コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

No 能,No Life.

ワシ、実は「No なんちゃら,No Life.」という言い回しがあまり好きではなく、それは自分自身が多趣味……というか「打ち込める何か」を持っていないせいかもしれませんけど、この方の場合は「能」にLife、まさに人生を賭しているので相応しいかもしれません。いや、ご本人が使っているワケじゃないですし、駄洒落っぽく使っているので返って失礼かもしれませんが……。


てことで昨日は友人にお声かけいただいて、能楽師・山中ガ晶(「ガ」はしんにょうに牙)さんによる「能のある空間」にお邪魔してきました。


この会は、三鷹の小さな、せいぜい20人程度もいれれば満員の席を稽古場的な場所に作り、能の蘊蓄の講釈を聞きながら、ガ晶師による実演も見られる、というもの。


ワシ自身、古典芸能にはトンと疎く、歌舞伎も最近ようやく幾つか見た、程度の浅学さ。能も、歴史の授業的な位置付けは知っていますが、実際を見るのはこれが初めて。


や、面白かったです。


前半は、扇子や装束、能面を実際に見せてくれながら、いわば能の基本を教えてもらいます。この講釈が、ある意味講談師の話を聞いているかのように面白い。歴史や柄の意味、またオリジナルの能面なんかも見せてくれながら、分かりやすく教えてくれます。


中盤は、「船弁慶」という演目を、大阪の高校の授業の一環で演じた際の映像を見ます。高校の授業に合わせるため、本来1時間40分の演目を45分までぶった切ったそうですが(すげぇ思い切り……)、それでもハイライトというか、見せ所は残しているとのことで確かに迫力の舞台でした。


その後、映像の中で演じていた平知盛の怨霊を実演。この船弁慶のために創ったというオリジナルの「白須佐」という能面と薙刀を持っての演舞は、それはそれは稽古場とは思えない迫力でした。実際の能舞台で見るよりも間近で見られるとは、中々に得難い経験です。


会の終了後に友人のツテでご挨拶をさせていただきましたが、本当に気さくな方でした。年の頃なら40歳くらいでしょうか。こうして、一見「小難しい」と見えるものを、平易に解説してくださる方ってのは、やはり大事だな、と強く感じます。


この「能のある空間」、三鷹で隔月でやっているとのことなので、興味のあるかた、興味はあるけどとっつきにくいと思っている方なんかは、訪ねて見ると良いかもです。


写真は、一枚目は扇子。それぞれの柄に場面ごとの意味があるそうです。二枚目は装束。三枚目は能面。右下が「白須佐」。それ以外は女性の面で、それぞれ表す年齢などが違い、表情にその微妙な違いが出ているのだとか。