コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

歌舞伎座勤務者の歌舞伎鑑賞

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記憶と記録を振り返ってみれば、以前歌舞伎座に歌舞伎を見に来たのが2007年の3月。演目は「義経千本桜」。以前、と言っていますが、初めて歌舞伎座で歌舞伎を観劇したのがその時です。その後、歌舞伎鑑賞教室として国立劇場に「華果西遊記」を見に行きましたが、新しい歌舞伎座になって初めての歌舞伎観賞は、会社の福利厚生で頂戴したチケットで「心謎解色糸」でした。

たまの親孝行に良いかな、と母親を連れていこうとチケットを取ったのですが、折しも20年に1度の大雪を心配される日になってしまい、77歳の媼を連れ回すのに躊躇いはありましたが、なんだかんだ言ってもまだまだ元気で、当人も楽しみにしていたので決行です。

そんで、観劇の感想ですが。

火曜サスペンスか!とついツッコミたくなりました。良い意味で。

なんでも41年ぶりの上演と言うことで、確かにメジャーとは言いかねるタイトル。フツーにチケットを買って見る時なら、歌舞伎に詳しくないワシですら(あるいはそんな人だからこそ)、恐らく選ばないであろう演目。

こういうところに、作品との出会いが待っているから楽しいのです。

内容は、とても面白かったです。色恋刃傷ものとでも言うのでしょうか、結構複雑にお話しと登場人物が絡み合って、冒頭の言葉じゃないけど火曜サスペンスのようなゴチャっとした、それでいてドラマ性はあるストーリー。

時代背景もあろうから、やっぱり色々端折られたりご都合主義もあるんですけど、殺陣なんかの立ち回りも含めて、やっぱり現代のエンターテイメント系の舞台に通じるものを幾つも感じます。

そう、時代劇というより、エンタメ芝居。

昼飯も用意されてましたが、どうにも年寄りがねえ、ということで母も遠慮し、席で弁当。その時や、終わった後、銀座三越に移動して喫茶で母親と感想の言い合いなんかをしておりまして。

なんでも本作は江戸後期(1800年前半)に作られた作品と言うことで、歌舞伎はそれこそ「義経千本桜」のように「戦い」をテーマにしたものが多くお話しの筋もシンプルらしいのですが、それとは一線を画した、文化の成熟した中だから産まれたであろう複雑な人間関係とこういうテーマなのかねぇ、なんて言っていて、年の功だなぁと感心。や、母も別に歌舞伎に詳しいわけではないのですが。

タイトルの「糸」、絡み合う人間関係の「糸」、登場人物の名前にも「糸」と、いろいろ掛詞になっているのも、洒落と粋を感じますし、何かと得心です。

でも楽しめたのも、正直イヤホンガイドと筋書きの書かれたパンフレットの助けを借りられたから。逆に、その助けのおかげで、言い回しからの筋の推測ではなく、筋を把握した上で演技を楽しめた、とも言えるかもしれません。

そして、助けになったイヤホンガイドだけど、やっぱり舞台上の台詞を聞きながらガイドも聞くと聞き漏らしが出てしまうのが残念。字幕ガイドもあるらしいので、次の機会があれば使ってみたいところです。それはそれで目の集中が分散しそうだけど、耳よりはカバーできる気がします。

や、しかし歌舞伎、やはり見ると面白い。せっかく歌舞伎座の上で勤務しているのですから、一幕見とかでも、また見に行きたいですなぁ。

(写真一枚目は東銀座駅のポスター、二枚目は緞帳紹介の一枚で「春秋」なるのが心に響いたので、三枚目は感想言いながら晩飯食った銀座三越「みのり食堂」にて)