コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

One Day in Tibet

タイトルはもちろんブラピ主演の映画「Seven Years in Tibet」をパクったんですが、One Dayだと「ある日」とも訳せてしまう罠。


てことで、マイミクさんの日記で知りまして、昨日は『2009年ダライ・ラマ法王来日法話「さとりへ導く三つの心と発菩提心」(ラムツォナムスムとセームキェ)』(http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/2009japan/tokyo_houwa.html)を聴きに、両国・国技館に行ってまいりました。


まずは何より、生のダライ・ラマ法王を拝見したかったというのがひとつ。そして、ワシ自身は神道の信仰を持つ神主(心得見習)ですが、宗教宗派は信仰の方便と思っている論者でもあり、他の宗教指導者(チベット仏教)のお話しというものを聞いてみたいな、というのがもうひとつ。


開演直前に当日券の列に並んでいたら、ワシより少し若いくらいの方に声をかけられて、なんでも来るはずだった友人が来られずチケットが余ってしまったから買ってくれないか、とのこと。ダフ屋ってワケではないですし、2階席ではありましたが、まぁこれも人助けかなぁ、と思ってその方からチケットを購入。


で、2階席に着席したところ、存外ステージが遠くてちょっと残念。席は7割方くらい埋まっていたのでしょうか。開演前のステージ上では、日本人の方が民族楽器風のものを奏でながら音楽を奏していました。


そして登壇されたダライ・ラマ法王猊下。お祈りを捧げて後、ステージ上の座席に着席され、この日のテーマである修行者の心得的なものを話し始められます。もちろん、ワシは同時通訳を聴きながら理解をしていくのですが……サーセン、何回か寝オチしてしまいました……。


そんな途切れ途切れ(ワシの記憶的に)ながら、お話自体はやはりとても面白かったです。ワシの通う神社の師な方々もそうですが、やはり話し方に独特のリズムや間があり、人を惹きつける、これは「話術」と言って良いと思いますが、それを持っている。他言語であってもそうだな、と感じます。


内容的には、仏教ってそういえば創造主がいなかったんだっけ、とか、因果の考え方とか神道と通じているトコも多いな、とか(これは、日本が神仏一体を唱えた国だからかもしれませんが)、もっとも印象的だったのは質疑応答で、人が人を高めるのには仏教に限ったことではない、というくだり。


自らが指導する宗教にすら固執しない、という態度は、ワシの思想にも完全合致するのですが、それを言い切るのはすごいなー、と思った次第であります。ちなみにワシの思想の一端は、以前やった企画「ひとりリレーコラム」でも書いたことがございます。
http://www.yscompany.com/tomosaku/daily_log/200602.html#20060226


まぁそんなこんなで、予定の2時間を(主に質疑応答で)たっぷりオーバーして3時間。や、でも直接質疑応答ができる、しかも別にチベット仏教信者じゃない人からの質問にってのもすごいと思いますが。。。そう考えると、質疑応答が一番面白かったかも。


ちなみに、今日もまさに今、同じく国技館で講演をしているのですが、テーマ的にはワシはこっちの方が非常に興味がありつつ、時間の関係で行けなかったのが残念。

「地球の未来」への対話 −仏教と科学の共鳴−
http://www.tibethouse.jp/dalai_lama/2009japan/tokyo_science.html





とまぁここまで、まったくチベット問題に触れずに書いてきましたが、自分的にはやはり触れないワケにも行かないかな、と。


いわゆる「チベット動乱」と、ダライ・ラマ法王により「チベット独立政府」、それと中国とが抱える問題は、ワシが社会問題、特に外交問題に興味を持ち始めた20年くらい前から、些細なものですが本を読んだり、調べたりしていたものです。むしろ、ここ7〜8年くらいの方が、あまり情報収集してないかも。


基本的なスタンスは、もちろん(というとアレがナニですが)チベットは中国によって「侵略」され、民族・人権の弾圧が行われている、という考えです。もちろん、それに絡む報道・情報の統制も行われていること、これは自明の理ではありますが。(もしかして今日の日記、中国に住む友人からは見えなくなったりするのかなぁ……:苦笑)


今回も、当然ダライ・ラマ法王は政治的な発言をしていません。だのに、その件について質疑応答をした人がいて、ワシ的には眉をひそめました。声援のつもりなのかもしれませんが、立場的に、世界情勢的に答えられない問いをするのは、ある意味で追いつめているのに等しい行為です。そのことで最も無念なのは、法王ご自身でしょうに。。。


今回も、国技館の内外に、多くのフリー・チベットサポーターがいましたし、友人にも何人か、熱心な活動をしている方がいます。これまで書いたことはありませんが、陰ながら応援してもいます。ただ、ワシ自身はいわゆるフリチベの活動には身を投じないと思います。


ワシはワシの考えに基づき、チベットの現状を改善するための協力をしたいとは思っています。とはいえ、今のワシでは資金援助のための寄付程度が関の山ですが。もちろん、問題を世の中に知ってもらう、あるいは市井の人々を勇気づける、そのための活動はとても尊いものだと思いつつ、この問題に本気で取り組むためには、もっともっと大きな力を持った人を巻き込むか、持った人になるか、が必要であると考えています。





遠い国の出来事を問題として捉えるのは難しいですし、それが出来ないことが悪だとは、ワシはまったく思いません。人は、基本的には自分の身の回りのことからしか、世界を実感できないものだからです。ただ、それであっても「知る」ことはできる。今回の講演は、ダライ・ラマという人を知る、とても貴重で良い体験だったと思います。
http://www.tibethouse.jp/home.html