コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

かもめの本屋〜本棚に惚れた夜〜

行ったのはもう二ヶ月以上前のことだけど、書きかけていたのを書ききる所存。

「校正の会社が神楽坂で始める本屋」という話題を初めて見たのは昨年の9月。ちょうどその近辺、書店員や編集者、校正者が主人公が小説をたまたま読み漁っていたこともあって、心に引っかかります。

書店の名は「かもめブックス」。鷗来堂という会社がプロデュースをしています。本屋の他に、カフェやギャラリーも併設。

下北沢のB&Bなんかも、イベントのある時がほとんどですがたまーに行く身ですし、そもそもエンタメ業界に身を沈めていますし、何より本が好きですし、「本屋で新しいことを仕掛ける」には敏感なつもりなのです。

とはいえ、開店の報を聞いてからもしばらくは立ち寄らず、打ち合わせで神楽坂に行っても時間がなくて素通りしていました。そんな足を、書店名に倣うならそんなふらふらした翼をお店に向けたのは、元同僚が書いていたこんな記事。

www.huffingtonpost.jp
これが目に入ったのも何かの縁だろう、と思って、その日はちょうど夜の予定もなかったので、仕事を早めに切り上げて会社帰りにちょっと遠回りして神楽坂に立ち寄り。すっかり暗い夜の中、浮島のように光るお店に入ります。

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……やばい、超ドキドキする。棚を見てるだけでときめく本屋なんて久しぶり。

正直、驚きました。たぶんその日ワシは、書棚に恋をした。それくらい、ときめいたのです。

ある棚はただ本が並び、ある棚はその棚にある本がなぜそこにあるかが一言で表されたキャプションが添えられています。そのどちらであっても、棚の中の空間ひとつひとつに世界が出来上がっているのです。本の並べ方、面陳してて目に入るタイトル、それらもキャッチー。

この棚には、意思がある。

元々、本屋にしろ図書館にしろ大好きですし、大量の書物に覆われた本の森、本の迷宮に迷い込むのも好きですが、かもめブックスの書棚を覗き込むことは、そこにフッと方位磁針が降りてきて道筋が照らされたような快感。例えば、謎解きゲームをプレイしていて答えを模索している時、答えに向けた閃きを思いついた時の快感に似ています。

気になった棚、そこに入っている本が全部欲しくなる。端から端まで読んでみたくなる。この棚を作った人の意図を知りたくなる。

そんなことを考えながら、それこそ、恋を自覚した夜のように、ふわふわとした気持ちで帰ってきました。きっと棚の意思は一定期ごとに変わるんでしょうから、恋をした相手に会いたくなるように、定期的に行ってみたいと思います。