雅を楽しむ
招待券をいただきまして、何年かぶりに宮内庁式部職楽部・雅楽演奏会を拝見。
<会場外観>
<会場。巨大な太鼓の装飾が美しい>
<天皇陛下がいらっしゃる時は、ここから鑑賞されるっぽい。>
ワシは、一応神主心得見習のくせに、雅楽に明るくはなく雑学以上の知識もないのですが、雅楽の調べを聞いていると、やはり自分は日本人だなぁ、という気持ち、あるいは思い込みに浸ります。育ってきた文化的背景に基づくアイデンティティ確認作業のひとつだと思いますが、まぁその心理は別途掘り下げたいとして、演目のこと。
今回の演目は分かりやすかった!音を聞いて、舞を見て、世界観や物語の想像がしやすかった、という意味です。まぁ解説書きがあるから脳内保管されているところもありますが。
管弦(演奏のみで構成)でやったのは、「双調音取(そうちょうのねとり)」「柳花苑(りゅうかえん)」「胡飲酒破(こんじゅのは)」。
「双調音取」は、音合わせっぽさもありますが、これから始まる世界観を作り出す効果を持っています。「柳花苑」「胡飲酒破」ともに、なんか春っぽい明るさを持っていて、芽吹きとか、暖かい陽気の中での酩酊とか、雅やかなゆったりとした音楽の中に感じる「勢い」が面白いです。
舞楽(演奏と舞)でやったのは、「喜春楽破(きしゅんらくのは)」「還城楽(げんじょうらく)」。
「喜春楽破」は4人で舞いますが、その所作に見惚れました。ユニゾンの美しさとかそういうことではなくて、何か、風に揺れる柳の枝を見た時のような、つい目で追ってしまう動き。「還城楽」はかなりきっちりとした物語があって、舞楽にしては珍しく、ラジオ体操かと思うくらいテキパキ動くのが面白いです。
<パンフに書かれた「還城楽」のイラスト。面を被り、左手には金色の蛇を持っている。>
どちらも、舞の中に物語があり、振付に意味を感じます。案外この舞楽(管弦でも)、小説のネタを考える時のインスピレーションをもたらすかもなー、とか感じました。
ちなみにこの会場、皇居内東御苑にありますが、天井から採光されてて、外をイメージしているらしいのです。だから、舞台周りで椅子の置かれている場所の足下は白石の砂利。こういう見立てがあるのも、なんか和っぽさを感じますね。