コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

禅と庭のミュージアム

広島県福山市にある「新勝寺 禅と庭のミュージアム」がおかしい。


・現代アーティストが手がけるインスタレーション
ピエールエルメとコラボした焼き菓子
・浴室があってしかも入れる


前情報だけでお腹いっぱいだけど、ここを知ったのは、一昨年の正月に見たNHKのアート番組で片桐仁さんが紹介していて興味を持ったから。

 

そんで、福山駅からバスで30分以上掛けて行ってみたら……すげー良かった!単に奇抜な企画のの寺ではない、居心地が良く、芸術を嗜み、禅の教えを受け取り、茶の心を知り、それらを包む自然の美しさを楽しむ、そんな空間だった。

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入るなり広がる庭園がまず美しいのはさすが。国際禅道場なんてのを見ながら緑を浴びる階段を登り15分ほど歩くと、まずは本堂。

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広い空間に鎮座する仏像に、まずはお焼香。その前に広がる「無明庵」なる石庭も、こぢんまりしつつも落ち着きある石の置き方が良い。

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蒐集している禅画家・白隠の墨絵コレクションは、達磨絵ほかのユーモラスながら伸び伸びとした墨絵が美しい。これイイ!と思った絵のモチーフが大好きな太公望だったりして嬉しい。あとね、入るなり円の筆を見せられるのは、やはり禅のイントロとしてはインパクトある。

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僧侶にとっては修行の一環である食事も疑似体験させて貰えて、寺内の五観堂で新勝寺うどんを食しながら、雲水と呼ばれる禅宗僧侶の作法を様々に教わる。食べる前には経を読み、独特の雲水箸の使い方や、洗鉢と呼ばれる食後の皿洗いまで、大変に興味深い。なお味そのものも、美味い!コシのある極太うどんを湯だめから取り、薬味にすりごまをたっぷり入れた濃い目のツユですすり、最後はそこにご飯も入れてツユも飲み干し、出されたものは最後まで全ていただく作法まで含めて美味楽しい。

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こちらの寺の目玉のひとつ、現代アーティストが手がけるインスタレーション「洸庭」。まるでフィナンシェのような、船をイメージした巨大建造物の中に入って、暗闇の中で作品に浴し、瞑想とかをするらしい。でもそこはそれ、どうしても「どういう仕掛けか」が気になって凝視してしまうのは職業病。

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とはいえ、これも体験して欲しいところだけど。遠近感の奪われる暗闇の中、水と光とが緩やかにたゆたいうつろう様が、確かに瞑想向き。途中退出してもいいらしく、飽きる人もいそうだけど、これ、最後まで見た方がいいと思う。最後の光と水の使い方で、なるほど「洸庭」だなと納得感あった。
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意外な良さがあったのが、浴室。今日は男子風呂が露天の石の湯だったけど、ここが最高!竹林の木漏れ日を浴びながら手足を伸ばせば、自然と息も漏れようというもの。ここだけで30分くらい浸かっていたいー!というくらい心地よかった。バスの時間さえなければー!

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風呂上がりは含空院で、すてきな庭を見ながら粟餅ときな粉餅に煎茶を喫する。これ、お代わりの急須にお湯は入っておらず、室内にある湯釜からお湯移して煎れるの、こういう細かい演出がすごく楽しい!
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その他の建物や散歩道もすてきで、3時間の滞在時間フルに楽しんで足りないほど。行きにくいせいか人も少なくて、でも「寺的な空間」も「現代アート」も内包した、ちょっと新しい体験が出来るので、ホント、おススメ!

https://szmg.jp/

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