コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

日曜の文化充

図らずも、直近の日曜日が二回ほど続けて、日本文化的なものに触れる機会となりまして。



先週、19日の日曜日は、埼玉県川越の「川越まつり」。二日間で公称約100万人近くの人出がある大きなお祭りです。この祭りの特徴は、やはり豪華絢爛な山車と、その山車どおしがすれ違う時に行われる「曳っかわせ」と言われるアクション。
http://www.kawagoematsuri.jp/index.html

 

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山車は町会ごとに何台もが練り歩き、その上には日本武尊や弁慶、浦嶋といった、架空から歴史上の自分物までの妙に精巧な人形が乗っています。その人形を含む上部がエレベーターのように上下するのも面白い構造です。そして曳っかわせは、それぞれの町会の人々が提灯をかかげて声を張り合い、その様はさながら、あるマンガになぞらえて「決闘!(ディエル!)」とでも叫びたくなるもの。や、本当に喧嘩とかするわけじゃないですが。

そんでまぁ、友人がある町会の人と仲が良くて、そこの山車を曳けるってことで行ってみました。本川越の駅を降りたところから街は大混雑。多数の人々が多数の屋台の中を行き交います。そんな祭りの雰囲気も楽しみながら友人と合流し、まずは祭りを見学。川越の古めかしい町並みの中をぐるぐるする山車を見かけては、その豪華な造作に感心します。

大変な混雑の中をビールや屋台のツマミを摂取しながらひとしきり歩いて楽しみ、その町会の集会処に再集合。そこでもお酒やおでんなんかの振る舞いをいただきながら、夜の帳が降りた頃、いよいよ山車を曳かせてもらいます。

 

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大きな掛け声を出しながら綱引きのように何十人もで山車を曳くと、不思議と日本人としてのDNAが刺激されたかのようにどんどんと高まるテンション。ではあったのですが、ワシの曳いてた山車ではちょっとトラブルがあって、長時間に渡る待機とその後ちょっとした故障が引きずったのが残念。

 

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とはいえ、左右に観光客の押し合いへし合いする中、山車を曳いてまるで「祭りの中心」にいるような気分になれるのも乙なもの。残念なことに、曳っかわせはお手伝い曳きの我々ではできませんでしたが、それでもなにか、文字通りの「お祭り気分」で川越の町並みを闊歩できたのは、楽しい体験でした。

三時間ほどの曳航を経て、その町会の神さまを迎えている会所に戻って来る頃には、すっかり疲れていましたが、それでもこの、日本っぽい文化に触れてあまつさえ参加まで出来たのは、なんとも言えない心地よさでした。

ま、念のため次の日は、有休を取ってたのも良かったんだけど。



昨日の26日の日曜日は、浅草橋のHulic Hallというところで行われた「曹洞宗法要ライブ『法悦』」に行って参りました。
http://www.sotozen-net.or.jp/houetsu/

うん、ワシも初めてイベント名を聞いた時は頭の中がクエスチョンマークだらけでした。この一週間ほど前に飲んだ後輩が、ネットですごいの見つけたんですけど行きませんか?と誘ってくれて、もうタイトルだけで好奇心が溢れかえったワシは、脳内クエスチョンマークのまま、中身を調べもせずに首を縦に振っていたのです。

このライブの主旨は上のイベント紹介サイトに譲りますが、思えば法要自体は、寺のイベントや、あるいは法事で高野山の寺に泊まった時とかに、何度か見聞きしております。それをホールでやる、ってのがイマイチ分かりませんでしたが……というまま会場に行ってみれば、まさかの開場前に大行列。自由席なので良い席で見たいってことでしょうが、え、そんなにモチベーション高く見に行くようなものだったの!?と驚きながら、近くの茶店で一休みして遅めに入った我々は、ほぼ満席の場内の、隅っこの方に席を確保。

 

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なんで席に、タオルと歯ブラシがあるのよ。

各席には、パンフレットとともに、紙に包まれたタオルと歯ブラシがあります。きっとお土産なんでしょうが、なんで!?とパンフレットと開いて二度ビックリ。なんと演目の二つ目に「洗面」というのがあるじゃ無いですか。

待ちたまえ。ライブで洗面、ってなんだ。

サイトにもありますが、このライブ、曹洞宗の修行道場の、毎朝の作法を再現しています。すなわち起床の鐘の音から、洗面、座禅、そして法要、とその作法をなぞるのです。なるほどそれなら分かる……かー!……や、失礼しました。もちろんそれを悪く言う気も揶揄する気も無いのですが、あまりに想定外のプログラムに驚きます。

そして始まるライブ。本当に洗面などもし、模擬座禅ともいうべきパートも経て、いよいよ法要パートへ……って、たくさん出ていらっしゃる僧侶の皆さん。ざっと、50人くらいはいたでしょうか。広くは無いホールのステージ部にごった返す僧侶。うーん、壮観。

 

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(法要パートは撮影可)


法要は、仏具のリズムに乗せて読経をするスタイルで、イマイチ経の分からないワシには把握しづらい内容もありましたが、分かる言葉の部分もあり、何よりなんとも不思議な、仏具の音と僧侶の声の音波が、心地よく体を包みます。

無心に聞いていると、なんとなく自分が浄化されていくような……思い込みかも知れませんが、そんな気持ちにさせられます。と、二つ隣に座っていた女性の姿がいつの間にか消えていて、まさかの成仏?とか不謹慎なことを思ってたら、ライブ後に後輩が、途中で退出してましたよ、と教えてくれて一安心。

や、まがりなりにも、神主(心得見習)なワシですが、やはり根っこに通じるものはあるのか、とても貴重な文化に浸ることができました。曹洞宗は、大本山である永平寺に行ったこともありますが、そこも観光地化されているのを思いつつ、重厚な雰囲気は感じられたので、なにかすごく、感じ入るところがあります。



文化、と一口に言ってもかなり傾向の違うそれぞれでしたが、好奇心旺盛なワシはとても愉しみましたし、触れることそのものが価値だとも思います。今回はどちらも友人や後輩に誘われての参加ですが、昔に比べて機会が減っているのも確か、これからも出来るだけ触れていきたいものです。