コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

ハンターシェフ

と言っても、100万円クイズハンターの専属シェフではなく(分かりにくい)。


最近、飲食情報はtwitterで飲食メモとして書いていることが多くて日記にはしたためなかったりしますが、今日はちょっと面白いお店に行ってきたのでご紹介です。


AREQUO REINO(アレコ・レーノ)
http://www.arequo-reino.co.jp/


ここは「ハンターシェフ」のいる店らしく、ハンターシェフって何さ、と言えば、そのまんま、自分で食材をハンティングしてきて調理するシェフ、とのことです。で、何をハントしてくるの?と言えば、いわゆる「ジビエ」。すなわち、野生の鳥獣。それを使った料理を供してくれます。


自分で狩猟をして、それを調理する……それだけで大変なスキルな気がします。食後、ちょっとシェフとお話しをさせていただきましたが、料理はもちろんですが、むしろ狩猟に対するこだわりがすごい!


例えば。狩猟する時に既に調理法を考えていて、首から下を使いたい時は頭を射貫く、逆に頭回りを使いたい時は心臓を射貫くのだとか。仕留めてからは30分以内に内臓だけはその場で捌いて抜いて、それらは狐とかの餌になるのだとか。で、そこに雪を詰めて(狩猟期は大概冬)持って帰って、すぐに皮を剥いでポーションに分けるのだとか。


すぐに内臓を抜いて捌けば、野生生物も決して臭みは出ないそうです。逆に、その手間を惜しんでしまうと、臭みの残る肉になる、と。


フランスとかでジビエというと、取りあえず射止めてそのまま寝かせておいて次の獲物に移り……と猟を続けて、夕方にやっとそれらをまとめて捌くケースが多いらしく、やはり肉の臭みが強くなる。それが日本に輸入されて「ジビエ料理」として紹介されると、クセのある味になってしまうらしいです。ま、フランス人はその臭みが好きだそうですが。日本で狩猟する時も、その手間をかけないジビエは多いのだとか。


その話を聞く前にジビエ料理はいただいていたのですが、実際、確かに臭みが無かった。噛んでいると獣っぽさは感じますが、それは臭みというほどでは無く、へー、生臭くない獣料理もあるんだなぁ、と感じていたら、そんな努力があったのですね。


ちなみに今日食べたジビエ料理は、「ヒグマ」と「ヌートリア」。後者はメニューには無かったですが置かれていた物。ちなみに他にも様々な素材がありまして、「ウサギ」「カモ」「シカ」「イノシシ」あたりは他でもよくありますが、「ハト」「ライチョウ」などなど……そして極めつけは「カラス」!


カラス、と言っても街中で生ゴミを漁っているようなものではなくて、山の中にいる小ぶりのものらしいです。シェフの話によれば、元々はネタとして載っけてみたらしいのですが、意外に話題になってこれ目当ての予約も入るのだとか。というか、基本カラス肉は予約で、取れれば、とのこと。コースでは12000円です。でも、かなり興味ある……ので、次回予約して食べに行くつもりであります!


食べたものの話に戻ると、ヒグマは熊の中で一番美味しいとのことで選びましたが、ヌートリアはこの日仕込まれてて、そもそもヌートリアって何?と言えば、南米原産のカピバラの仲間……すなわち、ネズミ系ですな。どちらも、塩胡椒だけで肉の味を楽しむ一切れと、ポルト酒やオレンジ系ソースで味付けしたものをいただきまして、これが先も書きましたが、生臭くなく、むしろ美味い。ヒグマは固めの牛肉のような、ヌートリアは豚肉と鶏肉の合いの子のような食感でした。


ちなみにジビエ料理。お値段はそこそこします。素材や調理法にもよりますが、一品で3000〜9000円くらい。その素材を使ったコースになると1万円をこえるものも。その時ちょうどお店にあれば別ですが、素材や調理法によっては予約や確認をした方が良いようなので、狙い撃ちで食べたいものがあるなら、値段含めて事前にお店と相談した方が良いですね。(今日は、行ってたまたまあったものをいただきました)


とまぁ、ジビエのことばかり書いてますが、実際このお店の、恐らく通常のメインは、フレンチ・イタリアンの料理(まぁジビエもフレンチではありますが)。我々は(5人で行きましたが)ランチのコースをそれぞれ頼んで、ジビエは一品料理でシェア。で、その通常のフレンチ・イタリアンも美味!丁寧に作っている感で美味しくいただきました。特に、パスタはオススメ。


ていうか、この日のランチタイムにいたお客さん、恐らくジビエを頼んでたのはワシらだけでした。笑。





余談ですが、このお店は勤務先の同僚(?)さんのご実家。お父さんがハンターシェフとか、なんか無性にカッコイイですが、息子の彼も料理ができるようで、この日は実家近くのひとり暮らしてる家でベーコンを作って、それを燻しに実家に戻ってきてました。なんかワイルドな親子だなぁ。。。


で、その息子さんにお店の由来を聞いてみました。店の名刺にはイタリアの地図が書かれていたので……

ワシ「AREQUO REINO(アレコ・レーノ)って、イタリア語ですか?なんていう意味?」

息子「いやぁ……実はなんでもかんでもという意味での『アレコレの』を、イタリア語っぽくしただけなんですよねぇ」

ワシ「……それ、ネタでしょ?」

息子「マジッス」

なんというお茶目なハンターシェフ……。





写真は、一枚目がヒグマ、二枚目がヌートリア。こうして調理されると珍肉とは思えないっすね。三枚目はメニューのカラス部分ラインナップ。スペシャルにも程がある……。