コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

沖縄巡礼?〜久高・沖縄の旅3〜

最終日の旅記、「沖縄巡礼」なんてタイトルを付けていますが、特に「巡礼」しているものもなく、正確に言えば「沖縄(本島)縦断」なワケですが、まぁ縦に突っ切ったのは確かなので各町々を「巡礼」そたってことで、これまでのこの旅のタイトルとこじつけてみる。


ところで、「縦に横切る」って表現は成立するのだろうか?(どうでもいい)



22日日曜日。


旅記を書いたり、この日の行程を考えているウチに結構夜更かししてしまった土曜日の夜。旅中は早寝早起き(そして日のあるウチに行動する)なワシには珍しいです。そして、島の最北端から朝日の微速度撮影でもしようかという目論見は、起床時間が日の出時間だったことで潰えます。


それでもと、また7時頃に朝のサイクリング。9時のフェリーで発つので最後の島周遊です。浜や集落をちょいと回った程度ですが、やはりこの雰囲気は良い。旅で通り過ぎるだけだからそう思うのかもしれませんが、何度回っても飽きない空気をまとった場所です。


宿に戻って、併設されている久高島の資料館を覗いていたら8時、この日は宿で朝食(500円)を頼んでおいたのでいただきます。島野菜や海藻に何故かソーセージ(あぐー?)、雑穀米の朝食は中々に美味しい。これで、この島で有料で配される食事、店は、家庭の都合で7月いっぱいお休みという「喫茶ちばい小」以外を制覇。「ちばい小」は自然食のお店と言うことで、行けなかったのが残念です。


支度をして精算をし、港へ。どこぞの島とかと違って見送りのあるようなものではありませんから、粛々とフェリーに乗り込みます。少ない人間を詰め込んで汽笛をならし、フェリーは久高島・徳仁港を静かに出発。本島に戻ります。


久高島を「神の島」と称するのと同時に、「(それ以外に)何も無い島」と称するようで、それは確かに一面の事実なのかもしれません。幾つかの聖地がある以外、沖縄の他の離島に比べて、この島が秀でているものがあるとは思えない。でも、ひとつ前の日記にも書きまして、これは感覚的なものですが、ワシは丸一日いても飽きなかったし、同じところを回っても何故か面白い。


「何も無いのに何かある」島


ふんわりした言い方ではありますが、そんな感覚がしっくりくる島でした。



安座真港に戻って、バスで那覇バスターミナルへ。着替えなど大きい荷物を旭橋駅のコインロッカーに預けようとしますが、まず駅構内にあるので入場券がかかり、ゆいレールのロッカーって「1日」ではなく「8時間」金額で、2時間ごとに超過料金がかかるのですね……しかも、ちょうど良い中型が空いておらずちょっとお高い大型。那覇BTにもロッカーはあるのですが、帰りを考えると駅が良いな、というのが裏目に出た感。まぁ、些細な金額の差ではあるんですけどね。。。


11時ちょい前、那覇空港発で名護バスターミナルまで行く高速バスに乗り込みんで1時間半、12時半に名護BTに到着……する直前に、「名護市役所」ってバス亭があって、車内の誰かが降りるボタンを押したんです。ピンポーン!


その時ワシの脳内にも「ピンポーン」。昨夜、この日のランチが名護になりそうだとFacebookに書いたら、沖縄に住む友人が幾つかオススメの店を教えてくれて、地図を調べたうちのひとつが確か、名護市役所の近くだったな……ってことで、ワシもここで降りて、ランチ探索の冒険に出ます。


ちょっと裏道の方だったので若干迷いましたが、地図を見ながら到着したお店は「たんぽぽ」。喫茶店のような外観、スナックのような内装ですが、実はカレー屋さんだそうです。なんで沖縄、名護まで来てカレーなの、ってツッコミもありそうですが、そこはそれ、郷土料理だけが郷土を代表する料理では無く、スタンダードメニューながらその土地に店を開いている美味しいお店を捜すのも楽しいものです。


で、スタンダードと思われるビーフカレーのセットと、やっぱり外せないオリオンビール生。ずっとバスの冷房の中だったのでそんなに体はホットではありませんでしたが、バス亭から店まででも軽く汗だくにはなれるので、やはりこの味が染み渡る!


やって来たカレーは、ルーが別皿に盛られ、牛肉と玉葱がわんさか入っています。ルーだけを一口運んでみると……おおお、これは美味い!カレーでプチ感動したのも久しぶり。軽いとろみがある欧風のルーに、徹底的に炒めた玉葱の甘み、柔らかく作られたビーフの旨味が詰まっています。そう、旨味が凝縮されている感じ(下写真)。林檎や漬け物の付け合わせも相当レベル高い。


お替わりしたいレベルでしたが一応カロリーコントロール中の身。名残惜しみながらも店を出ます。またうだるような暑さの中、次のバスに乗るためのバス亭を検索。名護BTまで戻ると時間的に怪しいので、さっきとは別らしいバス通りを捜して歩きます。バス亭自体はすぐに見つかったのですが、今度は逆に時間が余ったので、少し先のバス亭まで散歩してみましょう。


名護十字路、というバス亭を目指したのですが、その周辺にあるこの町のメイン商店街がシャッター商店街でした。名護といえば、沖縄北部では最大の都市と思っていたのでもうちょっとの活況を想像していたのですが、やはり現実、経済は厳しいようです。真っ昼間ってこともあるかもですが、人もあまり歩いていなかったし。


ここからは67番系統というバスに乗り込み、沖縄本島最北の自治体、国頭村に向かいます。名護市の北部から大宜味村と海沿いの道をひた走り、晴れ渡った空の反射するそれはそれは美しい青色の海が広がり、そこに浮かぶ沖縄県最北端の伊平屋島、隣接する伊是名島なども眺めやれ、目のやり場に困りません。


50分ほどのバス旅をの果てに国頭村に入ったバスは、村役場のある最大集落へ。ここからはさらに村営バスに乗り換えますので、さて1時間弱の待ち時間をどこかで休憩しようか……と町を歩きますが、ここもシャッター商店街。のみならず、茶店のひとつも開いていません。その手のものは、数キロ戻った道の駅に集約されてしまっている模様。とはいえ、歩いてそこまで戻るのも無理だし……。


と、仕方ないのでフラフラと集落内を歩きます。蝉の鳴き声と時折通る車の音だけが、強い日差しのアスファルトに反射し、暑さをいや増します。これなら、乗換時間は5分とギリギリだったけど、次の名護発のバスで来ても良かったかも……まぁ、見知らぬ町をフラフラするのはそれはそれで好きなのですが(下写真)。


そうそう、滅多にいないと思いますがバスでこの国頭村、さらに先の辺戸岬を目指す場合。国頭村での乗り換えは名護発バス終点の「辺土名バスターミナル」ではなく、そのひとつ手前の「辺土名」のバス亭が便利。目の前が村営バスの発車場所です。閑話休題。



15時、村営バス「奥」行きの発車時刻になりましたので、ようやく冷房の効いた車内に入り込んで出発。と、お客さんはワシだけです。バスの先頭に乗って運転手さんと色々話をしますが、この方、普段は運転代行をしていて日曜日とかだけバス運転手のバイトをしているのだとか。年の頃なら、ワシの親世代でしょうか(後で65歳と伺いました)。


海沿いの道を走りながら、景色の解説や、このあたりの史跡、久高島に行った話をしたら「実は琉球(王朝)発祥の地は、ホントはこの辺なんですよ」と、若干の対抗意識も入った感の説明をしてくださいました。確かに説明を伺っていると、また帰ってきて調べたらそういう伝承があるようです。先ほども今もバスから見える、伊平屋島伊是名島なんかも、王朝発祥の地として認定されているとか。


運転手さんも、ここ最近歴史を勉強し始めたとか。国頭周辺の歴史を学ぶうちに、そこには沖縄全土、琉球王朝の繋がりがあり、それは日本や中国とも繋がり、最終的には世界史と繋がる……確かに、歴史を学ぶ楽しさは、そのあちらこちらに伸びる枝を眺める面白さかもしれません。


30分ちょっとを経て、バスは辺戸岬へ。ここが沖縄本島の最北端、沖縄本島をバスで縦断した形になります。戻りのバスまでの40分ほど、岬周辺の散策をします。すぐに行ける岬の突端からは、海の彼方に与論島が眺められます(下写真、女性の傘の下あたりに島が……見えないか。。。)。思ったほど風は強くありませんが、すぐ横には断崖絶壁。柵も無いところがあるので、注意が必要です。それでも覗き込んじゃうんだけど。


40年前まではここ辺戸岬と与論島の間を、日米の国境が走っていました。先ほどの運転手さんいわく、「27度線」と呼ばれるものが設定されて、行き来は出来ませんでしたが、沖縄の日本返還の日、ここ辺戸岬と与論島でお互いに狼煙をあげて、復帰を祝ったのだとか。


幾つかのレストハウスが廃墟と化していましたが、意外にも観光客の姿は多く、ワシ以外は皆さん、車かバイクで来ているようです。そらそーか。ワシは一人、またも水分補給代わりにビールを煽りながら、帰路のバスを待ちます。時間通りに来たバスに乗り込みやはり客は一人、また運転手さんと話ながら村役場のある集落に戻ります。


ワシはもっぱら公共交通機関を使った旅しかしませんが、たまにこういう、ただ来て帰るだけ、特に周辺の観光地にも足を伸ばせない(足が無いから)ってことをします。いわば、移動だけの旅。そうすると、たまに「何が楽しいの?」と聞かれたりもするんですが、例えば今日なら「だって端っこ行ってみたいじゃん」としか言えません。旅に、ロジカルな理由なんて存在しない、旅は旅であることに価値がある、と思ってます。閑話休題。


集落に戻り、名護行きのバスまで40分強、集落内に何も無いことは分かっていますので、ここは道の駅まで足を伸ばしたいところ。でも、村内にタクシーなんてあるのかな……と村の人に聞いてみれば、500円で送ってあげるよ、とのこと。まぁ完全な白タクですが、利害が一致しているので頼むことに。後で調べたら、夜帯だけではありますが、村民の自家用車を使った有償タクシー制度がこの村にはあるらしいので、ある意味、慣れたものなのでしょう。


道の駅「ゆいゆい国頭」で降りて、国頭村の特産品らしいお茶や、おやつ代わりにクニガミドーナツなる甘味も所望。そうそう、この辺は「ヤンバルクイナ」が有名らしくそんなグッズも売ってましたが、バスで走ってても「ヤンバルクイナ飛び出し注意」って看板があるのに吃驚。飛び出してくるもんなんだ……もっと稀少かと思ってました。


道の駅に入る時に、隣の食堂に掲げられた「猪豚丼」ってのが気になったので、買い物をさっさと終わらせてそちらへ。まだ17時頃ですが、この先那覇まで4時間以上バスに乗りっぱなしですから、早めの夕食にすることに。「わぁ〜家ー」というその店は、道の駅併設ですが別経営の模様。


説明を見れば、猪豚は国頭産だそうです。こんなところで作っているのかと思いつつも、相変わらずのオリオンビール生で半屋外の暑さを凌ぎながら猪豚丼を待ちます。やってきたそれは、肉とたっぷりの玉葱に甘辛いタレが掛かった品で、口にほおばればこれは美味い!柔らかくて癖も無く、ワシの好きな脂身もありつつ恐らく多少はヘルシーでしょうから、パクパクと丼が空いてしまいました。他のも食べたかったなぁ。。。


女将さんの「また来てね!」の声に送られて、向かいのバス亭から名護行きに乗り込み、またも美しい海沿いの道からの景色を堪能しながら、名護十字路で乗り換え。来る時に十字路に見つけた「名護市営市場」ってのに入ってみますが、ここも残念なことに余り活況では無く、2階の飲食店街もテナント募集が目立ちました。


18時半過ぎ、やってきた那覇行きのバスに乗り込みます。来る時は高速バスでしたが、帰りはそれがもう終わっていたので下道をひたすら走ります。ところどころ綺麗な景色なんかもありますが、窓外はそろそろ夜の帳が降りる時間。寝たりケータイいじったりしながらも2時間半を過ごし、21時過ぎに、那覇の中心まで帰ってきました。


ゆいレールで今日泊まる「ホテルグランビュー沖縄」に向かいますが、そのホームからはどこぞでやっている花火が見え、夏の夜を感じます。翌朝が朝イチの飛行機で、そのまま出社するものですから、空港からひと駅の赤嶺駅隣接のこの宿を取りましたが、そういえば赤嶺駅って、日本最南端の駅でしたね。到着するまですっかり忘れていました。


旅記なんかを書いてUPし、そういえば今回はべったべたな沖縄料理を食べてないなとホテル周辺の店を捜しますが、日曜夜に遅くまで開いている店はそんなに無く、少し歩いた隣駅に「琉球新麺通堂」というギリギリ開いてそうな店を見つけたので行ってみることに。


そこそこ賑わっている店内。琉球新麺、とは行っていますが、メインはトンコツラーメンでした。沖縄にラーメンを根付かせよう、と作った店のようですから、むしろ沖縄っぽさとは関係無いようでした。むしろ豚骨のワリに上品であっさりしてるほど。餃子は羽根付きで、どこの蒲田かと思いましたが、これは小ぶりながら中々肉がしっかり味が効いていて美味かったです。


宿に戻って、翌朝に備えて2時頃には就寝。6時起きなのに、備えて寝る時間じゃありませんな。翌朝はホテルバイキングで朝食を取って7時には出発。最後の買い物をして8時の便で東京に戻って参りました。えぇえぇ、そのまま出社ですとも。



「久高島に行ってみたい」から始まった今回の旅。神話の残るだけの島、何も無い島、という当初のイメージは、ある部分ではその通りで、でもそれだけではない、あるいはそれ故の「魅力」に溢れた島でした。さらには沖縄の端っこまで行くこともできて重畳極まりない。


文中、なんかしたり顔で沖縄の聖地を語っていますが、歴史に疎いワシは琉球のそれにも疎く、付け焼き刃と言いますが正直体系的に歴史や神話を理解できていません。琉球王朝のそれも然り。結果的に、歴史が旅の添え物になっているのが残念で、本当にその旅先を理解するなら、むしろ土台になるもののはず。


今回の旅ではそれを強く実感しました。まだまだ勉強が足りないというか、国頭のバスの運転手さんじゃ無いですけど、一生勉強ですな。


久高島はまた行ってみたい場所のひとつにカウントされましたが、大変残念なことに、ワシは日本中、世界中に行きたいところが多すぎて、お気に入りの場所でも中々リピートできないジレンマだったりします。ま、そうしてあちらこちらを巡れることは、それだけで幸せなのでしょうね。



たんぽぽ
http://tabelog.com/okinawa/A4702/A470201/47002307/
わぁ〜家ー
http://k2929.ti-da.net/
琉球新麺 通堂
http://www.ryoji-family.co.jp/ryukyushinmen_tondo.html