コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

10年目のはやぶさ

小惑星探査機「はやぶさ」の帰還から今日で10年、というのをtwitterで拝見して、記憶の扉がぶわっと開いたので、また今日も思い出話。

 

2010年。ニコニコ生放送のプロデューサーの一人だったワシは宇宙系の案件をほぼ全部担当していて、いつぞやも書いたようにNASAにスペースシャトルの中継しにいったりもしていたんだけど、そのNASAに行った4月ころだったかなぁ、とある企画が持ち込まれて、それが帰還するはやぶさの中継。

・帰還場所はオーストラリアの砂漠地帯
・通信環境は不明
はやぶさも期日通りに戻れるか否か

 

と、聞けば聞くほど生中継をするには不安要素しか無かったけど、そこはIT企業のフットワークと、最悪失敗してもまだ許される空気感とで、最終的には企画OKを取って、ディレクターと、現地に行っていただく方(そのひとりに、SF作家の野尻抱介さんもいらした)に、実際のあれこれをお願いさせていただいた。

 

そんで、あっという間に当日、6月13日(日)。

 

少し前から世間的にもはやぶさの帰還が盛り上がってきて、ニコニコにも関連動画が増えてきて、番組も、現地中継班を社内スタジオ(という名のリフレッシュルーム)で受ける形で構成されていって。

 

結果的に、生中継をするのはニコ生と和歌山大学Ustream)のみということで、たくさんの視聴者の方にお集まりいただいて(20万人!)。

 

おかえりなさい。はやぶさ 50億キロ宇宙のおつかい

live.nicovideo.jp


※まだタイムシフト見られる模様。00:51ころから突入の中継。

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<突入、分解時> 

 

ワシは、最初に企画のGO(と番組予算)を取って後はあんまりやることはなかったんだけど、さすがに当日前後はわたわたしていて、もちろんスタジオにも入って現場のお手伝い。そして22時52分ころ、オーストラリアからの映像に強い光が流れ、「おかえりなさい!」のコメントが弾幕になった時は、本番中だけどさすがに涙がこぼれそうになった。

 

そして、番組最後にジミーサムPのボカロ曲「Starduster」が流れて泣いた。

www.nicovideo.jp

 

日が変わったあたりから、各放送局や新聞社の映像やスチルが流れてきて、それらはさすがに美しいものばかりだったけど、やはり突入から分解の瞬間をリアルタイムに体験出来たこと、みんなで「おかえりなさい」を言えたこの番組は、素晴らしかったなと10年経っても思う。

 

当時のブログにこんなことを書いてた。

もしかしたら、昨日の生放送を見た子供が、20年後に「はやぶさ2」の管制をしているかもしれない。その妄想は、堪らなく心地好いものです。

実際のはやぶさ2はもうとっくに運用されているけど、また別の形ででも、あの体験を原風景にして未来に繋がってたらいいな、と、いまだに妄想する。

 

やって良かったな、という番組は3年間のニコ生プロデューサー生活の中で幾つもあるけど、これも間違いなくそのひとつ。

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はやぶさが、地球突入前最後に送ってきた写真> 

 

▼突入時の、他の映像
NASA撮影の映像(突入時)

www.nicovideo.jp

和歌山大学の中継映像(突入時)

www.nicovideo.jp

▼ワシのブログ
はやぶさおかえり番組(6/13、番組前のブログ)

tomosaku.hatenablog.jp

はやぶさ・雑感と備忘録(6/14、番組後のブログ)

tomosaku.hatenablog.jp