コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

下衆と講師

もとい、ゲスト講師。てか、タイトルからその誤変換はどうなんだ。

 

一昨日、母校・日本大学芸術学部にて、「著作権と文化・メディア契約」をテーマにした授業のゲスト講師をしてきました。担当教諭は、ワシが在校時代からの先輩でもあり最近はニコニコのボカロ&技術部界隈で名を馳せているアミッドPこと青木先生、そして、日芸の客員教授を担当されていた弁護士の福井健策先生。

 

いやいやいやいや、福井先生ですよ。今、知的財産と著作権の世界で言えば第一人者の弁護士さんですよ。マジで。その方と一緒に講義をするなんてめっちゃ緊張もしますよ。とにかく、福井先生の書かれる著書は著作権や知財について非常に分かりやすくて、(失礼かもしれませんが)よく入門書としても最適、と言われています。ワシも何冊か拝読していますが首肯。特に先日拝読したTPPの中の著作権に関する解説は、イマイチわかりにくかった問題を浮き彫りにしてくださいました。

 

ホントね、当日も何度も言いましたけどね、なんでワシが現役の時に福井先生のような方による権利に関する授業が無かったんだ!と心底思います。もしかしたらこれは社会に出ての実感かもしれませんが、この授業で倣うことはまさに実学、アートやメディアの世界で生きていくなら重要なことばかりです。むしろ毎週通って聞きたい。

 

そしてこの授業のゲスト陣も豪華!津田大介さんはもちろんのこと、JASRACの北田理事、漫画家の赤松健さんと井上純一さんの回には飛び入りで森川ジョージさんもいらしたとか。……えぇと、なんでそんなビッグネームが並んでいる中でワシ?場違いじゃないかい?

 

とはいえ、青木さんから打診をいただいた時に、仕事で担当しているニコニコ超会議を軸に実務経験を話してもらえれば良いよ!とのことで、半ば体験談を話すくらいのつもりでやって参りました。あ、でも一応勤務先は有休を取ったけどね。目標は、拙くても学生さんにとって刺激的な授業にすること!

 

建て替えられた、ワシの通っていた頃とは全く変わった江古田校舎。まぁリニューアルしてからも何度か校舎には足を運んでいるのですが、やっぱり違和感というか、場所としての懐かしさは無いのに、空気としての懐かしさを感じる、という場所になっています。青木先生の研究室に顔を出し、福井先生とご挨拶をして、授業へ。

 

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授業内容は詳述しませんが、ゲスト講師の中では珍しいWikipediaに載っていない人物です、をツカミに自己紹介から。仕事やこの学校出身であることをお話しし、映像を交えて超会議2の模様を振り返り、大会議から続く「何故ニコニコがイベントをやっているのか」とその変遷をお話しし、一般的なイベントの作り方を芸術祭(母校の文化祭)にも例えながら解説し、フリートークと質疑応答。

 

当日早起きして資料や映像の準備、編集を開始しましたが、構成やレジュメはある程度見えていたのでなんとかギリギリなったかな、と思い込みたい。喋りの拙さは相変わらずで、特に一部、情報を詰め込みすぎて早口になったりとか反省しきりですが、200人くらいの教室はそんなに飽きている様子も無く、後ほど先生方にも言われましたが熱心に聞き入ってましたよ、とのこと。世辞かもしれませんが少し実感も出来て嬉しい。

 

授業の終わった後は打ち上げ。両先生と学生さんなども数名で、台湾屋台村(江古田民だけ分かってください)ですっかりしっぽり。ワシにとっては、イベントとしても、サイトとしても、エンタメコンテンツを扱っている以上避けては通れない著作権、TPPの話、授業の話など、尽きること無く濃密なお話しをさせていただくことができました。うん、授業をやらせていただいたのもすごく良い体験でしたが、ここでのお話しもすごくワシにとって刺激的でした。

 

余談ですが、福井先生がお帰りの後は、文芸学科出身者&在籍者だけが残り、これまた濃ゆい文学談義。いやー、やっぱり小説が、物語が好きでここに集まっている我々は、それが原点であり共通体験だよなぁ、と噛みしめるほどにはたっぷり話せた。これまた満足。

 

しかし。繰り返しになりますが、アートやメディアの世界で仕事をするに際して避けては通れない著作権、知的財産、契約と言ったことを、しかも分かりやすいことで定評のある福井先生から学べる学生たちが、少し羨ましくなりました。さらに、(ワシはともかく)それぞれの業界で第一人者と言える方々がゲスト講師でもいらっしゃって様々な現場の話をしてくれる。

 

ワシはワシなりの勉強をしますが、学生時代にこういう授業に巡りあっておきたかったな、とも思います。福井先生が仰っていましたが、今の日本では、小学生から大学卒業に至までの16年間、たったの一時間も「契約」の話を習わないそうです。確かに。そりゃ、契約に弱い国民が出来上がるよなぁ……と思い、それをきちんと伝えようとする姿勢に感銘を受けました。

  

現政権の教育改革、っていうのは、こういう実学に沿った知識を学生生徒に伝えることも含んで欲しいな、と思うことしきりです。