹線で東京……という意味不明なことに。いや、ワシ的には意味が通ってるんですけどね。


ところでこの日はシルバーウィークの最終日。幾ら人々が高速1000円で車に流れたといっても、新幹線の指定席はやっぱり満席。たまに、ほんの一瞬キャンセルで席が出ますが、あっという間の争奪戦。とはいえ、新大阪から東京まで立ちっぱなしはさすがに……ということで、ここで苦渋の決断。唯一空いていた、喫煙席のグリーン車で帰ることに。まぁワシは、自分が煙草を飲まないだけで、周りで吸われるのはそれほど気にならないしね。


そんなこんなのアクシデントを抱えながらの帰京。無事、夜からの用事にも間に合いました、とさ。





ってことで、長々書いてきましたが、この旅を振り替えるとタイトルのわずかな文字数に凝縮されるマジック。行った箇所のウチ五箇所が城と庭、そして二人の別嬪さんに会い、二つの大うっかりをかましてしまいました。


とはいえ当初目的は完遂!これにてワシの経県値は……



http://keiken.uub.jp/km.cgi?MAP=44444444444544444444444434444444444444444444444&NAM=%83g%83%82%83T%83N&CAT=%90%B6%8AU%8Co%8C%A7%92l


残すところ、滋賀県を「宿泊」にすれば、日本中を真っ赤に!(千葉県だけはピンク)


ということで、こちらの制覇が目前に迫ってまいりましたので、年内になんとか、滋賀県に泊まりに行こうと思っております。。。