コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

どうあがいても、絶景(北米大陸ぼっち横断4)

やー、旅から帰ってきてからも、前の旅記からもひと月が過ぎていますが、しれっと続きを書いてみます。ちなみにタイトルは、ゲーム『SIREN』の広告コピー「どうあがいても、絶望」のパクリ。閑話休題。5月7日、旅の4日目の記録です。



ワシは、幼少のころから幾つか憧れの旅先というのがありますが、そのひとつはカナディアンロッキー。よく写真で見るあの絶景、あのエメラルドグリーンの色合いは、子供心に深く印象付きました。バンクーバーに過去3度も来ておきながら、毎度スケジュールや季節の問題で足を伸ばせなかったこの場所を、今日は1日掛けて、名所を巡りながらバンフまで縦走します。

……の前に警察署。無くしたケータイの紛失証明書をもらいます。もう一つのスマホの翻訳機能なんかを使いながら、意外にスムーズに手続きは終わり(って書類記入するだけだし)、名刺のような証明書を受け取り、退出。海外初警察が、カナディアンロッキーに抱かれた街になるとは……。

 

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山に抱かれる警察署、の看板。この右手に建物。

カナディアンロッキー縦走は、免許もないし、英語は分からんし、ここは冒険よりも安心、ってことで日本語ガイドのいる現地発着ツアーを申し込んでみました。ジャスパー駅まで迎えに来てくださったのはこちらで働く日本人のガイドさん、ワンボックスの広々とした車内には本日ご一緒する母娘さんが既に乗っておられて、いざ、バンフに向けて出発です。

ジャスパー駅を出て10分も走ればアイスフィールド・パークウェイに入り、すぐに人工物はほとんど無く、道路と、たまに出てくる看板の他は、白い雪を冠した青々しい山並みと、木々の緑。もうこの時点でどこを向いても絶景です。似たような風景でありつつも、光の加減や山の形、緑の広がり方でちょっとずつ表情を変える大自然が続き、車窓に飽きることがありません。

 

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そんな中で最初に停まったスポットは「アサバスカ滝」。アサバスカ川にある瀑布です。荒々しく削られた岩肌を急落する水は豊富で、かなりの流れの速さ。それでも、まだ雪解け途中で勢いは弱い方だとか。いきなりの迫力に、さらに先の期待が高まります。

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「熊、鹿、羊とか、いろんな動物が出てきますよ。運もありますけど」とガイドさんに言われて車窓を眺めていたら、いきなり遭遇したのがレアキャラと言われていた黒熊!冬眠明けなのか、道沿いで草を食んでいます。さらにテンションを高めながらアイスフィールド・パークウェイの中間中継地点でもあるアイスフィールドセンターに到着。ここから、二つのオプショナルツアーに出発です。

 

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センターからコロンビア大氷原方面。

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似た角度で、少しコントラストを変えて。

まずは、コロンビア大氷原の氷河まで雪上車で見学に行くツアー。センターからバスに乗り、中継地点で雪上車に乗り換え、氷河の上まで行きます。雪上車は直径150cmのタイヤが圧巻、多人数を乗せて、20度ちょっとの角度がある、乗っている方からは壁にしか見えない坂道なんかも、グリップしながら走ります。もうこの移動がアトラクション。

 

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タイヤに対抗心。

雪上車で行けるのは、氷原から流れ出す氷河の端っこ。それでも、ここに何万年もの自然が凝縮されていまでも動いているんだな、という感慨に襲われます。山の向こうに広がるコロンビア大氷原は名古屋市と同じくらいの大きさだとか。自己責任で、そっちの方までスキーで行く人もいるというのですから驚きです。我々は、とてつもなく陽光を照り返す雪と淡いスカイブルーの氷河に囲まれながら、ひとしきり自然を満喫。

 

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すごい日光の照り返しでおでこがレフ板。

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淡い水色が神秘的。

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雪と岩肌の間の水色が氷河。

センターに戻り、続けてのオプショナルはグレーシャースカイウォーク。道路沿いの崖に設置された下が透明の遊歩道で、崖下からの高さは最大280mだとか。よくこんなの作ったよな、と思いながら、その高さと景色の良さを堪能します。やー、ここまで高いと逆に怖さを感じない……ああ、やめてやめて、走ると揺れるから!

 

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岩肌から突き出すウォークウェイ。

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景色は雄大。

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高さが伝わら……ないよね。

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ワシとの比較でも伝わらない。。。

ここには、自然解説の展示もあるのですが、なんでもこのコロンビア大氷原からは大きく三つの川が流れ出していて、それらは太平洋、大西洋、北極海に流れ込む、世界でも唯一の「三つの分水嶺」なのだとか。それもまた、すごい話だ……。センターに帰るバスの中からは、ビッグホーンシープの群れが見えて、ドライバーが停まってくれたり中々粋。

 

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センターに戻り、中のカフェでランチ。自分で食べたい食品を取ったりオーダーして、飲み物などを取って会計するスタイルで、ワシは「モンゴリアンプレート」なるものを所望。羊肉ということもなく、プルコギっぽい味。ビールは氷原の名前が書かれていて、仕込み水に使われているのかな、とお察し。

 

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アイスフィールドセンターを出発。ここまではジャスパー国立公園でしたが、ここからはバンフ国立公園と、所属が変わる模様。そして心なしか、景色も変わってきました。ガイドさんが「この先は面白い山が色々出てきますからね、好きな山を見つけてください」と言うので、「じゃあ推し山捜しですね」と返したら、ちょっと車中で流行って嬉しかったです。

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バトルシップ・マウンテン。戦艦に見えるかしら。


最初に停まったビューポイントで見えた「バトルシップ・マウンテン」。稜線が戦艦のようなので付いた名前らしいですが、ワシの推し山はいきなりのコイツに決まりました。岩肌から雪解け水が染み出すという「すすり泣く崖」を車窓に見つつ、ビューポイントの名前は忘れましたが視界270度くらいが雄大な山々という、カナディアンロッキーの実力見たり!という場所にも寄って、もうこの時点で、良い意味で絶景のインフレ。

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またも黒熊。

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すすり泣く崖。今日はあんまり泣いてない。

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何気ない車窓でこれ。

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約270度絶景、左。

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約270度絶景、中央。

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約270度絶景、右。


さらに進みまして、時期的にまだ入場できなかったベイトー湖は残念でしたが、雪解けの始まったボウ湖、ヘクター湖には立ち寄り。完全なエメラルド色の湖が見られなかったのは残念ですが、湖上に雪原の広がるこの凜とした雰囲気もすてきです。これはまた、夏秋に来るしかないフラグ!

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ボウ湖の鏡面のような水面。

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ボウ湖に反射する、手ですくえそうな太陽。

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川部分が雪解けするヘクター湖。

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急速に春に向かって氷が縮んでいく。


クロウフット氷河なども見ながら、車はレイク・ルイーズへ。湖畔のホテルに宿泊されるという同行の母娘さんとはここでお別れ。とはいえ、道中旅の話で盛り上がり、特に娘さんがかなりけったいな場所へ旅をしていたこともあり、後日、お互いの勤務地に近い銀座界隈で、旅好き友達を集めて再会して旅話に花を咲かせたりもしましたが、それはまた別のお話。

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ルイーズ湖。ここもまだ、雪解け中。

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ルイーズ湖の水面に浮かんでいるかのような石。光彩雲の影響かしら。

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♪静かな湖畔の森の影から↓

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↓羽の蒼く光る鳥が鳴く♪


ルイーズ湖をちょっと見学し、ガイドさんとワシだけになった車はバンフへ。途中、その山景が城のようだというキャッスル山に立ち寄りながら、小一時間でバンフの中心街へ。と言っても、2ブロックもあればほとんど巡れてしまう町並みなので、ホテルに行く前に街中を案内して貰いながら、晩飯どころを相談します。

 

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キャッスルマウンテン。



美味しそうなお店を幾つか教えてもらったのですが……ある店の前を通りながら「ここは、バッファローの肉が食べられるんですよ」と言われて全部ぶっ飛びました。そんな面白肉、食わなければ肉の妖精の名が廃る!てことで、ホテルで一休みし、日本語対応の土産屋で少し買い物をして(と言ってもバックパッカーなので荷物は増やさない程度)、いざ、実食。

店名は「バイソン」。そのまんまです。バッファロー肉料理の種類は多くありませんでしたが、ショートリブステーキを所望。ほほーうこれは……濃い!味濃い!

 

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馴染みのある料理で一番近いのは、牛スジの赤ワイン煮でしょうか。牛の赤身と牛スジとコンビーフを合わせたような食感。そして、濃いソースのおかげかそんなに臭みは感じないのですが、濃いソースのおかげで体内の何かが飽和していくような感覚に襲われ、ちょっとドキドキ(胸焼け)しちゃいました。とはいえ、骨の周りの部分とかはかなり絶品だったし、ネタ的にもこれを食べられたのは嬉しい!あまり見かけないブリティッシュコロンビア州のワインがあったのも嬉しかったし美味しかったです。

街案内をしていただいた時、今回ブリューイング巡りが楽しいです、って言っちゃったものだから、ガイドさんがバンフにもありますよ、と教えてくれた「バンフAve.ブリューイング」でさらに一献。ここでも6種飲み比べセットをいただきます。全体的に味濃いめ苦めな印象でしたが、今日イチはバンフ・アースクエイク・ダブル・IPA。アルコール度数も高くガツンと殴られるようなインパクトで美味い!

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0時近くまで飲んでしまい、この日も疲労と若干の酩酊の中、宿泊の「バンフ・ターミガン・イン」へフラフラ歩いて帰ります。このホテル、山小屋のような雰囲気を残しつつ結構大きなホテルで、ワシの部屋も独りなのに広々。窓からもカナディアンロッキーの山並みが見えて、高すぎない割に快適なホテルでした。

 

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夕方、と言ってももう20時過ぎのバンフの中心街。

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ホテルの部屋。

 

 

ちなみに、この日のツアーの模様が、ほぼ即日、ツアー会社さんのブログに載ってました。この会社、Explorer Canada HolidaysさんとガイドのSさんは、とてもフレキシブルに対応いただき、大満足のツアーになりました。