コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

ほんのまくら

特にソーシャルメディアで話題になっている、紀伊國屋書店新宿本店の「ほんのまくら」フェア。


【新宿本店】「ほんのまくら」フェアのお知らせ
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「本の書き出しってどうするか迷うよね」という作家の気持ちに注目して、その書き出しをブックカバーに印刷、購入者はその書き出しのみから本を選ぶ、という「本の闇鍋」です。ラッピングされてますから買うまで書名もジャンルも分かりません。どれも文庫本なので、価格帯も安いのが助かります。


これ、本好きには結構たまらない「出会い」の形。ありそうでなかった切り口で、いわば、たった一文に込められた作家の感性と自分の感性とのお見合いみたいなものです。


そんで昨日、ワシも行ってきました。100冊の「まくら」が書かれた本がフェアの対象ですが、人気が有りすぎて一時期2冊にまで減ったのだとか。盆前に入荷して少し回復しつつ、それでも8割。盆で物流が止まっているせいもあるのでしょう、ワシが行った時は5割程度の陳列状態でした。そして、結構な人だかり。


在庫率が低いのは聞いてましたし、この日は一冊に絞って買おう!……と思ったのですが、あれこれ「まくら」を読んでいるウチにどうしても気になる作品を絞り込めずに、結局4冊買ってしまいました。それが写真一枚目。


基準は「普段読まなそうな気がする」上で「心を掴んだ」書き出し。


家で開けようとワクワクさんでの帰り道、twitterでリプを貰った近所の友人が、そういえば数日前に旦那と行ったと言ってたな、と思い出して、ジャストアイデアで「見せ合いっこ飲みしない?」と提案してみたらOK、開封もその場で行うことにしました。


友人夫婦とまずは「まくら」の見せ合い。旦那は一冊だけ買って、それがワシの四冊と被っているっ!とんことで「これじゃないですか?」と取り上げたのがビンゴ。うん、ワシはこの人のことを良く分かっている。笑。


奥さんが買った四冊は写真二枚目。なるほど気になります。その中身を見せて貰いつつ、ワシの買ってきたものも開封タイム。


「あー、なるほど」
「へー、意外!」
「誰これ」
「この装丁だったら、普段なら絶対手を出さないよね」


と、わいのわいのと文芸トークで盛り上がりました(ちなみに全員、某日芸の文芸学科出身)。


なお、ワシの四冊は、小説が三冊と超短編の小説のような詩集のようなものが一冊。読んだことある作家が一人、きちんと読んだことないけどエッセイや戯作を知っている作家が一人、後の二人は初めての出会いとなりました。


普段、自分が書く時って、それが小説でも論文でもメディア向けの資料でも、時によってはこういう日記的な文章でも、書き出しはすごく考えます。が、いざ自分が小説を読む時って、書き出しは注目しますが、そこだけで読む読まないを決めることはありませんし、いつまでも覚えている書き出しってそうそうないのが実際です。


でも、ここにこそある「産みの苦しみ」を、きっちりエンターテイメントにした紀伊國屋書店の企画に脱帽です。


そしてもうひとつ。これはいつかも書いたかもしれませんが、こういうものをキッカケにでも、きちんと「本」の話が出来る、もう少し広げて「物語」の話が出来る仲間なり友人なりの存在って貴重だな、改めて思いました。


高校まではそこまで意識していませんでしたが、大学でそういう環境に身を置き、やはりあの時はいつまでもそんな話が出来て楽しめていた。社会人になってから出来た友人達ももちろん大事ですが、あの仲間達が日常生活の中にいていつでも話せた時代は、つい思い出してその貴重さに感謝するのです。