コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

おはなしのつくりかた

先日、こんな生放送がございまして、後日、こんな生放送がございます。


●先日(タイムシフト中)
大塚英志と学ぶ『ニコニコ教養講座』 第二回〜お話の創り方〜【課題発表】
http://live.nicovideo.jp/watch/lv60258418

●後日(8/31)
大塚英志と学ぶ『ニコニコ教養講座』 第二回〜お話の創り方〜
http://live.nicovideo.jp/watch/lv60281104


勤務先社員の新入社員研修、の一環として大塚英志さんによる「お話の創り方」なる講座を行っておりまして、しかも生放送もしております。でまぁ、先輩社員として何人かの管理職も受けるってことになりまして、上長からの指名というか指令というかで、なんか、ワシも講座を受けてます。


一応これでも「芸術学部文芸学科」なるところに在席し、創作を多少は学び、創作する仲間が居る場所に身を置いていた身。平均的なところよりは多少、創作に対して技術的なアドバンテージがあると信じたいというか、信じられないとワシが大学にいたレゾンデートルが脅かされます。


とはいえ、正直大学での創作は、かなり感覚的に行っていたことも確か。それを、ある程度の手引き書(マニュアル)として聞けたこの講座は、ワシに取ってもかなり意義深いものでした。いや、まだ課題提出編だけだけど。とはいえ、次の会は課題発表会だから、論理は前回にまとまっているのだろうけど。


てことで、詳しくは番組をご覧いただければと思いますが(宣伝乙)、サマリーを備忘録的に記載。


なんでもアメリカ・ハリウッドには、写真加工するPhotoshop、映像編集するPremiere、みたいなノリで、お話しを作ることを支援するソフトで「Dramatica(ドラマティカ)」ってのがあるそうです。その根底にある論理は、物語とは「ヒーローズ・ジャーニー」と呼ばれる構造線に沿って描かれるものである、ということ。


これは、ジョセフ・キャンベルという人の発見した、世界中のどの神話にも共通的な特徴があるという『単一神話論』に基づいており、そこにある構造を彼は「ヒーローズ・ジャーニー」(英雄の旅)と名付けたそうです。


英雄は、使命を与えられ、迷った末に旅立ち、最初の挫折を味わい、仲間を得て、さらなる試練を経て、賢者の助けも得て、最大の敵と戦い、帰還するところで最後の敵と会い、それを屠り、日常に帰還する。まぁざっくりいうとそういうストーリーライン。どっかで、というか、しばしば目にしたことがあると思います。


さらに、クリストファー・ボグラーという人の「神話の法則」も元にして、それらを独自に落とし込んだのが、大塚氏の「神話の練習帳」。この講座も、それを元に行われました。なるほど言われてみれば、ひとつの手引き書としては納得の内容。


でまぁ、講座の方は、それを元にいわゆる「プロット」を創るというもので、次回の講座でその発表がされるのですが、ここではその他、印象に残ったり納得したお話しを簡単に記載。



お話しの創り方としてよく「起承転結」が言われるが、これは間違い。起承転結は中国の漢詩の構造。それがちょうど当代、四コマ漫画の構造として用いられてさも物語の創り方の構造線として言われているが、本来の物語の構造線は『三部構成』


日本では「序破急」、オペラも三幕構成が基本。なぜなら「起承転結」の「転」とは、物語に置いては一瞬の出来事。そこに多くのプロットを割くと話が惰性と蛇足だらけになる。


これはものすごく思い当たるところで、「転」がストーリーテリングにおいていわゆる(ワシがよくレビューで言う)「カタルシス」のことだとすれば、それは本当にホンの一瞬、映画ならワンカット、小説なら一行で示される。



ちょうど先日、10年愛されるキャラクターを創ろうという企画、その生放送である「テンキャラグランプリ」でも出てきていましたが、映画用語の「ログライン」という考え方。これは、物語の各パーツを1行、せいぜい2行程度にまとめる、プロット作成術。当然、映画に限らず応用できる。



ヒーローズ・ジャーニーの解説で面白かったのが、「英雄は受け身」であるということ。言われてみれば、だいたいの英雄は皆、望みもしないのに勝手にもめ事に巻き込まれたり(指輪物語)、権力者や近親者に頼まれて何かを倒す旅に出る(ドラクエ)、ということが多い。


まぁそんなこんなで、物語のまとまるを書くはずの稿ですっかりまとまりなくなってしまいましたが、こうした分析は面白いし、物語スキーにとって知識としてはとても有用ですね。実際に自分が物語を創るとなると、はたしてヒーローズ・ジャーニーを使うのか、それから外れるのか、分かりませんが、知ることが出来たのはとても意義深かったです。


こういう勉強をもっとしてみたいですし、本も読んでみたいな、と、最近すっかり読書づいているワシは思うのでした。