コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

全力のお伽話

例によって、Facebooktwitterに書いたもののほぼコピペ、少し加筆、ですが、一応ここでも書いておこう。


高畑勲監督、スタジオジブリ作品「かぐや姫の物語」、公開日に見てきました。のでその感想をば。ネタバレは、たぶん無しレベル。


大前提に、人を選ぶ映画だな、というのを置いてきます。まぁ映画なんてなんでもそうだけど、ジブリ映画=万人受け、という印象があるなら(「風立ちぬ」でそれは覆されたと思ってますが。ちなみにワシは「ぽにょ」も万人受けでは無いと思う)、それは引っぺがした方が良いですよ、ということです。受け入れられない人がいるのはよく分かる。


その上で。ワシは個人的に大変感銘を受けたし、感動しました。今、この時代にこの映像表現を見られたことに感謝です。


そして、あえてこの映画を一言で言うなら「全力のお伽話」。ベースはあくまで「竹取物語」。それをどのように「映画」という手法に落とし込んでいくのか、映像とか音楽とか声とかその他諸々を見せていくのか、それがキーになるわけですが、その点において、二時間以上の上映時間は全く苦にならないほど、きっちり作り込まれています。あのお伽話をよくぞここまで、というのが素直な感銘。


あの絵柄は、きっと好き嫌い出てくると思います。でもワシは、ワシはあの絵柄にこそのめり込みました。それは、めくるめく平安絵巻を、あるいは日本画を、アニメーションとして見せられているようで、最近どころか人生を通じて見たことが無い表現です。あえて一番近いのは昔TBS系列でやってた「まんが日本昔ばなし」の、一部の回でしょうか。や、かなりツボりました。


気になっている点は、幾人かの「業」が解決されないままであること。でもま、それもお伽話ならよくあること(業そのものを考え、教訓とするもの)ですし、そもそも人間社会で業なんて解決しないですし。他にも、繋がっているのは分かるけど唐突な場面展開などもありますが、そういうのもひっくるめてお伽話的というか、教訓のための寓話、というか。


だからこれは、「全力のお伽話」なのかな、なんて。


帰り道、レイトショーなので夜道を自転車で走っていたのですが、月が二十日くらいの月で。これ、公開日が満月だったら、とんでもない演出だったかもな、なんてことを思い浮かんでしまいました。