コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

シマシマ

シマシマと言えば、世の中的には馬か漫画の名前かで知られていますが(そうでもないかな?)、旅人的には長野県の新島々駅が有名ですね(ワシの中では)。でも今日はそっちではなく、四万温泉のお話し。って、前の旅記を、四日間のウチ一日目しか書いてないのに他の旅記になるとかもうなんかどうしようもない気がしますが、開き直って書き書き。

先週末、友人に誘われて四万温泉に行って参りました。最初は誕生日祝いで何かイベントをって話しだったのですが、なんかFacebookメッセンジャーで色々話している間に話しが大きくなって、そんじゃあ四万温泉に行ってみようか、と。うん、どういう過程を経ればそうなるんだか。

ともあれ、友人が諸々手配をしてくれるというので、ワシとしては珍しく旅幹事スキルを発動せずに当日を迎えまして、そしてそれがとてもとても新鮮だったのです。

決まっているのは宿だけ。待ち合わせ時間&場所すら事前に特に決まっておらず、また前日に先方の都合がありまして、12時過ぎくらいに東京エリアで到着し次第合流して、その時点で乗れるのに乗っていこう、的なノリ。まず昼過ぎに待ち合わせってのが、ワシが企画する場合は(独り旅でもグループ旅でも)まずあり得ないので新鮮でしたが、その上、別件用事終わり次第合流とか!

こうね、全然悪い意味で言うのでは無く、斬新。こういう体験、自分ではやらないであろう経験ができるのはすごく面白い。



ということで、旅の開始は結局、13時ころの東京駅での合流から。高崎までを鈍行で行くか新幹線で行くかを検討しますが(どちらに乗っても接続するバスは同じ)、まぁここはオトナだし、東京駅で昼飯食ってから新幹線を使って行こう!ということになり、ちょっと前々から行きたかった「日本食堂グランスタダイニング」へ。

こちら、かつての食堂車をイメージした店作りで、慌ただしい東京駅の中ながら雰囲気があります。デミグラスソースが自慢で、ハヤシライスやシチューなんかが有名ですが、ワシが目を惹かれたのはデミグラスソースを掛けたメンチカツ。ソースとの相性は完璧とは言いかねましたが、カツはジューシーで充分に美味しい一品でした。

新幹線で自由席に乗り込んで、一気に高崎まで。吾妻線に乗り換えて、鈍行で中之条駅に向かいます。吾妻線、たぶん中学生くらいの時に独り旅で端っこまで乗って以来の曖昧記憶。実は、一応沿線にあたる草津温泉四万温泉も行ったことが無かったのです。バスで40分ほど、17時近い夕暮れの中、四万の温泉街に到着です。

荷物を置いて散策。手配してくれた友人は三回目の四万温泉とのことですが、過去はいつも宿で過ごすのがほとんどで、散策したことがほとんど無いとのことで、こんなところでも彼方此方覗きたがるワシとの違いが新鮮。晩飯の時間までに帰ってこられるところまで、と、隣の集落まで足を伸ばしてしまいました。

四万温泉は、思っていた以上に鄙びた温泉街でしたが、寂れているという程でも無く、随所随所に味を感じます。重要文化財という古めかしい旅館や、なぜかスマートボールが流行っているミニ繁華街などなど、鄙びてはいるけど人が動いているのが見えるので、静かな活気を感じるのかもしれません。とはいえ、廃屋になっている宿や店も見かけますから、大変なところもあるのだと思いますが。

 

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宿に戻ります。この日の宿は「地酒の宿 中村屋」。その名の通り、ご当地群馬のお酒にこだわり、豊富な料理と一緒に日本酒を楽しむことができます。ただでさえ大量の料理に、少量ずつ飲める利き酒セットや岩魚酒、さらに奮発して上州牛のステーキなんかも付けてしまい、なんと言うか、力尽きるまで飲み食いした気分。

 

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温泉は、そんなに癖がなく、露天の方は長湯するにも良さげで、しかも、風呂でお酒のオーダーもできるというステキな仕組みが整っています。……が、宿に帰着したころから降り始めた雨が夜には強くなり、雨風呂好きのワシでもちょっとしんどいレベル。この状況で酒を頼むのも躊躇われ、概ね内風呂を堪能して上がることに。

風呂後、友人がまさかの東京から誕生日ケーキを持ってきていて、驚きつつのしめやかにお祝い。ノリと勢いで始まった誕生日旅の夜を締めくくりました。



翌日。昼下がりに四万温泉を出発するバスに乗ることだけが決まっています。前述の通り、何度か来ている友人はほとんど観光したことがないとのことでしたが、どうにも彼方此方行きたがるワシは、結局友人を連れて周辺観光に出ることに。とはいえ公共交通機関で行ける範囲を捜します。

正直、そんなにたくさんの見所があるわけでも無いようなので、宿に荷物を置き、まずはバスで「甌穴」と呼ばれる景観ポイントを見て、歩きながら何かあれば見つつ、あるいはバスに乗って温泉街に戻ってきて、昼飯&帰りのバスに乗ろう、という算段。

群馬県指定の天然記念物という四万川の甌穴。そもそも「甌穴」(おうけつ)とは、川の流れで循環した石などが川底を浸食しできる穴のことらしいです。流れの速い川沿いに行って見てみますが、今ひとつ、どこが穴なのかは分からなかったのですが、緩急ある流れに青い水面が涼しさを演出します。

 

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甌穴の近くにある「森のカフェKISEKI」でしばし休憩。明るく開放的でまわりの緑も美しい新しめのカフェで、午前中から地ビールをいただきます。ちょっと変わったハーブティや軽食、ケーキ類も出してくれる店のようなので、車で来る方には四万温泉帰りのドライブの途中に寄っても良いのかも。

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温泉街に向けて歩き始めますと、道路沿いに四万川が渓谷を見せ、いかにもな山村の風景が広がり、なんだかんだ楽しい散歩です。間もなく温泉街の入口というところで、川沿いに降りていく階段と「四万川とあそべます」の看板。お、それなら遊んでみようじゃないか、とてくてく降りていきますれば、すぐに土道と岩肌の上を歩くような次第になり、野趣溢れます。

 

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ここの名前は「嘉満ヶ淵」(かまがふち)。後で四万温泉のサイトを見てみたら、「人があまり訪れなくなりました」なんて書かれてまして悲哀を感じますが、荒々しい眺めや川の流れる音だけが響くのは案外良く、ちょっと、穴場発見気分です。岩肌が滑りやすいので注意ですが(←ワシは滑った)。

さらに、四万大橋の近くにある「桃太郎の滝」に、水力発電をしているらしい河口堰を見て、早くも色付き始めている紅葉に初秋の雰囲気を感じます。

 

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時間はちょうどお昼。近くにある町営の「四万清流の湯」でひとっ風呂浴びて、バスで新湯温泉街の中心に戻ることにします。その「清流の湯」は、よくある温泉施設ですがかなり新しいのか綺麗に維持されていて、しかも露天風呂からはかなり開放的に四万川、四万大橋が見えて、とても居心地の良い日帰り温泉施設でした。


宿泊した宿に寄って荷物を取り、前夜鄙びた雰囲気を堪能した「落合通り」なるミニ繁華街にあった蕎麦屋小松屋」に入ります。入るなり「お時間どれくらいあります?」と、バスの出発を気に掛けてくれている模様。時間が短かったので、名物らしき舞茸の天ぷらは食べられませんでしたが、ワシの食べた「上州鴨汁せいろ」はジューシーな味わいの肉に、地の蕎麦粉を使っているという田舎蕎麦が合い、大変美味。木の芽田楽もビールのアテに甘くまろやかで美味しいです。って、また飲んでるし。

 

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東京行きのバス停に近いお土産屋「高田屋菓子舗」で土産を購入。「おいらんふろう 濡甘納豆」なるものを勧められて買ってみましたが、帰って食べてみれば、程よい甘さに炊きあげた大きめの豆がとても美味しく、これは良いお茶請けでした。

そんなに大きくはない四万温泉を程よく堪能して、東京までの3時間半ほどのバスでは、渋滞にも捕まらず、概ね寝て過ごしました。いやはや楽しかった!



ひょんなこと(元は誕生日ネタ)から行くことになった四万温泉。や、前々から一度行って見たいな、とは思っていたのですが、行って見れば味のある雰囲気に結構な清流の青さ、涼しさを楽しみました。そして何より、自分とは違う旅のスタイルを楽しめたのも面白かった(二日目は、ワシのスタイルに寄ってしまった感ですが……それでも夕方東京着とかは普段しない)。

そういえば昔、それこそ高校生や大学生の頃は、旅のスタイルの違いが原因で、だいたい誰かと旅に行くと喧嘩になったものでしたが、そこはそれ、ワシもオトナになったのかなぁ……。最近は誰かと旅に出ることも、昔に比べれば多くなり、その場合たいがいワシが計画を立てるのですが、逆に言えばワシのスタイル=かなりの詰め込み型についてきてくださっている同行者も、すごいな。

そんで、この旅から十日ほどが過ぎまして、今日は誕生日本番。すっかり30代後半も板につく38歳になりまして、ワシが産まれた時の父親の年齢や、宮沢賢治の享年を越えてしまいましたが、もうなんか相変わらずの落ち着かなさで生きておりますので、今後ともひとつよろしくであります。

 

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