コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

にわかニューヨーカー(北米大陸ぼっち横断7)

目を覚ましてみれば見慣れない部屋。そういえば、友人の家に世話になっているのでした。昨夜到着し、明朝出発するニューヨーク、丸一日いる今日5月10日(旅の7日目)は、実は朝時点でもノープランで、まぁ友人と一緒に、テキトーにブラブラ、案内もしてもらいつつ楽しもうとふんわり考えながら支度します。あ、晩飯を食う予定のウルフギャング・ステーキハウスだけはネット予約しておきましょうか。

ぼやぼやしてたら10時近く。取りあえず散歩しながらブランチでも行こうかー、と、友人宅を出てハドソン川の方まで歩きつつ、地下鉄乗りつつ、W83th通りの「Cafe lalo」に入ります。インターナショナル・ブレックファストと称して、20近い国をイメージした朝食が食べられる店のようです。ワシは「French"Kiss"」を所望。そういえば「Japan」はなかったな。フレンチキッシュはめっちゃ美味しかったですが、サラダが欧米あるあるなざっくりした味。

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こざっぱりしたこちらのカフェ、席に配されたナプキンなんかも可愛らしいですが、なんでも映画「ユー・ガット・メール」で、トム・ハンクスメグ・ライアンが邂逅するシーンのロケ地だとか。ワシも20年近く前に見た記憶のある映画ですが、店の前に飾られた映画のシーンの写真をみれば、あー、なるほど!と思い出しました。

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そのまま歩いてセントラルパークへ。途中、ちょうどやっていた日曜市なんかで、意外に面白いアート作品なんかも冷やかしながら園内に入れば、初夏の鮮やかな緑と花々が美しさを競い、そこかしこに小動物も見え隠れします。ここに来るのも12年ぶり2度目ですが、ホント、ふっと目をあげてビルを目にしなければ、大都市の中にあることを忘れます。

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昨夜も来たタイムズ・スクエアに移動してふらふら散歩。エンパイアステートビルは以前も昇ったしなぁ、とスルーし、鉄の習性でグランド・セントラル駅を見学し、本好きの習性でニューヨーク公立図書館を見学。図書館は重厚で、まさに知の集積場、と言われて納得の雰囲気です。そして、ランチを兼ねて「BBキング・ブルース・クラブ&グリル」へ入店。

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<ニューヨーク公立図書館外観>

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<図書館内>

こちら、偉大なるブルースシンガーの名を冠したライブハウスで、普段は様々なアーティストが歌うらしいのですが、日曜の昼は、ゴスペルブランチと言って、ビュッフェを楽しみながらゴスペルも楽しめるイベントをやっているのだとか。前回NYCに来た時は、ブルー・ノートでジャズを楽しんだので、今回は趣向を変えてみました。意外に美味しい(でも味の変化は乏しい)ビュッフェを食べていると、ライブスタート!

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恐らく歌っている人は上手いアマチュアレベル、PAレベルも高くはないですが、場の雰囲気は最高に楽しいものでした。オーディエンスも巻き込んでのパフォーマンス、ゴスペルはもちろんAORまで含めたスタンダードナンバーが歌われ、そんな中でもトリで歌ったファレル・ウィリアムス「Happy」はやはり盛り上がる!シンプルな曲故の、エバーグリーンな感じでしょうか。老若男女に多人種、みんなで「Happyyyy!」の大合唱したのには、ちょっぴり目から汁。

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<店内の模様>

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<パフォーマンスの模様。ステージ上にはお客さんも多数登る>



音楽も堪能し、ロウアーマンハッタンに向かいます。と、友人がブルックリン橋渡ってみる?と言うので、そういえば言ったこと無いし歩いて渡れるなら行ってみたい!と向かいます。公園を散策して橋を渡り始めますが、結構きちんと整備されていて、観光客のみならず、多くのニューヨーカーも散歩したり自転車で渡ったりしていました。遮るもののない橋上、イーストリバー越しに見るNYCの町並みも美しいですが、強い日差しに汗だくになります。

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橋を渡り終えて、コンビニで水を求めながら、ふらふら歩いた先はワールドトレードセンター跡地、そう、9/11メモリアルとも、グラウンド・ゼロとも呼ばれている、あの場所です。


ワシが12年前にNYCに来たのは、ちょうど9月11日にあわせて来ていました。あの事件の衝撃がまだ冷めやらず、2年後のメモリアルデイでもテロ予告などがある中、わざわざそこに合わせたのは、自分なりに大きな衝撃でありながらもやもやして消化しきれなかった同時多発テロ、それを受けたアメリカのリアルを少しでも知りたかった、という衝動でした。


その頃は、まだ瓦礫の撤去作業も終わらず、追悼式典と、その前後で跡地に祈りを捧げる遺族たちの姿を見て、様々な衝撃を受けています。その時に感じたことは、当時やっていた自称ニュース系サイト(ブログ以前!)に書いているので、ご興味の方はこちらの9月19日付のテキストでもご覧いただければ幸い。


さて、12年ぶりにあのエリアに足を踏み入れてみれば、おお、全然変わっている!当然瓦礫はなくなり、新しい建築物が幾つも建ち並びます。でも……ああ、このフェンスは変わっていない。12年前は、警察や消防を称える献花が飾られていた小さな教会らしき建物のフェンスを見て、自分の立っている位置を確認しました。

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<この左手のフェンスに見覚えあり>

そして、かつては瓦礫の山だったところに足を踏み入れれば、そこには、旧WTCビルの大きさに合わせて作られた追悼モニュメント。犠牲者の名前が書かれた石版に囲まれて水が流れています。もちろん、ツインタワーにあわせて二棟。その向こうには、その姿はさっきから何度もNYCのあちこちから目にしていましたが、偉容を誇る新しいWTCビル。なんでも、一般開放はこの月末(2015年5月末)からとのことで、展望台を含む棟内に入れなかったのが残念。

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<追悼モニュメント>

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<新しいWTCビル>

遺構も活かして作られた「9/11トリビュートセンター」を見学。あの日の記録や、ねじ曲げられた建物の部品、飛行機の音声記録など、あらゆるものを集めて展示しています。センターの一部には、元々WTCだったが崩れた箇所がそのまま残されていて、様々に衝撃を受けながら、1時間くらいで見て回るつもりが閉館まで2時間近くたっぷり見学してしまいました。

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<トリビュートセンター内にある、ノースタワーの残骸。当時のままの場所、状態で建物内に取り込まれている>

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<消防車の残骸>

この、9/11メモリアル周辺で感じたことは、当日はホント、言葉に出来ることもないほどで、いろんな衝動を受けてしまっていたので、いずれ改めて、2003年前との比較も、もちろん2001年に思ったことも踏まえて、改めてまとめたテキストにしたい所存。



時間は夕暮れ時。さらに歩いてハドソン川沿いのバッテリー・パークへ。夕暮れに沈む川向こうのジャージーシティとか、ミッドタウン方面とかを眺めながらふらふらします。NYCは、歩いてて楽しい都市だな、と思います。公園の多さや随所に設けられた施設、ビューポイントが、ほどよい距離感で隣接し、住んでるなら休日なら歩き続けているだけでも楽しめるであろう街。

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ハドソン川沿いにジャージーシティ。雲の厚みがむしろ綺麗>

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<バッテリ・パークの向こうに見え隠れするエンパイヤステートビル>

とはいえ、すっかり日が暮れて、そろそろお腹も運動の対価を求めてくるころ。てことで向かったのは、朝方ネット予約をしていた「ウルフギャング・ステーキハウス」の、パーク・アベニュー沿いにあるお店。昨年日本に進出してきたステーキハウスで、ワシも何度か行っていますが、どうやらここが1号店らしく、言わば、肉の聖地巡礼


ほの暗い店の雰囲気ながら、けっして堅苦しくはなく、そこそこ小綺麗ならTシャツで入っても大丈夫な感じ。旅の初日に続いて最終日も生牡蠣を前菜にして、メインの名物ポーターハウスは1人あたり49ドルで、やはり日本よりは安価(日本は1人7500円)。味付けや焼き加減はやはり日米の違い(というか店の違いの個性?)をちょっと感じますが、こちらのポーターハウスは、プライムリブの部分が美味しすぎて感動レベル。

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<生牡蠣!>

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<肉!>

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<ワイン!>

当日はSNSにポストしませんでしたが、近くの卓にいた日本人グループが、恐らくお笑いタレントさんとアイドルグループさんで、もしかしたらNYCでの、何かの撮影の合間にいらしていたのかもしれません。閑話休題

ナパバレーのワインも一本空けて、すっかり満足して今度は肉食の対価に、もうちょっと散歩。34th通りのデパート「メイシーズ」はとっくに閉店していましたが、ここは映画「34丁目の奇跡」の舞台でもあり、あの作品のファンとしてはやはりちょっとした聖地巡礼(って、12年前も来てますが)。

最後は適当な場所から地下鉄に乗って、もう一泊を世話になる友人宅へリターン。やー、ぐるぐる歩いたし、よく回った!ニューヨーカーの暮らしを知りませんが、あちこち歩いてふらふら宛があったりなかったりで回っていると、自分もにわかにそのひとりになった気がして、楽しい一日でした。



旅の帰国日、5月11日。飛行機が9時台出発なので、そこそこ早い時間に友人宅を退去。実は彼は、ちょうど一週間後に一時帰国をする予定で、この辺の日程のかぶりはたまたまなのですが、近い未来の再会を約束して、アメリカらしく握手でお別れ。地下鉄に乗って、JFK国際空港を目指します。

意外に空港はガラガラで、その分開いている窓口も少ないので手続き系はそこそこ時間がかかりますが、まぁとはいえ帰りも一応、マイルで取ったビジネスクラスバックパッカーなのでここまであまり見てこなかった土産物屋をやっと見て、最低限だけ買って、あとはラウンジで朝シャン(朝からシャンパン)です。JALは、JFKではエールフランスのラウンジを共同で使っているらしく、食べ物は質素でしたがワインの充実っぷりがさすが。

乗ったJALの機材は787で、ビジネスのシートはJAL SKY SUITEなる最新のもので、これが超快適!ほぼ個室で、フルフラットというか完全に横になれるベッドが作れて、モニターも大きく映画も見応えがあり、ホスピタリティも良く、飯も美味い。飛行機のシートの概念が変わりますね……まぁ、普段はビジネス乗らないけど。

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<広々シート>

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<帰りは洋食。ご飯が炊き立てで供されるのが嬉しいし、美味しい。他にも好きな時間にいくら丼が食べられたり、食と酒が充実すぎ>

JFK空港に着いたころは、結構な旅の疲れを感じて、これが加齢か……とちょっとガッカリしていましたが、帰りのシートですっかり疲れも抜けたふうで、12日の昼に成田に着くころにはいっそ元気になっていました。



ということで、当初はマイルが余りすぎて、取りあえずビジネスクラス往復が取れたから、ってところから始まり、途中は本当に直前や行ってから考える行き当たりばったり。それでもほぼ一週間を掛けて、カナダ・バンクーバーから、鉄道とバスと飛行機を乗り継ぎニューヨークへ、いろんなツッコミを受けながらも一応自分的には「北米大陸横断」をやったと言い切りたい旅を行ってきました。

途中、楽しい出会いや嬉しい再会もありましたが、ほとんどの行程は独り旅(ぼっち旅)。独り旅ゆえの身軽さ、大変さもありつつ、相変わらずのトラブルにも巻き込まれて、今回も、忘れられない旅になりました。

さて、今度はどこに行こうかな。(と書いている今日これから、一日で日本縦断の旅のために北海道に向かうのですが。笑)