コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

聖夜の道東弾丸独り旅1

12月24日の昼から25日にかけて、時間が作れるんじゃね?


そう気付いたのは12月20日(って昨年の話ですが)。諸々あってクリスマスのお仕事がスルーできそうで、24日早朝の仕事を終えた後はなんか時間が空きそう。元々自分からクリスマスの夜にロマンティカな予定を入れるような性格でもありませんから(仕事のつもりだったし)、この空き時間をどうしてくれようか。


そうだ、独り旅行こう。


ロマンティカ成分以上に、独り旅成分の欠乏が深刻だった昨今。しかも、泊まりがけでどっか行けるとか中々機会が作りにくい。「経県値」で唯一「宿泊」でない滋賀県に行くことも一瞬考えましたが、ここは溜まりまくったマイルを使って、ちょっと遠出をしてしまおう!


ということで衝動的にエアチケットを取ったのが、女満別空港から入って釧路空港から出る、という北海道の旅。


……あれ、ワシ、この時期の道東に行って何する気?野付半島や開陽台と行きたいところは数あれど、それは雪の無い時期に行くものじゃね?そもそも車というか免許も無くね?だったら、同じ北海道でも札幌ならまだ遊べるし知人もいるし、あるいは遠くなら「宮崎空港IN→鹿児島から指宿方面で宿泊→九州新幹線でアノCMの風景をなぞる旅」とかよくね?。


と、いろいろな気付きとアイデアが沸いたのはもう21日。マイルでのエアーが取れなく&変更も出来なくなってからでした。むー、仕方ない、これは、どこで何をすればいいか分からないけど、道東に行くか。と割り切りつつ、ルートはアレコレ迷って、宿を決めたのも出発前日。この時期の北海道野宿はありえないから危なかった(夏ですら、昔釧路で野宿しようとして、夜の気温が9度で凍えたことがある)。


さて24日朝。フジテレビさんでの仕事を終えて、ワシはそのまま羽田空港へ。7時55分発の女満別空港行きに乗り込んでみれば、回りの席には小学生の皆さま。賑やかで、徹夜明けにはなかなかしんどいですが、よく見れば「金杉台小学校」とか、地元に近い小学校の名札。どうやら船橋市などの子供たちの、スキー学校みたいなものの模様。

送信者 道東弾丸独り旅

<機上から、恐らく石巻・牡鹿半島方面。少し、被災の爪痕も見える……>


女満別空港には定刻9時40分より若干早く着きまして、さすが北海道、さすがの寒さと雪。寂しげに明滅する空港内のクリスマスツリーを背に、遅れて来た網走行きの連絡バスに乗り込んで、網走市街へ。でもこの時点でも、網走に着いてから何をするかはまるっきりのノープラン。


取りあえず網走バスターミナル(BT)に着きまして、まずはブランチでもと、これだけは事前に目処を付けていた「網走ザンギ丼」なるものを食そうとケータイで店を捜します。どうやら、BTからほど近い「喜八」って店が美味しそう。ぷらぷら時間を潰して、開店時間を待って入店。


「網走ザンギ丼」とは、オホーツクサーモンとも呼ばれる「カラフトマス」を天然の白魚醤油に漬け込んで唐揚げにしてご飯に乗っけたもの。新しいご当地グルメとして売り出しているようで、細かい決まりとかがあったりします(地の山芋おろしと山わさびを乗っける、とか)。ちなみに、釧路とかで「ザンギ」とは、鶏の唐揚げとかで、ザンギって言葉の元はそっちのようです。


まだ11時過ぎですが、まぁ早速網走ビールとか書かれた地ビールを開栓。このお店は鯨でも有名な店と言うことで、「尾羽毛の酢味噌和え」なるものも酒のアテに頼んでみますが、脂っぽくてツマミには良いんだけど、少し水っぽかったのが残念。


そしてやってきました「網走ザンギ丼」。先の説明に加え、付け合わせにツブ貝の何かと鱒の居いずし。お味噌汁に貝が入っていると思ったら、なんとちっちゃい帆立でした。山芋おろしをといてザンギの乗ったご飯にかけて、山わさびを少し加えて、少しぐちゃぐちゃに混ぜて、いただきまーす。

送信者 道東弾丸独り旅

<網走ザンギ丼、と付け合わせの皆さま>


……ふむ、悪くない。ザンギそのものも悪くないのですが、山芋や山わさびの風味が加わることで、味に深みが出ている。正直、ザンギだけだと味のパワーが足りないところですが、これらを混ぜ合わせることで中々に食い応えのある一品になっています。他の付け合わせも、なかなか。


徹夜明けに飲んだビールに少し飲まれながら、お店を出て歩き始めれば寒さでたちまち覚める酔い。お店の中で、ひととおり網走のパンフとWEBサイトに目を通して、北方民族博物館&博物館網走監獄&網走湖温泉でひとっ風呂にするかと思っていたのですが、乗るべき鉄道の時間まで余り間が無く、さらにたまたま「かきソバ」ってのを見つけてしまったので、ここから歩ける道の駅&流氷硝子館を見てその「かきソバ」を食べに行くことに変更。食い倒れがテーマになりました。


港に近い道の駅に歩いて行って、網走の土産や地のものを見学。少し買い物をしつつ、飲食屋で見かけた「流氷ビール」なる地ビールを飲んでみることに。鮮やかな青色に不安が無いでは無いですが、色は香料の模様。流氷を仕込み水に原材料に「ナガイモ」を使ってますが、味のほどはワシにはイマイチ。癖が強くて土臭かったです。


隣接する「流氷硝子館」に移動。正直、たいして期待してなかったのですが、行ってみれば意外にデザインが良く、プロダクトにもこだわりが感じられて、見ているだけでも楽しめました。ここでも幾つか買い物をして、体験工房もあるようなのでいずれ機会があればやってみたい所存。

送信者 道東弾丸独り旅

<流氷硝子館のオリジナル「澪」というガラス道具。青が綺麗>


タクシーを呼んでもらって、食い倒れる予定の、かきソバを出してくれる蕎麦屋「しば乃屋」へ。網走市街からはちょっと距離があるのです。運ちゃんの方言混じりの軽快なトークは観光地ならでは。網走の近代化と過疎化の話なんかを聞きながら、10分ほどでお店に到着。


ここでは、網走藻琴産の牡蛎を使った「カキそば」が食えると言うことで、取りあえず日本酒を飲みながら待機。日本酒は地酒では無かったようでちょっと残念。少し待って出てきたかきソバは、暖かい蕎麦の上にワカメが乗って、その中に大きくてぷりっぷりの牡蛎が6つ、顔を覗かせています。

送信者 道東弾丸独り旅

<牡蛎そば>


てことで早速すすってみますと……うーむ。牡蛎は美味い。単体で食べれば実の厚さと濃い目な味わいが酒のアテにも良いです。蕎麦も悪くない。けど、ざく切りで太さにばらつきが有り、それはそれで味と思いますが、結果ワシにはゆで加減がイマイチ、風味も物足りずでした。ワカメもそこそこ美味しく、総じると、美味しいんだけど組み合わせがイマイチかなぁ……という印象。


ここから網走駅まで戻るとまた遠いしタクシー代も掛かるので、地図上は恐らく15分くらい歩けばたどり着きそうな釧網本線は鱒浦駅へ、凍った歩道を踏みしめながら向かいます。海沿いの国道に出てからは、オホーツク海を撮影しながら、14時37分発の乗りたい列車にワリとギリギリで駅到着。

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<海鳥の飛ぶオホーツク海の荒波の向こうに知床半島


ここからは、今日の宿を取っている三香温泉の最寄り、摩周駅まで2時間ほどの鉄道の旅。ナニゲに道東に何回か来ているワシは、釧網本線も何度か乗っていますが、知床斜里まではオホーツク海と濤沸湖、その先は斜里岳や平原を見ながらと、飽きの来ない路線です。まぁ今は冬ですから、どこまで行っても雪景色ですし、日が落ちるのも早いので16時ころには真っ暗と言っても過言では無い暮れっぷり。


日に数えるほどの本数しか走ってませんから、乗り過ごそうものなら宿を変えなきゃいけないレベル。ってことで、うつらうつらしながらも景色を楽しんだり、単線の列車交換で長時間停まる駅で眠気を覚ましてみたり、そんなこんなで16時47分に摩周駅到着。日もとっぷりと暮れきり、白い雪が街頭のオレンジ色に反射します。

送信者 道東弾丸独り旅

<北海道の鉄道は、結構まっすぐ>


10分ほど待って、迎えに来てくださった三香温泉のマスターさんと合流。話し好きの方だとはネットの評判でも書いてありましたが、然もありなん、買い物したり色々お話ししながら宿に向かいます。最寄り駅、と言っても、ここから宿までは直線距離で約20km。一本道ですがそれなりの道のりです。


街頭の無い道を飛ばして、畑の中の路地かと思うところを曲がって少し行くと、何も無い林の中にぽつんと浮かぶ一軒宿、それが三香温泉でした。部屋数は4部屋ほどの、本当に小さな宿ですが、今日は満室だとか。それも、ワシ同様、ほとんどが前日予約で埋まったようです。


ログハウス風の表玄関を入れば、右手のラウンジでは既に賑やかに、皆さんワシよりは年上そうな方々が酒を飲んで語らっておりまして、こちらにも挨拶をしてくれます。常連さんの賑やかな日もある、って評判はどうやら本当の模様です。チェックインをして部屋に荷物を置き、ひとっ風呂も考えつつも夕食の時間も近かったので、思い切ってラウンジでの宴席に混じることに。


いらっしゃった皆さんは、網走から来ているという、旦那さんが「すーさん」と呼ばれる老年ご夫婦。驚いたことに、昼に牡蛎ソバを食べた「しば乃屋」のすぐ近くだそうです。もう二組もご夫婦で、すーさんご夫妻とここで知り合って付き合いも長いという40代くらいに見えるTさんご夫婦。


この二人は、帯広に住んでいましたが、この度屋久島に移住し、蕎麦屋を始めるのだとか!その前に、北海道を巡っているらしいです。最後の一組が、やはり帯広から来ているという50代くらいのMさんご夫婦。旦那さんは比較的大人しめでしたが、奥さんは学校の先生をされていてお話し好きのようです。


乾杯からの旅話、といっても、皆さん北海道の方々ですから、主にワシの話になってしまったのですが。そんなこんなでいるウチにすぐに夕食の時間になったので、食堂的な畳敷きの部屋に通されて、一応、それぞれにテーブルが分かれながらも改めて乾杯。


料理は、素晴らしかったです!系統としては、美味しくなった家庭料理みたいな感じですが、地の藻琴産帆立や今日厚岸から届いたという牡蛎、さらに、鱒をトマトとチーズで蒸したものなど、バラエティも豊か。煮付けやら焼き魚やら、とにかく美味い。料理店の味とはまた違う、素朴でありながらしっかりと手を掛けている様が嬉しいです。

送信者 道東弾丸独り旅

<三香温泉の夕食>


ここで、宿のマスターからの振る舞い酒で日本酒なんかもいただきつつ、すっかり良い気分になったワシ。そういえば前夜の仕事からほぼ徹夜明けでの旅だったこともあいまって、わりかし眠気にも襲われますが、ここに来て風呂を浴びないわけにはいかないと、温泉へ向かうことに。


内風呂もあるのですが、ここの魅力はやはり野手あふれる露天風呂。宿本体からそこまでは、雪の中を数十メートル歩いて行きます。脱衣所には薪ストーブが置かれ、寒風の中を裸で飛び出してお湯に浸かってみれば……おおおおお、これは気持ち良い。


すっかり真っ暗になった中、木とコンクリで組まれたお風呂はまさに野天、すぐそこには屈斜路湖に至る林があります。アルカリ泉でしょうか、柔からめのお湯が源泉かけ流しにされ、広い浴槽は木で区切られて、そのあふれるお湯から遠いほどにぬるくなって、好みの温度で浸かることができます。ワシは最初は二番目のぬるさに入っていましたが、その内寒くなって一番熱いところに寄りました。


そして、何も遮るものが無い空。雲が出ているのか、明るくないまでも灯されている風呂の明かりのせいか、星は余り見えませんでしたが、これ、満天の星空の下で入ったら相当気持ち良いはず!


もう少し長湯がしたかったところですが、多少酒も入り、つかれていることもあり、30分程度で上がって宿泊棟に戻ります。やはりラウンジでは、思い思いに風呂に行く人以外が集まり、宴会が始まっています。その内マスターも加わって、席はさらに賑やかに。


でまぁ、この辺からワリと記憶が曖昧なのですが、年配の皆さんと楽しく語らっているウチに、どうやら寝落ちをしてしまったらしくて、数分くらいと思うのですが目が覚めたら心配されてしまい、実際体の重さも相当なところまで来ていたので、恐らくまだ21時頃だったと思いますが、先に休ませていただくことに。翌朝聞いた話では、皆さん、その後も相当酔っ払って、ダンスとかを始めて深夜まで楽しんでいたとか。小さい一軒宿だからできることですね。


部屋に戻ってふかふかの布団に横たわって、即眠りの国の住人になったワシ。ですが、早寝が過ぎたか、深夜の2時くらいにぱちくりと目が覚めます。内湯は何時でも入って良いですよ、と言われてたので、ここは酒を抜くためにもと軽く浸かって、その後、鍵をちょっと開けて宿の外に出て見ますれば……。


建物からの明かりもすっかり消えきった雪の上、満天の星空が広がっていました。


寒さも忘れて10分くらいは眺めていたでしょうか。見覚えのある星座、見覚えは無いけど明るい星、普段の生活では見えていないであろう暗い星。大小様々なガラス玉をぶちまけたような空は、かつて波照間島で見たそれには適わないまでも、冬の凜とした空気の中で、揺るぎない輝きを誰に誇ることも無く輝いていました。


……余りにも長くなりすぎたので、まさかの、続く。


【参考】
網走ザンギ丼
http://www.abakanko.jp/food/
喜八
http://theearth.ftw.jp/u50446.html
流氷街道網走(道の駅)
http://www.hokkaido-michinoeki.jp/data/105/each.htm
流氷硝子館
http://www.ryuhyo-glass.com/
しば乃屋
http://www.net-run.com/shop/shop007.html
三香温泉
http://www3.plala.or.jp/sankospa/

フォトアルバム
https://picasaweb.google.com/111442518109141778806/sBEEhI#