丁寧なライブ
先週の水曜日に、ブルーノート東京で聞いてまいりました「塩谷哲トリオ」のライブ。ピアノ塩谷哲(ソルト)( http://www.earth-beat.net/ )、ベース井上陽介、ドラムス山木秀夫の三人による、ファンにはお馴染みの顔ぶれです……と言っても、ご存じない方の方が多いと思いますのでフォローしておくと、いわゆるジャズ、それもラテンをベースにしたジャズの演奏です。
いつも通りの素晴らしい演奏だったのは間違いないのですが……ソルトさんの演奏が、この日はやたら「丁寧」だったのが気になりました。というのも、ワシが彼のピアノを好きな理由は、激しく危うい、いわゆる「キレた」ように鍵盤を叩きつつ、だけど完全な技術で音楽を「表現」しているさまに惹かれているからだからです。
もちろんこの日も、他の演者とのアドリブでの掛け合いなど、「危うい緊張感」を持ちながら完全に音楽を表現している部分は多々ありました。でも、なにか物足りないなぁ、と感じてしまったんですよねー。変わった味付けの美味しい創作料理をいただきながら、でも、あとひと味足りないような感覚。
同行の、いつもソルトのライブに一緒に行く友人によれば、それは「成熟したオトナの演奏が出来るようになった」し、やはりアドリブの掛け合い部分での「お互いを信頼しきった探り合いが面白かった」ということで、それはそれで一理あることは分かるんですが、自分には物足りないんだなぁ。。。
まぁ、感覚的なものですから、文字でいくら書いても分かりにくいと思うのですが。
もちろん、そうは言ってもソルトさんのピアノは素晴らしいですし、これからもガシガシ聞きに行きたいとは思うのですが、たまには、かつてのような「キレた」演奏で観客を魅了してくれないかなー、なんて思ったりするのです。
余談ですけど。日本のブルーノートって……っていうか、日本人のお客さん、ってやっぱりこういうライブでも「おとなしい」感じなんですよねぇ。演奏の最中、演者の誘導に従っては手拍子や歓声をあげるんですが、基本的には「音を出さないように」おとなしく聞いてる。こっちはこっちで「丁寧な観客」なんですよねー。まぁ、ワシもそのひとりですが。
一回、ニューヨークのブルーノートに行ったときに、なんていうか本当に「ノリの良い」観客と演者によるライブだったんですよ。向こうじゃクラシック音楽のコンサートですら、賑やかに聞くらしいじゃないですか。ワシは、おとなしく聞くのも好きなんですが、なんかこう「音を聞いて思わず体が動いてしまう」なら、もちっとラフに聞いても良いのになー、なんて思うんですよねー。