コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

超速登山と雨中行軍

「北のカナリア」という今秋公開の映画が礼文島がロケ地としり、そういえば前に行ったのは五年前だなぁ……と回想し、そんじゃちょっくら行ってみるか、と諸々手配してこの三連休を使って、礼文島(五年ぶり二回目)と利尻島(初)を旅しています。


金曜日、仕事を早めに切り上げて夜の飛行機で札幌入り、夜行バスへの乗り換えの合間に駅ビルで食べた「麻ほろ」なる店の自然派ラーメンとやらは結構美味しくいただきましたが、ともあれ晩飯&移動込み50分でなんとかバスターミナルに間に合い、早朝の稚内に向かいます。


本当は、土曜日に稚内までばびゅーんと飛行機で飛ぶって手段もあったんですが、便数も少なく島に渡るフェリーが夕方の最終便になってしまうので、島滞在時間を増やすべくちょっと無理して前夜入り&夜行バスに乗ったのです。帰りも同様の理由で、月曜最終フェリーからの深夜バスで札幌、朝の飛行機でそのまま出社予定。


twitterとか位置ゲーとかやってたら結局3時間も眠れませんでしたが、ともあれ土曜日6時20分のフェリーでまずは礼文島へ。そういえば五年前も、ニコニコの何かの発表会の会場下見をしたその足で同様のルートで礼文島に渡ったんだった。


前回は桃岩荘という風変わりで有名なユースホステルに泊まりましたが、酒が飲めなかったのが残念だったのもあり、また少し自由度を高めたかったので民宿。とはいえ、礼文に詳しい友人に教えてもらった、桃岩荘と同じオーナーがやっているという「はな心」。港に早速迎えに来てくださっていたので、荷物をひとつ預けて「礼文岳」に登ることに。


登山口に送ってもらいながらドライバーさんと今日の予定を話したら、「それはちょっと……無理だと思いますよ……走れば別ですけど……」という返事。てのも、島内のバスの本数が少ない中でそれにあわせないと移動が難しく(タクれば別)、それを踏まえると、本来三時間半かけるべき礼文岳登山を二時間半でこなし、「四時間コース」と言われるトレッキングも全く余裕が無い時間組をしなければならず。


分かっちゃいたのですが「まぁバス乗り遅れたらそれぞれなんとかしますよー」とお気楽に返事をして礼文岳登山口で降ろしてもらいます。よっしゃ、やったるで!


結果としては。登り70分(標準2時間)下り65分(標準1時間30分)という、我ながら恐ろしいタイムでバスの来る3分前にバス停までたどり着きました。何が恐ろしいって、片道4kmの山道を、1kmあたり18分で登り、16分で下ってきたこと。ありえん……ていうか、山登り素人のワシが言うのもなんだけど、これは真似してはいけない。


山登りそのものは、自然豊かな林道の中を行き、そんなにきつい登りも無く、曇天でしたが頂上からの景色も素晴らしい広がりで、時間が無いことを除けば素晴らしい登山でした。まぁたかだか490mだから、ってのもあるかもですが。


バスに揺られて礼文島の最北端、日本「最北限」という言われ方もするスコトン岬へ。売店で利尻昆布仕込みという「礼文ビール」を気付けに飲んで、礼文島のトレッキングコースのひとつ「四時間コース」に歩き出しますが……少ししたら降り始める雨。すぐやむかと思いきやむしろ強くなり、雨具を使わないとしのげないほどに。


ていうか、雨具を使う判断が遅かった。服や頭がぐっしょり濡れるのは大してしんどくないんですが、靴の中に入ってきてしまった!ゴアテックスとはいえ、隙間から入ればどうしようもありません。てことで、体力以上に気力が必要なトレッキングが始まったのです。


雨は降ったりやんだり。足元はぬかるんだりで、コンディションは最悪。それでも始めてしまったものは完遂しないと気が済まない性格が、途中途中のエスケープルートへ足を向けず、平地で足を前に出すのすら厳しい疲労にも襲われながら山道も登り、泥に足をとられて転んだ時は泣きたくもなりましたが、なんとか二時間半かけて目的地「澄海岬」へ到着。いやー、売店でのビールとつぶ貝と生ウニが最高に美味い!


雨の中とはいえ4時間コースの景色はそれなりに堪能し、澄海岬も曇天でエメラルドグリーンというにはくすんでいましたがそれでも美しさ入り江を楽しみ、でもバスに乗るには舗装道とはいえここからさらに1時間以上歩かねばならない荒行を受け入れ、再び、トレッキング開始。残り3分でまだバス停が見当たらない恐怖にかられながら、最後は重たい足で無理矢理走り込んで、ギリギリ乗車!


宿に戻る前に、香深に新しくできたという「礼文島温泉うすゆきの湯」に浸かります。正直、温泉としてはたいしたことありませんでしたが、綺麗な設備と広い風呂に疲れきった足を浸して、ひと時の癒しを得ました。


迎えに来てもらって宿へ。民宿とは思えないほど綺麗で風呂もそこそこ広く、正直温泉行かなくてもゲフンゲフン。料理も美味しくて、桃岩荘を知って同じオーナー、と聞くと信じられない良クオリティーでした。あえて残念なところを言うなら、日本酒が国稀と聞いて頼んだら本醸造だったようで臭みがあったのと、白米がジャー炊きの匂いだったことくらいかしら。


後輩の紹介ってことで、宿のお姉さんにもオーナーにも挨拶に来ていただき、ちょっぴりサービスなんかもしてもらい恐縮至極。いやー、その後輩とは腐れ縁ですが、たまには良い仕事するじゃないか。


部屋に戻って20時半。ものすごい眠い。そりゃまぁ、仕事終わりで飛行機乗って夜行バス乗ってありえん速度で山登って雨中をグショグショになりながらトレッキングして風呂浴びてたらふく食って飲めば、疲れますわな。むしろ35歳の割には頑張っているんじゃ無いか。てことで無理はせず、さっさと就寝いたしました。


写真。一枚目は礼文岳山頂から島の北方、二枚目は澄海岬の売店で飲食したビールとつぶ貝と生ウニ、三枚目は澄海岬。