コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

エメラルドグリーンを捜して(北米大陸ぼっち横断2)

ワシがカナダ・バンクーバーに過去3回も来たことがあるには一応理由があって、大学を出たてのころ、当時お付き合いをしていた方がバンクーバーに長期留学をしていて、要は遠恋っぽいことになっていたので会いに来ていたのです。ここで暮らしこの街を好いた彼女にいろいろなところを案内され、いろいろな魅力を教えられ、いつかはワシ自身がこの街を好きになっていました。

 

ただ、結局その後は来る機会も無く10年以上。今回、マイル消費から思いついた旅でしたが、それなら今度は独りであの街に行ってみようかな、行ったことあるところやないところを巡ってみよう、と思ってこの街から旅を始め、大学時代の友人が今まさに頑張っているブロードウェイ、ニューヨークをゴールにしようと、今回の旅程(到着地と出発地だけだけど)を決めました。

あとまぁ、VIA鉄道に乗りたかったので、その玄関口であるというのもあるのですが(良い話半減)。



2日目。安宿で目を覚まして旅記の更新などをしチェックアウト。今日は20時半にバンクーバーを発つVIA鉄道に乗る予定ですがやはりそれまでは未定。街の北側、ノースショアを巡りたい気持ちはありましたが、朝からしとしとと冷たい雨が降り、山の方を見れば曇が厚く掛かっています。

取りあえず街を歩きながら朝食どころを捜します。まぁどこも似たり寄ったりでしたので、ふらふらと辿り着いたバンクーバー中央図書館前の、沖縄によくあるチェーン「A&W」にてオールカナディアン・ブレックファーストを所望。レジの若い女性が日本人で驚きましたが、値段相応ではあるものの量の多いのにも驚き、満腹になって店を出ます。

図書館好きのワシ、折角ですから目の前のバンクーバー中央図書館に入ってみます。パッと見コロシアムのような外観がまず魅力的。それでありながら内部はかなりモダン且つ質実剛健な作りになっていて、建物自体も7階建てと、知の集積場としての誇りを感じます。本棚の作り方とかは分かりませんが、ワシの目を惹いたのは各国の書籍が置かれている棚。この街の国際色を感じさせます。もちろん日本書籍の棚もありまして、古い雑誌や、小説、実用書、児童書が多め、マンガもそこそこ、現地駐在員とかが置いていったのでしょうか、多少の偏りを感じます。

 

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あと、図書館と同じ建物内(だけど図書館施設そのものの外)に、カフェや軽食スタンドが建ち並んでいるのも特徴的。借りてきた本を読みながら、中で調べ物をする休憩がてら(図書館内椅子机の数も充実しています)、一日ここで過ごす人もいるのでしょう。でも一番目に付いたのは「SUSHI LIBRARY」。それは、寿司の知識が集積されている場所なのか、図書館にある寿司屋なのか!(後者です)

 

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11時過ぎ、まだ雨は降っていますが、そろそろ雲の切れ目に青空が見えてきます。これならそろそろ止むかな、とあたりをつけて、ちょうど図書館前から無料シャトルバスが出ているキャピラノ・サスペンション・ブリッジ・パーク(キャピラノ吊り橋)に行くことに。

来たことあったかなかったか曖昧なまま来たのですが、到着したところたぶん、来たことないな、と思い入園。てかまぁ、シャトルバスに乗った時点で基本そのまま入園です。大人は40ドル弱と中々のお値段です。折からの雨はちょうど止んで、園内散策中は晴れ間も見えてきました。運が良い!

ここは、地上70mという吊り橋を中心に、森の中の木の上方に張り巡らされた遊歩道を歩いて、少し変わった視点から森林浴を楽しむことが出来ます。さらに、クリフウォークと言われる、崖から少し張り出したところにも狭い遊歩道が設置され、空中散歩を楽しむ感覚も味わえます。……なんか、観光地紹介業者みたい。。。

 

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うん、森林浴としては満足ですし、木々の間を橋が掛けられて渡る遊歩道も楽しい。崖から張り出した道も、それなりの迫力と一風変わった感はあって面白い。だけど、なにか物足りないんだよなぁ。



ワシは、冒頭に書いたように当時の恋人さんにアチコチ連れて行ってもらい、その中で忘れられない景色を幾つも見ました。その一つが、ノースショアエリアの渓谷で見たとあるエメラルドグリーン。当時はフィルムカメラだったので写真を撮っている枚数も絞られていて、わずか一枚残っているだけのその輝きを、もう一度見たいな、と思っていたのでした。

渓谷、をキーワードにここに来てみましたが、違った模様。まぁ勝手に期待しておいて違ったからガッカリ感では、キャピラノ吊り橋に悪い気もしますが、ここでふと、リーン・キャニオン、という地名を思い出します。ガイドブックには載っていないのでGoogleMAPで調べたら、お、これもノースショア。たぶん、ここだ!



後から考えたら、そのまま路線バスで東に向かえば着いたっぽいのですが、何分路線バスの地図も持っていないので、一度シャトルバスでダウンタウンに戻り、観光案内所で行き方を聞きます。シーバスに乗って湾を渡り、ロンズデールキーなる商業施設から出ているバスに乗る模様。最初に乗ったバスはちょっと間違えていて、目的地の途中までしか行かないものでしたが、乗り継ぎ歩き、なんとかリーン・キャニオン・パークに到着。

ここだ!という確信は、入口の看板から持っていました。ただ、このパークのどこに行けばいいのやら。とはいえ、案内を見たらここだろうなというのは想像ついたので、ここもそこそこ高い吊り橋を渡って、渓谷沿いを散策します。時間はすっかり昼下がり、朝飯の量が聞いてまだお腹は空きませんが、今日二度目の渓谷歩きです。雨上がりのぬかるみの中を歩いて行くと……

 

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見つけた!

30 FOOT POOLと呼ばれるポイント。上流から流れ込んでくる水が渓谷に流れ出すつなぎ目にある、少しだけ水深のある水流の凪みたいな箇所です。どういう光の加減かは分かりませんが、ここだけが、選ばれた鉱床のようにエメラルドの輝きを持った美しい一景を作っているのです。

 

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すっかり、10分以上は見惚れていたでしょうか。深い水底から碧色がそのまま涌いているような美しさで、思い出を少しも減じることなく、15年ぶりの輝きを見せてくれました。

さらに森の中を散策します。またも陰っていた雲が少し晴れて、木々の間から葉っぱを通じて優しくソフトフォーカスされた光が足下を照らします。その光の加減は、これまた美しいコントラストを木々に与えて、森の妖精でも出てきそうな幻想感。ジブリアニメの森の表現で、木々の中の光と影のコントラストが強調されると幻想的な風景になりますが、まさにあれ。

 

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水流豊かなツインフォールズの上に架かる橋を渡り、ビジターセンターに帰還。1時間半ほどのトレッキングでした。や、比較するのもアレですが、キャピラノ吊り橋はしっかり整備されているしエンタメ性もあるし安全に森林散策ができます。が、40ドル弱掛かって1時間弱で巡れてしまい、人も多い。リーン・キャニオンは、来るにも園内にも多少の不便はありますが、無料ですし人でも少なくありのままの自然を堪能できる気がする。偏見補正は入っていますが、そんな気がします。

 

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……いやまあ、その時の女性とはいまでも人付き合いがあるので、そんだけ気になってたなら来る前に聞いておけって話しですがね。まぁエメラルドグリーンを捜そうと決めたのもこっち着いてからだし、自分で捜す楽しみってのもあるので、これはこれで良いのです。閑話休題



すっかりリーン・キャニオンを堪能して、バスでロンズデールキーに戻ります。少しマーケット内を歩いてみたら、おっとここにも「グリーン・リーフ・ブリューイング」なるビール醸造所があるじゃないですか!仕方ないなぁ、と入店して、ここにもありました4種類飲み比べ。昼飯食いそびれているのにビールは腹に入れます。

シーバスでダウンタウンに戻り、スカイトレインでパシフィック・セントラル・ステーションへ向かいます。これから乗るVIA鉄道カナディアン号の出発駅です。その列車は大陸横断型で、全行程に乗ると4泊5日を掛けてトロントまで行くのですが、ワシが乗るのはカナディアンロッキーの玄関口ジャスパーまで。約20時間の鉄道旅です。

早めに来てチェックインすると良いよ、的にどこぞのガイドサイトに書かれていたので2時間前に来てみたのですが、係員から「貴様の安い席にそんなものは必要無いし席も空いてるとこ自由にすわんな!あ、出発30分前に来れば良いから(意訳)」と言われたので、かといってこれからダウンタウンに戻って飯を食うのも面倒と、一旦、駅周辺を散策がてら、晩飯と車内食を調達することに。食堂車は付いているのですが、基本的にベッドルームの人優先で、ワシの座る最も安い、リクライニング座席だと食いはぐれることもあるとか。

駅近のサイエンスワールドなる施設の前に、ピタゴラ装置、というか、ルーブ・ゴールドバーグ・マシーンが置かれていてひとしきり見た後、2010年のオリンピック村だったエリアに突入。新しく綺麗なマンションが並びます。パン屋を見つけたので車内食と買いましたが、レストランはどこもしっかりしていて、金銭はともかく時間も掛かりそう……。

 

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てことで、駅にリターン。バンクーバーの街では寿司屋が大流行のようで、駅にもさっき見かけたのでそこで良いや、と思ったのですが、ちょうど入れ違いに閉店時間。駅で開いてる飲食店は……まさかの「A&W」!?ってことで、2食続けての「A&W」。や、今度はハンバーガーにしたし、ルートビアはこっちでも湿布くさくて美味しかったから良いんだけど。

乗車時間になり乗り込みますが……ここで、トラブル発生!あまり詳述は出来ないのですが、乗車をキャンセルしてバンクーバーに残ろうか、とも思うほど。結果、結局乗り込むことにはして、移動しながら出来ることは手を尽くして、取りあえず人事は尽くしたので天命を待つばかりの状態。ここを書いている今はまだ解決していないので、実はかなりドキドキしています(更新している今は、解決はせず、対応に追われてますが。苦笑)。

 

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そのトラブルのおかげで、名残を感じる間もないまま出発してしまったバンクーバー。でもやっぱりステキな、好きな街だなってことが再確認できたので、またいずれ訪れたいものです。