コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

えそら

日曜日、六本木は俳優座劇場にて、『RAGTIME S&D』(ラグタイムサンド)という演劇集団のセッション、『ESORA』を観劇してきました。


RAGTIME S&D
http://ragtimesand.jp/


そもそものキッカケは友人からのお誘いメール。『ANDENDLESSの西村さんが参加してる』ってのを見て「それ、西田さんだよね?」とツッコミつつ、アンドレは昔友人が結構出演していて見に行っていたので、久しぶりに見てみたいなぁ……と思ったら、なんでも、浅沼晋太郎さんのbpmという劇団とのコラボ公演の模様。


しかも、コラボもコラボ。西田さんと浅沼さんが、それぞれ作・演出をする芝居を、日や、同日で時間をずらして二公演、同時にやってました。西田さん作演の『NEWWOLRD』と浅沼さん作演の『ESORA』。どちらも海賊ものにして、そして役者もほぼ共通。これはすげぇ。


で、どっちかを見に行くか、どっちも見に行ってみるか……と迷いつつ、ワシは浅沼さんの作品を見たことが無く、時間的にも行けるのがちょうど浅沼さん作演をやっているところになったので……という長い経緯で行ったのでした。ちなみに、最初に声を掛けてくれた友人とは時間が合わず結局ひとり観劇。笑。


でまぁ、アンドレの時もたいがいそうなので予想はしてましたが、会場のお客さんの9割が女性。さすが、イケメンを揃えているところは違うなぁ……体のでかいワシは恐縮しながらちっこくなりながら観劇しておりました。


さて、本題たる感想。一応、終わっている公演なので、多少のネタバレはありで。


浅沼さん作演は初めて見ましたが、まずは思ったより殺陣が大人しかったな、というのが第一印象。やはりアンドレ西田さんとコラボっているという先入観がある故か、アンドレの特徴でもある激しい殺陣が来るかと思いきや、殺陣はありつつ大人しめ。動きも、近くで見たせいかもしれませんが、やや緩慢な感がありました。


お話しは、海賊をモチーフにしたもので、かつて村を襲った海賊と、その海賊を抜けて村に居着いた者と、村人と、村にいる海軍と……とが入り乱れて、なんか「ワンピース」を連想したのはワシだけではないはず。物語の中盤にはどんでん返しも交えつつ、盛り上げどころはきっちり盛り上げる。


いや、はっきり言えば、泣き所をきっちり作ってくる。


この辺は演出巧者なのでしょう、この方は泣き所を「盛り上げる」タイプ(もう一パターンは「静かに」泣かせるタイプ)。役者の勢いの良い演技もあいまって、なかなかグッと来ます。ただまぁ、ワシはそこでも「ワンピース」を連想してて、あの作品も「盛り上げる泣かせ方」が上手いじゃないですか。


で、こういう芝居でよく陥るのが、「泣き所」の演出に凝り、それをある程度の頻度を持ってシナリオに組み込んだ結果、ストーリーが「泣き所」のために存在してしまい、全体として矛盾や説明不足が生じるケース。果たしてこの芝居においても、少しだけ、そのトラップに陥っていました。


矛盾というよりは、説明不足というか急展開というか、後半30分間でどうにも粗が見えてしまい、逆にそこまでがしっかり作っていただけに、なんか、もったいなかった。


役者の演技は、先述のように勢いもあるし概ね良かったのですが、モブキャラというか村民役の方々(きちんと役名は付いてましたが)は、イマイチな方もいました。これも、他の方々がしっかりしているだけに目立ってしまい、その何人かが喋ると世界から少し覚めてしまいました。


あ、あとシナリオ上の笑いの入れ方も上手いな、と思いました。ちょっとした言葉遊びや役者の動きで観客を温めて、しかも、泣き所に笑いを盛り込んでシーンを崩さなかったのは感心してしまいました。(偉そうな言い方ですみません)


タイトルの付け方も、ワシは好きですね。「ESORA」から「絵空事」というワードを連想してはいましたが、それが物語の冒頭で高らかに宣された時は、妙なワクワク感を覚えました。こういう導入は好きですし、その上でタイトルを「ESORA」としたセンスも好きです。


類型化するのも失礼な話しですし、類型化できるほど芝居を見ているわけでもありませんが、ワシがこの芝居を見て思い浮かべたのが「演劇集団キャラメルボックス」。あの、成井豊さんの演出、台本、笑いや泣き所の入れ方、それに近いものを感じました。


てことで、結局見てない人には全く伝わらない感想となってしまい恐縮至極ですが、備忘録的に掲載しておきます。


この人の作演をもう一度見たいか、と問われれば、見たい、と思うくらいには面白かったので、また機会があれば拝見したいところであります。