コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

ミクさんマジ新境地

また一週間経ってしまいましたが……。


先週の日曜日、雨そぼ降る中、横浜八景島シーパラダイスに行って参りました。まさかの初シーパラダイスが男一匹で行くことになろうとは……到着までは特に気にしていなかったのですが、なるほどあそこはカップルか家族で行くものなのですな!(ぽむ!)


さておき。ワシの目的はそこで行われている「ANGEL Project presents −HATSUNE Appearance −」プレビュー公演の観覧。ご案内をいただきまして、お、これはもしやまた、初音ミクにまつわる新しい何かが見られるんじゃないかしら、と飛びついてしまいました。


「39's CARAVAN」による「横浜八景島シーパラダイス特設サイト」
http://www.mikuevent.com/pc/hakkeijima/index.html


現地に行ってようやく理解したのですが、元々、八景島シーパラダイスで「初音ミク夏祭り2012」というのが開かれていて、その中のひとつのイベントとして開催されていたのが先の「HATSUNE Appearance」。ショッピングモール内の決して大きくは無い場所を会場に使われていて、到着までに迷ってしまったのもご愛敬。


でまぁ、そのイベントの内容と経緯はアスキーさんの記事にまとまってたりしますが。

八景島に天使が降臨 『HATSUNE Appearance』ライブステージを全身で体感せよ!
http://weekly.ascii.jp/elem/000/000/107/107524/

つまりは、アスキー・メディアワークス(AMW)さんの有志、というかミク廃としても有名な同社の福岡氏と愉快な仲間たちで主催、企画している、初音ミクのライブ、ということです。ミク(ボーカロイド)のイベントと言えば「ミクの日感謝祭」や「ミクパ♪」などが有名ですが、8月のジョイポリスといい、あるいはユーザー主体のものといい、大小様々に開かれています。こないだテキストにもしました、大学の先輩&後輩の有志イベントなんかもありました。

GUMIの「日大」感謝祭
http://d.hatena.ne.jp/tomosaku/20120903/1346633770



会場は100人ほどが入れるくらいでしょうか、前方のステージにスクリーンが貼られているのが薄暗い中にも見えます。ミクのライブと言えば「ディラッドボード」という、後方からのプロジェクター投影で3D感を出す透明スクリーンでのものがもっとも知られていると思いますが、このスクリーンはまた違い、しかもステージを縦横前面に覆っています。(ディラッドは高さ3mくらいで横幅にも気を遣います)


果たしてライブ開始。冒頭こそ、スクリーンに映るミクの映像も平坦に見えて、んー、そんなにでも無いのかな……と少し覚めた目で見ていましたが、その演出が分かってくるにつれて徐々に泡立つ肌。軽く鳥肌が立ってまいりました。終演から一週間経ってますから、多少のネタバレもご容赦いただきつつ書きますが……。


映像の立体感そのものは、ディラッドでの演出に比べて大したものではなく、もちろん最低限ではあるのですが、そこはMMDの力も大きいところ。ところがそれ以上に、このステージ上を縦横無尽に貼られたスクリーン上を、ミクが動き回り、飛び回り、そして「バラバラ」になるのです。


「バラバラ」とは、ミクがデジタル処理を施されたかのようにドット上に分割していき、違う場所に再構成される……SF映画なんかならよくある、分解と再構成のデジタル処理的演出。ミクが「電子の妖精」であることを最大限に活かした世界観の構築。


さらに、スクリーンの背景、ステージの背後には別ソースでの「プロジェクションマッピング」が施され、前面のミクと併せてこれこそ「立体的」な演出を魅せてきます。


プロジェクションマッピングは、最近はよく聞くようになりましたが、先日ジョイポリスのミクイベントでも使われていました。ただその際は、ミクはディラッドの中を動き(ディラッドの間近で見たので繋ぎ目の線が気になって仕方なかった……)、プロジェクションマッピングは左右の壁に投影されていたので、あまり結合した演出に感じなかったのですが、こちらではそれがきっちり重なってました。


そしてレーザーの照射。これもスクリーン特性からかしっかりと映っていて、さらに立体感に華を沿えていました。(レーザーの中身はもう少し凝っても良かったと思ったですが)



これまでの初音ミクのライブは、とにかく「ミクを人間っぽく見せる」ことに腐心してきた感があります。ワシはディラッドを使った最初のライブから拝見しており、その時の衝撃も覚えていますしテキストにもしたためましたが、基本的にはそこからの正当進化を遂げている、と感じています。


その時のテキスト→『現象から存在へ』
http://d.hatena.ne.jp/tomosaku/20100401/1270133778


ところが今回のライブは、その流れに一石を投じたのかもしれません。なるほど「人間っぽく見せる」=「モデリングや映像投影の3D感を高める」のではなく、その部分は最低限に保ちつつも、デジタルであることを活かした演出を施し、またミク以外の要素も使ってステージ全体の「立体感」を出す、という。


これは面白い。なかなかに新境地。


ミクを「人」として現実に顕現させるのではなく、あくまで彼女は「電子の妖精」であり、その自由闊達さを活かして、ある意味ではより「非現実的」にエンターテイメントする。このライブに感じたすごさはそこでした。


そんなに新しい技術とかに明るくないワシですし、(そんなワシが言うことでもないですが)まだまだ荒削りなところも多少見受けられたイベントでしたが、この展開にはまだまだ多くの可能性と方向性が秘められているんじゃないかな、そんなことを感じました。