コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

展示3館巡り

こう見えて、余り美術館や博物館に行きません。


映画や芝居はそこそこ見るし、小説なんかはがしがし読むワシにとって、美術館や博物館への往来もざっくりとした「自分へのインプット、あるいは芸術的活動」だと思っているのですが、そっちの足は結構鈍く、情報のアンテナ感度も低いのです。理由はよく分からないのですが、「展示されてるのを見てもなぁ」と思っているのかもしれません。


旅先ではちょいちょいそういう「展示もの」は見に行くのですが、それは他にすることがないから、という時も少なくありません。そしてとても残念なことに、「展示もの」って中々心に残らないのです、ワシの場合。どうにも、脳味噌がそういう方向に向いていないのでは無いかしらと思うくらい。


かといって嫌いなわけでもなく、見たいなー、と思いつつ、混雑の話を聞いて見逃したものも多いのですが、久々にちょいと気合いを入れて、美術館巡りなんかを敢行してみましたのが昨日土曜日。


午前中は「自衛隊音楽まつり」なるイベントのご案内をいただいて音楽を堪能して(これはこれでテキストにしたいのですが)、会場である日本武道館を出たら目の前の靖国神社に「大東亜戦争開戦70年展」の看板を発見してしまい、いきなり予定に無かったそちらの展示を、靖国神社に参拝してから見てみることに。


靖国神社内にあります、先の大戦の展示がされている「遊就館」内での企画展示でしたが、第二次世界大戦の緒戦、日本が何故戦争という決断をし、その初期において如何に奮戦したかが記されています。真珠湾やマレー作戦、香港の戦いなどを概括し、そこでの英雄や兵士をクローズアップ。ミッドウェー以降の敗戦への道は書かれていませんでした。


サヨク的な人からはそれだけで忌避されそうで、比較的右的と称されるワシでも少し鼻白んだところはありましたが、事実として、このような人たちの礎の上に今の我々がいるのは確か。戦争をしないに超したことは無いですが、彼らに対する敬意もまた、失いたくは無いものです。


雨も強くなってきたので、そんなに掛からないだろう……と見越して乗ったタクシーで向かった先は、乃木坂の国立新美術館日展、ではなく、リヒテンシュタイン展です。


いや、最初にこの展覧会が気になったのは、小説・銀河英雄伝説リヒテンシュタインって登場人物がいたなぁ、ってことと、地図好きのワシとしては世界でも最小国土の部類に入りつつ数少ない「候国」であることは知っていたので、その辺の好奇心からです。


そこそこの混雑で、近くでは見難い作品もありましたが、一通り鑑賞して、思ったよりは楽しめました。ワシが展覧会の苦手な理由に、絵や彫刻の善し悪しが分からない、ってのがあるのですが、分からないなりにも「すごいなー」というものは幾つかあって、特に作品の保存状況は大変良く、それだけリヒテンシュタイン家が頑張ってきたのを感じます。


ワシの興味をそそる「工芸品(クラフト)」の展示も多少はありまして、これは幾つか好奇心を刺激されました。中世から近世にかけて、こんなもので貴族たちは遊んだり飲み会の小ネタにしてたんだなぁ、というアイテムなんか、当時の「飲み会」を想像させて面白いです。


今回の展示は、17世紀〜19世紀あたりの「バロック形式」って方向の美術品が多いとのことですが、ゴシック形式とあわせて、この辺は西洋美術史でも有名なのに、自分が理解できていないところ。こういう展示を見ると、勉強心が湧いてくるのは嬉しいことです。実際に勉強するかはともかくな!


そして国立新美術館。リニューアル後は初めて行ったのですが、ミュージアムショップが充実しすぎてますね。危うくお買い物魔神に変身するところ。結局買いませんでしたが、イイホシユミコさんという方の陶芸系生活用品と、タラスキンボンカースなるグループのバッグが特に気になりました。どうやらワシは、トラディショナルよりはモダンなものでありながら、デザイン性以上に実用性を持っているものに、強く惹かれる模様です。


もう少し、夜の予定までに時間があったので、今度は東京駅に向かって新しくなった丸の内北口にある「東京ステーションギャラリー」へ。「始発電車を待ちながら」という鉄道や東京駅をモチーフにした企画展をやっているとのことで、鉄なワシなら楽しめるんじゃ無いかな……と行ってみたら、見事に楽しめました。


様々なアプローチの作品があり、どれも多少に心惹かれましたが、越後妻有アートトリエンナーレでも展示していたクワクボリョウタ氏や、キャンパスプロジェクションというのをやっているヤマガミユキヒロ氏の作品は、特に響きました。ここでも「動いているもの」に惹かれているあたり、単なる展示じゃ物足りない気質が出ているのかもしれません。


そしてここでも、ミュージアムショップにあたる「TRAINIART(トレニアート)」なる店の充実が楽しかった!単なる鉄道グッズじゃ無い、デザインを盛り込んだプロダクトが揃い、これまたお買い物魔神になるのを懸命に押しとどめたところ。それでもここでは、少し買っちゃいましたけどね。


そんなこんなで、行くとなったら一気に三つも回ってしまうあたり、なんだかんだで苦手じゃ無いのかもしれませんが、やはりこういうインプットも大事だなぁ、とつくづく思わされた半日でした。


写真は、1枚目が遊就館で食べた「海軍カレー」、次のお客さんが「海賊カレー」と言ってていろいろ吹いた。2枚目が東京ステーションギャラリーから見られる丸の内北口、みんな建物の造形を見ようと見上げているので目が合うのが面白い。3枚目がTRAINIARTで買った、東京都心と北海道の路線図がデザインされたクリアファイル。


大東亜戦争開戦七十年展 遊就館
http://www.yasukuni.jp/~yusyukan/news/news_detail.php?article_id=0104
リヒテンシュタイン 華麗なる侯爵家の秘宝
http://www.asahi.com/event/liechtenstein2012-13/
東京ステーションギャラリー
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
TRAINIART
http://www.ejrt.co.jp/trainiart/