コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

縁と絆と紡ぐもの〜塩田千春展

「塩田千春展 魂がふるえる」(森美術館)に行ってきた。

f:id:tomosaku:20190811110032j:image

 

ワシが氏の作品に初めて触れたのは、2009年の越後妻有アートトリエンナーレ大地の芸術祭)に出展していた「家の記憶」という作品。古民家に糸を張り巡らせ地元住民の家具などをよりつけたインパクトを覚えている。

http://www.echigo-tsumari.jp/artwork/house_memory

f:id:tomosaku:20190811110725j:image
f:id:tomosaku:20190811110722j:image


「縁」や「絆」を「糸」で表すのは、日本人的にはシンプルな思考ではあるけれども、氏はそれを徹底的に突き詰めている感があり、またそれを広い空間に表現する構成力は本当にすごい。さらに糸はそれらの概念を超え、血管だったり喪章だったり宇宙だったり、氏の手によってどこまでも広がっていく。

f:id:tomosaku:20190811110110j:image
f:id:tomosaku:20190811110058j:image
f:id:tomosaku:20190811110051j:image
f:id:tomosaku:20190811110043j:image
f:id:tomosaku:20190811110036j:image
f:id:tomosaku:20190811110118j:image


今回最も好きだったのは、糸に紡がれたトランクが坂道のように連なる「集積-目的地を求めて」。反対側から見た時の影の落ち方も好き。

f:id:tomosaku:20190811110055j:image
f:id:tomosaku:20190811110039j:image
f:id:tomosaku:20190811110114j:image

 

高層階からの眺めも盛り込んだ感のある「小さな記憶をつなげて」も、場所を活かした展示で良かった。

f:id:tomosaku:20190811110122j:image

f:id:tomosaku:20190811110354j:image
f:id:tomosaku:20190811110350j:image


また氏は、学生時代に迷いから絵が描けなくなったらしいが、近年は描いているのかやはり糸が意図的に使われた作品もあって、これも、一見わかりやすいメタ感から引きずりこまれて、なにかと思考の海を漂いたくなる作品群だった。

f:id:tomosaku:20190811110106j:image
f:id:tomosaku:20190811110045j:image


入り口としては大味で、故に人目を引きやすく、だがどこまでも深掘りできる、氏の表現とはそういうものなのかな、とワシの目には写った(もちろん全然的外れかもだが、一鑑賞者の素直な見解)。

 

見て良かったなー。オススメ。