コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

リュックサックひとつ

今回、書こうと思っていたメモから掘り出し調べてみたら、もう半年前のことになるようですが……。


家に帰ってフッと点けたテレビ、NHKでやっていたのが「私のリュックひとつ分」という番組でした。出演は俳優の田中要次氏。前週は矢野顕子氏が出ていたようで、そちらも見てみたかったです。


-----引用ここから-----
あなたにとって本当に大切なものは何ですか?

ひとりの人間が所有できるものは、リュックひとつ分だけ…。だとしたら、あなたは何を選ぶ? 悩んだあげくに詰め込まれたモノから見えてくるのは…。

「本当に大切なものを、このリュックに詰めてください。」手渡される1つのリュック。その瞬間から始まる試行錯誤。何を詰め込むのか…。番組はその一部始終を見つめていく。そして中身の公開。それらを選んだ理由が語り始められて…。
-----引用ここまで-----

というのが番組のコンセプト。なんでも「番組たまご」という、レギュラー化を目指して生まれる新しい番組を企画する企画のひとつようで、まぁ実験場のようなものなんでしょう。


ワシが番組を見始めたのは途中からでしたが、この番組のコンセプトに強く惹かれ、印象に残りました。


さて自分が二度と戻らない旅に出る時。リュックサックひとつ分だけの荷物しか持っていけないとしたら。さて、ワシは何を持っていくだろう。


少し、考えてみました。しばらく、寝かしてみました。でも、結論は同じでした。


結論:何も持っていかない。


正確には、どうしても必要そうな着替えとお金は持っていきますが、他に必要なものが思いつかない。


ワシはそこそこ記録魔ですし、写真や文章が大好きで、旅に出れば冗長な「旅記」と称した備忘録を残すことを好みます。日常も、全く必要なさそうなことを写真に撮り、ライフログと称してtwitterなんかにアップし、たまーにそういうのを読み返して自分の思い出に浸ったりします。


でも、じゃあ、それを持ってどこかに行きたいかと言えば、そういうワケでも無いんですね。これは普段の生活というか生き方においても顕著なのですが、ワシ、あんまり「リピーター」になることってないんです。お気に入りのお店や旅先、それなりに常連の飲食店、感銘を受けた小説なんかはたくさんありますが、そこにもう一度行ったり再読するよりも、新しいところに行きたがったり、新しい本を読みたい。


よく言えば、好奇心が豊か。あるいは、こだわりを持てないのかもしれません。それ故、これまでの自分の人生を持ち歩くことに、あんまり興味が持てない。残したがりなのに、無ければ無いで困らない。


いや、あくまで思考上のことですから、もし現実にその状況になったとしたら違う結論を出すかもしれません。新しいものを記録したいと思うなら、ノートやカメラくらいは持っていくかもしれませんしね。


しかしまぁ、記録好きと思いきや、知らないものはもっと好き、という自分の指向に、リュックひとつ分から思考を広げて気付きました。リュックに入れるって事は、自分が自分のためにどんな「もの」を残したいかを知る試金石。見回せばものの溢れる部屋の中にあって、ちょっと面白い思考実験だと思います。