コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

友人巡礼〜久高・沖縄の旅1〜

この二ヶ月ほど、ワシは怒濤の旅三昧ですが、今回もそもそも、違う場所を巡るチケットをマイルで取ったのが最初。でも、そこに行くならマイルじゃなくても安く行けそう……ってことで、マイルはもっと高そうなところの往復に使おう、という目論見から、じゃ、梅雨も明けたくらいの沖縄に行ってみっか、と、日時と経路変更をしたのが、二ヶ月くらい前。


……仕事の状況的に、行けなければ再延期、くらいの覚悟はあったんですが、まぁとある担当する発表会が出発二日前に入ったりしつつここの週末はなんとか旅先にノートPC持っていけば対応できそう、ってことで、強行することに。7月20日の金曜日に代休をとって、土日とあわせて3日間。手配便の関係で帰京は月曜朝イチ→そのまま出社、という行程のメインに据えたのは「久高島」。


沖縄開闢の神話の残る、神の島です。



20日金曜日。


木曜の夜、会社の友人たちと飲んだくれて帰宅をし、金曜日朝が5時起きの緊張感から、酔いながらネットサーフィンとかをしていたらもう起床時間。珍プレーだか好プレーだか分かりませんが、パッキングをして羽田空港に向かい、無事、沖縄行きの全日空便機上の人に。


今回、ほとんど那覇にいる時間はないのですが、その短い4時間くらいの間に、沖縄に住む友人二人と会うことに。空港にはその一人目、かつて同じ宣伝の部署にいた友人が、4歳の息子と一緒に車で迎えに着てくれました。東京にいるころ一緒に遊んだこともある娘さんは小学生ということで学校、旦那は東京で仕事中と言うことで不在。


まずは腹ごしらえと、旭橋近くの「ジャッキーステーキハウス」へ。11時開店で、10分後くらいに行ったらもう駐車場がいっぱい。ナニゲに人気店です。近くのパーキングに駐めて店内にはすぐに入れましたが、いわゆる沖縄によくあるアメリカンなステーキハウスです。肉はオージーだったけど。


ロースのニューヨークステーキを頼んだところ、友人から「まずいけど癖になる」と聞いたスープが付いてきまして、飲んだところ、確かに美味しくない。小麦粉に何かを味付けしたジャガイモと人参のスープなのですが、なんだろう、と飲んでいるウチに空になりました。恐るべし。


肉は、まぁやはりこういう店に良くある大味なものですが、バーベキューなステーキソースを掛けて食うと中々の味。悪くないです。11時半になるころには待ちの列が出来るほどで、個人的には並びすぎじゃね、と思わないでもないですが、人気のようです。


飯を食いながら、友人とは久々の歓談。彼女は沖縄に越してきてから約1年。きっかけは東日本大震災、そして原発事故でした。小さい子供二人を抱えて東京を離れて沖縄で子育てをする決意をし、旦那は東京で働いて月に何度か沖縄にくる、という生活。やはり、本土から来た人と沖縄の人の間には、風習や文化の違いが少なからずあるようで、それなりに大変な様子です。


食事の後は、友人が最近行って感動したという、首里城に隣接した「玉陵」(たまうどぅん)へ。琉球王家のお墓のようです。息子さんが通う幼稚園(兼教会)に車を置いて歩きます。吹き出す玉のような汗、というか滝のような汗。夏の沖縄に来るのは数年ぶりですが、暑さを嘗めてました。というか、前夜寝忘れたのを忘れてました。結構、体力消耗。


玉陵は、一見公園のようですがこれでも世界遺産(の一角)のようです。入場料を払ってまずは資料館を見ますが、冷房が壊れていてここでも吹き出す汗。それでも、土葬をして、洗骨して、改めて安置する、という風習や、そのせいでしょうかどでかい骨壺の展示などを見ながら、実際の墓陵へ。


ここは、第二次大戦の影響で一時期崩落していましたが、王家を尊重する地元の人々によってアメリカからの返還後に再建されたそうです。とはいえ、首里城のように派手派手に蘇るのではなく、あくまで墓としてしずしずと復元されています。霊感の無いワシは、神聖な空気こそそんなに感じませんでしたが、寂れた石作りの墓陵に凜とした思いを抱きました。



玉陵


駐車場に戻る道すがら、「首里劇場」という超寂れた劇場なんかを教えてもらいます。外から見ただけでしたが、それはもうものすごい古い建物で、むしろ中の見学をしてみたいものですが、これでも現役の映画館で、しかもポルノ映画。「豪華三本立て700円」らしいので、ポルノ映画はともかく、時間があれば700円払って中を見たいほど、廃墟の一歩手前でした。なんでも、沖縄最古の映画館だとか。


良い時間になったので、次の友人との待ち合わせ場所に送ってもらうことに。市街地の渋滞は想定内でしたが、それでも待ち合わせに少し遅れて、那覇バスターミナル前の商業施設で降ろして貰い、こちらの友人親子とはサヨナラ。


次の友人も会社の元同僚で、仕事は違いましたが何度か飲みに行った仲。会社を辞めて沖縄の人と結婚し、こっちに落ち着いています。昨年、沖縄国際映画祭の仕事で一週間ほど沖縄にいた時は、旦那を紹介してもらいつつ観光客がなかなか行かない酒場を教えてもらいました。


今日は旦那さんはいませんでしたが、カフェに入って他愛も無い話で盛り上がります。まぁやはり、久しぶりですから痩せたことを驚かれながら、沖縄の暮らし、沖縄の旅、これからワシが向かう久高島の話などをしていたら、あっという間に40分ほどが経って、ワシがバスに乗る時間に。



これからパート先に戻る友人と別れ、ワシは那覇バスターミナルへ。14時50分発の東陽バス38番系統「志喜屋」行き、ってのに乗って、久高島へ渡る船の乗り場がある「安座真港」を目指します。1時間ほどバスに揺られて降りたのは「安座真サンサンビーチ入口」。ここから徒歩3分ほどで港に到着。


往復チケットを買いますが、出港まではまだ1時間20分ほどありますので、切符売り場に荷物を預かってもらうよう頼み込んで「斎場御嶽」(せーふぁーうたき)へ行ってみることに。切符売りのお姉さんに「1時間ほどで往復できますかね?」って聞いてみたら、苦笑しながら「歩きだとギリギリですかねぇ、船出たらここ閉めちゃいますから!」と悪い方向に念を押されてしまいました。


歩き始めますが、夕方の強い日差しを浴びながら、港から御嶽までの登り坂を行くのがしんどい!眺めこそ気持ち良いですが、それを楽しむ余裕もなく、帽子からシャツ経由でパンツまで、びっしょり汗だくに。時間が無いという思いから早歩きにもなり、発汗と疲労をさらに後推しますが、その甲斐あったか25分ほどで御嶽の入口に到着。


入場券を買って、斎場御嶽内に入ります。ここからは琉球の聖域。真の意味での聖地巡礼と言えます。そもそも「御嶽」(うたき)とは、琉球の信仰において祭祀を行う場所。ここ斎場御嶽は、その中でも最高位とされるところで、世界遺産でもあります。


斎場御嶽の最奥部、「三庫理」(さんぐーい)と呼ばれる拝所からは、木々の合間に久高島を臨むことが出来ます。どうやらその「見える」こと自体に宗教的な意義は無く、たまたまのようですが、実は4年前にも来ているこの場所、今回は久高島に渡ると言うことで、どうしてもここから、礼拝をしたかったのです。


青天から夕焼けにと切り替わりそうな時間、巨大な岩の奥にある拝所、入り組んだ木々の間に出来た隙間から見える、青い海に浮いた緑色の平べったい久高島。沖縄開闢最重要の聖地とされ、同時に「何も無い」と評される人口250人ほどの小さな島に、向かう前に一礼することが出来ました。



三庫理から久高島


すっかり斎場御嶽の敷地内で時間を使ってしまいまして、急ぎ、港に戻ります。帰りは下り坂だし道も分かっているしで、20分もかからずに安座真港到着。出港まで15分くらいもありますので、島では買うのが難しいと言われた酒を売店に捜しますが無く、また店も遅くには開いてないからと非常食代わりに沖縄のお菓子を購入。


久高島から渡ってきたフェリーから降りる人は案外多く、恐らく日帰りで行った観光客の皆さんなんでしょう、最終のこの船で帰ってきたようです。逆に、乗る人間は島の人がほとんどで、観光客はワシの他にカップルが1組くらい。最終船に乗っている以上泊まりの客のワケで、宿泊施設が少ないことを思えば然もありなんかもしれません。


島へ持っていく荷物を積んでいたようで5分ちょっと出港が遅れましたが、まぁこれはそういうもの。フェリーは意外に高速で風を切りながら久高島に向かい、20分ほどの船旅を経て徳仁港に到着。


港からの道は意外に何本もあって、さてワシの泊まる宿はどの道から行けば良いのかしらん?と、一応ネットで出した地図を見ながら歩き始めます。そうしたら、遅くまでやってる雑貨屋、とネットに書いてあった「すみれストア」を見つけて立ち寄ってみることに……おお、ビールも泡盛も食い物も売ってるじゃん!


てことで、取りあえずオリオンビールの缶を4本ほど買い込んで、おかみさんに道を聞いて宿へ向かいます。ほんのちょっと遠回りをしたようですが、無事久高島での宿、「久高島宿泊交流館」に到着。島の人でしょうか、真っ黒で精悍なおじさんが受付で、レンタサイクルの手続きをしたら島の地図もくれました。



久高島宿泊交流館は最近出来た施設のようで、久高島を盛り立てようとしているっぽいNPO法人「久高島振興会」の関連施設、のようです。ここが出来るまでは民宿が三軒、というのが久高島の宿泊規模だったようですが、宿泊以外の施設も併設されてそこそこ大きく、宿の人や他のお客さんとも一定の距離が保てるこの施設は、民宿とは棲み分けがされているっぽいイメージです。


そして、二階建ての建物の上にさらに屋上があって、恐らく、一般人が入れる施設としてはこの島で最も高い場所になるのではないでしょうか(他は、水道塔や電波塔)。てことで、ワシはそこに陣取り、夕焼けを眺めつつ撮影もします。今回はムービーカメラも持ってきていて、いずれ、動画編集しようという目論見。


日も沈んだので何はともあれと晩飯どころへ。日が沈んだ後のこの島では、港に近い「とくじん」というお店しか食堂が開いていないということで、向かいます。ここもそこそこ綺麗で広く、入口で食券を買うスタイルで、どうやら先のNPO法人も関わりあるようですが、なんにせよ島っぽいものを頼んでることに。


名物の「イラブー汁」もあるようでしたが、そこそこお高いしあまりピンと来なかったので、「ニガナ和え定食」を注文。ニガナ、とはこのあたりの薬草のことで、やってきた料理は細く切られた紫蘇のような緑の草に、刺身が和えられた品。ちょっと癖はありますが、中々に美味しい。


他にも、オリオン生ビールのツマミにと「島の天ぷら盛り合わせ」を頼んだところ、もずくと白身魚の天ぷらが出てきました。塩を付けていただきますが、これも中々。酒のアテにも良いですが、ご飯のおかずにもなりそうです。もずくは、定食に付いてきた汁にも、素麺のような細麺と一緒に入っていました。


イラブー酒、というのがあったので、こちらも一杯。って、これはアレですね、沖縄の土産物屋でたまに見る、泡盛に海蛇が漬けられているヤツですね。かなり癖が強く、アルコール度数もそこそこあるようで、ちょっとワシの舌には合いませんでしたがそれでもストレートで一杯飲みきりました。これはあれですな、薬用酒というか、滋養強壮ですな。



左上から右回りに、イラブー酒、オリオン生、ニガナ和え定食、島の天ぷら盛り合わせ


満腹になった上、それなりに酔いも回ってしまいましたので、ふらふら歩きながら宿へ、の道すがら、宿に近いビーチへ降りてみます。まぁ、ほとんど街灯が無い集落内からそうだったのですが、それはもう、満天の星空。薄い雲のような筋は天の川でしょうか。だとしたら、波照間島で見て以来の4年ぶり天の川。


波の音だけの響く中、月明かりも無く真っ暗な空に、こぼれたダイヤモンドの欠片が幾重にも散らばり、静かな島に静かに降り注いでおりました。



ジャッキーステーキハウス
http://www.steak.co.jp/
玉陵
http://www.churashima.net/shima/okinawa/isan/20010301/03.html
首里劇場(アダルト表示有り)
http://www.shurigekijou.com/
斎場御嶽
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%96%8E%E5%A0%B4%E5%BE%A1%E5%B6%BD
久高島宿泊交流館
http://www.kudakajima.jp/kouryuuukan.html
とくじん
http://www.kudakajima.jp/tokujin.html