コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

アルコールの先に見え隠れる記憶

こないだイタ飯屋に行ったんで、そこに用意されてたイタリアビール頼んだんですよ。


と言っても、日本の一般的なイタ飯屋に入っているイタリアビールの銘柄なんてたかが知れていて、ワシもよく見るのと言えば「ナストロ・アズーロ」と「モレッティ」くらい。たまに珍しい銘柄もあったりしますが、その店はその二種類でした。


でまぁ、昨年イタリア独り旅に行ったじゃないですか。イタリアでも先述の二銘柄はかなり流通していて、実際に飲んでるんですよね。


例えばナストロ・アズーロ(いつも、アストロ・ナズーロと言い間違う。原子の力か)は、ミラノでドゥオモに登って降りてきた、その暑さの中でドゥオモを見ながら乾きを癒したな、とか。


例えばモレッティは、チヴィタに行った時、その天空の街に至るただ一本の橋を上がっていってたどり着いた小さな小さなバールで、飲んでその疲れを拭い去ったな、とか。


イタリアだと、ワインを飲んでも思い出します。銘柄がどうこうってことはワインに詳しくないワシには分かりませんが、産地を聞けば、例えばトスカーナ産と言われればフィレンツェのバールを、ウンブリア産と言われればオルヴィエートでワインと食べたあの感動的に美味なパスタを、思い出します。


ビールの話に戻ると、ドイツビールって、本当に街ごとに違うビールが出てくるので、日本に入ってきているのなんて専門店でも行かなければ本当に一握り。だから大味なミュンヘンの巨大ビアホールを思い出します。


あるいはイギリスのギネスをドラフトで頼めば、たいがい日本の酒場では冷えたギネスが出て来ますが、イギリスのパブでは常温ででてきて、しかもそれが美味いんですよ。日本で出てくる冷えたギネスよりよっぽど美味い。


バリでビンタンビールを飲んだ時は、ライステラスの上に広がる吹き抜けレストラン、壁も窓もなく、木組みと屋根だけのレストランで、ライステラスの上を吹き抜ける風を浴びながらでした(他の時もひたすら飲んではいたけど)。その、熱っぽいけど湿っぽくはない風の心地よさが思い出されます。


幸いにして、少ないながらのワシは世界の何箇所かを旅しています。そして旅の経験を重ねるってことは、アルコールの向こう側に映し出される思い出も増えていくことなんだな、ってつくづく思ったのでした。