コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

勝手に飛び地

ワシの好きなイベントで、『大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ』ってのがありまして、まぁ、何度か日記に書いたこともあるので古くから読んでくださっている方はご存じかと思います。そういえば、三年前に行ったときの探訪記、3分の2書いて止まってるんだよな……。


公式サイト
http://www.echigo-tsumari.jp/
※サイト構成はかなりアレで使いにくいサイトですが。。。


で、今年は開催年になるんですけど、直前展&連続トークショーが渋谷ヒカリエで開かれ、初日が何かとお世話になっている東浩紀さんだったこともあり、行ってきました。このイベントの総合ディレクター、北川フラム氏との対談です。


直前展
http://www.echigo-tsumari.jp/calendar/event_20120516_01


でまぁ、対談自体はなぜかゲストの東さんが聞き役に回るというか、北川さんが話しまくる感じになるという、なんとも不思議なものでして、東さんのこのイベントへの意見を聞きたかったワシとしてはちょっと残念でしたが、北川さんの話にはこのイベントの裏話なんかもいろいろあって、それはそれで興味深いものでした。


本当に、ここで書くとアレなのかな、ってこともあったのでそれは置いておきますが、それをさておいても面白かったのが、秋田県のある村が、勝手に、もとい独自に「大地の芸術祭 飛び地開催」を名乗って、日程も完全にかぶせてイベントをやるらしい、って話。


その村とは、上小阿仁(かみこあに)村。年々人口が減少し、人口65歳以上比率が50%を超えんとする、いわゆる「限界集落」です。元々、前回の本家「大地の芸術祭」に、何かの作品とリンクして参加していたらしいのですが、


『このことがきっかけ、十日町市仁田地区と上小阿仁村小沢田地区の交流が始まり、上小阿仁村で行われている万灯火を仁田で開催するなど、お互いの地域を行き来しながらの活動が、大地の芸術祭総合ディレクターに評価され、第5回大地の芸術祭、飛び地開催を上小阿仁村で行うことが決まりました。』(上小阿仁村のサイトより引用)


総合ディレクターの北川フラムさん曰く、「全然知らないところで決まっていたし公認もしていない。まぁ、こうして自発的にやってくれるのは良いことなので、OKなんですけど」……まぁ、ある種の「二次創作OK」みたいなもんでしょうか、イベントの二次創作。


結果オーライですけど、自治体がやることとしては結構綱渡り。や、もしかしたら北川さんがご存じないだけで、例えば実行委員の十日町市上小阿仁村ではナシがついているのかもしれませんがね。


上小阿仁村公式サイト
http://www.vill.kamikoani.akita.jp/forms/top/top.aspx
大地の芸術祭 飛び地開催情報
http://www.vill.kamikoani.akita.jp/forms/info/info.aspx?info_id=25908


ひょんなことから知った「上小阿仁村」という場所。で、ちょっと調べてみただけですが、この村、結構様々な問題というか、課題を抱えているようです。


長年村長を務めていた人物の退任により開かれた村長戦は、村を三分する戦い。結果が出た後もしこりが残っていたであろうことは想像に難くなく(まぁ想像ですが)、前任者は一期で落選。さらに、いわゆる「無医村」問題解決として村に赴任してきた医師は、一部村民の嫌がらせを受けて辞任が相次いだとか。


その嫌がらせというのも、直接的なものから、村出身の若者が関東圏からソーシャルメディアを活用するなど、妙に現代的。まぁ使い方としてどうかとは思いますが。


ソースはWikipedia2chですが、まぁそこでリンクを貼られていたアレコレはそれなりのソースだったので、この人口2500人の小さな村で何が起こっているのか、ステレオタイプ的ではありますが想像ができます(あくまで想像ですよ!)。


上小阿仁村 Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/上小阿仁村
上小阿仁村 - 新小児科医のつぶやき
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20100313


限界集落の問題に加え、村八分、無医村、僻地医療、集落内闘争と、もしやこの村は日本の過疎地の問題を一身に背負っているのではないか、とも思えますが、あるいはたまたま表に出てきただけであって、こういう場所は多いのかもしれません。


あと、ワシがふと気付いたのは。ノイジーマイノリティによる炎上(医師への嫌がらせ)や、あるいは三つ巴の争いなんかは、いわゆる「ゲハ厨」と呼ばれる人の、ちょっと前なら「Wii」「PS3」「Xbox360」各信者の争いを思わせますが、この村の抱えている問題って、ネットの問題と類似してるな、って点。


すなわち、過疎地で起こっている問題、課題と、ネットという一応現時点で最も新しく一般的なインフラで起こっている問題、課題って、根っこは違うかもしれませんが、結局やり口は変わってないんだな、ということ。


これは掘り下げてみると、案外いろんな気付きがあるかもしれません。


てことで、(自称)飛び地開催を行っている旅館も一軒しかないらしいこの村に行くかどうか、迷いもあるのですが、それとは違う意味でちょっと注目していきたい場所です。