コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

秘境駅その2〜海岸に吹き付ける風

前回のテキストの続き。


秘境駅の旅一日目は竜飛海底駅でしたが、函館から出発します二日目は「キング・オブ・秘境駅」の名高い(一部で)、小幌駅。前回紹介した「秘境駅へ行こう!」のサイトでも1位にランクされています。室蘭本線の駅ですが、各駅停車の列車ですら通過するものが多く、停車列車は1日上下線合わせて8本、ワシも過去特急電車で通過したことがありますが、駅のあるトンネルの合間は数秒で通過してしまいます。さて、ネットで写真などは何度も見ていますが、実際はどんなところやら。


秘境駅へ行こう!」
http://hp1.cyberstation.ne.jp/hikyoueki/



深夜の風雨はどこへやら、5時過ぎに目覚めた時は空は穏やかに収まっておりました。昨夜入りそびれた大浴場で人心地をついて、今朝の集合時間は6時10分。7時の列車に乗るせいもあるのですが、その前に函館駅前の朝市に行って朝食を所望するのです。


少し市場の雰囲気を見ながら、朝からの飲食店が建ち並ぶどんぶり横丁へ。やっぱりここは海鮮丼だろう、と言いつつ店も多いので、一通り見て、昨夜食わなかった「カニ」の丼の豊富さと店名で「恵比寿屋食堂」へ。いやほれ、恵比寿に会社を持つ人とかいたので。ワシだけ朝っぱらからビールを煽りつつ、頼んだ丼はあぶりタラバ丼。見た目、あり得ないほどのシズル感で、味の方もカニのジューシーさがたっぷり味わえて中々。もう少し味に変化を持たせたかったところ。

送信者 秘境駅の旅<小幌駅&竜飛海底>

このシズル感!


函館駅に戻って、7時4分のスーパー北斗1号で、まずは長万部へ。そういえば二ヶ月前、長万部の町会議に行った時もこれに乗ったのでした。大沼や内浦湾を眺めながら1時間ほどで長万部到着。50分ほどの乗り換え待ち合わせ時間を使って、朝の、人通りもまるでない街中を散策。町会議の会場になった公民館的なところ、町役場とその裏の海岸なんかを巡って、再び駅より各駅停車に乗り込みます。


小幌駅は長万部駅から二駅。一駅間が長いのでそれでも10分以上乗っていますが、秘境駅のキングに降り立つ興奮が静かに沸き立ちます。何も無い何も無い、とはよく聞きますが、どれだけ何も無いのだろう。と思っているウチに長いトンネルに入り、やがて間もなく駅に停車する旨の自動アナウンス。出口の明かりを見たら、そこはもう小幌駅でした。


降車したのはワシら4人のみ、でしたが、なんと乗車してきた人が3人。見るからに釣り人のようで「たまに釣り人が降りる他は物好きしか降りない」を地で行く乗降でした。扉を閉めて走り去る列車。あっという間に静かになりました。こここそが「キング・オブ・秘境駅」!

送信者 秘境駅の旅<小幌駅&竜飛海底>

ホーム。長万部方面のトンネル。
送信者 秘境駅の旅<小幌駅&竜飛海底>

ホーム2。室蘭方面のトンネル。


ホームこそ一応コンクリートで作られ、かつての仮乗降場や信号場が駅になった「板きれ駅」よりは立派ですが、駅の左右はトンネルで、その間は100mもあるかないか。後ろも山で道もありませんから、三方が完全に断絶された状態で、唯一前方に、海へ至るのであろう森があります。


散策前にまずは駅を堪能しよう、と撮影を始める一行。と、折り悪く雨が降り出してきました。が、保線用の機材でも入っているのでしょう、一応幾つかの建物はあるのですが当然鍵は開いておらず、雨宿りが出来るような場所も無いので、早く過ぎ去ってくれるこをを祈ってわずかなひさしの下に逃げ込みます。幸いにも、数分で雨雲は立ち去りました。


と、鳴り響く警告音。列車が接近してきたようです。秘境駅とはいえそこは北海道の主要路線ですから通過列車は何本もあり、左右をトンネルに囲まれたここでは列車の来る3分前くらいには警報がなります。近付いてくると自動音声が列車の接近をつげ、一応存在する踏切の遮断機が降ります。列車がトンネルに入ったか、吹き出す風が徐々に強くなってきたな……と思ったら、ヘッドライトの明かりが見えて、警笛を鳴らしながらあっという間に通過。

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通過する模様。


ほんのすぐそばを早い特急が走り去っていくのはこっちとしては少し興奮ですが、列車の運転手からしたら暗いトンネルを抜けた先、滅多にいないはずのところに人がいたら怖いだろうな、と想像。まぁ物好きがおりますから、慣れているのかもしれませんが。


雨もやんだし探検してみよう!ということで、駅の室蘭側に見つけた獣道を歩いて行くことに。情報では、海に至る道と、海岸や観音様に至る道案内の看板があるとのこと。森の中を行く獣道は、しかし看板が見えてきません。そんな中、何に使うのか木に垂れ下がったロープがあったり、妙にしっかりした木を使った野生のベンチが置かれていたりします。


5分も歩かないうちに、道は崖の様相。一応、ロープや簡易的なはしごはあるのですが、どうやらこの細い、滑りやすい道を降りていくのが海岸への道の模様……念のためにと、リュックにゴアテックスのトレッキングシューズ、軍手を持ってきていたワシはまだマシでしたが、一応動きやすい格好とはいえ街スタイルのメンバーはそこそこ四苦八苦して、途中、崩落しているところも乗り越えながら、なんとか海岸に降り立ちます。

送信者 秘境駅の旅<小幌駅&竜飛海底>

海岸へ至る風景。一枚岩の存在感
送信者 秘境駅の旅<小幌駅&竜飛海底>

はしごとはいえこんな簡単なもの


巨大な岩が屹立する弓形の狭い海岸は、うっすら色づき始めたまばらな紅葉の木々とあわせ大変美しく、おお、なんか秘境っぽい!となりましたが、その地形も影響しているのかとにかく強い風が吹き付けます。そして背後を見れば今降りてきた崖。そうか、帰るにはここを登らなきゃ行けないのか……。

送信者 秘境駅の旅<小幌駅&竜飛海底>

短い海岸線


一通り撮影をした後は、一応用意してきたニコニコの生放送が出来るかな……と電波状況を見れば、おお、FOMAが結構な強さで入る!映像もなんとか送れそう!ということで、レポート生放送を始めました。もっとも、余り安定していなかったようで、映像は送れるけどコメントは読めず、音声も吹き付ける風の音ばかりで喋っている声はかき消されたりもしましたが、なんとか、秘境の模様はお届けできました。


あれ、でもそういえばあるはずの、観音様やそこへ案内する看板を見てないね、とは思っていたのですが、40分ほどもいて、もう一回駅周辺を散策しようと戻ることに。崖を登り登り、途中落ちかけた人もいましたが、まぁなんとか乗り切って再び小幌駅へ。


と、駅の比較的室蘭側の道の先に目をやると……おお、ネットでも見覚えのある、海岸や観音様を案内する看板。そしてこっちの道は先ほどのものほど獣道でも無く、同じく森の中ではありますがそこそこ踏み固められています。えぇと……もしかして我々、いきなりハードモードでゲームを開始してしまったような、険しい道の方を行ってしまっていたってこと?

送信者 秘境駅の旅<小幌駅&竜飛海底>

看板。駅からすぐにあるので、行く人は見逃さないで!


笑い、嘆きながらも、ここでも駅からと称して生放送を開始。海岸に比べると電波の安定が悪く、映像も途切れ途切れでしか送れませんでしたが、放送しながら「行けるところまで行ってみよう」と看板の先に進みます。10分ほども歩きましたが、下に降りる道に至ることは適わず、次の列車を逃すと3時間待ちになるので、ここは断念。探検を中断して、駅に戻ることにしました。


やってきた長万部行きの各駅停車に乗り込みます。代わりに数人の、これは釣り人では無くワシらのような「物好き」が降りてきまして、意外にこの駅は活況なんじゃ無いか、と間違った認識を持ちながら、名残惜しくも「キング・オブ・秘境駅」を走り去っていくのでした。



長万部で昼飯を食って温泉に入る、という案もあったのですが、朝巡ったところでは飯どころすら不安。と、室蘭方面へ行く特急列車が1分の待ち合わせだったのですが乗り込めそうだったので、これは先に進んでしまえ!と乗車。自由席にバラバラと乗り込みます。この列車では小幌も数秒で通過、正直きちんと認識できない速度で走り去りました。東室蘭までの切符を買って、まずはランチへ。


1時間ほどで東室蘭に着きまして、じゃあここはやはりの名物、カレーラーメンを食そうということに。ネット民の我々は食べログで店を捜しますが、適当な近さにあって美味しそうな店の情報が無い……ということで、ワシの見ていた室蘭市のサイトの店一覧から、近場にあってここは美味しいのでは、と脳内にささやきのあった店に行ってみることに。


西口を降りて大通りを5分ほど、「味しん」という店の前に立ちまして、うむ、やはり美味いものセンサーが反応している、と意を決して入ってみることに。地元の人を含めて結構な賑わいの店内で、少し待って着席。皆さん、カレーラーメンよりもカレーライスを食べている人が多いようです。


こちらのカレーラーメンには、もう一つの室蘭名物「やきとり」も入っています。ちなみに室蘭での「やきとり」は豚肉のこと。焼きそばも名物っぽいので興味はあったのですが、麺と麺だしなぁ、ということで、カレーラーメンを人数分と、カツカレーライスを1個頼んでシェアすることに。あ、ワシはビールも忘れませんよ。


しばらく待って出てきたカレーラーメンは、こってりのカレーの中に「やきとり」、フライドポテト、うずらの卵と具沢山。では、味の方は……と、スパイシーな複雑な香辛料の味わいの中に、しっかり出汁の味も効いてて、こりゃ美味い!カツカレーの方も、カレーもさることながら、カツの肉がかなり美味しくて、これは満足。ワシの美味いものセンサー、中々に良い仕事をします。

送信者 秘境駅の旅<小幌駅&竜飛海底>

カレーラーメンに「やきとり」乗ってます


たらふく食べて小幌駅の疲れも多少は癒やせた一行。さてではもう一観光ということで、室蘭といえば……そう、工場萌えには有名な、巨大な工場があることで有名です。幾つかありますが市街に近いのは新日本製鐵。本当は、夜の工場の、とてもハードながら幻想的な風景が有名なのですが、今は昼、それは望むべくもありませんが、タクシーで展望台に向かって、工場の模様は拝見したいところ。


タクシーの運ちゃんはこの町の出身らしく、工場が見たいというと妙な顔をされましたが、それでも展望台まで運んでくれます。ところがここからだとイマイチ眺めが悪いので、近くでよく見えるところはありませんか?というリクエストに、もう少し走らせてくれて、中々の撮影スポットを発見。男4人、車を降りて撮影タイムです。

送信者 秘境駅の旅<小幌駅&竜飛海底>

工場の模様


広大な敷地に広がる工場からは、何本もの煙突から煙が吹き出しており、今日が日曜であることを忘れそうです。工場自体も古くからあるのでしょう、あちらこちらに錆にも似た色が見えますが、それがまた風情に見えるのが工場萌えの度しがたいところ。遠くに室蘭のシンボル白鳥大橋なんかも眺めやりながら、3分ほどで撮影タイムは終了。駅に戻り、再び札幌行きの特急に乗り込みました。



このあたりからは結構ノープランだったのですが、まだ飛行機までは時間があるので、遠くない温泉に行こうと登別で下車。登別温泉に向かいます。バスを乗り逃したのでタクシーで15分ほどの登別温泉郷で降りて、向かうは「第一滝本館」。かなり立派な宿ですが、日帰りもやっています。日帰りの受付を捜して浴場にたどり着くまでで結構な距離でした。


そして実際、浴場も大変な広さ。源泉が違う浴槽が、様々な大きさながら10個以上はあって、さらに水着を着ければ入れるプールゾーンなんかもあり、巨大スパの様相を呈しています。源泉が熱いということでひとつの浴槽を除いて加水はしているようですが、まぁそんなのは気にならないくらい気持ちいい!露天風呂も、色づき始めた紅葉を眺めながらで、風情がありました。まぁ、施設自体は立派で綺麗だけど、風情、ってものは余りありませんが。


何にせよ、前日の竜飛海底駅から結構な歩きっぱなしなので、足を伸ばして体を温めて、満足行く温浴になりました。マッサージに行く人もありましたが、ワシはやっぱり風呂上がりのビールを楽しみながらのんびり。実はもう一軒日帰り温泉を巡ろうかとも思っていたのですが、すっかり疲れてしまい時間ギリギリまでゆっくりしていました。


タクシーを呼んでもらって登別駅に戻って、あとは帰路。南千歳で乗り換えて新千歳空港に到着です。ここで、2名はANAのプレミアムクラス、2名はジェットスターと、値段が5倍違うフライトでスプリット。もちろんワシは後者。安さもさることながら、話の種にもなりますので……。〆の飯は、空港内の「ドライブインいとう」で豚丼。濃いながらも濃すぎない味で美味しく、なんとなく、北海道の味を様々に満喫した結果となりました。


土産物屋ワンダーランドの新千歳空港。ワシも旅で何度も使ってますし、特にここ三ヶ月は連続で来てますから、お気に入りの店とか店舗エリアができるもので、ワシは産直系の店が並んでいる国際線ターミナル連絡口に近いあたりが結構好き。この日もそこそこ買い込みますが、ジェットスターが機内持ち込み荷物1個、ということなので、リュックに入りきるまでの収めます。ま、実際はみんな、複数個荷物持ち込んでましたが……。


ジェットスター登場記は、別途テキストにしてあるのでご興味の方はそちらもご参照。
http://d.hatena.ne.jp/tomosaku/20121022/1350870066
覚悟していたよりは快適に、でも成田空港に帰って参りました。笑。


ひょんなことから行くことになった秘境駅の旅。ほんのり行きたいと思っている場所は山ほどありますが、本当に行ってしまうかどうかはささいなキッカケだったりします。プランニングから切符の手配から、今回の旅は計画的且つアテンド色が強かったのは確かですが、思わぬメンバーと思わぬ旅をする、これもまた、いと楽しや、ですね。

撮影写真集はこちら。

秘境駅の旅<小幌駅&竜飛海底>

味しん
http://pocotto.jp/shop/ajishin/
第一滝本館
http://www.takimotokan.co.jp/