コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

椎葉の

クニ子おばばと不思議の森
http://www.nhk.or.jp/special/onair/110925.html


数日前、珍しく日付の代わる前に家に着いたものですから、作業用BG映像にNHKをオン。特に24時を回ってからのNHKは侮れない番組を放映していて良いものです。


で、作業してたら「焼き畑」の話題&映像が出てきてどこの海外かと思ったら映っているのは日本人。ははん、ワシはつい最近、日本で焼き畑が残っているのは全国で一カ所だけとモノの本で読んだばかりですぞ。


その本とは、「春になりては……椎葉物語」。宮崎県の山奥、日本最後の秘境と称されることもある、椎葉村(しいばそん)の文化と人々を追った、写真紀行本です。


果たしてそれは正解で、冒頭のリンクの番組は、その椎葉村でただ一人焼き畑を続けている椎葉クニ子さんを取り上げたNHKスペシャルでした。


この本を持っていたのも、椎葉村を知っていたのも偶然ではなく、いやまぁある意味偶然ですが、椎葉村は昔、ZABADAKというグループが椎葉村に伝わる民謡をアレンジして発表した「椎葉の春節(はるぶし)」という曲を聞いてから行ってみたい、憧れの地のひとつ。数年前、高千穂に行った時に足を伸ばしたかったものですが、足を伸ばす、では行けないほどの土地でした。


そして先日、新宿にある宮崎県のアンテナショップにふらり立ち寄った際、そういえば椎葉村のパンフレットでもあるかなと捜していたら、観光協会のおばさまが声を掛けてくださって、椎葉村に興味ありと知ると出してくれたのが、先の「椎葉物語」。たぶん、流通のほぼすべてが地元でされたんじゃないかというマイナーな内容ですが、2ページずつ、椎葉の写真とまつわる人を紹介した構成が綺麗で、さすがに新刊はなかったのでAmazonマーケットプレイスで購入してしまいました。


まだ読みはじめたばかりでしたが、日本で唯一焼き畑が残っているのが椎葉村だという情報を目にしていたので、冒頭の番組のOPですぐに椎葉だ!と分かったわけで。


いや、なんかいろいろ偶然の積み重ねなんだけど、さらには椎葉村への初来訪旅を具体的に考え始め、柳田邦男の「後狩詞記」も図書館で借りてきていたワシには、タイムリーな内容というか、たまたま珍しく点けてたテレビでその村のことをやっている番組に巡りあったのも不思議な縁です。


番組は、焼き畑を通じて行われる農業、そこで巡る森と作物の成長と再生を、何故かカタツムリ視点で語られます。カタツムリの声は、恐らく菅原文太。さすがNHK、妙に豪華です。ただこのカタツムリ視点というか、カメラワークは素晴らしく、80歳を超えたクニ子おばばが、とてもキュートに映されています。


カメラワークでいうと、特に植物が成長する微速度撮影が素晴らしすぎて、見惚れました。こういうところでNHKの本気を感じるよなぁ……。菌糸やキノコの成長する微速度撮影とかも、こんなの初めてですよ。


椎葉の焼き畑というのは、燃やして作物を作って終わり、ではありません。森を焼き、作物を育て、その後から新しい森が再生されて森は若返るのだそうです。それを30年の周期で繰り返すのだとか!この村に嫁いで65年のクニ子おばばは、それをずっと亡き夫とともにやってきたのだそうです。


その、おばばの数年前に亡くなったという旦那さんのお名前が椎葉秀行さん。もしや、と思って「椎葉物語」を見てみれば、刊行されたころの、ご存命なころの旦那さんが載ってました。妻に受け継がれた、そして間もなく途絶えようとしている焼き畑。


ここでこの番組を見られたことは、なんとも言い難いですが、本当に、ひとつの縁だな、と。


歌で知り、本で深めた想いに、映像で後押しされた気分。遠くない未来に、是非この土地を訪ねてみたいものです。


以下、参考サイトや読みたい資料。

椎葉村観光協会
http://www.shiibakanko.jp/

椎葉村役場
http://www.vill.shiiba.miyazaki.jp/

ZABADAK 椎葉の春節
http://worzel.blog22.fc2.com/blog-entry-649.html

椎葉神楽―山の民の祈りと舞い (アジア民俗写真叢書)
山人の賦、今も―宮崎県椎葉村の暮らしと民俗
千年を耕す 椎葉焼き畑村紀行
椎葉物語―鶴富姫と那須大八郎