タイポグラフィ今昔
先日、ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)でやっていた「東京TDC賞2019」を見てきた。これ、東京タイプディレクターズクラブが主催する国際アニュアルコンペティション、だとか。あにゅある?
タイポグラフィを軸にしたグラフィックデザインの優秀作品ってことで、ちょいちょいツボを突いてくる作品がちらほら。
個人的に「おっ」と思ったのは、ニューヨークタイムズ紙の縦書き英語。なるほどデザイン的に施して組み込んでくるの面白い。
古代文字とコンピューターの回路を融合させた文字も面白かった。
あと、JOJO展のポスターもエントリーされててなるほど言われてみれば。
なんてのを書きそびれているうちに、会期最終日になってしまった!無料なので銀座ら辺にいて興味ある方はぜひ!
森ヒロコ・スタシス美術館のこと
ワシの好きな画家で、スタシス・エイドリゲヴィチウスなるポーランドのアーティストがいるのだけど、日本で唯一その作品を常設展示しているのが小樽の「森ヒロコ・スタシス美術館」。銅版画家の森ヒロコさんが、親交のあるスタシスの作品を自らの美術館に置いているもの。
ワシも何度かお邪魔したことがあって、一度はmixiのスタシスコミュニティのオフ会もやって(まさかの小樽に4人集まった)、その時の参加者の計らいで館長の長谷川さん、森ヒロコさんご自身とも交流させていただき、小さな美術館で至福の時間を過ごしたこともあった。
ところが3年前に館長の長谷川さんが、そして一昨年は森ヒロコさんが逝去され、想い出もあったのでとても哀しい気持ちになったんだけど、先月、小樽に行った時に思い切って美術館を訪ねてみた。とはいえずっと休館しているので、前に立って浸ってただけなんだけど。
入口に描かれたスタシスの絵はかなり風化してきていて、また胸の潰れる思い。覗き込んだ館内は、オフ会で来た時(9年前!)のまま。初めて訪れた時(14年前!)スタシスの絵の前で撮った森ヒロコさんの写真を引っ張り出してみれば、懐かしさが溢れてきた。
森ヒロコさんとスタシスの絵(2005撮影)
その絵(2019撮影)
美術館入口のスタシスの絵(2005撮影)
すっかり風化してしまった(2019撮影)
そんなノスタルジーに浸りながら小樽を辞してたワケだけど、何でも明日からGW中、小樽の「あとりゑ・クレール」というところで森ヒロコさんの遺作展をされるのだとか。ワシは行けないけどご案内だけ置いとこう。
原美術館
品川大崎界隈を散歩してるとしばしば前を通って気になっていた「原美術館」。なんでも間もなく閉館との報を聞いてきてみた。なおその散歩は「カンテサンス」帰りとかなんだ!(←殴打)
さておき。昨日から始まった展示は「The Nature Rules 自然国家:Dreaming of Earth Project」。崔在銀(チェ ジェウン)発案による、朝鮮戦争後の非武装地帯(DMZ)を見つめる展示。人の出入りがなくなった結果、皮肉にも自然の宝庫と化した彼の地をモチーフにして、様々なアーティストのアプローチを見ることが出来る。
個人的に最もグッときたのは、DMZの鉄条網を鋳つぶして鉄板にしたものの上を歩くインスタレーション。ただ鉄の上を歩いているだけなのに、そこにある背景に想いが至ると、胸が潰されるような感覚が生まれる。想像力。
また、庭にあった「透明茶房」という作品。この茶室がDMZに設置され、南北首脳が会談をする様を想像すると、少し緊張感が緩む感じがある。
そして、初めて入った原美術館。なるほど建物自体もとてもすてきな洋館で、展示は難しいかもだけどハマるとすごい映えそう。常設のアート作品も建物の造りを活かしていて、これが閉館後どうなるのか気になるよね。。。
あと、庭にあった常設の「アルミニウム、テレビ受像機、公衆電話」なる1982年の作品なんだけど、これ、今のスマホの仕組みを彷彿とさせる。
芸術の土台〜皇室文化展
六本木一丁目駅近くの泉屋博古館分館の特別展「明治150年記念 華ひらく皇室文化 ―明治宮廷を彩る技と美―」観に来た。友達のポスト見て来てみたけど、やー、すごい、嘆息漏れる華飾な美術品の数々。
語弊があるかもだけど、やはり権力と信仰は素晴らしい芸術を産むな。これは時代も、洋の東西も問わない。
帝室技芸員を始め皇室お抱えの芸術家たちが、パトロンを得て生み出した作品の数々は豪華絢爛。食器や磁器などの花鳥柄、金彩の鮮やかさはもちろん、印籠、硯箱、引出物の菓子器「ボンボニエール」などの小物に凝らされた技巧も素晴らしい。
そんな数々の中で、最も感銘を受けたのは濤川惣助の「月花図七宝皿」。この作者のことも、七宝焼きというのも無学にして知らなかったが、これは美しすぎた。この人、あるいは七宝焼きの美術展とかあれば行きたいメモ。
くまぷー
渋谷はBunkamuraでやってる「クマのプーさん展」に、プーさん好きの友達に誘われて行ってみた。ディズニーのプーさんにも続くのだが、本展は原作であるA・A・ミルンの児童小説と、それに挿絵を描いたE.H.シェパードのイラストを中心に展示。
とはいえ、実はワシもちゃんと読んだのは1作くらいなのだが、あの柔らかい鉛筆書きのプーさんとクリストファー・ロビン、そして仲間たちの直筆絵は、見ていて優しい気持ちになる。世界観を活かした展示などもあり良い。
また、作者二人が、本に掲載される時や単行本化される時に、大変デザインやレイアウトにこだわっていたのも知れて面白い。
ただ後半、ディズニーなどで再ブレイクした頃のイラストあたりから、感覚的なのだが「なんかいけ好かない」印象を受けるようになった。先入観もあるかもだが、友人も同じことを思ったらしい。タッチが変わっているのは明らかで、もちろん単なる「変化」なのかもだが、気になったところ。