コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

暁は、暗闇の後に輝きを産む

素人なワシにも分かりやすかった、昨日「あかつき」に起こったことをまとめた記事。


金星探査機「あかつき」にトラブル発生 - これまでの状況を整理する
http://journal.mycom.co.jp/articles/2010/12/08/planet-c_trouble/index.html


昨夜は、珍しく20時頃までには会社を出られるかな、と思っていたんですが、急遽情報の舞い込んだ市川海老蔵さんの会見、情報はあったが出来るか怪しかったあかつきに関する会見と立て続けにncnc生放送をやることにとし、結局終電。とはいえ、どちらの番組も視聴者はたくさん来てくださり、時事ネタへの関心の高さを思い知らされました。


で、「あかつき」の会見を会社で見ていたのですが……うーん、質疑応答がなぁ……。友人に借りている「宇宙へのパスポート」(笹本祐一著)という本にも書かれていましたが、日本のマスコミはジャンルを持ち回って現場を渡り歩くので、専門記者が育ちにくい、とはよく言われています。宇宙や科学に造詣の深い、いわゆる「サイエンス記者」も然り。


故に記者達は、例えばアクシデントが起こっている時などにも、記事にするに分かりやすい視点「成功か失敗か」「損害額は幾らか」などの、性急な結論を求めるキライがある……昨日の会見を見ていても、それを感じる面は正直ありました。


いや、「分かりやすい視点」で記事を書くのって大事だと思うんですよ。ワシみたいな、宇宙の話題は好きだが無学で素人な人間には、冒頭に紹介した記事なんかはありがたい。そして、チェック機構としてメディアが存在している面も否定はしません。でも、分かり易さってのは、センセーショナルであることとはイコールではないはず。そこを混同している人は多いのかもしれない……そんなことを感じます。


宇宙開拓史は、トライ&エラーの連続です。特に地球軌道外に行くものについては、基本的にはいつだって一発勝負。故に、どこまでフェイルセーフを組み込めるかというのも重要なことで、先の小惑星探査機「はやぶさ」が称賛されたポイントのひとつはそこにもあるわけです。そしてそのはやぶさだって、ひとつのアクシデントの解決に数ヶ月を要していたこともある。


まさに、手の届かない暗闇の中で作業をしているようなものでしょう。


記者の方も想像できることだと思うんですよね。例えば自分の書いた原稿が一発勝負で、自分自身での推敲も、デスクによるチェックもされずに世の中に投げ出される、その感覚。宇宙開発を行っている人達は、常にその中でミッションを遂行しているのです。(この例え、推敲をフェイルセーフとすると正当でないのは、分かっています)


正直、「はやぶさ」で世間の耳目が宇宙ネタに集まっている今だからこそ、「あかつき」の注目度があがっているのは否めないと思います。ですが、だからこそ、「はやぶさ」の軌跡と奇跡を思い出し、マスコミにも世間にも、性急な結論と判断はくださないで欲しい。幼少の頃よりの宇宙好きとしては、その思いは強いのです。


長い暗闇も時が経てば明け、暁はその時輝きだすはずなのですから。
(まぁこれも、希望的観測に寄った見解、というより感覚ですが)


【参考・はやぶさ帰還時の雑感】
はやぶさ・雑感と備忘録
http://d.hatena.ne.jp/tomosaku/20100614/1276525486