コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

シチリアの洗礼

パケ死防止のため写真は取りあえず小さく一枚(今日の一枚は、タオルミーナの海岸線。イオニア海の美しさたるや!)。簡単且つ粗いですが、リアルタイム旅記中。昨日は短く出来た(時間がなかっただけ)ので今日も三千字程度でなんとかする!


イタリア旅、ある意味でのハイライト、9月16日の出来事。サマリーは、フラグ回収夜行列車、「グラン・ブルー」で憧れのホテル&レストラン、シチリアの洗礼、です。


15日21時20分、ローマ・テルミニ駅発シラクーサ行きの夜行列車は、通称「エクセルシオール」と言うらしいですが、珈琲のサービスなどは(少なくとも二等車には)ありませんでした。6人掛けで向かい合う座席型の二等車の他、6人、4人、2人、1人の寝台車もあるようですが、青春18切符での大垣夜行、昔のボックス席型固い座席で慣らしたワシを舐めるなよ!と二等座席車を選択(ユーレイルイタリアパスで追加料金かからないってのも大きい)。


まぁ問題は、寝心地よりも車内治安なワケですが。てことで、一応ローマを出る時点でtwitter死亡フラグを立てておきました。「オレ……この列車を降りたら伝えたいことがあるんだ……(もちろん、ない)」


わりかし万全の心構えだけは持って乗り込みまして、確かにそこそこ混み合った車内はワリと賑やかで雑多な雰囲気。全席指定のはずなのにどっかに行ってしまう人、その後にまた誰か座って、あれ、オーバーブッキング?とか首を傾げますが、ともあれ万全の心構えのワリには疲れが出たかすぐに眠ってしまい。途中、ナポリとか大きい駅に止まると目が覚めるもまた寝て、向かい合いの寝にくい席のワリには熟睡モードです。


パチリと目が覚めたのは、16日の4時半。それから程なく、列車はヴィッラ・サン・ジョヴァンニ駅に滑り込みます。ジョヴァンニに一晩で着いてしまいました(デスノートネタ)。ここからシチリア島の間には海があります。でも列車はシチリア島内のシラクーサ行き、さてどうすると思います?乗り換え?


答えは、列車ごと船に乗せる。


まぁこれヨーロッパではよくあること。なんならドーバー海峡を渡る列車もあるとか。トンネル出来たんだから使えよ。ともあれ日本では出来ない経験なのは確かですから、車中の人とはいえ、ワリとワクテカして見守ります。ていうか、客車8両+機関車の編成を入れる船の長さって一体……スイッチバックして船に運び込まれ、そうすると降りて船のデッキに行くことが出来るのですが、その時その疑問も解消しました。


編成の途中で切り離して、横に並べて乗せる。……ですよねー。


最もシンプルな解決法でした。もちろん船中には線路が走ってます。これだけでも萌える(何)。船のデッキに上がってみればちょうど出港するところ。手前にイタリア本島の、少し先にシチリア島の明かりが見えます。時間はまだ5時過ぎ。真っ暗です。


船の旅は30分ちょっと。シチリア島メッシーナに着いた船から、今度は列車を降ろし、再度繋げます。今は対岸となったジョヴァンニ駅には10分遅れで着きましたが、メッシーナは定刻通りに出発。まぁ時間にはバッファを見ているのでしょう。左の窓には、ちょうど昇ってきた朝日に照らされたイオニア海が……やはり窓が汚くてよく見えません。笑。ホント、ヨーロッパの鉄道はもっとまどを綺麗にしようよ……。


そして列車はついに、ついにタオルミーナ駅着!


……定刻より10分近く【早い】ですが。おかげで間違えたかと焦りましたが。まぁ南部イタリアの鉄道は北部以上に遅れるのがフツーとのことなので、早いのはまだ良いことなのでしょう。


そしてタオルミーナ。今回、一番来たかった街です。ワシの大好きな映画のひとつ「グラン・ブルー」のロケ地の、代表的な場所です。駅に着いた時から、映画で見た駅と同じ光景に軽く興奮。まだ朝の8時前ですが、取りあえずホテルに行き、荷物だけでもおかしてもらいましょう。


そしてこのホテルというのが、「アタホテル・カポタオルミーナ」。劇中で、エンゾとジャック、そしてジョアンナが再会し、レストランのパスタを食べているところにエンゾのマンマが来て一騒動が起きるあの崖沿いのレストランがあり、また選手権の前パーティーで、プールの中でシャンパンを飲みながら潜水を競うエンゾとジャックのシーンが撮影されたホテルです。ちなみに一人で一泊ですと130ユーロ。これまでの40〜60ユーロの安宿とは桁違いですが、ここだけは今回の旅で、決め打ちで泊まりたかったところなのです。


荷物を置かせて貰うだけのつもりでしたが、フロントで手続きをしたら、「ユー、良かったら朝メシ食ってきなよ」と言われてありがたくいただくことに。そして行った朝食会場のレストランが絶景。


目の前には紺碧のイオニア海を見下ろし、右に目をやれば噴煙をあげるシチリア島の最高峰エトナ山。海岸線に張り付くように建物がずっと続き、崖の上にはタオルミーナの中心街が崖に張り付きます。そして、ホットミールにパンも美味いし、何よりスプマンテ飲み放題!前夜、夜行列車への乗り換えなんかで晩飯を食べ損ねて、クッキーで凌いでいたワシには、まさに天国のようなもの。


あ、もしかして本当に天国かも。まさかの死亡フラグ回収?


少しロビーで休憩し、ホテルの無料シャトルバスでもタオルミーナの中心街へ。ホテルは海沿いにありますが、街は崖の上にあるのです。ウンベルト通りと呼ばれる目抜き通りを歩き、ギリシャ劇場と呼ばれる、遺跡でありながら今も使われている石造りで屋外の劇場を見学。結構な数の観光客で賑わい、確かに建物自体も面白いのですが。


ここからの眺めこそ、絶景オブ絶景。ワシの歩いたタオルミーナで最高の景色はここからのものです。右を見れば紺碧の海沿いに浮かぶ街とエトナ山、左を見ればどこまでも続くシチリアの海岸線、下を見れば「グラン・ブルー」で有名になったという「美しい小島」という意味の「エゾラ・ベッソ」、そして正面は、ただただ碧いだけのイオニア海。


風景で満腹になったワシは、今日はパッションフルーツのジェラートと片手に、ロープウェイで海沿いにおります。ここから歩いて数分で、先ほど上から見た「イゾラ・ベッソ」があるようです。階段を降り、海水浴客で賑わう海岸の先に……ありました!中には入れないのですが、島沿いまでは行けるので簡素な橋を渡ろうとしたら「渡れないよ、海の中を行きな」的なことをそこにいた兄ちゃんに言われ、靴と靴下を脱いで海へ。ハーフパンツで良かっt……って、いてぇ!石がいてぇ!


日本の海岸って、砂の粒子が細かいじゃないですか。だから裸足で歩いてもそんなに痛くないですが、ここの砂……いや、石粒はでかい!痛い!涙目で島にたどり着きます。が、正直ここにはそんなに感慨は無し。確かに海は美しいですが、立入禁止の看板とかがちょっと無粋ですな。


そんな間に12時21分。日本時間では19時21分。いつぞや聞いた話がホントなら、34年前のこの時刻に、ワシは生まれたことになります。美しい海を見ながら自分のために、この場所にいた記しをtwitterに書いてみました。まぁ実際、一人だし目の前には水着でいちゃつく欧米人カップルがわんさかいるしで、お祝いムードではないですが、まぁ今更祝うようなもんでもないし、あるいはネット経由でたくさんの祝辞をいただいたので、それだけでホント、幸せものです。


道路に戻り、ホテルまで1kmくらいのようなので、一度戻りがてら散歩をすることに。崖の上から見る海は、青よりもむしろ碧で本当に美しい。ホテルに着いて、少しロビーで待ってたら部屋の準備が出来たようで、14時前に部屋入り。ルームナンバーは【316】。下二桁は誕生日付で上一桁も誕生月の平方根、と、ワリとどうでも良いことに気付きつつ、部屋に入りますれば。


なにこれすごい。


広々とした部屋、大きいキングサイズベッド、白い壁に青を基調としたカーペット・カーテン・絵画、そして窓からは180度ひたすら碧いイオニア海の眺望。耳には、波の打ち寄せる音と鳥の囀り、たまに海を行く船のモーター音がするだけ。うん、やっぱり夢だな、これ。ワシがこんな良いホテルに泊まれるワケが無い。


夢ならばそれを楽しもうと、日光浴をするべくビーチサイドへ。このホテル、ロビー階が一階で、客室はそこから下の階に作られていて、上から2階、3階とくだって行きます。慣れないと戸惑いますが、プライベートビーチや例のプール&レストランがあるのは最下層。ワシは、自分の客室がある3階からガーデン経由の階段で降りられそうなので、エレベーターは使わずに行ってみることに。


いやー、ここでも絶景ですよ。サボテンの生える庭の中を歩いて、右を見ても左を見ても海、イゾラ・ベッソも望むことができ、崖を上手く使ってプールサイドのデッキチェアがその斜面に並び、そこで人々が思い思いに過ごします。ていうか、あれトップレスじゃね?な女史も結構な数いましたが、あそこまで堂々とされると特に何も思わないというか、そもそもそんな年齢じゃないし。また歳をひとつ重ねたばかりだし。


てことでワシもトップレスになって(何)、ビール飲んでスプマンテ飲んで本読んで更新用日記書いて(何)シエスタして……たっぷり二時間くらいを過ごしました。そして予想通りの真っ黒さ加減。あー、でもここは水着を持ってくれば良かったな。気持ち良いだろうな。まぁそれもまた次回お楽しみってことで。


部屋に戻ってシャワーを浴びて18時、もう一度タオルミーナの中心街へ行こうと崖の上へ。メインストリートを行き来して、ついでにお土産も捜しますが、これだけ美しい街なのにお土産がイマイチ!(←あまり関係ない)せっかくなんでタオルミーナと入ったTシャツのひとつも欲しいのに、どれもデザインがダメ。そしてグラン・ブルーなものも何一つありません。まぁあの映画、流行っているのは日仏だけで、イタリアじゃ公開すらされてないから仕方ないか。


宵闇に暮れる海を眺めたり、グラン・ブルーに出てくるもう一つのホテル(というかタオルミーナの屋内の撮影は全てこっち)「サン・ドメニコ・パレス」を外から眺めたり、たまたまやっていた結婚式的な何かを眺めたりして、またシャトルバスでホテルに帰還。21時からは、例のレストランでディナーです!


といっても、映画の撮影はもう20年以上前のこと、レイアウトや壁の色なんかは変わってますので、映画のシーンよ再び!とはなりませんが、それでなくとも波の音とその向こうの夜景と月や星の瞬きを見ながら飯が食えるので、やはり嬉しいものです。そして嬉しさの余りか、ついカッとなって93ユーロも飲み食い。いやいやいくらホテルとは言っても……まぁ、一人で三品も頼めばある意味必然ですかね。いや、このホテルでは「贅沢をしよう」と考えていたので良いんですが(ルームバーも欲望のままに使用。笑)。


で味は、やはりちょっと塩気が強い。でも、これまでの塩の強さよりはマイルドな感じがして、よく言えば特徴になっている感じでしょうか。残念なことに劇中に出て来た「海の幸のスパゲッティ」(スパゲッティ・デル・マーレ)はありませんでしたが。


概ね満足の一日を過ごしたワシは、フカフカのベッドに包まれて睡魔の虜に。誕生日にこのホテルになったのは、旅程の都合でのたまたまだったのですが(当初は13日に泊まるかもだった)、いや、楽しかったです。


さてタイトルの「シチリアの洗礼」をまだ書いてませんが、別にゴッドファーザーに見込まれたワケでもなく、実はこの一日で二回、アクシデントというか軽くボラれてましてそれをネタにするつもりだったのですが、文字数が(やはり)もうすぐ五千字。メールで更新できる限界に近付いてきたので、いずれ書くかもしれないこぼれ話的日記でフォロー予定。未定。





さて今日は、チュニジアに渡るべくまずはパレルモを目指します。ついにアフリカ初上陸。移動、入国ともに、スムーズにいきますように……。