コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

二軒隣

先日、家に帰った時に、通りから家のある路地に入って何故か家の前を通り過ぎてしまったのですが、そうしたら、通りからウチの奥に二軒先の家が取り壊されていました。


そもそもあんまし家に帰らないし、帰っても寝て風呂に入って出てきちゃうので、ご近所事情とか全く気付いておらず、だから家が取り壊されていたのも全然気付いていませんでした。


……


ワシが9歳の時、小三から小四にあがる時に、今住んでいる家に引っ越してきました。同じ町内の2丁目から4丁目への引っ越しでしたが、学区が変わり、周りは知らない人だらけ。まぁそうは言っても学校ではすぐに仲良しが出来たりはしたんですが、ご近所づきあいを一からし直すのは、小さい子にはそれなりに大変な所業。


そんな頃、二軒隣のおじいちゃんが、すごく仲良くしてくれました。お子さんと一緒に住んでいて、お孫さんはいたのかいないのか、ワシの記憶にはありません。今でも覚えているのは、よく家に上げてくれて一緒にオセロをしたり、我が家が持っていなかった車に乗せてくれて(さすがに出かけたりはしませんでしたが)遊ばせてくれたり。そうそう、その車は、土足禁止なんだった。


ワシの家は、父方の祖父さん祖母さんも同居していて、そちらにももちろん可愛がって貰っていましたが、子供ながらの好奇心が、物珍しい「近所のおじいちゃん」に向いたんだと思います。


そんな二軒隣のおじいちゃんとの交流も、小学校の高学年、そして中学生と、部活などが忙しくなって行くに連れて無くなっていき、高校に行き始めてからはたまに会ったら挨拶をする、くらいのものでした。その内おじいちゃんもよぼよぼになっていき、あまり表で見なくなって、いつぞやからはボケ始めたらしい、という噂を家人から聞く程。


そしてある日聞いたおじいちゃんの訃報。


もうそれも10年くらい前のことだったと思いますが、よく覚えていません。葬儀に参加したかどうかも覚えていない。今にして思えば恩知らずも良いところです。ワシの記憶に残るおじいちゃんの姿は、小学生の記憶で止まっています。


おじいちゃんが亡くなった後も、そのお子さんがずっと住んではいたようですが、やはりワシの知らない間に引っ越してしまったんでしょう、ワシが見たのは、かつてオセロを指した家の取り壊された跡でした。





別に、鑑賞に浸るわけではないんですけど、生きていく、ってことは、こうして目に見えていた場所や出来事を、思い出の中に仕舞っていく作業なのかもしれないな、と思った日でした。