コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

天文学と印刷

毎年「世界のブックデザイン展」を見に行く印刷博物館。​その企画展で「天文学と印刷」ってのをやってて、天文学も印刷も好きなワシ得過ぎるだろうと、駆け足で再訪してきた。

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まずは常設展の、古代からの“情報伝達手段”の展示がすごい。円筒印章、粘土板、ロゼッタストーンから、版木、活版印刷、光学ディスクまで。ここだけで一旦お腹いっぱい。

 

企画展、ものすごく端的に言ってしまえば、活版印刷の登場によって情報の拡大が爆発的となり、コペルニクスの唱えた天動説も彼の死の直前に出来た書物によって拡がり、後にティコ・プラーエ、ケプラーガリレオらが次々と新しい世界像を組み立てていった。他にも医学、地理学、動物学、植物学、建築学……と、印刷による知識の拡散ってすごいってことなんだけれども。

 

それらが歴史を追って、実際の書物と一緒に展示されているのはやはり壮観。この情報拡大は、現代の我々のインターネットに通じるところも大だよね。

 

日本の天文学というか、17世紀の改暦のところで渋川春海の名が出てきてまた興奮。冲方丁の小説「天地明察」の主人公じゃないですか!それまでの800年、唐から渡ってきた暦を使っていた日本だけど、渋川は日本人として初めて暦を作ったと。それも、印刷で流入してきた西洋の天文学が補助になったのだとか。

 

展示方法でいうと、文字の大きさや色使い、パネルの設置箇所などでかなり見づらく、人の動線も阻害する感じで、ここはもうちょっと頑張って欲しかったところ。

 

そして、ワシの好きな小説の「活版印刷日月堂」(ほしおさなえ、著)とのコラボ企画もやってた。作中で主人公・月子さんとお客さんたちが作った様々な活版印刷のアイテムが再現されていて、作品好きとしてはこれまたたまらん。

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ところで。今読んでいる「本好きの下剋上」シリーズの主人公の名前が“マイン”なんだけれども、これもしかして、活版印刷の父グーテンベルクが印刷所を構えていた街が“マインツ”(ドイツ)だからかな?という妄想が繋がって面白かった。そういえば、作中の人物名もドイツ人っぽいの多いしね。

 

ちょうど読んでいた箇所が、馬連を使ったり木版を作ったりと印刷を試行錯誤していたので、展示内容と重なってかなり面白さが増した感がある。