コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

缶サット甲子園

昨日から和歌山に入っておりましたのは、作家の野尻抱介さんにお声かけいただいて和歌山大学は宇宙教育研究所の方とお話しをし、また本日和歌山予選が行われる「缶サット甲子園」なるものを見学・取材してきまして。


缶サット甲子園
http://www.space-koshien.com/cansat/


概要は↑の通りなんですが、まぁようは高校生がそれぞれの工夫と技術を凝らして小型衛星を作って、それを簡易ロケット(数百メートル打ち上がる)に載せて競技規定に沿った点数を競うもの。元々は、10年くらい前に東大や東工大の大学生がトライしていたらしいのですが、それが今や高校生までやっているというのだから驚き。ワシも↓へんの本を読んで勉強しました(まだ読み途中ですが)。


上がれ! 空き缶衛星
http://www.amazon.co.jp/dp/4104684015
キューブサット物語~超小型手作り衛星、宇宙へ
http://www.amazon.co.jp/dp/4767803993/


和歌山大学内で各高校生のチームが、まずはプレゼンを行います。この時点で、大学の教授や大学生から結構いろいろツッコミを受けて、プレゼン慣れしていない高校生はタジタジ。でもこれは、ここだけでも良い経験だと思います。


その後は射場である「コスモパーク加太」に移動して、大学の用意した小型ロケットにサットを搭載し、実際に打ち上げ&分離&パラシュートで様々なデータを取ります。打ち上げ高度は先述の通り数百メートル程度ですが、それでも充分に意味あるデータなどが取れるらしく、それぞれの創意工夫が生きるようです。


いや、しかしなんというか、高校生はピュア&青春!こういう、ものつくりを通じて仲間と結束し、それを実際に打ち上げて一喜一憂する、ってのは、これはすごい経験だと思います。


ワシが特に気になったのは、とある高校のチームで、編成が男性2名と女性1名。この、「時をかける少女」メソッドというか、「空の向こう約束の場所」メソッドというか、この編成だけで物語のプロットが作れそうな気がしますが、彼女らは今回の各チームの中でもトップクラスの結果を出して、打ち上がった瞬間やパラシュートが展開した瞬間、そしてそれらが良い形で落下してきた時に、本当にピュアな歓声があがるんですよね。


そして、接地するとそれぞれのチームのメンバーがそれを回収しに行くんですが、彼女らは接地した瞬間、躊躇いもなく猛ダッシュでサットの側に走っていきました。まるで可愛い我が子が帰ってきたのを迎えに出るように。


もうなんか、この光景を見られただけでも、(仕事的なものは別にして)今回来て良かったなぁ……と個人レベルで感慨に浸ってしまいました。青春万歳。


夜は、和歌山大学の教授の方々と野尻さんとで懇親会。ご一緒した教授の方は、はやぶさの帰還時にオーストラリアに中継に行ったり、その前から「ライブエクリプス」プロジェクトで世界各地の日食を始めとした様々な天体現象を中継した方。もうひと方も日本の宇宙戦略に関わる方とあって、非常に濃い、でも楽しい話ができました。まだまだ形になるかは分かりませんが、仕事上、すなわちnc動やnc生での今後の宇宙コンテンツの広がりにものすごい可能性を感じて来ました。


nc生でも大反響だった、はやぶさ突入ミッションの生中継。nc生スタッフとして現地に行かれた野尻さんと、和歌山大のスタッフとして行かれた教授さん、さらに現地で出会ったマスコミの方の話を聞くと、ホント、それぞれにそれぞれのリスクがあり、それぞれの事情を乗り越えたところであの最期を撮影できた奇跡を感じます。その上でホテルに戻ってはやぶさ動画を見直したら、目からキセノンガスが出ました。


それこそ、今日缶サット甲子園で知った高校生達は、10年20年後のはやぶさや、あるいは別の宇宙プロジェクトを担うかもしれません。そういう場に居合わせたことは、むしろワシ自身にとって望外の栄誉だったのではないだろうか、とまで思ってみました。





写真は、1枚目がプレゼン時にサットを説明する高校生。筒がキャリアで伸びている紐がパラシュート。2枚目が射場の空。周りに何もないどこまでも広い空が見られて、おかげで日焼けした。3枚目が打ち上げの瞬間。小さいなりにすぐ近くで見られるので、意外に迫力を感じます。