コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

フィレンツェ・ぼっちごっこ、オレンジに染まる古街

パケ死防止のため写真は取りあえず小さく一枚(今日の一枚は、フィレンツェ・ドゥオモ屋上から見た町並み)。簡単且つ粗いですが、リアルタイム旅記中。今日は3000文字程度に抑えたい!


イタリア旅もそろそろ中盤、9月14日の出来事。サマリーは、フィレンツェのドゥオモ登頂と、絵画よりも庭園、駅での3時間街に、小さな街のオレンジの光、です。サマリーなのに抽象的すぎるな。


朝4時起床……時差ぼけというより、旅の最中ってワリと早めにご飯食べて、そこそこ飲んで、昼の疲れもあると22時過ぎには寝てしまうので、結果、国内外ともに早起きになることが多いです。でもこれは早起きってレベルじゃねーぞ


書き物をしたり、軽く二度寝をしていたらあっという間に数時間。今日も質素なホテルブレックファーストを食べチェックアウトしそのまま宿に荷物を預け動きはじめたのはもう9時。


ホテルの隣にたまたま旅行代理店があって、行列必至と言われるフィレンツェはウッフィッツィ美術館のリザベーションを頼みます。実は前夜も来たんですが、美術館が休みで予約できず。明朝また来ます、といって今日も顔を出したら、ワシが顔を出したら「あんたが来る前に聞いてみたけどダメだったわ」とのこと。こりゃもうしょうがない。


昨夜の冷たい雨を忘れたかのように、今日のフィレンツェはいい天気。昨日とはちょっと違う道で、再びドゥオモを目指します。うん、今日はドーム(クーポラ)内に入れる。8ユーロ払って螺旋階段を昇り始めます。てっぺんのルーフまでは400段以上あるとか!でも、こういう時のワシの脚は妙に軽く、欧米人を抜きつつ上を目指します。


ここで、この日一つ目のトラップに引っ掛かります。この階段、まずは一回クーポラ内部に出ます。そこで見える天井画「最後の審判」も、これはこれで非常に見応えがあり、また階段を昇って見えた時の感慨は一塩ですが、通路は続き、またも階段を昇り、二回目のクーポラ内部、さっきより高い位置から再び天井画が見えるのですが、そっちに入る前に、階段をさらに昇ってまずはクーポラのてっぺんを目指してください!


ワシは、よく分からずそこの分岐で「てっぺんは後で見よう」とクーポラ内に入ったら、その先はあれよあれよと降り階段になってしまい、細い通路を反対に向かうことも適わず、一度外に出ちゃいました。もう一度入口に戻って「もう一度昇りたい!オレはてっぺんに行ってない!」と訴えても、チケットが一回切りで使えなく入口を通れません。


この時はたまたま、近くにいた警備員が事情を理解してくれて、別の扉からワシを階段に通してくれました。もう一回8ユーロを払う覚悟をしかけてたので、本当に本当に感謝です。


そして二回目の階段昇り。さっき以上に脚取り軽く上を目指します。クーポラ内部の天井画はもうほとんど見ず、二回目の分岐では今度はきっちりルーフ方面を選んで、前へ、前へ。この辺りから、ドーム状のクーポラの形状にあわせて、階段も狭く、回りの壁はドーム状に斜めで、とても歩きにくいし上から降りてくる人とはすれ違いにくいです。それでもワシワシと昇り……急に階段から視界が広がりました。ここはクーポラのてっぺん。


すごい、これは絶景。


フィレンツェの町並みが、まさに一望。茶色の屋根がどこまでも連なり、ところどころに教会の鐘楼が高くそびえ、アルノ川の向こうには緑色の丘が広がります。視界全部、小さいクーポラてっぺんはすぐに一周できてしまいますが、どこを向いてもヨーロッパの古い町並み。まさに、360度ヨーロッパ。


と、ここを目指したきっかけは、小説「冷静と情熱のあいだ」で読んだからでした。物語の中で主人公の男女はここ、フィレンツェのクーポラのルーフでの10年後の再会を誓います。さてワシもせっかくですから、一人「冷静と情熱のあいだ」ごっこでもしますか!


0秒で終了。再会の約束なんて誰ともしてないしな。


しかしこの場所は気に入りました。たっぷり30〜40分くらいはいたでしょうか。どこにカメラを向けても絵になるし、どこを眺めても飽きないし、どれだけフィレンツェを流れる風を浴びても心地好いのです。


ぶっちゃけ、ここでフィレンツェに満足しちゃったんでしょうね。


降りてからは、さてどうしようか、もう次の街行っちゃうか、とか考えますが、街歩きがてらウッフィッツィ美術館の方に向かってみることに。メロンのジェラートと地図を両手に歩き始めます。好天の下の街は、昨夜の雨中の町並みとはまた違った赴きです。そして美術館着……予約者も並んでいるし、非予約者に至っては入れるのがとんでもなく遅くなりそう。既に満足していたワシはあっさり諦めて、街歩きの続きに入ります。


ポンテ・ヴェッキオと呼ばれる、かつて彫金師たちが住まい今も貴金属店が並ぶ橋を抜け、ピッティ宮へ。ここは中世、豪商ピッティが作らせ、その後メディチ家、ロレーヌ家と、フィレンツェを支配する豪族によって管理されてきた豪奢な建物のようです。広くて幾つもの美術館や庭園がある模様。でも、全部を見ている時間はなさそうなので……ラファエロの絵画が飾られた美術館よりも、メディチ家の作った庭園を選びました。この辺、庭園マニアの性でございますな。


庭園はさすがに豪奢。手入れは行き届いているとは言えませんが、行き届いているところは綺麗。いや、全体的に「美」よりも「贅」に力が入っている感じでしょうか。とにかく広い空間を無駄に使うことの贅沢。こういうところにもヨーロッパ的な何かを感じます。公園の一部は高台になるので、ここからアルノ川越しに見るドゥオモや市街、目線を転じて裏手にある高級住宅街(らしき町並み)、と眺望も素晴らしいです。


一周する時間はなかったので、適当な門から出て、適当な道を地図で調べながらアルノ川沿いに戻ります。豪商の要塞でもあったのでしょう、下り坂には城壁も立ちます。G・ポッジ広場からアルノ川沿いをグラツィエ橋へ、橋を渡ってやっとの昼食どころ、ガイド本に載ってた「酔っ払いスパゲッティ」なるものに興味を持ち、「オステリア・デ・ベンチ」なる店に来訪。


外のストリートに着席し、日本語メニューも置いてあるとのことで持ってきてくれ、まずは長歩きの渇きを生ビールで癒します。件のパスタに、そういえばまだがっつり肉を食べていないと、トスカーナ名物?らしき「キアニーア牛」の何かを頼みます。いや、Tボーンステーキがミニマム700グラムとか抜かすので、もっと小さいものを!とそれでも300グラムのものを注文しました。


パスタは、実は赤ワインで茹でていて、故に「酔っ払いスパゲッティ」と呼ばれているらしく出てきたものも真っ赤な麺でした。そして、相変わらず茹で加減は良いのにしょっぱい!赤ワインよりも塩の味が印象に残ります。肉は、レモン、香草、唐辛子、オリーブオイルで味付けなので意外にさっぱりしていてそれなりに美味。唐辛子を食べたら口の中がえらいことになりましたが。


この時点で、当初予定していた列車には乗れなかったのですが、まぁ一本遅らせれば良いでしょう、と午後一の暑い日差しの中のんびりご飯。これがこの日第二のトラップの序章だったのかもしれません……。


と、ここまでで当初目標の三千字近く。あれ、やっと半分くらいなのに…………?


食事を終えて駅に向かいます。駅近くの宿に預けてあった荷物をピックアップして、ホームへ……あれ、15時20分発の特急ってないの?目的地へ向かう、14時20分と16時20分の特急があったので、てっきり一時間に一本と思いきや、二時間に一本だったようです。まぁ16時台のでも良いや、と駅のカフェで時間を過ごし、またホームへ出てみたら……あれ、16時20分発が表示されてないよ?


軽くパニックになって案内所に行き、「この電車無いの!?」と聞いたつもりなのに「どこ行きたいの?ふんふん、じゃあ17時13分発に乗りな」とのレス。おいおい答えになってないよ、と問い詰めますが、そこは言葉の壁、17時13分に乗れの一点張り。


やむなく、持っていたトーマスクック(欧州列車時刻表)をよく調べると……16時20分発の特急は、フィレンツェなんちゃら、という、ここ中央駅とは別の駅から出る模様。ああ、気付かなかった!もちろんその駅がどこにあるかは知りませんし、今から行っても間に合いますまい。これは本日第二のトラップ……と言っても、自分の不注意なので仕方ない。こっちじゃよくあることなのに、ね。


そうしてまたもカフェで時間潰し。軽いストレスを感じていたせいか、パケ死覚悟でtwittermixiに呟いて、リプライ読んでの繰り返し。と、17時50分にも特急があるとのリプライ。トーマスクックを見てみれば、そいつはこの駅から発車で、しかも駅員の教えた17時13分のローカル列車よりも早く目的地に着く!?


これがこの日第三のトラップ。駅員にも謀られるところでした。もうなんかグッタリ。


結局三時間近くをフィレンツェ駅で過ごし、ようやく今日の宿泊地、フィレンツェとローマの間にある「オルヴィエート」という小さい街に向かいます。ちなみにフィレンツェーオルヴィエート間の車窓は、今回の鉄道移動の中では一番楽しかったです。窓の外に結構変化があるので飽きないし、ついカメラを向けたくなる風景もチラホラ。まぁ向けたところで、窓が汚いのでちゃんと撮れないんですけどね。


小さい駅に降り立ち、まずは丘の上にある旧市街に向けてケーブルカーで昇ります。この頃には日はほぼ暮れていて、今日の宿を、宿からの夕日が綺麗だというので取ったワシはテンションだだ下がり。それでも小さいバスに乗り込んで、暗くも感じる中世風の町並みの中、車一台分しかない石畳の細い道を進みホテルに着いたらテンション大回復。


なにこのお洒落ホテル。すげー良い!


まぁこの三日間の安宿とは料金の桁も違いますので(日本円換算時)、当たり前といえば当たり前ですが、内装がいちいちかわいらしいし部屋にテーマがある!設備の方は、細かく見ていくと不満もあるのですが、全体としては綺麗で充実してます。


ホテル名は「パラッツォ・ピッコローミニ」。夕食に行った「LaPalomba」とあわせて、この辺りを調べている時に知った「アーモイタリア」というサイトで予約してもらいました。小さい街を含めて結構情報が満載なので、イタリア旅を考えている人には参考になるかな、と。


さてそのレストラン。これがまた素晴らしかった。名物だという、この地方の伝統的なパスタ「ウンブリケッリ」に、その場で黒トリュフをかけたもの。まず、しょっぱくない!塩だけで茹でたシンプルなパスタにトリュフの風味が絡んでたまりません。もう一皿は、あえて牛を外して、猪肉をトマトとパプリカのソースで味付けしたもの。トマトが肉の臭みを消しつつ、でも確かに猪っぽさはあって、中々に絶品の逸品。


ドルチェで頼んだティラミスも冷えてて結構絶品でしたが、上に乗ってたチョコソースで甘くなりすぎてたかな。ワインも、スプマンテ、白、赤、デザートと頼みましたがどれも飲みやすく、しかも安い!明るく愛想の良い店員さんも良かったです。


酔い醒ましに街中をフラフラ歩いてみますと、中世風の町並みにオレンジ色の街灯が照り返り、異空間に入り込んでしまったかのような不思議さ。お伽話の中を歩いているような、そんな夜の散歩でした。





ああ、結局昨日より長いや(涙目)。危うく五千文字ですよ。。。さて今日は、オルヴィエートの街の散策と、バスにのって「チヴィタ」という村に行く予定……って、もう昼になってしまいましたし、例によってアクシデント発生で思い通りに進んでおらず、夕方予定していたローマ観光を諦めるという英断をしております(血涙)。