コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

サイトウキネン

サイトウ・キネン・フェスティバル松本』という音楽イベントがありまして、今年で20周年を迎えたそうです。プロデューサーにして総監督にして主な公演の指揮者を勤めるのが、世界の小澤征爾。小澤氏の師である斎藤秀雄の没後、斎藤氏の弟子たちが中心となって集まったオーケストラ、始まった音楽祭だそうです。


公式サイト http://www.saito-kinen.com/
wikipediaサイトウ・キネン・フェスティバル松本
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%A6%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%8D%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%90%E3%83%AB%E6%9D%BE%E6%9C%AC
wikipediaサイトウ・キネン・オーケストラ
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%A6%E3%83%BB%E3%82%AD%E3%83%8D%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%82%B1%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%A9


ワシが初めてここに行ったのが12年前、大学時代、当時付き合っていた女史とでした。というか、この音楽祭そのものを知ったのも音楽をやっていた彼女に教えられたからで、大学生の身空で、2万円以上する人生初オペラのチケットを買ったのでした。今回は、それ以来の2回目。


そして今回も見た演目はオペラ。バルトーク作のバレエ「中国の不思議な役人」とオペラ「青ひげ公の城」。『Noism』という、巷で話題のダンスカンパニーと、その芸術監督・金森穣が演出をしているということで、コンテンポラリーアートとしての注目も高かった、そうです。てのもそれは、今回一緒に行った友人の談。ワシは『Noism』を余り知らず、見るのも初めて。


果たして演目が始まりまして、まずは東日本大震災で被害にあわれた方々への鎮魂として、小澤征爾指揮による『アリア』(G線上のアリア)が奏でられました。これが、本当に素晴らしい。結果的には、(ワシみたいな素人に分かりやすかったせいですが)この日一番良かったのがこのアリアでした。


まさに「鎮魂」と呼ぶに相応しい、静かながら憂いを含んだような音色……もちろん、先入観からそういう表現をワシが使っているのは否めませんが、本当に、そう感じた音色でした。自分の葬式でG線上のアリアを流すなら、この演奏バージョンで流して欲しい、と思ったほど。


さて、指揮者が変わって沼尻竜典によるバレエ「中国の不思議な役人」。これは……ワシには難しすぎました。が、友人は終幕後、感情が昂ぶるほどに感動していて、なんでも「コンテンポラリーダンスの最高峰だと思う!完成された身体芸術!」という主旨だったので、きっとそうなのでしょう。


ワシは残念なことに、コンテンポラリーダンスを嗜まず、見たこともほぼ初めて。身体芸術は多少分かりますし、その意味で、ステージ上で繰り広げられたものが「すごい」ことは分かりますが、それ以上の踏み込んだ感想を持てませんでした。


まぁこの「分からない」ことは自分的にも悔しくて、それって結局自分の無知、無学が招いているものですから、好奇心旺盛な身には残念極まりないのです。友人も「分かる感性を持っている(はずの)人に分かってもらえないのは悔しい!」と言っておりました。


休憩時間中、お互いの感想について結構侃々諤々やり合いましたが、時間が来たので今度はオペラ「青ひげ公の城」を鑑賞開始。余談ですが、こうして芸術作品について真剣に語り合い、議論が出来る友人がいる、しかも案外たくさんいるのは、ワシにとってとても幸運なことですし、そんな人たちのほとんどと知り合った日芸という場は、やはりいい大学でした。閑話休題。


オペラは……これは、素晴らしかった。始まる前、パンフレットで簡単にストーリーを読んでいて「ふーん、この7つの扉という演出をどういうふうにやるんだろうな」と想像を巡らせていたのですが、なるほど、こう来たか……実際に見せられれば、この演出しかないな、と思うのですが、事前の想像は良い意味で裏切られました。


こっちの指揮は小澤征爾。バレエの指揮をした人と比べてどう違うのか、なんてのが技術的に分かるワケは無いのですが、それでもなんか、オーケストラが引き締まっているような、遊びはあるけど無駄はないようなその演奏は、やはり一度聞くに値するなぁ……と素人ながらに感じました。


報道されていましたが、小澤征爾はこの後体調を崩して一時降板していたので、言い方は悪いですがラッキーでした。まぁこの日、終演後のカーテンコールでは、テンションが上がっていたんでしょうけど、とても元気そうに客席の歓声に応えていたので、まさかそんなことになるとは思ってもいませんでしたが。


感動、理解、分からない表現、それらがないまじった鑑賞ではありましたが、まぁ一部は分からないことが分かっただけでもまだ良いかな、と。多くの意味で、とても身になった演目でした。


やはり、一流に触れるのは大事ですね。