コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

図書館物語

小説「図書館戦争」(有川浩、著)シリーズの本編全四巻を読了しました。各巻のレビューも書いております。

 

図書館戦争

図書館内乱

図書館危機

図書館革命

 

でまぁ、レビューに書いたことの総ざらえみたいにはなってしまうのですが。

 

 

現代日本に似た世界ながら、大きく違うのは検閲が法文化し常態化している社会であること。その中で、読書と表現の自由を守るために、検閲勢力の武力に対抗するために、武装化し戦う図書館の隊員たち。

 

 

もうね、荒唐無稽です。もちろん、物語なんて荒唐無稽なものはたくさんありますが、現代社会と被っている世界観でこれは本当に突拍子もない。で、荒唐無稽もここまで極めれば一級のエンターテイメント。そして何より、本好きで、図書館の存在に心から感謝をしているワシにとって、大変ツボにはまる物語でした。

 

 

本を守る、図書館を守る、そして何より表現の自由を守る。特に「表現の自由」はそれ自体がとても難しい問題ですが、これを軽妙にエンタメ作品にしてしまった作者の力量に感嘆です。

 

 

でもホント、表現の自由、って難しいですよね。規制は悪なのか、と言ったら全ての規制が悪なワケではないでしょう。あわせて報道の自由ってのも大きな問題です。何をどこまで伝えるのか、マスコミの過剰報道の意義とは、助けるべき所にカメラを向けたジャーナリストは非難されるべきなのか、などなど、少し洗い出しても尽きることはありません。

 

 

本作を読んで、それらの問題に対する答えが出るわけではありません。でも、こういう平行世界で同じ問題をどのように考えているのか、それを知ることは、ワシらの現実世界でそれを考える大きな一助になったな、とそう思えるのです。

 

 

そして本作を魅力的たらしめているのがそのキャラクターたち。突飛に個性的なキャラがいるわけではないですが、キャラのひとりひとりは個性的で、ここまできっちり練り込まれていれば恐らく作者の意図していない会話をキャラがしていたこともしばしばあるんだろうな、と思えます。

 

 

単なるヒロイックファンタジーではなく、この主人公たちの成長物語も面白いのです。分かりやすい筆致に、理解しやすい構成で、且つキャラの成長物語はイコール恋愛物語でもあり、この書き方にくどさや嫌悪を抱く向きもあるだろうなとは思いますが、ワシ的にはこれを楽しむことができました。まだ手を出していない「別冊」なる外伝の方ははまだ手を付けておりませんが、彼ら主人公の色恋沙汰が中心と聞き、ワクワクしているほどです。

 

 

(個人的に)大好きなテーマに、魅力的な登場人物たちが乗って、大変満足度の高い読書が出来ました。アニメにもなっており、なんでも実写映画化もされるそうで、そのどちらも未見ですが、これは映像でも見てみたいな、と思います。活き活きとした登場人物がいる作品、ってのはそう思うのです。