コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

カナダちょっと横断鉄道(北米大陸ぼっち横断3)

結局旅中は、行程を優先して2回目で終わっていたリアルタイム旅記。まぁそれはそうだわな。2日目夜から3日目、5月5日から6日に掛けての旅記です。



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ワシがトラブルに遭おうとも、もちろん列車は関係なしに線路を進んでいきます。前回も書きましたが、バンクーバーからトロントを結ぶ北米大陸横断鉄道のひとつ、VIA鉄道「カナディアン号」。やー、やっぱり「大陸横断鉄道」ってロマンを感じますよねぇ。そして、まぁぶっちゃけこれに乗って終点まで行けば、この旅のサブタイトル「北米大陸ぼっち横断」は達成できそうな気がしますが、まぁ幾ら鉄道旅好きのワシとはいえ、鉄道だけで旅をしていてはいろいろ巡れないもの。今回も、ジャスパーまでの19時間のみの乗車です。ちょっと横断。

てことで、日本出発直前に手配した、最も安いエコノミークラス(コンフォートクラス)に乗車。ベッド付きではなく、リクライニング座席のみの車両で、席も自由に座って良い模様です。そして、前後の席間は広く、車両幅が広いので席幅もあり、リクライニングもかなりの角度になるので、3列席の夜行バスよりよっぽど過ごしやすいです。まだトップシーズンでは無いからか、乗車率も3割程度で快適。

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やー、以前ローマからシチリア島まで、2等車の夜行列車に乗ったことあるんですが、これが向かい合わせリクライニング無し6人席コンパートメントで自由席(日本の鉄道で言うボックスシート)、というかなりの剛の者向け車両。まぁ日本円で5,000円くらいだったので然もありなんです。ちなみに今回のVIA鉄道は、日本円で約15,000円。まぁ20時間の移動付き宿付き鉄道旅と考えれば高くはない。

バンクーバーのパシフィック・セントラル・ステーションを出たのが20時半。まだ外は明るいですが遅からず外は暗くなっていきます。ワシはトラブル……とある落とし物をしてしまったのでそれを探しつつですが見つからず、ちょっとした絶望感の中で座席にて煩悶として過ごします。気晴らしに、天井までもガラス張りになっているハイデッカーの「スカイラインカー」に行こうと思いますが、どうやら夜は閉鎖されていて入れない模様。若干不貞寝模様にて入眠。

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寝やすい、と言っても鉄道の旅。ちょいちょい目を覚ましつつですが、いつの間にか列車は早朝のカムループスに到着。明るくなり、車窓を楽しめるようになってくるのですが既に中々の景色。迫り来る山の緑、白い岩肌、雨のおかげか水量多く流れの速い川、天候こそ曇りがちなので少し灰色のコントラストが強いですが、楽しいものです。

 

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前夜買ったパンをかじりつつ、スカイラインカーに付いている軽食&ドリンク販売所で軽く食べ足そうと思いきや、スタッフのお兄さん曰く、朝食食べるんだったら食堂車でも出してるよ、とのこと。ほう、それはそれは……体験するしか無い。や、元々このカナディアン号、ベット席のお客さんは食事も全部付いていて食堂車で食べる、というのは聞いていたのですが、どうやらエコノミーのお客さんも、食堂車の席に余裕があれば入って頼めるようです。

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この列車は20両以上の編成ですが、食堂車だけで3両あるようです。それでも席は相席。同じ席の女史2人から話しかけられてしどろもどろでしたが、どうやら彼女たちはカナダ人のツーリストで東側出身。ワシと話す時以外はフランス語でした。ブレックファーストは全品12C$で、シェフの気まぐれオムレツ、的なものを所望。味のほどはまぁ普通でしたが、やはりこの動く食堂、という雰囲気が良いですね。

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満腹して後は、開けた視界が心地良いスカイラインカーで、概ねの時間を過ごします。鉄道は徐々にカナディアンロッキーと呼ばれる地域の中へ。周りの山の標高もあがり、これまで木々の緑や土肌の出ていたところが、雪を被った白さと崖の青さが際立ってきます。天気も、まだ曇りがちですが時たま晴れ間も見えるようになり、鮮やかな色合いの変化を見せます。

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列車は時たま、貨物列車とすれ違います。基本的に線路は単線ですが、随所随所に待避線があってそこで行き先交換。そして、話しには聞いていましたが、この貨物列車が長い!一度すれ違い始めたら5分くらい続きます。戯れに、一度車両数を数えてみたのですが、なんと166両。1両15mとしても約2.5km!

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左を走っているのが貨物列車




カナディアンロッキー、と言われるエリアに入ってきたのは昼ごろ。冠雪した急峻な山々が目立ってきます。裾野には森が広く拡がりさっきまでの車窓とは明らかに変わって、さらにスカイラインカーから後ろを振り返ってみれば列車もやたらめったら長いものですから、すべてのスケール感が狂い始めます。窓ガラスの向こうなので分かりませんが、空気も心なしか冷たく張り詰めてきたような。たまに列車は速度を落として、ピラミッド滝などの車窓を見せてくれます。

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カナディアンロッキー

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ピラミッド滝

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ルパン三世とか007とかアクション始めそうなながーい列車の屋根

そして15時過ぎ……いや、ブリティッシュコロンビア州からアルバータ州に入って1時間の時差ができましたので、現地時間の16時、列車は数分遅れてジャスパー駅に到着。ここで、エコノミーカーのお客さんもだいたい降りるようです。やはり、カナディアンロッキー観光拠点のこの街までの利用が多いのでしょう。ワシは、失せ物を探して1時間半の停車時間を探しまくりましたが見つからず。失意のウチに列車を降ります。や、車窓と鉄道旅は楽しかったのですが、ね。

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ジャスパー駅

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ジャスパーの駅前

宿に行く前に、紛失届を出そうと警察に行ってみるも、16時で窓口が閉まっていたので翌日朝に行くしかなく、またも失意。まぁ、凹んで解決するものでもないので、気を取り直してこの日の宿、「トンキン・イン」に向かいます。駅からは15分ほどの距離で、予約時点で比較的安いところを選んだら、なんとモーテルでした。いやまぁ、設備などに不備があるわけでも居心地が悪いワケでも無いので良いのですが。


このホテルを選んだもう一つの理由が、同じ敷地内のレストランでアルバータ牛のプライムリブが食えるから、というものだったのですが、このレストランがまさかの休業中。やむなく、駅前の小さいダウンタウンまで歩いて、もう肉脳になっていたので、「サムシング・エルス・ステーキハウス」という名前に惹かれてふらふらと入店します。


ファミリー向けのお店なのか、中々に賑やかな店内。お一人さまで通されて、ビールとアルバータ牛のステーキ(リブアイ)をミディアムレアで頼みます。赤身が美味しいというアルバータ牛(ジャスパーのある州名ブランド牛)、少し焼きすぎ感はありますが、確かに赤身が美味い!脂身も甘くて良い!満足!

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野菜は若干手抜き感ありましたが、まぁそれはこっちではよくあること。スチームライスは肉汁が染み込んでいって、案外肉にあって美味かったです。そしてビールは、カナダローカルの中から、名前に覚えがないので選んだアレクサンダー・ケイス。ほんのりフルーティーで、でもホップの味もする、ちょっとおもろい品でした。

肉充をして、さてもう一杯、とガイドブックを見てみれば、ここにも「ジャスパー・ブリューイング」という地ビールバーがあるようです。店の前までいったら、山の中を指して「Bears」店の中を指して「Beers」と書かれた看板があり、もうなんか駄洒落に一気に惚れ込んで入店。日本人など誰もいない店内でひとり、6種類の飲み比べセットをいただきます。

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氷河の溶水を使ったというビールたちは、ライムが入ってたりバニラが入ってたりと、結構フレーバーにクセのある味が特徴かな、という感。そして驚いたのはスコッチエール。ビールもウイスキーも好きだけど、これ知らない!使っているのは、キャラメルフレーバーとローストしたライ麦で、なるほどウイスキーの味がする、これは美味い!

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そんなに量があったようにも思いませんが、そこそこ酩酊して宿まで……20分も氷点下近い街中を歩いて帰ったら、すっかり酔いも冷めました。翌朝の警察署訪問にヘビーマインドになりながら、いろいろPCを叩いているウチに寝落ち。でも翌日は3時くらいに目が覚めて、まだ決めてないその先の行程を調べたりしているウチに、夜が明けてました。