コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

温泉ちゃんぽん〜独り旅から珍道中へ

さて、前回に引き続き、GWの旅記をもうひとつ。て、GWいつだよ、ってくらい過去になっていますが。


5月1日、幕張でのイベント会場から送った大量の荷物を会社で受け取るだけのお仕事をしていたら、あれ、もしかしてGW中はこれ以上仕事しなくても大丈夫なんじゃね?と気付いたワシ。早速その場でどっか旅に出ようかと夢想し始めますが、イベントのつかれもあるし、こりゃ、前々から行きたかった温泉宿に行ってみようかな、と空室を検索したら、GW中は翌2日のみ空きがある模様。


はい、即予約、と。


2日朝。曇り空の中、天気予報を見れば今日から翌日にかけて全国的に大荒れとのこと。Oh、天気ぐらい気にしとけよ、と思うもアフターカーニバル。まぁとりあえず、一泊程度、もしかしたらそのままもう一泊くらいどっかに行くかもしれないけど、簡単に荷造りしたザックを背負って旅立ちます。


行き先は、栃木県は塩原温泉。行くルートは幾つかありますが、この日はまずは北千住に出て、ビールと駅弁を片手に東武鉄道の特急スペーシア鬼怒川温泉行きに乗車。野岩鉄道に行く鈍行に乗り換えて、山深い中へ進んで行きます。上三依塩原温泉口駅を降りた時、まだ雨は小降り程度で、歩くに傘が無くても支障がない範囲。ここからは、バスに乗って山を一つ越えれば(トンネルだけど)、そこが、塩原温泉郷です。


が、ちょっと寄り道と、バスを一本遅らせて、駅から歩いて行ける「上三依水生植物園」へ。や、天気はイマイチだし咲いている花も少ないらしいしそもそもそんなに植物園に興味は無いのですが、サイトに書かれていた「お花畑のように群落で咲いてはいませんが、それぞれ精一杯咲いています。」という、よく分からない訴えかけに惹かれたから。駅からは川沿いの道を歩いて7分ほど、途中ささやかな滝を見ながら到着し、500円を払って入場。


……ああ、ううん。。。


なんというか、なんもなかったです。や、ちょいちょい花は咲いてますし、決して「荒れ放題」というほど手入れがされていない訳でもないんですけど、いったい何を見れば良いのかよく分からない庭園で、散歩するには気持ちが良いんですが、それはこの庭じゃなくても良いよな……という戸惑いと表裏一体。まぁ、涼冷な水と清廉な空気を味わうことが出来たのでワシは楽しめましたが、これ、誰かに勧めるには難しい施設ですな。。。


駅までの戻り道、街道沿いの店に掲げられた「ちたけそば」ってのが気になって、時間もギリギリありそうだったので、その店「上三依きすげの郷」に入店。家族経営か、注文を取りにきたお兄ちゃんはイケメンでしたが、客は最後までワシ一人。その「ちたけそば」に、蕎麦は「炭そば」という、この辺りの名物らしい真っ黒い蕎麦と普通の蕎麦のあわせにしてもらい、ずるずる。


ちたけ、というのもこの辺りのキノコのようで、そこそこ大きく歯ごたえのある、なんとなくピータンを思わせる色と食感。そして、風味は強烈。正直、ちたけの入ったツユの風味がすべて持っていってしまい、蕎麦&炭蕎麦の風味がよく分かりませんでした。まぁ、総じて美味しく感じたので、良いのですが。


バスに乗り込んで、塩原温泉郷へ。雨も徐々に強くなってきます。塩原のバスターミナル(BT)に着いて宿の迎えが来るまでの間、少しBT周辺を散策してみますが、あまり遠出も出来ず、しかもまだ17時前だというのに雨のせいもあってか街に活気がなく、ワシも、CMで見たことのある「ホテルニュー塩原」を見つけて喜ぶのが関の山。


ここで、会社の後輩から着信。えー、まさか今から会社呼び出されるのかなぁ、電話出るのやめようかなぁ、と思いつつ、そうもいかないので出てみれば「ニクさん、今どこにいますか?」「(ああ、やはり呼び出しか)えぇと、栃木の山中だけど」「じゃあ、今から追っかけるかもしれません」……へ?


なんでも、仕事して同僚と飯を食ってたら、どっか旅でも行こうか、だったらこのまま出ちゃうか、そういえば会社の先輩が旅に出てtwitter更新してたな、電話してみるか、となって掛かけてきたとか。そんで、その後輩たちは本当に家に帰らず、会社からそのまま新幹線に飛び乗ったとか。おまえら……ワシも無計画な旅には定評があるが、ワシ以上だぞ。。。


とそんな中、お宿の送迎が来てくれました。この日本当は、宿の送迎の時間からは外れていたのですが、ちょうどワシの到着時間頃に買い物に出ているから、それでよければお乗りください、とご案内いただいて迎えにきてもらいました。そう、ワシの泊まる宿は、ここ塩原温泉郷の中心街からはそこそこ離れた、「塩原元湯温泉」の「ゑびすや」。源泉掛け流し&濁り湯ということで、お湯の評判も良かったので来てみたかったのです。なんとなく、つかれを癒す、って気分になれそうじゃないですか。


車を降りる前から漂っていた硫黄臭に楽しみを刺激されながら、古めかしい宿に入って受付、この頃には雨も本降り、これからさらに激しくなりそうです。腰の曲がったおばあちゃんに案内されて部屋に入れば、こざっぱりとした部屋。そこそこ歴史があるワリに、老朽化はしながらも清潔さは感じられ、また送迎の件も含めてとても良いホスピタリティの宿です。


それでは温泉は……と早速行ってみると、熱湯と温湯、二つの浴槽があって、それぞれ源泉が違うのだとか。掛け湯をして入ってみますと、おお、気持ちいい!適温からすると、温湯は温すぎて、間欠泉が5分おきくらいに湧き出る熱湯は熱すぎるのですが、交互に入ったりすると体に染み入ります。いわゆる「お湯の新鮮さ」はあまり感じませんでしたが、それでも充分気持ちいい。


夕ご飯の時間になって大広間へ。焼きたての岩魚や猪の鍋、他、山の幸をふんだんに盛り込んだ沢山のおかずに囲まれて、着席しただけで幸せ気分。どうやら独り客はワシだけのようですが、気にせずビールに岩魚酒をあおり、おひつご飯もこの日はカロリーを気にせず平らげ、満足満腹いたしました。


飯上がりにまた温泉へ。食っちゃ入り、寝ちゃ入りで、翌朝も含めて滞在中に4回ほどは温泉に行ったでしょうか。胃腸にも効くという飲泉も試してみます。ワシ、あんまり飲泉とかしない人なのですが、最近の健康志向がこのような所行に向かわせておりまして、まぁこれも、年のなせる技かな、と。


その頃後輩たちは……どうやら、那須塩原駅まで来たところで詰んだ模様。電話とtwitter情報によると、駅前のホテルに泊まって、晩飯どころも無く(那須塩原の駅前は本当に何も無い……)、かろうじて、タクシーで片道3000円くらい掛けて、日帰り温泉には入ってきた、とか。


やべぇ、こいつら愛すべきバカだ!(笑



篠突く雨が屋根を叩く音で深夜にも何度か目が覚めましたが、夜が明ければ雨音さらに強く、確かに今日は荒天の模様。当初の二日目の予定では、塩原温泉郷を少し歩いて、バスの良い時間があれば那須方面にも少し足を伸ばして、夜は東京に戻るか、そのままもうちょい北に行ってみるか……って、それ「予定」って言わなくね、ってくらいの曖昧さ。朝飯も満足満腹でしたが、特に、温泉で炊いたというお粥が美味。お粥とは思えないくらい粘度が高く、それがまた良かった。


ところで昨夜の電話で、もし合流するなら、この辺観光するなら車があると便利だよ、と後輩に言っておいたところ、どうやらレンタカーを確保できた模様。おお、GWなのに、むしろ大丈夫か観光産業、と思わないでも無いですが、そうであるならかなり行動の幅が広がることも事実。この合流、思わぬ方向に旅を転がせて行くかもしれません。


後輩たちとは塩原BTで落ち合う予定でしたが、早めに着いたようで、ここ元湯まで迎えにきてくれるとのこと。ありがたや、ありがたや。雨中の山道を抜けてきた二人と合流したところ、早速「なんでこんな山奥なんですか!」と詰られますが、まぁ逆に、せっかく山奥まで来たのだからと元湯温泉に日帰り入浴することに。ワシの泊まっていた「ゑびすや」は11時から日帰り可なので、10時からやってる「大出館」という宿に向かいます。


大出館の建物はこれも古めかしいながら結構大きな鉄筋作り、客室数も多そうです。料金を払って浴槽に行ってみれば、地元の人か旅人か、結構な人数がいますが、なんとか三人分を確保して入浴……って、お湯、黒!この宿も源泉を幾つか引いていて、それは普段は「五色の湯」と、色違いの温泉が幾つか楽しめるらしいのですが、今日は天候のせいか、源泉が一つしか稼働していなくて、それが「墨の湯」という、本当に真っ黒なお湯。東京の温泉によくある赤褐色の黒ではなく、真っ黒。タオルが少しお湯に触れただけで、黒ずみます。


内湯に入っていたら、宿の女将らしき人が「露天も空いてますよ」というので、雨中の露天風呂に移動、とこれは良い眺め!山深い森と、そこにざんざん降る雨、氾濫しそうな川と、まぁ確かに天候は大変ですが、眺めが良いのは確か。雨に打たれながらの露天風呂も、また乙なものです。ちなみにここも含め、大出館のみならず元湯の温泉は混浴が多いってのも特徴(女性専用ももちろんあります)らしく、そういえば朝のゑびすやでオバサマたちが女性浴場から現れて、ワシの姿を見たせいか戻って行ったなぁ。。。


すっかり堪能して、早くも(運転手以外)ビールをいただき、よしじゃあ昼飯でもと、塩原温泉郷に戻ります。この日、元々ワシが目をつけていたのは、前日にtwitterで友人に教えてもらっていた、塩原名物らしい「スープ入焼きそば」……なんじゃそりゃ、と思いつつ、かなり興味がそそられます。その元祖と言う、「釜彦」なる店を目指しますが、ネットに載っていた住所は古いもので、なんでも新店舗に移動したとか。新店舗は……でかくて奇麗!こりゃ、儲かってるな……(黙れ)。


少し待ちつつ席に通され、迷わず頼んだ「スープ入焼きそば」。塩原の地ビールなんかも飲みながら待っていますと、そんなに待たずに提供。さて、見た目は、焼きそばがスープに入っているなぁ……では、とズズッとすすると……おお、ソース焼きそばと醤油スープが混じった味!いやもうなんか、まさにスープ入焼きそばとしか形容できない!けど、美味い!や、正直予想外に美味しかったです。誰もが言うらしいのですが、期待値が低い分、結構美味しくて評判になる模様。それもどうなの。


じゃあ腹ごなしに温泉……と、これもワシが目をつけていた、塩原温泉郷の公衆浴場に行ってみようということに。滝が見えるという「不動の湯」に行こうとしますが、車の置けるところから少し距離があり、大雨の中を行くのはしんどそう、ということで、中心地の「塩原もの語り館」から吊り橋を渡ったところにあるという川沿い野天風呂「もみじの湯」に向かいます。


水の勢いがいや増す川沿い、簡単なすだれで対岸からは見えないようになっていますが、衝立ての先は脱衣所とその目の前に浴槽、という、本当に簡素な施設です。もちろん、混浴。葉っぱが湯船に浮かびます。お湯の出ているあたりは暖かいのですが、少し離れると冷めてしまうのも含めて、町中にありながら野趣を感じます。ゴウゴウと言う川音を聞きながら、男三人、妙にテンションが上がっての入浴。お湯そのものは、やや滑らかながら無色透明でそんなに特徴的なものではありませんでした。


吊り橋を戻り、塩原温泉の新名物を謡う「とて焼き」をおやつに購入。クレープの皮が厚いようなものにいろいろ挟んで食べるのだとかで、この店ではソフトクリーム。厚い皮がしっかりしていて、中につぶつぶした木の実っぽいものも入っていて、結構美味いです。


さて、後輩たちは、那須湯本の有名な日帰り温泉「鹿の湯」に行ってみたかった、とのことで、ここで車の進路を那須温泉郷に向けます。塩原から那須は、遠くもないですが近くもなく、晴れていれば奇麗な山々が見えるスカイラインを雲と雨を眺めながら車はひた走ります。景色を嘆いたワシに、後輩のひとりが「今日は濁流を楽しみましょう」と中々に頭のネジがぶっ飛んだことを言ってくれたので、それに従うことに。


鹿の湯はまた、硫黄臭のする中にある古めかしい建物。ここに、1度〜2度ずつ温度の違う浴槽があると言いますが、どういうことだ……と入ってみて納得。単純に、温度の違う6つの浴槽が並んでいました。とはいえ、この微妙な温度を保たなければならない湯守さんの苦労はしのばれるところ。実際、この日もぐるぐる巡っては温度調整をしていました。GW中、有名なところだからか、お客さんも多く結構な芋荒い状態でしたが、それでも作法に従って、41度から少しずつ高い温度の浴槽に移動します。


最高温度の一つ手前、46度までは難なく入れました、46度浴槽で「これ以上はしんどそうだな……」くらいは感じて、でも、ついカッとなって48度に入ってみました、が、これが熱い。とにかく熱い。一度入ったら、その時入っている全員、砂時計の落ちきるまで入っているのが高温槽ルールだそうですが(そうしないと、表面に波が立って熱い湯がたゆたうため)、ここは素人でごめんなさい、落ちきる前に出てしまいました。地元の方っぽい人のジト目が怖かった。。。(被害妄想)


なんとなく、ワシも後輩たちも行きたいところは制覇した感じなので、カフェにいって次の作戦会議をしよう、ということで那須のマップから選んだ店が「戦国武将ショップ・北欧カフェ&雑貨Onnea」。えぇ、名前だけで選びましたが。てか、なんだそのコンセプトは!ってツッコミたかっただけかもしれませんが。着いてみれば、外観は北欧風の木で出来たロッジ、中に入ってみれば、内装は……ああ、武将のタペストリーとかいっぱい飾ってあるよ!


で、この絵がどっかで見たことあるなぁ、と思ったら、諏訪原寛幸さんの作だとか。調べてみれば、KOEIのゲーム、戦国無双三国志信長の野望などのイラストを描いている方だとか。そりゃ、見覚えあるはずだ!ワリと昼飯から時間は経っていなかったのですが、なんか、卵やカレーが美味しそうだったので、三人でまた炭水化物系を摂取。作戦会議のつもりが、ただのおやつタイム(しかもご飯)。


とはいえ、さすがに温泉巡りすぎて湯疲れしたか、屋外で遊べるところも雨だしと、結局、那須ガーデンアウトレットに向かうことに。ワシも初めて、というか、前に来たときはありませんでした。あんまり旅に出ても、買い物、しかも地のものではなくアウトレットに行くってのを、今まではイマイチ理解できていなかったのですが、まぁついでみたいなもんだし、こういう旅の楽しみ方もあるんだろうな、というのを最近感じるようになってきたものです。


レンタカーを返す時間を考えるとそんなにのんびりも出来ませんでしたが、行ってみれば、実は一番はしゃいでいたのはワシかもしれません。や、来てみたらここ、元々好きなブランドがいくつか入っていて、興味あるショップも幾つかあったものですから、ついつい張り切ってのお買い物モード。まぁ人間、こんなものです。後輩を待ち合わせ時間に少し待たせて、合流。やー、もっといたかったけど、もっといたらあと2〜3万円くらい買ってたかもしれない。危ない、危ない。


那須塩原駅にレンタカーを返して、新幹線の切符を購入。ここでも、さらに北の方に行ってみようか、という話が出ましたが、やはりちょっとつかれが継続中で、おとなしく帰京することに。新幹線の待ち時間が一時間近くあったので、駅で飲んだくれて、さらに車中でも駅弁を買ってもうひと飲んだくれしてみました。後輩たちが、昨日の退社後、一日半ぶりの家。長い通勤になったものです。


独り旅で出かけたはずが、思わぬ行動力を持った後輩と、全員のノリと勢いで、思わぬ珍道中になったこの温泉巡り。そう、思えば4カ所も温泉をちゃんぽんしていたのも、レンタカーを持ってきてくれた後輩のおかげ。思いつきだけで行動していたはずが、思わぬ噛み合わせの良さで、珍道中ながら、楽しく充実した旅になりました。後輩ちゃんたち、ありがとう!


写真は、1枚目が「ゑびすや」の浴場。2枚目が「もみじの湯」とその先の増水した川、3枚目が釜彦のスープ入り焼きそば。


【参考サイト】
ゑびすや
http://www4.ocn.ne.jp/~ebisuya3/
大出館
http://ooidekan.com/
もみじの湯
http://www.joy.hi-ho.ne.jp/ma0011/T-Tochigi33.htm
http://www.siobara.or.jp/kokyo.stm
鹿の湯
http://motoyu-shikanoyu.com/

上三依きすげの郷
http://www.kisugenosato.com/
釜彦
http://r.tabelog.com/tochigi/A0905/A090501/9011468/
戦国武将ショップ・北欧カフェ&雑貨Onnea
http://www.merhaba.jp/?p=1124

上三依水生植物園
http://www.yamasyokubutu.co.jp/
那須ガーデンアウトレット