コトノハのシズク Blog(仮)

肉の妖精のライフログ。

ブラティスラヴァ世界絵本原画展&このあとどうしちゃおう

ブラティスラヴァ世界絵本原画展」を見に、千葉市美術館へ。

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こちら、​スロヴァキア共和国の首都ブラティスラヴァで2年ごとに開催される世界最大規模の絵本原画コンクールだということで、世界49ヶ国から作品が集まっているのだとか。まさに絵本の見本市。

 

そもそもトモサクが絵本?とか言われそうだけど、やはりコンテンツのひとつとして、幼少期に触れる絵本には興味津々なのですよ。まぁ大学時代の友人の影響が強く、思春期には離れていたのを見直した感なのだけど、やはりこう、丹念に見ていると発見が多いのが面白い。

 

で、本展。まさに世界中からなので、ぶっちゃけ文字の読めない絵本も沢山あるのだけど、そんな中でも絵だけで分かるものはあるし、解説のストーリー紹介を読んでも、やはりお国柄とか文化の違いとかを感じる場面が多くて、眺めているだけでも楽しい。

 

そして、日本からも何冊かノミネートされ、受賞作も何点か。例えば、金のりんご賞を取った荒井真紀氏の「たんぽぽ」は、緻密に観察された、まるで「デザインあ」のような解剖をしているのに、起承転結、物語性がある。身近な花にも知らないことが多いことを実感する。

 

日本からのノミネート作もほぼ展示されていて、原爆ドームを擬人化した「ドームがたり」や、狸と龍がメインを張っている、辰年で狸推しのワシ得な「えとえとがっせん」なんかが気に入ったけど、その中に、大学時代の同期が編集をしていた「このあとどうしちゃおう」(ヨシタケシンスケ)を発見!

 

や、知ってはいたけど実際に読むのは初めてで、パラパラめくっていたら。

 

……こりゃー、素晴らしい本だ!

 

ってことで、売店で買ってしまった。この先は、絵本原画展の話から、その絵本の話へ。

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死んだおじいちゃんの部屋を片付けていたら出てきた「このあとどうしちゃおう」ノート。そこにはおじいちゃんが「このあと」すなわち死んだあとどうしたいか、どうして欲しいかがたくさん描かれていた。

 

その「このあと」がすごくユーモラスで、少しほろりとする。

 

おじいちゃんは死ぬのが楽しみだったのかな。それとも……。というところから始まる“ぼく”の気付きがまた素晴らしい。子供に贈りたいし、大人が読んでも考えさせられること必至だと思う。年代によって受け取り方が全然違うんだろうな。

 

こういう本を世に送り出した同期が、ちょっと羨ましい。

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天文学と印刷

毎年「世界のブックデザイン展」を見に行く印刷博物館。​その企画展で「天文学と印刷」ってのをやってて、天文学も印刷も好きなワシ得過ぎるだろうと、駆け足で再訪してきた。

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まずは常設展の、古代からの“情報伝達手段”の展示がすごい。円筒印章、粘土板、ロゼッタストーンから、版木、活版印刷、光学ディスクまで。ここだけで一旦お腹いっぱい。

 

企画展、ものすごく端的に言ってしまえば、活版印刷の登場によって情報の拡大が爆発的となり、コペルニクスの唱えた天動説も彼の死の直前に出来た書物によって拡がり、後にティコ・プラーエ、ケプラーガリレオらが次々と新しい世界像を組み立てていった。他にも医学、地理学、動物学、植物学、建築学……と、印刷による知識の拡散ってすごいってことなんだけれども。

 

それらが歴史を追って、実際の書物と一緒に展示されているのはやはり壮観。この情報拡大は、現代の我々のインターネットに通じるところも大だよね。

 

日本の天文学というか、17世紀の改暦のところで渋川春海の名が出てきてまた興奮。冲方丁の小説「天地明察」の主人公じゃないですか!それまでの800年、唐から渡ってきた暦を使っていた日本だけど、渋川は日本人として初めて暦を作ったと。それも、印刷で流入してきた西洋の天文学が補助になったのだとか。

 

展示方法でいうと、文字の大きさや色使い、パネルの設置箇所などでかなり見づらく、人の動線も阻害する感じで、ここはもうちょっと頑張って欲しかったところ。

 

そして、ワシの好きな小説の「活版印刷日月堂」(ほしおさなえ、著)とのコラボ企画もやってた。作中で主人公・月子さんとお客さんたちが作った様々な活版印刷のアイテムが再現されていて、作品好きとしてはこれまたたまらん。

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ところで。今読んでいる「本好きの下剋上」シリーズの主人公の名前が“マイン”なんだけれども、これもしかして、活版印刷の父グーテンベルクが印刷所を構えていた街が“マインツ”(ドイツ)だからかな?という妄想が繋がって面白かった。そういえば、作中の人物名もドイツ人っぽいの多いしね。

 

ちょうど読んでいた箇所が、馬連を使ったり木版を作ったりと印刷を試行錯誤していたので、展示内容と重なってかなり面白さが増した感がある。

「めがねと旅する美術展」鑑賞記

前日に突発で「さわやか」往訪が決まり、そういえば見たい美術展近くであったじゃん、ということで、温泉組と分かれて静岡県立美術館「めがねと旅する美術展」行ってみた。

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「めがね」と言っても視力矯正のためのものって意味だけじゃ無くて、虫めがねやレンズ、フィルターとしての意味も持たせているのだとか。

 

やー、面白い。錯視とも違い、なんだろう、「視点」を意識させられるというか。それは物理的、空間的な視点のみならず、思考的、感覚的視点も含めて、有り体に言ってしまえば「ものの見方」そのものを考えさせられる。でも展示はあくまで「(上記定義の)めがね」が軸なのが良い。

 

推されてた江戸川乱歩の「押絵と旅する男」原作の映像作品も、独特の雰囲気を絵柄やアニメーションで表現していて、視界の中に入る不思議とその顛末、その恐ろしさを丁寧に表現してたな、と。

 

以下、個人的に気になった作品のメモ。

 

夜の衛星写真ふうだが光点ではなく企業ロゴを配した岩崎貴宏氏の「コンステレーション」。

 

絵巻ふうの鳥瞰図で現代の街並みを表記する吉田初三郎氏。

 

フラットな画面が不思議な感覚をもたらす松江泰治氏の空撮写真「JPシリーズ」。

 

現役の建造物を世界崩壊後の廃墟風に描く元田久治氏。

 

レンズ越しにペンライトを当て小箱の中の光景を幾層にも映し出す桑原弘明氏「scope」。

 

後ろ向きの少女の頭部と背景が描かれるがそこに付記されたタイトルからその少女の顔や心を想像力が掻き立てられる門眞妙氏。

 

あと、生頼範善氏の人体図があったのも驚き。

さようなら、所沢校舎

昨日は日芸・所沢校舎のお別れイベントに参加。平成元年に使い始め、平成31年の3月に終わるとか、まさに平成を駆ける校舎。

https://www.nuart-tokorozawa.com

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基本的に1、2年生は所沢で授業だったのだけど、来年からは施設としては残るが授業はやらないらしい。

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ワシがここに通ったのはもう20年以上前。でもゲスト講師や仕事絡みで卒業後も何度か来ていて、実はそこまでブランクがあったワケではないのだけど、やはり友達や後輩とぐるぐる校舎を回っていると、記憶力の悪いワシでもあれこれ思い出すもので。


アーセンや学食で一人ぼけっと座っているといつのまにか友達が集まってきたりとか。

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所沢まで来て休講票を見た時のがっかりとか。

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彫刻のあるロビーで友達の恋の相談を聞いたこととか。

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気になる女の子が珈琲好きと聞いて購買(オオヤブ)のコンロでお湯を沸かせて貰い学食内でネルドリップで珈琲淹れたりとか。

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恋人と駅まで歩いていたら横を通過する学生バスから後輩に見られて冷やかされたりとか。

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春祭(春の芸術祭)を立ち上げた時に何もない目抜き通りにオーロラビジョンを置きヘリコプターを飛ばして花火を上げたとか。

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完全なるノスタルジー。でも、それに浸る時間がたまにはあっても良いよね。その思いを抱えて、当時よくいた航空公園駅前を散策し所沢駅前のプロペ通りで飲んで仲間たちと馬鹿話をして。

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みんな変わって、みんな変わってない、そんな時間を堪能した1日。

 

なお、お土産はバス券。

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Sing Like Talking 30th Anniversary

大好きなSing Like Talkingというアーティストがいるのだけど、彼らがなんとデビュー30周年ということで、昨夜、大宮ソニックシティでのコンサートに参戦。20年ほど前に、デートで一緒にSLTのライブに行った人を誘うというプレイ込みで行ってみた(今でも友人)。

 

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誰?という方も多いと思うけど、一般的に有名なのは1987年ころのコカコーラのCM「I feel coke」を歌っていたのがボーカルの佐藤竹善さん。あと、かなり昔の「世界ふしぎ発見」のEDテーマに使われてたり……と言ってもやはり狭いし若い方には伝わらないけど、トモサク的には三大好きなアーティストの一角。


そんなライブはとにかく感動、感無量。30年に渡る名曲人気曲を何曲も、トークも含めて3時間40分の長丁場。一瞬たりとも飽きずに音楽の波に酔いしれた時間だった。


よく、10代の頃聞いていた音楽は一生残る、なんていうけど、まさに中学時代に聞き始めてハマった身にはドストライクなわけで。彼らの歌詞は、ワシにはとても「文学的」に思えて、それが子供の頃から小説が好きだった自分がハマったきっかけかもしれない。とにかく言葉遣いが絶妙で、そこにAORと呼ばれるジャンルの洋学的なメロディが乗っかり、とにかく格好良かった!でも(当時はまだ行っていた)カラオケでは、友人は誰も知らないという哀しみ。


客層は、ちらほら同世代や年下も見えるけど、やはり50代が中心。まぁアーティストがアラカン(55歳)だしね。しかし、サポートメンバーも含めてベテラン揃いなので、とにかく音のクオリティが高い。そしてやはり竹善さんの歌声が上手すぎる。通路側席の自分の横を通った時とか鳥肌が実った。


よく言われることだけれども。音楽には、その曲をよく聞いていた当時の記憶が紐付くもので。自分にとって思春期と言える時期を一緒に過ごしたSLTの楽曲は、ライブで聞きながらどんどん当時のことも思い出してきて。ある曲ではいつの間にか涙がふたしずくくらい零れていたりして。久々に、音楽で幸福に浸った時間だった。

ギターふぐ

東京タワー水族館が昨日で閉館したらしくて。

https://twitter.com/tta_info/status/1046202097471959040


ワシも数えるほどしか行ったことないんだけど、忘れられないエピソードがひとつ。


小学生の頃、土曜日深夜にやっていた「さだまさしのセイヤング」なるラジオが好きだったのだけど、リスナーからの葉書で話題になったのが「ギターふぐ」。


フグの剥製がギターを持っている!ということで大盛り上がりだったんだけど、何しろラジオだから実物が見えない。30年以上前のことだからネットもない。


そして、それが東京タワー水族館の土産物屋で売っていると言っていたので、そのためにわざわざ!小学生が船橋の奥地から東京タワーまで行ったのよね。


水族館も見た後、土産物屋で見つけた「ギターふぐ」は確か600円。小学生には高価な買い物だったけど、ラジオで聞いたものの実物に会えた喜びで買って帰って。もしかしたらまだ実家にあるかもしれない。


そんな子供なりの冒険をした思い出の場所。


なおギターふぐ、かなり昔に製造中止になっているらしくあまりネットにも情報がないけど、ものはこちら↓。

http://phantomfherlock.blog86.fc2.com/blog-entry-938.html

肉宴

大阪の料理教室「FOOVER」さんが東京上陸をされるということで、そのプレイベントがありまして、お友達に呼んでいただいて合流。

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したところ、高級輸入食材を扱うアルカンさんが世界各地で選んで仕入れてきた食材を、元ミクニのシェフが調理して振る舞う。何そのネ申イベント。

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他のメンバーをほとんど知らずに行ったのに、いざ着いてみたら顔見知りやお名前はかねがねの美味いものスキーな皆さまが集っていて、あれ、ワシ場違いにも程があるよね!?


さておきせっかくお招きいただいたので楽しむよ!とまずはシャルキュトリーで、生ハムとサラミとテリーヌを。っていきなり美味っ!特にハモンイベリコペジョータとか、脂が舌の温度でとろける!牛鹿豚の熟成サラミ食べ比べも個性出て楽しい。

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メインに移り、タンドリアード社の仔牛とモリーユ茸クリームソースは、いきなりの絶品。仔牛専門メーカーの柔らかいお肉に、中から旨味汁の溢れ出るモリーユ茸。これを口に入れて鼻に抜けるモリーユの香りの良さよ!これ好きだわー。

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ルージェ社の、フォアグラ用の鴨“マグレ・カナール”のしゃぶしゃぶは、しゃぶしゃぶというよりはっきりと肉料理。想像してのとは違ってみっちりと肉が詰まり、和風で食べているからか脂まで含めてサッパリした後味。もちろん美味い!

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エレゾ社の北海道産短角牛に生山わさびを乗せた皿は、ストレートに赤身の旨味が迫ってくる一品。柔らかいのに噛みごたえがあり、噛むほどに味が深まる!山わさびは、強すぎない主張で味を〆てきて軽めの良いアクセント。これは、脂身が苦手な方には超プッシュしたい。

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肉の味を残しました、というグレフィル・アヴェロン社の骨付き仔羊ハーブロースト。なるほど確かに肉の味!羊のクセを残しつつ、じっくり焼いたのか柔らかい歯応えで、羊の臭みが苦手な人にはちょい厳しいかもだが、あれも含めて好きな身にはかなりの逸品。

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ラストに再びルージェ社の、今度はフォアグラ山椒丼。これはたまらん!鰻のタレを掛けていて、それが強いのかと思いきや、きっちりフォアグラの旨味が染み出していて、それらをまとめる山椒の力。とろける舌触りとタレの甘みで、この美味さ、絶品。

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飲んでも、ロゼのスパークリング、爽やかな白にスパイシーな赤、ノンアルもアランミリアの赤白を、惜しげも無く注いでいただき大満足のレッスンでございました!美味しく楽しく満足満腹。

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総じて。家で作れるようにという輸入食材たちなんだろうけど、こうしてきっちり作っていただくと、逆に「自分でやれるの?」と不安になるのも事実。フォアグラ丼はその場で作り方を教えてくれて、これなら出来るかも!と思えたので、そういうレシピ付きなら最強では。

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グルメスタジオFOOVER

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アルカン

https://www.arcane.co.jp/

#グルメスタジオフーバー #foover