コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

喋り出す登場人物

わたし、献血が気になります! 「氷菓」献血キャンペーンが岐阜県でスタート
http://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1301/25/news090.html

ここのところ、米澤穂信氏の著作「氷菓」シリーズを立て続けに読んでいます。「古典部シリーズ」とも称されますが、昨年はアニメ化もされたらしく、アニメ の「聖地」であり小説の舞台ともされている著者の出身地、岐阜県は飛騨高山では、↑こんなニュースにもなっていて、よそで読んだ記事によれば21億円の経 済効果が出ているとか。


このシリーズは、「人の死なないミステリー」で、一巻目にして著者のデビュー作でもある「氷菓」から近作まで、主人公たちの学園生活の中で起こる様々な「謎」が、探偵役によって解き明かされます。そう、解かれるのは「事件」ではなく「日常の中の不思議」なのです。


ワシが初めて読んだ著者の作品は「インシテミル」だったのですが、そちらは人死にもあるミステリーで、正直ワシにはイマイチの作品でした。このシ リーズも一巻目は、デビュー作だからというのもあるのですが文章力がイマイチで、それでも読み続けられたのはこの「青春ミステリー」というテーマについて いけたからだと思います。


で、少し間を置いて読み始めた二巻目以降……すっかり、夢中になってしまっています。読了したものはレビューにも書いていますが、とにかく主人公4人のキャラがどんどん立ってきていて、魅力が増してきているのです。


その分、ってワケでも無いでしょうが、「ミステリー」部分はどんどん色薄くなってきているような気がして、ただそれは「青春」部分が強まった故の相対的なものかもしれません。やはりこの小説から「ミステリー」を取ってしまっては、4人のキャラが活きないでしょうから。


既刊5巻のうち4冊目までを読み終え、主人公たちは高校生活を一年過ごしましたが、その成長だったり、関係性や心境の変化だったり、「気付き」だったり、この4人を見ているのが楽しくてしょうがない。


小説を書いたことのある人なら経験があると思いますが、しっかり設定を固めたキャラを操っていると、キャラが勝手に「喋り出す」ことがあります。特に4冊目の短編集なんかは、そうして紡がれたのではないかと妄想するほどキャラクターたちの味が魅力的に出ていました。


この登場人物たちの丁々発止が見られるなら、アニメもちょっと見てみたいな、と思わされている程に(アニメは未見です)すっかり惹きつけられてしまった本作。ストーリー以上にキャラに魅入られるのは、ワシには珍しい気がします。彼らがこの先どのような学園生活を送るのか、続刊を楽しみながら読んでいます。