コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

聖夜の道東弾丸独り旅2

ひとつ前、一昨日の日記の続き。


昨年12月25日の朝は、北海道は屈斜路湖沿いにある三香温泉にて、ひとり6時に起床。空の白み始めたころ、朝食の準備が進む宿の人、早起きしてラウンジで迎え酒を飲んでいる同宿の方に挨拶をし、朝風呂に向かいます。もちろん氷点下、夜以上の冷え込みすら感じる中、まだ薪ストーブもついておらず、早々に浴槽へ。

送信者 道東弾丸独り旅

あー、やっぱり気持ち良い!


太陽はまだ顔を出しませんが、黒さから濃い青色に移りゆく空の下、凜とした空気の中に温泉の湯気が白くたなびきます。朝焼けを待つ山の稜線に徐々に射す赤味が、徐々に天頂の空をも白くして行き、周囲をくっきりと見せます。林の向こうには、かすかに屈斜路湖。そこには白鳥も来ているのだとか。


やはり二、三十分ほどもお湯に浸かって、ラウンジへ。明るくなった窓の外には、木で作られた餌箱が置かれ、また鹿の脂というラードが吊され、鳥や栗鼠が来訪しては去っていくそうです。お喋りしていると、いろんな鳥がやってきますが、栗鼠は中々見えず、ワシが一度部屋に戻ったときに来たのだとか。タイミング、悪っ。

送信者 道東弾丸独り旅
<やってきた鳥>
送信者 道東弾丸独り旅
<煌々と燃えるラウンジの薪ストーブ>

暖かく品数も多い、やはり旅館の朝食というよりは美味しい家庭料理な朝食をいただき、またもラウンジへ。薪ストーブを囲んで珈琲なんぞをいただいていると、今がクリスマスでここが北海道で自分が独り旅であることを忘れそうになります。


三度露天風呂に向かうと、もう朝日が雪を照らし煌々と真っ白く光ります。湯舟にざぶんとつかり辺りを見回せば、太陽が立ち並ぶ木々の後ろに隠れていて、その木漏れ日と、温泉から立ち上る煙りが、寒空気の中ない混じって七色に光り、湯気のプリズムと立体的な影を作り出し……大変幻想的な、光の饗宴を見た気がします。


風呂を上がり、9時半頃になると、徐々に皆さんが旅立っていきます。まずは屋久島に向かうTさん夫婦が、宿のマスターやご家族、そして我々と、屋久島での再会を期して車に乗り込みました。といっても、まだ北海道を巡って、数日したら、小樽から舞鶴行きのフェリーに乗るのだとか。宿の前での記念写真には、ワシも写り込ませていただいちゃいました。


続いてすーさんご夫妻。終始賑やかなご夫婦でしたが、その勢いのまま、車に乗り込みます。ほぼ同時刻にMさんご夫婦……そして、ワシもMさんの車に同乗することに。実は昨夜の夕食の途中、明日帯広に向けてボチボチ帰るから、良かったら乗って行きなさいよ、と誘われており、今朝になってもお声かけいただいたので、これもご縁とご一緒させていただく事にしました。


元々は、摩周駅に戻って鉄道で沿線をぶらぶらしながら、釧路で何かテキトーに見て回ろうかな、と思っていたのが、車に乗せていただく事で急激にやれることが増えちゃいました。好きなところに寄って良いよ、と言われて、さてどうしようかと迷いつつ、車は宿を出発。


摩周駅に向かう道すがら、そういえばこの時期は白鳥が屈斜路湖にいるはず、ってことで、硫黄山川湯温泉の中を通って屈斜路湖に向かうことに。このあたりは何度か来ているのもで風景にも馴染みがありますが、果たしてこれも見覚えあるレストハウスに着いたところ、目の前の湖に浮かぶ白鳥の群れ!


……Mさんレストハウスで買ってきた餌をあげると大量に寄ってきたりと、ありがたみが無くなるほどの数でしたが、触れられるほどに白鳥に近付いて戯れられたのは楽しかったです。

送信者 道東弾丸独り旅
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<群れる白鳥&こっちみんな>

で、どうやら奥さんがタオルを宿に忘れたってんで、そのまま三香温泉に戻ることに。途中、屈斜路湖に隣接した無料の野天温泉「コタン温泉」を見学だけで案内したら、お二人は知らなかったようで今度来て見たい、とのこと。そんなこともちょっと嬉しいものです。


改めて宿を出て、前夜の宴席で話に出ていた「オーロラファームヴィレッジ」なるところに行ってみることに。お二人は行ったことがあるようですが、中々そこも野趣溢れる温泉だそうです。幹線道路から山道に入り、そこそこ登った先に受付、周りにはコテージがあり、施設の奥に温泉がある模様。


ここ、故児玉清氏のご家族がオーナーだとかの、本来は会員制の施設だそうで、とはいえ、ビジターにも開放しているとのこと。受付で料金を払い、温泉のところまで車で移動したところ、そこにあったのは掘っ立て小屋と言って差し障りの無い建物が幾つか。


ひとつは、入口こそ男女別ですが中は混浴になっているメインの温泉、横にはそれぞれ、男性用女性用の建物もあります。奥さんは、比較的しっかり作られてる女性用浴場へ。旦那さんとワシは、建て付けに不安を感じないでもない混浴の方へ。とはいえ他にお客さんもおらず、ワシらだけの貸切です。


さて、狭い脱衣所で服を脱ぐだけ脱いで、いきなり浴槽へ。頭上に屋根はありますが、目の前の小さい谷側は完全に開放されていて、なるほどこれはこれで気持ち良い。晴れていましたが雪の積もりまくった中で、でもこれもアルカリ泉か、トロッとした掛け流しのお湯に浸かっていると体はほかほかになります。

送信者 道東弾丸独り旅
<風呂とそこに浸かるワシ(お見苦しいですが)>

二、三十分くらい浸かって退出。500円でこのお風呂なら、わざわざ来るのは大変だけどちょっと寄る分には良いな、という感じです。で、ここに来る道すがらの山道から見える景色も中々に雄大で、「北海道」を感じられるものでした。ワシ的には、かなりその眺めがツボ。

送信者 道東弾丸独り旅
<どこまでも広がる景色……ですが、雪のおかげで遠近感がおかしい>

さて、温泉を辞して、じゃあ丹頂鶴でも見に行こうかと、釧路湿原の西側の道を、鶴居村という方に向かいます。実はワシ、これまで釧路湿原は、鉄道で来るか、車で来たときも、東側しか見たことが無かったんです。なので、西側は初体験。これも、車で案内していただいている嬉しさ。


鶴居村や、釧路湿原温泉ってのを横目に、鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ、ってとこを目指しますが……あ、あれ、道ばたに多量の丹頂鶴がおりますのことよ?


なんてことない幹線道路沿いの雪を被った牧草地で、百羽近い丹頂鶴が草をついばんでいました。これには、北海道出身のMさんご夫婦も驚いて、こんなにたくさん道ばたにいるのは見たことがない、とのこと。これから向かう餌場ですらこんなにはいないようです。いやぁ、運が良い。

送信者 道東弾丸独り旅
<ありがたみが薄れるほどの丹頂鶴の群れ>

とはいえ、その餌場(サンクチュアリ)にも向かうことに。ここはさすがにそれなりに整備されていて、丹頂鶴を撮影に来ているカメラマンもいるほどでしたが、確かにさっきの道沿いの方が数も多く迫力もありました。いやはや、自然ってのは面白いもんです。


丹頂鶴はすっかり堪能したので、釧路に向けて南下します。途中の、釧路市湿原展望台に寄ってもらい、先述の通り、初の西側からの湿原観測をすることに。……まぁ、なんか東側からの方が広く見えて良いかも。この建物、毛綱毅曠氏という、釧路出身の建築家の作らしいのですが、中々無駄のあrもとい、ユニークな作りをしていて、展示もそこそこ楽しめました。


車に乗り込みまた南下。そろそろ昼時も過ぎていたので、ご飯にしようかということで、お二人がご存じだった湿原に近い「青山亭」なる蕎麦屋に立ち寄ります。ここでは、幌加内そばなるそば粉を使っているようで、庭園の見える席に座って、ざるそばと、ワシはザンギ(鶏の唐揚げ)、奥さまとワシでビールを頂戴します。


味のほどは、まぁ、悪くは無いんだけど、取りたてて素晴らしいものでも無く、無難なざるそば。ザンギは熱々のジューシーさで美味でした。庭園の池は凍っていて、カラスが、氷の下の何かを食べたいのか、一生懸命突いていました。結局、開かなかったみたいだけど。


とうとう釧路市街に向かいますが、最短の道路は混んでいるということで、湿原の中を通る迂回路からアプローチ。湿原の中は、雪も積もっておらず、パッと見ここだけ秋のような枯れ草具合です。湿原の遠くに阿寒岳などの山々を見ながら進むと、道路沿いに鹿の親子が!少し車を止めて見ていると、一定距離を空けて向こうもこっちを見ている、そんなにらめっこをしてみます。

送信者 道東弾丸独り旅
釧路湿原の鹿>

市街地に入って、向かったのは「釧路フィッシャーマンズワーフMOO」という施設。釧路港に近いところにあり、水揚げされた魚介類はもちろん、水産加工品や釧路を始めとした北海道のお土産、それに釧路の観光案内や飲食店も入っている複合施設です。


中をふらふら見ながら、そろそろ帯広に向かうというMさんご夫婦とはここでお別れ。いずれの再会を約束して、見送ります。ワシはそのままお土産などを買いに中を見回り、ある程度買い物も済んだところで、さて今日の晩飯はどうしようか。

送信者 道東弾丸独り旅
<MOOから見る夕日。風景が日差しに融け込む>

どうやら釧路は昨今、いや、もしかしたら昔からそうだったかもですが、炉端焼きに力を入れているようです。そういえば、初めて北海道に来た15年くらい前、当時は意識してませんでしたが、この施設の近くで炉端焼き屋に入った記憶。ちょっと歩いてみたらそうと思われる店はその場所にもうありませんでしたので、釧路川を駆け上がる冷たい風に身を切られながら店を捜すことに。


結局、ケータイで調べて行った店が開いてるはずが開いて無く、先の施設の側にあった、無難そうな「煉瓦」というお店に入ります。お一人様でも入れますが、小さい焼き場に独り着席するのはちょっとむずがゆい。でもま、地ビールに日本酒、そして魚介類にジンギスカンと、バシバシ頼みます。味は中々の美味。まぁ、自分で焼いていることによるフィルターも掛かっているかもしれませんが。

送信者 道東弾丸独り旅
<魚介類を炉端で焼き焼き>

接客も悪くは無いのですが、もう少し焼き頃食べ頃など教えてくれたら嬉しいなー、と思いつつ、頼んだものが全て出てくる前に空港行きのバスの時間が近付いてきたので、慌ててお会計&退店。MOOのバスターミナルに駆け込んで、無事、バスに乗り込みます。


すっかり暗くなった中、うつらうつらと50分弱をバスに揺られ、たんちょう釧路空港へ。てか、この空港の名前なんとかならんか。エアーは出発が少し遅れましたが、心配された天候の影響も無く(釧路は日本でも有数の欠航率を誇る空港です)、無事、羽田までの帰路につきました。



そういえば、昨年は夏休みを取っておらず、まとまった旅に出ておらず、独り旅も、日帰り程度は何度かしてたかもですが余り出来ておらず、いわんや泊まりがけをや、といった感じで、徹底的に独り旅成分が足りていなかったのですが、この短い一泊二日(しかも仕事明けで出発)でありながら、北海道まで行って帰ってきたのは充分な独り旅充になりました。


そして、独り旅でありながら……あるいは独り旅だからこそ、今回の旅も出会いに恵まれました。三香温泉に行ってみよう、なんてのは出発前日に思いついたのですが、行ってみればこの有様、年配者の皆さまと楽しい夜を過ごし、そのまま次の日に送りがてらご一緒していただき、車でないと行けないところに何箇所も案内していただきました。


25日、2時頃に起きたtwitterに書きましたが、ふらふらとたいして縛るものもなく、好きな旅をして、美しい星空を見上げ、美味いものを食べ、心地よい温泉を浴び、ステキな人たちと知り合い、美味しい酒を飲む。


ああ、ワシはなんてリア充なんだ!





これだから、旅はやめられませんね。


【参考】
オーロラファームヴィレッジ
http://www.sip.or.jp/~aurora-farm/
鶴居・伊藤タンチョウサンクチュアリ
http://park15.wakwak.com/~tancho/
釧路市湿原展望台
http://www.kushiro-kankou.or.jp/tenboudai/
そば乃青山亭
http://r.tabelog.com/hokkaido/A0112/A011201/1008209/
釧路フィッシャーマンズワーフMOO
http://www.moo946.com/
炉ばた 煉瓦
http://www.renga.jp/

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